Saturday, April 18, 2026

<ゆとり>について

 

<ゆとり>はやまとことばらしい言葉だ。 

デジタル大辞泉


物事に余裕があり窮屈でないこと。余裕。「経済的にゆとりがない」「心にゆとりを持つ」

 ”

関連語としては、擬態語みたいだが<ゆったり>がある。語源ではなさそうだが古語に<ゆたけし>というのがある。

 ①(空間的に)ゆったりとしている。広々としている。

②(気持ち・態度などに)ゆとりがある。おおらかだ。

 ③(勢いなどが)盛大だ。

<末尾>参照

 <ゆたけし>が<ゆったり>という語を生み、これが<ゆとり>になったのではないか?

 

<末尾>

学研全訳古語辞典

ゆた-け・し 【豊けし】

形容詞ク活用

活用{(く)・から/く・かり/し/き・かる/けれ/かれ}

①(空間的に)ゆったりとしている。広々としている。

出典万葉集 四三六二

「海原のゆたけき見つつ」

[訳] 海原が広々としているのを見ながら

②(気持ち・態度などに)ゆとりがある。おおらかだ。

出典万葉集 一六一五

「ゆたけき君を思ふこのごろ」

[訳] おおらかなあなたを思うこのごろ。

③(勢いなどが)盛大だ。

出典源氏物語 若菜上

「最勝王経・金剛般若(はんにや)・寿命(ずみやう)経など、いとゆたけき御祈りなり」

[訳] 最勝王経・金剛般若経・寿命経など、たいそう盛大な御祈禱(きとう)である。

 

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<間、ま>について

 

<間、ま>はやまととばでの重要語の一つだ。ほとんど無意識で<間>を日常使っている<間>が使われている語、慣用語、慣用表現を並べてみる。


間合い  剣道では重要こと。間合いを計(はか) る。
間がある  バスがくるまでにはまだ間がある。
間がない  xxする間がない
間が持たない
間が悪い
間ぢか 間近   試験が間近に迫っている(時間)。間近で見る(空間)
間抜け  前回のポスト ": <バカ>と<間抜け>の語源 " で 詳しく検討した。

間のびする
間もなく

間をあける 間を空ける
間を入れる
間を置く
間をつめる  間を詰める  あいだを詰める  <あいだ>はいかにもやまとことばらしい。
間をとる   休む(時間)ほぼ<間を置く>と同じ。<間を取って置く>。空間を空ける <間を詰める、あいだを詰める>の反義語だ。
間を持たせる 


あい間  <合い間>ではなく<空 (あ) い間>。この意味での<空き間>はあまり聞かない。<空き間>は普通<空いている部屋>。

い間  居間  この<間>も部屋の意味だ。
いとま ひま 暇
日本語の「ひま」はヒ(物の割れ目)+マ(間)で、「空間的な狭い割れ目・隙間、転じて、時間的・心理的な割れ目」の意。 「いとま」はイト(休みの時)+マ(間)で、「仕事を休んでいる時」の意という(『岩波古語辞典』)。

貸し間
すき間、隙間
つかの間 束の間
なかま 仲間  <仲間>の語源はややこしい。
はざま 狭間
ひと間、ふた間  六畳ひと間の部屋、六畳と四畳半のふた間ある。<間>は部屋をかぞえる数詞とも言える。
またたく間 瞬く間

時間関係の語が多いが空間関係の語もある。

時間関係の語では<何もしない時間>、<時間の経過>の意が多い。英語では idling time、passing time、timing 間が悪い

死語になっているようだが、私が子供のころは<タンマ>という語が使われていた、今は<タイム (をとる) >のようだ。<タンマ>は 耳で聞いた Time Out (タイム アウト ー> タムア ー> タンマ) か?

空間関係の語  英語では space、vacant space、room

間近で見る(空間)
<空き間> 空いている部屋。
居間
貸し間
すき間 隙間
はざ間 狭間
ひと間、ふた間  中国語でも部屋 (房) は<间>でかぞえる。一间房。

間を詰める  あいだを詰める

 

<間>関連のやまとことばでは、

あき、空き
ゆとり

room には<部屋>以外にこのような意味もある。


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Thursday, April 16, 2026

<バカ>と<間抜け>の語源

 

日本語の代表的な罵倒語は<バカ>で、<間抜け>は二番目か。関西では<アホ>が一番か。<バカ>は漢字表記で<馬鹿>となるがこれは当て字で馬も鹿も関係ない。だが中国語系にBaidu Wiki には

中国の『 史記 』における 趙高 の「 指鹿為馬 」の故事に由来し、

という解説がある。 現代の中国式の罵倒語は<馬鹿野郎>(bakayarou) で日本人が出てくるドラマではこの<bakayarou>が時々出てくる。

日本語野 Wikiでは


広辞苑によると、古くは僧侶隠語であったものとされており、おそらく梵語サンスクリット語)のmoha(「無知」という意味の語)から転じた語だとされているが、その他にも様々な説がある(語源を参照)。

:"

とある。中国語の<指鹿為馬>は>は 、 <鹿>は で 音韻では<baka>とまったく関係ない。<馬鹿>を音読みすると<マロク>(鹿鳴館、ロクメイカン) 、訓読みすると<うましか> で、昔は、<ゥましか><ㇺましか>で ー><まか、maka>ー><バカ>になるのは否定できない。上のサンスクリット語 moha ば baka になったのと大した違いはない。

一方<間抜け>の語源はどうか? これはおもしろい。 一般的な説は、ネット上で

https://karens8.com/manuke/

間抜け】の語源についてご紹介します。つぎのとおりです。

  • 『間抜け』は、『間ガ抜ケル』から用いられるようになったもので、原義は、拍子が抜ける、調子が外れることをいう。
    そこから、手抜かりがある意を表すようになった。

    (出典:語源辞典形容詞編)
  • 『間』は、芝居や音楽での拍子や調子といった意味。
    この間が抜けると芝居の雰囲気がくずれ、音楽も変な調子になってしまう。

    そこから、動作や会話などにおいて他人と歩調が合わず、テンポの狂ってしまう人を、ぼんやり者、うすのろという意味で『間抜け』といった
    (出典:語源ものしり辞典)
これからすると、芝居や音楽で拍子>や<調子>を<間>といい、この<>が<抜けている>ことから、<間抜け>が現代の意味の<動作や会話などにおいて他人と歩調が合わず、テンポの狂ってしまう人>、<ぼんやり者>、<うすのろ>さらには<バカ者>となったことになる。細かいことを言えば<テンポの狂ってしまう人>ではなく<テンポを狂わせてしまう人>だろう。
 
意味の変遷経緯をもう少し考えてみると、 
 
1)芝居や音楽に限って言えば
 
芝居や音楽で、拍子や調子、すなわち<間>が<抜ける>ことを指すのだが、元来<>自体<空間>、あるいは<時空間>の意味で、時間についていえば、使用されていない時間
が<>だ。言い換えると、空いた時間、空 (あ) い間 (この意味での<空き間>はあまり聞かない)。
 
さらに少し考えてみると、使用されていない時間、すなわち<空いた時間> が<抜けても>たいしたことはないはずだ。
 
2)ところが 芝居や音楽で、使用されていない時間、すなわち<空いた時間>、さらにすなわち<間>は重要なのだ。芝居や音楽の良い効果を高めるために意図的に<間>を置くのだ。
 
3)2)の意味が芝居や音楽以外に拡張されると、一般的に、言動において、使用されていない時間、空いた時間>、<間>は重要なのだ。ここが <間抜けの語源>のポイント。
 
4)絵画では、時間が止まっているので、<間>は使用されていない場所になる。中国絵画では、昔から<虚実の妙>というのがあって、<虚 >は<間>に相当する。
 
 
sptt
 
 

Friday, April 10, 2026

立ち入る、立ち入り禁止

 子供のころ<立ち入り禁止> と書かれている場所で、友達と<立って入るのがダメなら、かがんで入ればいいのか?>といったような論議をした記憶がある。

<立ち入り禁止>は英語で言えば <No entry without permission> が一例。

また<立ち行ったことを聞くようですが> といった言い方もある。これは<できれば、聞きたいのですが>と相手の許可、了解が前提となっているようでもある。

この<立ち入り>の<立つ> には他<立つ、to stand up>の意味はほとんどない。<立つ>の複合動詞<立ちxx>を調べてみると

<立ちxx>

立ち合う 慣用表現
立ち上がる ー 立ち上げる 慣用表現
立ち行く   立ち行かない 慣用表現
立ち入る 慣用表現
立ち行 (おこな) う    <する>、<行う>の改まった言い方。
立ち遅れる  慣用表現

立ち返る 慣用表現  
立ち消える   立ち消え  慣用表現   
たちくらむ   
立ち込める   霧が立ち込める  

立ち去る 慣用表現   とっとと、ここから立ち去れ!
立ちすくむ   
立ち止まる   

立ち直る - 立て直す
立ち並ぶ   家がが立ち並ぶ
立ちのく  慣用表現
立ちのぼる

立ちはだかる
(たちふるまう) 立ちふるまい

立ち回る  慣用表現 うまく立ち回る
立ち向かう

 

以上の例からは、いくつか大雑把に見て共通している意味のものがある。

立ち合う    参加する
立ち行く   立ち行かない ー> うまく行かない、適切な言動がとれない
立ち行 (おこな) う    <する>、<行う>の改まった言い方。
立ち遅れる   行動をとるのが遅れる
立ち去る   <去る>行動をとる
立ち止まる  <止まる>行動をとる
(たちふるまう) 立ちふるまい   行動する
立ち回る   うまく動く、行動する
立ち向かう  <相手に向かう、対抗する>行動をとる  

共通している意味は<行う、行動する>といえる。

 

sptt

 

Friday, April 3, 2026

落ち合う、落ち合わせる、待ち合わせる

 

落ち合う  ー to meet  (with) each other  したがって<落ちう>だろう。だが<落ちて会う>とはどう意味か。<落ち>があるので単純な<会う>とは違う。<落ちる>は自動詞。<落ち合わせる>も同じような意味だ。

駅前で落ち合うことにしよう。
例の場所で落ち合わせることにしよう

<落ちる>にはあまりいい意味がない。試験に落ちる、落ちこぼれる、落ち込む、落ちぶれる、落ち目、落ち度など。だが<落ち会う>、<落ち合わせる>に特に悪い意味はない。<落ち会う>はあえて言い換えると<落ちて会う>、<落ちながら会う>だが、聞いたことがない。かなりなコジツケだが、<腑に落ちない>という言い方がある。肯定は<腑に落ちる>で、わからないこと、納得できないことが、腹の底 (腑) に落ちて当たって<わかるようになる、納得できるようになる>ことで、<落ちて当る>は<落ちて合う、会う>ことだ。

単純な<会う>ではなく<たがいに納得、了解、合意してして会う>の意味がないだろか? 

 

待ち合わせる、待ち会わせる

<待って会う>ではない。前もって<待つこと>に合意しておいて<会う>>の意に近い。<合意する>は<意見を合わせる>で<合わせる>、一方<人に会う>は<会う>だ。

 

 

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Thursday, April 2, 2026

示し合わせる、打ち合わせる

<示し合わせる>をネットでチェックしてみると

デジタル大辞泉

前もってひそかに相談しておく。「兄弟で―・せて家を抜け出す」
互いに合図をして知らせあう。「目で―・せる」
  

<前もってひそかに相談しておく>だけではないだろう

前もってひそかに相談して言動に食い違いが無いようにしておく。
言動に食い違いが無いように、前もって相談して取り決めし、合意しておく。

<示す> は他動詞で to show 相当だが、 ここでは<意図、計画を示す>だ。<合わせる>に<合意する>の意がある。


関連語としては

言い合わせる

他人となにかを一緒に何かをする場合に、前もって話し合って言動に食い違いが無いようにしておく、といったような意味だ。

もともとは同じことをいっしょに<言う> の意味だったようだ。 

デジタル大辞泉

口をそろえて言う。同じことを言う。

「あはれなるもをかしきも—・せたるこそをかしけれ」〈一八一〉

申し合わせる

前もって話し合って食い違いが無いように取り決めておく。

打ち合わせる

<打ち合わせる>、<打ち合わせ>の語は日本の会社では非常に多く使われ、また実際に<打ち合わせる>機会も多い。<前もって話し合って言動に食い違いがないようにしておく>、<前もって話し合って食い違いが無いように取り決めておく>場合もあるが、今は意見交換の準会議のようなものを指すようだ。

 

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Monday, March 23, 2026

離れる、離す 関連の<はxx>動詞

 

 前々々回のポスト " xx合う、xx合わす 複合動詞  " はけっこう長くなった。おもしろい慣用表現が少なくない。そして最後に


<xx合う>、<xx合わす>は日本人好みの言葉が多い。

折り合いがつく / をつける、<折り合いを欠く>人は歓迎されない。

助け合う、わかり合う

打ち合わせる、擦 (す) り合わせる

大雑把には<人に、場に合わせる>のが好ましいのだ。

” 

と書いた。これを書いた後、対照的な動詞を見つけた。<離れる>と<離す>だ。そしておもしろい発見をした。<離れる>、<離す>は<付く>、<付ける>とも対照的だ。おもしろい発見というのは<離れる>、<離す>の関連動詞には<は>で始まる動詞が多いのだ。


はがれる ― はがす
はく(吐く) 吐き出す
はく(掃く) 掃き出す
はぐれる   道にはぐれる
はげる    ペンキがはげる  (髪の毛が)はげる  ー  はぐ
はじける ー はじく  はじけ出る、はじき出す
はしょる
はずれる ― はずす (外す)
はなたれる (放たれる) — はなつ(放つ)
はねる  水がはねる、さかなが水面からはねる   はね返る 、はねっかえり娘
はぶく(省く)
はみ出る、はみ出す
はらう  追いはらう、 振りはらう
はれる (晴れる)  疑いがはれる ― はらす  恨みをはらす

はるか、はるかに

 

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