Wednesday, April 22, 2026

<リラックス>のやまとことば - 2 、<ゆるみ>


<リラックスのやまとことば>についてはだいぶ前のポスト

リラックスのやまとことば、<ほがらか>  Sep 8, 2017

で取り上げている。 

最近、" <ゆとり>について " というポストを掻いたが、<リラックス = ゆとり>ではない。<ゆとり>を調べているうちに<リラックス> 、<ゆとり>関連では<ヤ行>の語が多いのを見つけた。

 

ゆるむ ./ ゆるまる / ゆるめる、ゆるい、ゆるやか、ゆるみ  リラックスのやまとことば候補だ。

ゆっくり  ゆっくりする  これもリラックスのやまとことば候補だ。

やわらぐ / たわらげる、やわらかい、やわらかめる

" リラックスのやまとことば、<ほがらか> " のポストでは、肩こりを<ほぐす>ー><ほがらか>といったようなことを書いたが、凝った肩をやわらかにする、やわらかめる、はリラックスに通じる。

ゆさぶる  振動させる、振 (ふる)わす ゆさぶり

ゆする  振動させる、振 (ふる)わす ゆすり 慣用的な言い方がある。ゆすり、たかり

ゆらぐ  振動する、振 (ふる) える  ゆらぎ

ゆらす  振動させる、振 (ふる)わす ゆらし

ゆれる   振動する、振 (ふる) える  ゆれ

マッサージ機は主に振動の機能を利用している。

ゆるがす  振動させる、振動させて倒す  ゆるがし 慣用的な言い方がある。ゆるがしにできない

ゆるぐ   ゆるくなる、ぐらつく、  ゆるぎ  ゆるぎない

よたる (方言か)  - よたよたする

よろける  - よたよたする、よろよろする

よろつく - よろよろする

 

最後の方は<ゆるみ>に起因するよくないことだ。

 

sptt



 

つつむ (包む) 、つつましい、つましい

 

<つつましい>、<つましい>をネットでチェックしてみると

「つつましい」は「他から見て控えめである。慎重である」(広辞苑)の意味、「つましい」は「倹しい/約しい」と書き「質素である。また、生活ぶりが地味である」(同)という意味です。

さらには 

しかし「つつましい」には「ぜいたくでない、質素」という意味もあり、「つましい」と重なる部分も。そのため最近では「つましい」と同義で使われることも多いようです。

 

私、個人的には<つましい>は使ったことがない。<つましい>を耳にしたこともあまりない。<つつましい>も<つつましい生活>といった言い方で、<花子はつつましい性格だ>という言い方はしない、と思う。

したがって、上記の広辞苑の解説は相当<古くなっている>と言えよう。近代だけでも意味の変遷があるのだ。

<つつましい>はいみないようからして動詞<つつむ (包む) >由来だろう。<つつましい>、<つましい>の古語をチェックしてみる。

<つつましい>


学研全訳古語辞典

つつま・し 【慎まし】

形容詞シク活用

活用{(しく)・しから/しく・しかり/し/しき・しかる/しけれ/しかれ}

① 気が引ける。気兼ねされる。遠慮される。

出典大和物語 一四九

「久しく行かざりければ、つつましく立てりけり」

[訳] (女の所へ)長い間行かなかったので、気が引けて(外に)立っていた。

② きまりが悪い。気恥ずかしい。

出典源氏物語 夢浮橋

「幼ければ、ふと言ひ寄らむもつつましけれど」

[訳] 幼いので、突然話しかけることも気恥ずかしいけれど。

 

① 気が引ける。気兼ねされる。遠慮される。

の<気兼ねされる>、<遠慮される>は日本語特有の<気兼ねする>、<遠慮する>の自発表現と言える 。受身ではない。

 

例を見る限り<つつま・し 【慎まし】>は

「他から見て控えめである。慎重である」でも「質素である。また、生活ぶりが地味である」でもない。

「他から見て控えめである。慎重である」は

気兼ねする、遠慮する

に近い。 「質素である。また、生活ぶりが地味である」の意味は全くない、といっていい。したがって、広辞苑のやや古い解説と合わせて、この意味を持つようになったのははかなり最近のことだろう。

 

<つましい> 

 <つましい> は古語にない。ネットでチェックしてみると


https://e-kotobano.com/9205/

「つま」は「端」や「爪」と語源が同じで、指先ほどのわずかなものを指します。「つまむ」も少量を食べる/取る」という意味ですが、これも同じですね。つまり、「つましい」は、わずかなものを大切に節約して生活する倹約生活のことなんです。

 

<つましい生活>、<生活がつましい>は最近ほとんど聞かない。死語になりつつあるのだろう。またやや貧乏臭 (くさ) いところ、ネガティブなところがある。一方<つつましい生活>、<生活がつつましい>は使われており、こちらの方は特に貧乏臭 (くさ) いところはない。むしろ積極的、ポジティブなところがある。これが<つつましい>は優勢になった理由だろう。

 

sptt

 




Sunday, April 19, 2026

<ゆかしい>、<おくゆかしい>


<ゆかしい>は今は使い方がわからなくなっているためか、ほとんど聞かない、使わない。<おくゆかしい> は人の形容として

言動が控 (ひか) えめな

の意で使われる。基本的にはいい意味で使われる。<ゆかしい>も<おくゆかしい>も残したいいいやまとことばだ。英語では、humble、reserved という形容詞がある。

<ゆかしい>、<おくゆかしい>の語源をチェックしてみたが、なかなかおもしろい。

古語の<ゆかしい>に<言動が控 (ひか) えめな>の意はない。

小学館 全文全訳古語辞典

ゆか・し

〔形容詞シク活用〕 [類義語]なつかし・こころにくし ⇒ ゆかしがる

動詞「行く」の形容詞化した語。そちらの方へ行ってみたくなるほど興味がひかれる、がもとの意。そこから、知りたい見たいなつかしい恋しい、などの意が生まれる。

❶興味・関心をひかれる様子。知りたい。見たい。聞きたい。

「忍びて寄する車どものゆかしを」〈徒然草・137〉

目立たぬようにやってくる牛車(ぎつしや)が(誰の牛車かと)知りたいのを。

❷なつかしい。恋しい。慕わしい。

「昔の名残(なごり)も、さすがゆかして」〈平家・6・小督〉

昔の出来事の思い出も、なんといってもやはり懐かしくて。

で語源は字面からくる意味<行 (ゆ) かし>、<行きたい>ー><行ってみたくなるほど興味がひかれる>なのだ。英語で attractive という形容詞がある。主に魅力的な女性の形容で使われる。とりたてて美人でなくてもいいところがミソだ。

一方<おくゆかしい>は


学研全訳古語辞典

おく-ゆか・し 【奥床し】

形容詞シク活用

活用{(しく)・しから/しく・しかり/し/しき・しかる/しけれ/しかれ}

① もっとよく知りたい、見たい、聞きたい。

出典大鏡 序

「いつしか聞かまほしく、おくゆかしき心地するに」

[訳] 早く聞きたく、もっとよく知りたい気がするときに。

② 洗練されていて上品だ。深い心遣いが感じられて心引かれる。

出典源氏物語 賢木

「なかなかなまめかしうおくゆかしう思ひやられ給(たま)ふ」

[訳] かえって優美で洗練されていて上品に自然と推察されなさるのである。◇「おくゆかしう」はウ音便。

参考

「ゆかし」が、知りたい・見たい・聞きたいの意味を持つところから、①の意味が導かれる。

 

で、これまたすぐには<言動が控 (ひか) えめな>の意味はない。

① もっとよく知りたい、見たい、聞きたい。

は主観的な感情

② 洗練されていて上品だ。深い心遣いが感じられて心引かれる。

の前半<洗練されていて上品だ>は第三者の形容。後半の<深い心遣いが感じられて心引かれる>は主観的な感情で ① と同じだ。 おそらく洗練されていて上品だ>は意訳に近い。これは、英語で言えば、refined, noble で humble、reserved とは違う。
 
<言動が控 (ひか) えめな>の意味への変化は、おそらく
 
① もっとよく知りたい、見たい、聞きたい。

② 深い心遣いが感じられて心引かれる。

は<奥の深い人物>が対象となる。<うすっぺらな人物>は対象にならない。<奥の深い人物>は大体<言動が控 (ひか) えめ>だ。
 
 
ところで前回のポストで<ゆとり>をとりあげたが、<おくゆかしい>人には<ゆとり>が感じられないだろうか? また<ゆったりした>感じもある。いづれも<<ゆ>がつくことばだ。

 
関連するやまとことばとしては<つつましい>があるが、これは動詞<包む>由来だろう。
 
 
 
sptt


 

Saturday, April 18, 2026

<ゆとり>について

 

<ゆとり>はやまとことばらしい言葉だ。 

デジタル大辞泉


物事に余裕があり窮屈でないこと。余裕。「経済的にゆとりがない」「心にゆとりを持つ」

 ”

関連語としては、擬態語みたいだが<ゆったり>がある。語源ではなさそうだが古語に<ゆたけし>というのがある。

 ①(空間的に)ゆったりとしている。広々としている。

②(気持ち・態度などに)ゆとりがある。おおらかだ。

 ③(勢いなどが)盛大だ。

<末尾>参照

 <ゆたけし>が<ゆったり>という語を生み、これが<ゆとり>になったのではないか?

 

<末尾>

学研全訳古語辞典

ゆた-け・し 【豊けし】

形容詞ク活用

活用{(く)・から/く・かり/し/き・かる/けれ/かれ}

①(空間的に)ゆったりとしている。広々としている。

出典万葉集 四三六二

「海原のゆたけき見つつ」

[訳] 海原が広々としているのを見ながら

②(気持ち・態度などに)ゆとりがある。おおらかだ。

出典万葉集 一六一五

「ゆたけき君を思ふこのごろ」

[訳] おおらかなあなたを思うこのごろ。

③(勢いなどが)盛大だ。

出典源氏物語 若菜上

「最勝王経・金剛般若(はんにや)・寿命(ずみやう)経など、いとゆたけき御祈りなり」

[訳] 最勝王経・金剛般若経・寿命経など、たいそう盛大な御祈禱(きとう)である。

 

sptt

<間、ま>について

 

<間、ま>はやまととばでの重要語の一つだ。ほとんど無意識で<間>を日常使っている<間>が使われている語、慣用語、慣用表現を並べてみる。


間合い  剣道では重要こと。間合いを計(はか) る。
間がある  バスがくるまでにはまだ間がある。
間がない  xxする間がない
間が持たない
間が悪い
間ぢか 間近   試験が間近に迫っている(時間)。間近で見る(空間)
間抜け  前回のポスト ": <バカ>と<間抜け>の語源 " で 詳しく検討した。

間のびする
間もなく

間をあける 間を空ける
間を入れる
間を置く
間をつめる  間を詰める  あいだを詰める  <あいだ>はいかにもやまとことばらしい。
間をとる   休む(時間)ほぼ<間を置く>と同じ。<間を取って置く>。空間を空ける <間を詰める、あいだを詰める>の反義語だ。
間を持たせる 


あい間  <合い間>ではなく<空 (あ) い間>。この意味での<空き間>はあまり聞かない。<空き間>は普通<空いている部屋>。

い間  居間  この<間>も部屋の意味だ。
いとま ひま 暇
日本語の「ひま」はヒ(物の割れ目)+マ(間)で、「空間的な狭い割れ目・隙間、転じて、時間的・心理的な割れ目」の意。 「いとま」はイト(休みの時)+マ(間)で、「仕事を休んでいる時」の意という(『岩波古語辞典』)。

貸し間
すき間、隙間
つかの間 束の間
なかま 仲間  <仲間>の語源はややこしい。
はざま 狭間
ひと間、ふた間  六畳ひと間の部屋、六畳と四畳半のふた間ある。<間>は部屋をかぞえる数詞とも言える。
またたく間 瞬く間

時間関係の語が多いが空間関係の語もある。

時間関係の語では<何もしない時間>、<時間の経過>の意が多い。英語では idling time、passing time、timing 間が悪い

死語になっているようだが、私が子供のころは<タンマ>という語が使われていた、今は<タイム (をとる) >のようだ。<タンマ>は 耳で聞いた Time Out (タイム アウト ー> タムア ー> タンマ) か?

空間関係の語  英語では space、vacant space、room

間近で見る(空間)
<空き間> 空いている部屋。
居間
貸し間
すき間 隙間
はざ間 狭間
ひと間、ふた間  中国語でも部屋 (房) は<间>でかぞえる。一间房。

間を詰める  あいだを詰める

 

<間>関連のやまとことばでは、

あき、空き
ゆとり

room には<部屋>以外にこのような意味もある。


sptt

 

 

 

Thursday, April 16, 2026

<バカ>と<間抜け>の語源

 

日本語の代表的な罵倒語は<バカ>で、<間抜け>は二番目か。関西では<アホ>が一番か。<バカ>は漢字表記で<馬鹿>となるがこれは当て字で馬も鹿も関係ない。だが中国語系にBaidu Wiki には

中国の『 史記 』における 趙高 の「 指鹿為馬 」の故事に由来し、

という解説がある。 現代の中国式の罵倒語は<馬鹿野郎>(bakayarou) で日本人が出てくるドラマではこの<bakayarou>が時々出てくる。

日本語野 Wikiでは


広辞苑によると、古くは僧侶隠語であったものとされており、おそらく梵語サンスクリット語)のmoha(「無知」という意味の語)から転じた語だとされているが、その他にも様々な説がある(語源を参照)。

:"

とある。中国語の<指鹿為馬>は>は 、 <鹿>は で 音韻では<baka>とまったく関係ない。<馬鹿>を音読みすると<マロク>(鹿鳴館、ロクメイカン) 、訓読みすると<うましか> で、昔は、<ゥましか><ㇺましか>で ー><まか、maka>ー><バカ>になるのは否定できない。上のサンスクリット語 moha ば baka になったのと大した違いはない。

一方<間抜け>の語源はどうか? これはおもしろい。 一般的な説は、ネット上で

https://karens8.com/manuke/

間抜け】の語源についてご紹介します。つぎのとおりです。

  • 『間抜け』は、『間ガ抜ケル』から用いられるようになったもので、原義は、拍子が抜ける、調子が外れることをいう。
    そこから、手抜かりがある意を表すようになった。

    (出典:語源辞典形容詞編)
  • 『間』は、芝居や音楽での拍子や調子といった意味。
    この間が抜けると芝居の雰囲気がくずれ、音楽も変な調子になってしまう。

    そこから、動作や会話などにおいて他人と歩調が合わず、テンポの狂ってしまう人を、ぼんやり者、うすのろという意味で『間抜け』といった
    (出典:語源ものしり辞典)
これからすると、芝居や音楽で拍子>や<調子>を<間>といい、この<>が<抜けている>ことから、<間抜け>が現代の意味の<動作や会話などにおいて他人と歩調が合わず、テンポの狂ってしまう人>、<ぼんやり者>、<うすのろ>さらには<バカ者>となったことになる。細かいことを言えば<テンポの狂ってしまう人>ではなく<テンポを狂わせてしまう人>だろう。
 
意味の変遷経緯をもう少し考えてみると、 
 
1)芝居や音楽に限って言えば
 
芝居や音楽で、拍子や調子、すなわち<間>が<抜ける>ことを指すのだが、元来<>自体<空間>、あるいは<時空間>の意味で、時間についていえば、使用されていない時間
が<>だ。言い換えると、空いた時間、空 (あ) い間 (この意味での<空き間>はあまり聞かない)。
 
さらに少し考えてみると、使用されていない時間、すなわち<空いた時間> が<抜けても>たいしたことはないはずだ。
 
2)ところが 芝居や音楽で、使用されていない時間、すなわち<空いた時間>、さらにすなわち<間>は重要なのだ。芝居や音楽の良い効果を高めるために意図的に<間>を置くのだ。
 
3)2)の意味が芝居や音楽以外に拡張されると、一般的に、言動において、使用されていない時間、空いた時間>、<間>は重要なのだ。ここが <間抜けの語源>のポイント。
 
4)絵画では、時間が止まっているので、<間>は使用されていない場所になる。中国絵画では、昔から<虚実の妙>というのがあって、<虚 >は<間>に相当する。
 
 
sptt
 
 

Friday, April 10, 2026

立ち入る、立ち入り禁止

 子供のころ<立ち入り禁止> と書かれている場所で、友達と<立って入るのがダメなら、かがんで入ればいいのか?>といったような論議をした記憶がある。

<立ち入り禁止>は英語で言えば <No entry without permission> が一例。

また<立ち行ったことを聞くようですが> といった言い方もある。これは<できれば、聞きたいのですが>と相手の許可、了解が前提となっているようでもある。

この<立ち入り>の<立つ> には他<立つ、to stand up>の意味はほとんどない。<立つ>の複合動詞<立ちxx>を調べてみると

<立ちxx>

立ち合う 慣用表現
立ち上がる ー 立ち上げる 慣用表現
立ち行く   立ち行かない 慣用表現
立ち入る 慣用表現
立ち行 (おこな) う    <する>、<行う>の改まった言い方。
立ち遅れる  慣用表現

立ち返る 慣用表現  
立ち消える   立ち消え  慣用表現   
たちくらむ   
立ち込める   霧が立ち込める  

立ち去る 慣用表現   とっとと、ここから立ち去れ!
立ちすくむ   
立ち止まる   

立ち直る - 立て直す
立ち並ぶ   家がが立ち並ぶ
立ちのく  慣用表現
立ちのぼる

立ちはだかる
(たちふるまう) 立ちふるまい

立ち回る  慣用表現 うまく立ち回る
立ち向かう

 

以上の例からは、いくつか大雑把に見て共通している意味のものがある。

立ち合う    参加する
立ち行く   立ち行かない ー> うまく行かない、適切な言動がとれない
立ち行 (おこな) う    <する>、<行う>の改まった言い方。
立ち遅れる   行動をとるのが遅れる
立ち去る   <去る>行動をとる
立ち止まる  <止まる>行動をとる
(たちふるまう) 立ちふるまい   行動する
立ち回る   うまく動く、行動する
立ち向かう  <相手に向かう、対抗する>行動をとる  

共通している意味は<行う、行動する>といえる。

 

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