Thursday, March 12, 2026

気にxx、気をxx、気がxx

 

前々回のポスト

<お目にかかる>と<お目にかける> 

の最後野方で<追記>として

<目>は具体的、身体の一部で<目に見える> が、<気>は抽象的で目に見えない。

として

気+に xx (動詞)
気+を xx (動詞)

という言い方をチェックしてみたが

目+に xx (動詞)
目+を xx (動詞)

という言い方に比べてはるかに多い。おもしろい慣用表現も多い。 このポストでは、さらに

気+が xx (形容詞 (一部形容動詞) 、動詞) 

を加えて総合的にチェックしてみることにした。 やまとことばのおもしろい慣用表現の宝庫とも言える。

 
<気+にxx(動詞)>という言い方

気に入 (い) る

気にかかる 
気にける   気にない
気に食 (く) う   気に食わない
気に障 (さわ) る
気にする    気にしない
気に沿 (そ) う   気に沿わない 
気に留 (と) める  ー <心に留 (と) める>という言い方もある 
気になる   気にならない
 気に病 (や) む 

上記の否定な言い方は肯定よりも使用頻度が高いだろう。

<気+をxx(動詞)>という言い方


気を入れる  気合を入れる
気を入れ直す ー 心を入れ直す
気を失う
気をきかす (利かす)
気を配 (くば) る  気配り ー 心配り
( 気を込める) ー 心を込める
気を静 (しず) める
気をそぐ
気をそらす
気を散らす
気をつける
気を取り直す
気を抜く
気を吐く
気を晴らす
気を引き締 (し) める
気を引く
気を紛 (まぎ) らわす
気を回 (まわ) す
気を揉 (も) む
気を休める ー 心を休める
気を許 (ゆる) す  油断する ー 心を許 (ゆる) す
気をゆるめる
気を悪くする

動詞は他動詞だ。いくつかは<気>を<心>で入れ替えられるが、意味が違ってくる。また<心>の方はシリアスになるようだ。

<気+がxx>という言い方

<気+がxx (形容詞、一部形容動詞)

気が荒い ー 気がおだやかだ (形容動詞)
気がある ー 気がない  太郎は花子に気があるようだ。太郎はとんとその気がない。
気が大きい ー 気が小さい
気が多い

fickle {adj.} 気が多い (also: 変わりやすい, 気まぐれな, 浮気, 浮薄, 飽きっぽい, 飽き易い, 儚い, 気紛れな, 気まぐれな) ...

気がおおらかだ (形容動詞)  心がおおらかだ

気がおかしい 
気が重い ー 気が軽い
気がきつい  ー 気がやさしい、気がおだやかだ (形容動詞)
気が強い ー 気が弱い
気が遠くなる
気が長い ー 気が短い
気が広い ー 気が狭 (せま) い   心が広い ー 心が狭い
(気が難 (むずか) しい) 気難しい
気がやさしい
気がよい


<気+がxx(動詞)>


気が合う
気が荒れる
気が浮 (う) く   浮気 (うわき)
気が落ち着く
気がきく  ー 気がきかない
気が気でない
気が狂 (くる) う
気が騒 (さわ) ぐ
気が沈 (しず) む
気が静 (しず) まる
(気がすぐれる)  ー 気がすぐれない
気がすさぶ
気が済 (す) む ー 気が済まない
気が進む ー 気が進まない
気が削 (そ) がれる
気がつく
気が咎 (とが) める  心が咎める
気がなごむ
気が晴れる ー 気がくもる
気が触 (ふ) れ合う   心が触れ合う 
気がふれる
気がまぎれる   心がまぎれる
気がまわる  ー 気がまわらない   そこまでは気がまわらない
気がめいる (滅入る)
気が向く
気が休まる   心が休まる  
気がゆるむ


動詞は自動詞または他動詞の受身だ。以上は主に心理、感情表現だが、<気+が+自動詞>に心理、感情の慣用表現が多いのは<やまとことば>の特徴といっていい。

 

ところで<気>に相当する英語はなにか?

 dictionary.cambridge

簡単には

気 ; 心の働き, 精神. spirit · mind , heart. 気を失う to lose consciousness. やる気を出す to feel motivated ; 気持ち, 感情. intention · mood. 気が変わる to change ...

 <心>は ほぼ = heart 

<精神>はやまとことばではないが. まあ = spirit   spirit はラテン語ゆらいの英語だ。

とすると 

気 = mind  mind は純英語。heart も純英語。

逆に mind の日本語訳は

 dictionary.cambridge

簡単には

MIND翻譯:(意識、感情、記憶をつかさどる)心、精神, ~を嫌だと思う, ~を気にする, ~に気をつける, 頭(あたま), 知能(ちのう)

これだと

mind = (意識、感情、記憶をつかさどる)心、精神

で心 (heart) 、精神 (spirit) になってしまって説明にならない。

<気>は、上で取り上がた<気にxx、気をxx、気がxx>の数多くの例から、大雑把 (おおざっぱ) には

心理、感情の状態と言える。一部は人の性格。

さてまた、 上で取りあげた<気にxx、気をxx、気がxx>は慣用表現で、いわばセットフレーズだ。言い換えると、元の言葉の意味からズレて居るものが少なくない。ここでは

<気+がxx (形容詞、一部形容動詞)>をとりあげる。

気が荒い ー 気がおだやかだ (形容動詞)

荒い rough, wild

おだやかな / だ   mild, gentle, calm

The mind, the pessonal character is rough  / mild, gentle, calm.

これらは元の言葉の意味からズレていない。


気がある ー 気がない  太郎は花子に気があるようだ。太郎はとんとその気がない。 

これは慣用表現だ。

太郎は花子に気があるようだ。 Taro seems to have a mind to Hanako.

太郎はとんとその気がない。 Taro does not seem to  be willing to do so. 

xxする気がある:to have an intention to do xx

気が大きい ー 気が小さい

気が大きい broad-minded, generous だが

馬券が連続して三度も的中しなので、気が大きくなっている。というい方がある。 

怖いもの知らず  reckless

<気が小さい>は慣用表現と言えよう。  timid  おくびょうな

気が多い  fickle,to show interest in too many things

気がおおらかだ (形容動詞)  心がおおらかだ

having a generous mind, big‐hearted.

気がおかしい   crazy


気が重い ー 気が軽い

気が重い   to be depressed、in low spirits, sluggish

気が軽い  in high spirits ではない。

<気が軽くなる>は to feel (become) relieved で、<気が軽い>は<気が軽くなった>状態なので、同じく to feel relieved でいいだろう。


気がきつい  the mind is tough, tough-minded  ー 気がやさしい 、気がおだやかだ (形容動詞)  be kind, generous
 

気が強い ー 気が弱い

気が強い ー to have a strong mind, brave;  勝気 (かちき) な

気が弱い = <気が小さい>timid おくびょうな;  introvert (内気な)

気が遠くなる  身体的には<気を失う> to faint, to lose consciousness, to pass away

慣用表現では

気が遠くなる話だ。a far away story, a story going far away

気が長い patient  ー 気が短い  inpatient
気が広い ー 気が狭 (せま) い  心が広い  ー  心が狭い   broad minded ― narrow minded

(気が難 (むずか) しい) 気難しい     to be difficult to please, bad-tempered

気がやさしい   having a generous mind, having a kind mind

気がよい   to be good-natured, be of good-nature 

 

追加

気が細い ー 気が太い

という言い方はありそうだが、

気が小さい ー 気が大きい
気が弱い ー 気が強い 

という言い方が普通だ。なんでもある、というわけではない・

ありそうでないのは

気が細い (fine) ー 気が太い (bold)

lazy              hard working

気がなまける    気がよく働く

clean                  dirty

気がきれい、清 (きよ) い    気がきたない、よごれている

clever, bright     stupid

気がかしこい    気が愚かだ、バカだ

sweet            bitter

気が甘い      気が苦 (にが) い

lucky                   unlucky

気がついている、運がいい   気がついていない、運がわるい 

good                         bad

気がいい、良い (慣用表現あり)     気が悪い

happy                unhappy

 

 


 




Wednesday, March 11, 2026

<シェアーする>のやまとことば

 

 コンピュータとスマホの普及で、ある資料、写真を、もっと一般的に言えば<情報、データ>を特定の相手に、あるいは不特定の<パブリック>に転送する、<シェアーする>機会は多い。<シェアーする>のやまとことばは何か?

<シェアーする>に最も近いのは漢語の<共有する>だろう。<シェアーする>の代わりに<共有する>を使う場合もある。ポイントは<シェアーする>、<共有する>が自分自身が含まれることだ。そしてたいていは自分自身が<シェアーする>、<シェアーという行為をする>主体、発信人になる。

ラジオ、テレビ、新聞のマスメディアの報道は<情報、データ>を主に不特定の<パブリック>に転送することで、<共有する>ことになるが<シェアーする>、<共有する>とはあまり言わない。<一方的に与える>感じが強い。<一方的に与える>は<シェアーする>にならない。

さて<シェアーする>、<共有する>のやまとことばは何か?

<共有する>の直訳は to have together だが、これは<シェアーする>にならない。

やまとことばに<くばる、配る>というのがある。

古いは話になり、想像を含むが、戦後まもなく物資の<配給>というのがあった。原意は<配り与える>だろう。無償とは限らなかった。物資の量が限られていたので皆に渡るように<分配>、<配分>した。<配給>、<分配>、<配分>は<シェアーする>に近い。

<配給>は<配 (くば) り与える>、<分配>は<分け配 (くば) る>、<配分>は<配 (くば) り分ける>だが <配給>、<分配>、<配分>と漢語が優勢だ。

やまとことばの<くばる、配る>には

気を配 (くば) る、目を配 (くば) る

というやまとことば的な言い方がある。 

一方<わける、分ける>もやまとことば的で

<分ける>は<わかる>に通じる。だが<分ける>は<分別する>の意が強く、<配る>、<与える>の意が薄い。したがって<分ける>だけでは<シェアーする>の意にならない。

分 (わ) け合う

という言い方がる。

<合う>には配る>、<与える>の意がないが、<分け合う>とするとなぜか配る>、<与える>の意が出てくる。

また、少しあらたった言い方だが

分 (わ) かち合う

という言い方がある。<分 (わ) かつ>は<分ける>の兄弟 (姉妹) 語だ。


<シェアーする>のやまとことばとしては

分 (わ) け合う
分 (わ) かち合う 

が有力候補だ。

 

sptt

 

 


 

 

 

 

Monday, March 9, 2026

<お目にかかる>と<お目にかける>

 

 <お目にかかる>も<お目にかける>慣用的な言い方で、また<目>の前に<お>がありa相手に対する尊敬を表わす言い方 (敬語) だ。

お目にかかる ー お会いする
お目にかける ー お見せする

別のポスト

<見かける>と<見せかける> (sptt Notes on Grammar の方)

で<見かける> については文法中心に検討した、ここでは <お目にかかる>と<お目にかける>、さらには<目にxx>、<目をxx>という言い方をチェックしてみる。文法事項は少なく、やまとことばの慣用的な言い方なので、こちらブログ (やまとことばじてん) の方で書くことにした。

<目にxx>という言い方。アイウエオ順。

目に映 (うつ) る 、目に沁 (し) みる

は一般的な言い方で慣用用法ではない。慣用用法は多い。それこそ<目は口ほどにモノを言い>だ。

目にあまる
目に入 (い) れる
目に浮 (う) かぶ
目に映 (うつ)る

目にかかる   <お目にかかる>とは違う。<目にかかる>はすでに古語のようだ。昔は<目にとまる>、<目につく>の意で使われたようだ。

目にかける   これも<お目にかける>とは違う。<目にかける>は<目をかける>とも言い、<目上の者が、目下の者に対して)好意的に対応する>、<めんどうを見れやる>。

目にする
目につく
目にしみる
目にとまる (止まる)  目にもとまらぬ速い技  <目にとめる>はあまり聞かない。
目になじむ
目に入 (はい) る
目に触 (ふ) れる
目に焼きつく、目に焼きつける

<目にする>、<目に入る>、<目に触れる>は<見かける>の意に近い。

 

<目をxx>という言い方。アイウエオ順。 

目を開 (あ) ける、目を覆 (おお) う、目をさます 目をしばたく、目をつむる、目を閉 (と) じる、目を伏 (ふ) せる

は一般的な言い方で慣用用法ではない。 慣用用法としては
 

目を移 (うつ)す
目をかける  <目にかける>がある。
目をくれる
目をそむける
目をそらす
目をつける
目を通す
目を止める  <目に止める>がある。
目を離 (はな) す
目を引く
目を伏 (ふ) せる
目を回す   目が回る
目を丸くする
目を見はる
目をむく
目をやる (遣る)
 

目を覆いたくなる
目を伏せたくなる

は慣用用法とも言える。

 

 追記

<目>は具体的、身体の一部で<目に見える> が、<気>は抽象的で目に見えない。

別のポスト ”<気は心>か?-2 ” から
 
気+に

気に入 (い) る
気に掛ける
気に障 (さわ) る
気に留 (と) める - 心に留める
気になる
気に病 (や) む 

今回追加
 
気にかかる
気に食 (く) う   気に食わない
気にする
気に沿 (そ) う   気に沿わない
 

気+を
気を入れる、気合を入れる
気を失う
( 気を込める) ー 心を込める
気をつける
気を留 (と) める
気を晴らす
気を引く
気を回 (まわ) す
気を向ける
気を揉 (も) む
気を休める ー 心を休める
気を許 (ゆる) す 、油断する
 
今回追加
 
気を配 (くば) る   ー これはおもしろい表現なので別途検討予定。
を静 (しず) める
気をそぐ
気をそらす
気を取り直す
気を散らす 
気を抜く
気を吐く
気を引き締 (し) める
気を紛 (まぎ) らわす


まだまだありそう。
 
 
sptt 

Saturday, March 7, 2026

<見かけ>と<見せかけ>

 

 少し前のポスト<見栄 (みえ) 、見ばえと面子>の続編。

<見かけ>は<見かける>、<見せかけ>は<見せかける>由来。動詞連用形の体言 (名詞) 用法。

 <見かけ>は<見かける>由来だが意味はズレている。

<見かける>は

最近パチンコ屋でよく太郎をよく見かける。
きのう近所のスーパーで花子を見かけた。

意味としては<目にする>で、<見ようとして見る、見た>ではない。

この<見かける>から<見かけ>は出てこない。

見かけはいいが中身 (なかみ) はダメだ。
見かけはいいが味 (あじ) がない。 比喩的にも使う。
実績を見ると、太郎が示した計画は見かけ倒しだ。 

一番目、二番目は<見た目 (みため) >や<見ばえ>でもいい。

見た目 (見ばえ) はいいが中身はダメだ。
見た目 (見ばえ) はいいが味がない。

大体否定的、negative な意味での使われ方だ。だが

見かけによらず、からだは丈夫だ。
見かけによらず、大金持ちだ。

は否定的な意味での使われ方とは言えない。

<見かけ>は<見かける>由来だが意味はズレている。

と上で書いたが、このズレはどこからきたのか?

<かけら> という言葉がる。全体から取れた、落ちた、離れた一片のことだ。この<かけら>は<欠ける>と関係があるようだ。全体から見れば<欠けた>部分が<かけら>とも言える。 <見かけ>の<かけ>は<かけら>の<かけ>が連想される。

 

<見せかけ>

一方<見せかけ>は<見せかける> の意が大いに残っている。意図的に<xxのように見せる>で<見せる>の意がある。英語は、to see、to look (at) とは関係のない to show だ。showy とう形容詞があり、<派手な>、<けばけばしい>、<これ見よがしな>といった意味だ。

<xxのように見せる>意図が強いと政治ではプロパガンダになる。

あの国の公表GDPは見せかけで、実体、実際とはかけ離れている。

などと使う。面子も<見せかけ>と大いに関係がる。

 

 sptt

 

 

 

 

 

Tuesday, February 17, 2026

<なじむ>と<にじむ>

 

<なじむ>と<にじむ>は語感が似ているが意味は大いに異なる。<馴染む>、<滲む>と書いてしまうと全く別の言葉に見える。意味を考えてみる。

なじむ:少しずつ慣れてくる / いく

にじむ :少しずつ色が染 (し) みてくる / いく  <にじむ>と<しみる>も語感が似ている。

<少しずつ>は<じわじわ>で置き換えられ。<じわじわ>も<なむ>、<にむ>の<じ>を介して語感が似ている。

これらはやまとことばの大きなな特徴だ。 


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Monday, February 16, 2026

見栄 (みえ) 、見ばえと面子

 

<見栄>は当て字で<見え>の意でやまとことば。<見え>は語源的には<見えること>、<見える様子>。場合によっては、<見え=見ばえ>になるか。<見ばえがいい>という言い方があるが、<見ばえ>自体に<はえる>の意があり、ややおかしい。<見栄 (ば) えがする>は問におない。

<見えを張る>という言い方があるが、他人の目を意識した<自分の姿、見た目、外見>をよく見せようと努力することだ。女性の化粧は<自分の姿、見た目、外見>をよく見せようとすることだが、<見えを張る>とは言わない。<見えを張る>の<張る>は<無理をしてxxする>で、ある種の緊張感がある。<見えを張る>は無理して<自分の姿、見た目、外見>をよく見せようとすることと言える。

一方中国には<面子 (メンツ) >という言葉がる。中国の<面子>は日常生活、社会生活で活躍する。ほぼ同じような意味で日本語にもなっている。面子を立てる、面子が立たない。

面子を立てる:世間、他人から非難されないようにする。
面子が立たない:世間、人様 (ひとさま) に見せる顔がない。

<面目 (メンモク、メンボク) ない>という言い方があるが、これも<世間、人様 (ひとさま) に見せる顔がない>の意だ。<恥 (はじ) >に通じるものがあるが、ここでは深入りしない。

<虚栄>も中国語。<栄>の字を<見栄 (みえ) >とか<見栄(みば) え>に流用しているのは<虚栄>が関連しているためだろう。<虚栄>は<栄>が<虚>で否定されている。


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Saturday, February 14, 2026

穴埋めする

 

<穴埋めする>は比喩 (ひゆ) 的に使われる。対応するのは<穴をあける>、<穴があく>で、失敗する、損失を出すの意。<穴埋めする>は失敗、損失を取り戻す。一方<穴をふさぐ>は意味が違い、主に物理的に開いた穴から出てくるモノ (水、空気) を止めることだ。<口をふさぐ>をは口から出てくる言葉を止めることだ。

 漢語では<弁償 (べんしょう) する>というのがある。

<償う>は<つぐなう>と読むやまとことば。<罪のつぐない>と言うとシリアスになる。<罪の穴埋めをする>はダメだろう。英語は to compensate。

 

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