Thursday, March 3, 2016

<やむにやまれず>と<やむをえず>


<やむにやまれず>と<やむをえず>は似て非なるものか? コンピュータワープロでは

<やむにやまれず>は<已むに已まれず>とも<止むに止まれず>、手元の辞書では<止むに止まれず>だ。

一方<やむをえず>は<やむを得ず>、<止むを得ず>、ときに<已むを得ず>、手元の辞書では<已むを得ず>だ。

どうも混乱があるようだ。整理してみる。

<やむをえず>は中国語由来の可能性がほぼ100%<不得已(budeyi、四声無視)>の和訳だ。問題は意味で<不得已>の<已>は<すでに>の意で現代口語では<已経(已经)>だ。<不得已>は文字通りでは<すでに(なされたこと)はできない>でよくわからないが、、やや飛躍というか、ある過程を飛び越えて<すでになされて、いたし方ない(どうしようもできない)>の意のなる。問題は<已>の字で、日本語の動詞<やむ>の意味が少しははあるが(やむ =終わる、やめる = 終える)、 <已>は動詞ではなく副詞なのだ。<やむ>、<やめる>という動詞はふつう<止む>、<止める>と書く。<已むに已まれず>は少し変で、<止むに止まれず>の方がよさそうだが、中国語由来の<やむをえず>を考えると、<止むに止まれず>は大和言葉の動詞<やむ>の意味が入り込んでいる、と言える。だが<已むに已まれず>と書いて少し考えると意味がよく分からなくなるのではないか。


sptt

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