Friday, May 8, 2026

<余り>と<残り>、<わび>と<さび>

 

前回のポスト

<ゆとり>と<あせり>、<余り>と<残り>

で、<余り>と<残り>をいろいろ考察してみたが、なかなか面白い。おそらく結論は出ないだろう。これとは別にたまたま<わび>、<さび>を再々検討していたところ、

<わび>、<さび>の最新英語版AI 辞典で

AI Overview
 
Wabi-sabi is a Japanese aesthetic and philosophical worldview centered on finding beauty in imperfection, impermanence, and incompleteness. Rooted in Zen Buddhism, it celebrates natural, weathered, and simple objects, promoting acceptance of the inevitable cycle of growth and decay. This mindset encourages authenticity over perfection, valuing character and history in everyday items.
 
Key Aspects of Wabi-Sabi:
  • Embracing Imperfection: Valuing the flawed, rustic, or aged (e.g., chipped pottery, weathered wood).
  • Appreciating Impermanence: Accepting that all things are fleeting, changing, and temporary.
  • Simplicity and Nature: Focusing on natural materials, textures, and subtle, muted colors rather than opulence.
  • The Three Core Truths: According to the The Conversation, it is based on the ideas that things are flawed, things change, and things are never fully finished.

以下略 

という解説が出てきた。 
Impermanence = 非永久性、一時性

下線部(sptt)は私にとっては新知識。Wikiにもあったてみたとことろ

Wiki

わび侘びとも)とは、辞典の定義によれば、「貧粗・不足のなかに心の充足をみいだそうとする意識」を言い、動詞「わぶ」の名詞形である。「わぶ」には、「気落ちする」「迷惑がる」「心細く思う」「おちぶれた生活を送る」「閑寂を楽しむ」「困って嘆願する」「あやまる」「・・・しあぐむ」といった意味がある。

本来、侘とは厭う(いとう)べき心身の状態を表すことばだったが、中世に近づくにつれて、いとうべき不十分なあり方に美が見出されるようになり、不足の美を表現する新しい美意識へと変化していった。室町時代後期には茶の湯と結び付いて侘の理解は急速に発達し、江戸時代の松尾芭蕉が侘の美を徹底した

 以下略

下線部(sptt)


さび寂び然びとも)は、「閑寂さのなかに、奥深いものや豊かなものがおのずと感じられる美しさを」言い、動詞「さぶ」の名詞形である。

以下略


さび)の方は特に不完全、不十分、不足に関連した解説はない。

 

ーーーーー

前回のポスト

<ゆとり>と<あせり>、<余り>と<残り>

を読み返してみると、<残り>に関連しては不完全、不十分、不足使った説明が多い。


<残り>、remaining はやっかいで

(中略)

言い換えると<未達>、あるいは<不十分>を表している。背後に<未達>、あるいは<不十分>の意識がある。これも重要なコンセプトだ。<未達>の<未>中国語では重要で、<いまだxxせず>。未完、未熟。<背後に<未達>、あるいは<不十分>の意識がある>と書いたが、ある意味では<達成>、<完了>, の意識があるとも言える。


beauty in imperfection, impermanence, and incompleteness.

Embracing Imperfection:

中世に近づくにつれて、いとうべき不十分なあり方に美が見出されるようになり、不足の美を表現する新しい美意識へと変化していった。

 は難しいところだ。

どう解釈すべきか?

英語に

I miss you.

という言い方がある。I love you. に近い意味だが、遠回しの言い方だ。missing は<欠けている>で

I miss you.

I feel that you.are missing.

と言いかえることができる。簡易ネット英和辞典では

私はあなたがいなくて寂しいです。

という翻訳調の訳がある。

男女関係を忘れて、一般化すると。missing <欠けている>は<わび>に通じるところがある。だがこれを<美>にまで昇華させることができるか?

 

 

 


 sptt

 

 

Friday, April 24, 2026

<ゆとり>と<あせり>、<余り>と<残り>

 

<ゆとり>については、少し前のポスト

 <ゆとり>について

でごく簡単に触れた。


<ゆとり>はやまとことばらしい言葉だ。 

デジタル大辞泉


物事に余裕があり窮屈でないこと。余裕。「経済的にゆとりがない」「心にゆとりを持つ」

 ”

<時間にゆとりがある、ない>もよく使う。「心にゆとりを持つ」とはどういうことか?<ゆとり>のコンセプトは何か?

 ”

物事に余裕があり窮屈でないこと。余裕。

はコンセプトとしては簡単すぎる。<ゆとり>=余裕では言葉の遊びだ。

<ゆとり>の反義語として<あせり>、<せわしい、せわしない>がある。ここでは<あせり>をとりあげる。<ゆとり>と<あせり>のコンセプトとを得るため<余り>と<残り>のコンセプトとを考えてみる。少しよく調べてみたが、<余り>と<残り>の違いはたいそう複雑だ。用例は数が多い方が分析結果が正確になる傾向があるので、できるだけ用例を探してみた。

前段として 

まだはもうなり、もうはまだなり。

をとりあげる。これは主に株式投資家への警句。これは別のところで取り上げたことがある。

株価は<まだ上がる、下がる>と言う、思うが、どっこい。もう上げ終わり、下げ終わりだ。

株価は<もう上がらない、下がらない>と言う、思うが、どっこい、まだ上がる、下がる。

という意味だ。

<まだ上がる、下がる>は言い換えると<まだ上がる、下がる余地がある>。

<もう上がらない、下がらない>は言い換えると<もう上がる、下がる余地がない>。

という意味だ。ここでは<余地> を使っているが、

まだ上がる、下がる<ゆとり>がある

もう上がる、下がる<ゆとり>がない

とは言えるが 

まだ上がる、下がる<余り>がある

もう上がる、下がる<余り>がない

とは言いそうにない。 必ずしも<ゆとり>=<余り>ではないようだ。

<余り>に似て非なる語に<残り>がある。

まだ上がる、下がる<残り>がある

もう上がる、下がる<残り>がない

とも言いそうにない。  だが

まだ上がる、下がる<余地>が残っている

もう上がる、下がる<余地>が残っていない

と言える。<残っている、remains>は<ある、exists>、<残っていない、does not remain>は< (あら) ない、does not exist>で、主要語は<余地>の方だ。

 

<余り>と<残り>の違い

<余り>は英語では excess、<残り>は remaining と言える。

<余り>、 excess は必要以上のモノ、必要以上のモノがある状態。そして背後には<達成している>、<十分以上にある>、<十二分にある>の意識がある。これらは重要なコンセプトだ。

more than needed, necessary   必要以上
more than enough   十分以上

次のような言い方もある。

more than expected  期待以上
more than wanted  欲しい以上
more than required  要求以上

<残り>、remaining はやっかいで

場合によっては

<余り>、 excess と同じくは必要以上のモノ、必要以上のモノがある状態。

<売れ残り>は、必要以上のモノ、必要以上のモノがある状態。

と言えるが、<売り切ること>を<必要なこと>とすれば、<必要以下>で終わる、言い換えると<未達>、あるいは<不十分>を表している。背後に<未達>、あるいは<不十分>の意識がある。これも重要なコンセプトだ。<未達>の<未>中国語では重要で、<いまだxxせず>。未完、未熟。<背後に<未達>、あるいは<不十分>の意識がある>と書いたが、ある意味では<達成>、<完了>, の意識があるとも言える。

<ゆとり>は <余り>、 excess 、すなわち

は必要以上のモノ、必要以上のモノがある状態、<十分以上にある>状態から生まれる。だが

more than needed, necessary   必要以上
more than enough   十分以上
more than expected  期待以上
more than wanted  欲しい以上
more than required  要求以上 

がすぐには<余り>にならない。 ここはややこしいところだ。

必要以上のモノ、必要以上のモノがある状態、<十分以上にある>状態以外に何かがありそう。

<余り>は基本的には

1)<好ましいもの>が対象になる。代表は<お金>。

金に余りがある。金が余っている。金は余るほどある。余るほど金がある。

時間は<好ましいもの>の場合もあるが、基本的にはは中立だ。

時間に余りがある。時間が余っている。時間は余るほどある。余るほど時間がある。

という。必要以上の時間に<ヒマ>がある。

ヒマは余るほどある。

はいいが

ヒマに余りがある。ヒマが余っている。余るほどヒマがある。

はおかしい。 <ヒマ>は<持て余している時間>とも言え、<余る>が重複することになる。

<仕事>も基本的にはは中立だ。

仕事が余っている。

これは、人が足りない、人が十分にいない、ためにこうなるようだが、 普通は

仕事が余っている。

とは言わない。

仕事は十分ある。

<仕事が残っている>は別で仕事の内容が違う。

すべき仕事が残っている。 

<すべき仕事が余っている>はおかしい。

すべき仕事は十分ある。

も何かおかしいが、間違いではないだろう。

(仕事が余っている。)  仕事は十分ある。

仕事が残っている。

では<仕事内容に違いはないか?

仕事が残っている。

の仕事は<すべき仕事>で特定化されている

仕事は十分ある。

の仕事は一般的に人がする仕事。特定化されていないため

一般的に人が足りない状況、人手不足の状況では

仕事は十分ある。さらには

仕事が余っている。仕事は余るほどある。

と言えそうだ。

一般的に人はもう足りている、人は十分いる(達成済み、十分)場合では

仕事は十分ある。仕事が余っている。仕事は余るほどある。

はおかしい。 中立と見える<仕事>でも状況によりけりだ。

 

さて、見方を変えて対象が<好ましいモノ>と<好ましくなモノ>に分けて考えてみる。

金 (カネ)  - 好ましいモノ

時間、仕事 - 中立

機会、チャンスも中立だ。成功するチャンス、失敗するチャンス

成功する、失敗するチャンスが余っている - ダメ

成功する、失敗するチャンスが残っている - OK

好ましいモノ

幸福、しあわせ、成長、発展、進歩、成功

<幸福、しあわせ、成長、発展、進歩、成功>が余っている。

は基本的にダメだ。 

<幸福、しあわせ、成長、発展、進歩、成功>が残っている。

<成長、発展、進歩、成功>が残っている。

はいいが

<幸福、しあわせ>>が残っている。

は何かおかしいが、全くダメだ、というわけではない。

好ましくなモノ

宿題、問題、不幸、失敗、没落、悩み

<宿題、問題、不幸、失敗、没落、悩み>が余っているはダメ。

<宿題、問題、不幸、失敗、没落、悩み>が残っているはOK。

対象が<好ましいモノ>と<好ましくなモノ>の違いによる<余り>と<残り>の使い分けはどうもはっきりしない。<余り>がやっかいだ。

<好ましいモノ>でなおかつ<使う、する予定のないモノ、コト>はどうか?

金 (カネ)、食べ物、文房具、家具、薬 (くすり) 、力、気力、元気

<金 (カネ)、食べ物、文房具、家具、薬 (くすり) 、力、気力、元気>が余っている。

すべてOKだ。

時間、仕事は中立だが<使う、する予定のない>場合は

<時間、仕事>が余っている。

でOKだ。

機会、チャンスも中立だがどうか? <使う、利用する予定のない>場合でも

<機会、チャンス>が余っている。

とは言わない。これは<機会、チャンス>が保存、ためておくことができないためだろう。もっとも時間もためておくことができないが、割り当てることはできる。 時間は特別だ。

以上から<余り>、<あまる>は

1)好ましいモノ、コト

2)使う、する予定のないモノ、コト

3) 保存、ためておくことができるモノ、コト

に限って使える、といえよう。

 

一方<残り>、<残る>はこのような制約はない。

 <宿題、問題、不幸、失敗、没落、悩み>が残っている。 好ましくなモノ、コト

 <金 (カネ)、食べ物、文房具、家具、薬 (くすり) 、力、気力、元気>が残っている。ー

使う、予定があっても、なくても<残っている>が使える。

 <機会、チャンス>が残っている。


<あせり>

一方<あせり>は<残り>、remaining のうち

<未達>は<不十分>と感じる心理状態、未達感、不十分感から生まれる。言い換えると、達成しようとする、十分になろうとする、<残り>、remaining を埋めようとする心理状態から生まれる。 

<ゆとり>も<あせり>も状況や程度による。

ウサギとカメの競争では、ウサギは必要以上に<ゆとり>を持ってしまった。

<急がば回れ>、<急 (せ) いてはことを仕損じる>も状況や程度による。急いで、特に<あせって>やると、ミスが多くなる傾向にはある。

 

<あせり>は動詞<あせる>の連用形の体言 (名詞) 用法。<あせる>は<せく、急く>、<せる、競る>由来だろう。何かに<追われている>感じで<ゆとり>がない。

次の話は上の<まだはもうなり、もうはまだなり>の関連するが、英語で

(The glass is) Half empty.

(The glass is) Half full.

という言い方がある。中立的には

(The glass) Half remains. 

と言えるが、日本語では

半分残っている。

もう半分しか残っていない。(The glass is) already half empty.

まだ半分残っている。(The glass is) still half full.

 これは<残り>のことを言っていて<余り>についてではないようだが、例えば

もう十二分にビールを飲んでいる場合には (達成済み、十分)

まだグラスに半分余っている、と言える。残っている、でもいい。

ビールがまだ飲み足りない場合には  (未達、不十分)

もうグラスに半分しか余っていない。

はダメで

もうグラスに半分しか残っていない。

<もうグラスに半分しか余っていない>に似た表現に

仕事が余っている。 

がある。これも<もうグラスに半分しか余っていない>と同じく、あまり聞かな言い方だ。普通は

人が余っている。

これは、仕事が足りない。 仕事が十分にない、ためだ。 

仕事が余っている。

これは、反対に人が足りない、人が十分にいない、ためにこうなるようだが、

仕事が余っている。

とはいわない。 普通は

仕事は十分ある。

<仕事が余っている>がおかしいのは

もう人は足りている、人は十分いる(達成済み、十分)場合

人は余っている 


<余計 (よけい) >は漢語だが、

余計なことはするな、言うな。

などとしてよく使う。

やまとことばでは

いらぬことはするな、言うな。

で済む。 <いらぬ>は<要 (い) らない>、<必要のない>の意で、上の


<余り>、 excess は必要以上のモノ、必要以上のモノがある状態。言い換えると<達成している>、<十分以上にある>、<十二分にある>を表している。これらは重要なコンセプトだ。

が使えそうだが

<余りな>ことはするな、言うな。

 は聞いたことがない。だが

<達成している>、<十分以上にある>、<十二分にある>のだから、それ以上することはない、という意味にはなる。言い換えると<必要以上のこと>になり、<あまり>は<必要以上のこと>と言えるのだ。それではなぜ

<余りな>ことはするな、言うな。

と言えない、言わないのか? 

中国語で<多管閒事>という四字成語がある。普通は否定命令で使われ

别多管闲事! 余計なことをするな!

余計>は和製漢語のようで単純な<余り>ではなく

余計 ー · 過分,多餘;無用的 · 多餘; 剩餘 · 比平時多; 格外 · 多此一舉; 不必要; 畫蛇添足 · 更加; 格外; 

というのが中国語に解説はネット上にある。不必要、必要以上、行き過ぎ、無用、ムダといった意味だ。


ーーーー

<余り>と<残り>の慣用表現

<余り>

苦情を言っても余りあり (余りがある)   苦情は言い切れない、言い果たせない、山ほどある

あまりない  そう多くはない、そう頻繁ではない、まれだ

あまりにひどい、あまりにもひどい  excessively 

<余す>

余すところなく、すっかり

 

<残り>

残りなく、すっかり

残り物に福あり  余り物に福あり、とは言わない

居残り <ー 居残る

<残す>

言い残す   未達

食べ残す  未達のことだが、量が多過ぎる場合は<食べ余す>と言えそうだ。

やり残す  未達

 


末尾

せく

学研全訳古語辞典

せ・く 【急く・逼く】

[一]自動詞カ行四段活用

活用{か/き/く/く/け/け}

① いそぐ。あわてる。あせる。

出典禁野 狂言

「そなたがその様(やう)におしゃると心がせくによって」

[訳] あなたがそのようにおっしゃると心があせるので。

② いらだつ。嫉妬(しつと)する。

出典出世景清 浄瑠・近松

「はっとせきたる気色(けしき)にて」

[訳] はっといらだったようすで。


[二]他動詞カ行四段活用 (略)
 
 
 
sptt

 


Wednesday, April 22, 2026

<リラックス>のやまとことば - 2 、<ゆるみ>


<リラックスのやまとことば>についてはだいぶ前のポスト

リラックスのやまとことば、<ほがらか>  Sep 8, 2017

で取り上げている。 

最近、" <ゆとり>について " というポストを掻いたが、<リラックス = ゆとり>ではない。<ゆとり>を調べているうちに<リラックス> 、<ゆとり>関連では<ヤ行>の語が多いのを見つけた。

やすむ (休む)  やすまる  やすめる

やすらぐ  やすらぎ

ゆるむ ./ ゆるまる / ゆるめる、ゆるい、ゆるやか、ゆるみ  リラックスのやまとことば候補だ。

ゆっくり  ゆっくりする  これもリラックスのやまとことば候補だ。

やわらぐ / たわらげる、やわらかい、やわらかめる

" リラックスのやまとことば、<ほがらか> " のポストでは、肩こりを<ほぐす>ー><ほがらか>といったようなことを書いたが、凝 (こ) った肩をやわらかにする、やわらかめる、はリラックスに通じる。

ゆさぶる  振動させる、振 (ふる)わす ゆさぶり

ゆする  振動させる、振 (ふる)わす ゆすり 慣用的な言い方がある。ゆすり、たかり

ゆらぐ  振動する、振 (ふる) える  ゆらぎ

ゆらす  振動させる、振 (ふる)わす ゆらし

ゆれる   振動する、振 (ふる) える  ゆれ

マッサージ機は主に振動の機能を利用している。

ゆるがす  振動させる、振動させて倒す  ゆるがし 慣用的な言い方がある。ゆるがしにできない

ゆるぐ   ゆるくなる、ぐらつく、  ゆるぎ  ゆるぎない

よたる (方言か)  - よたよたする

よろける  - よたよたする、よろよろする

よろつく - よろよろする

 

最後の方は<ゆるみ>に起因するよくないことだ。

 

sptt



 

つつむ (包む) 、つつましい、つましい

 

<つつましい>、<つましい>をネットでチェックしてみると

「つつましい」は「他から見て控えめである。慎重である」(広辞苑)の意味、「つましい」は「倹しい/約しい」と書き「質素である。また、生活ぶりが地味である」(同)という意味です。

さらには 

しかし「つつましい」には「ぜいたくでない、質素」という意味もあり、「つましい」と重なる部分も。そのため最近では「つましい」と同義で使われることも多いようです。

 

私、個人的には<つましい>は使ったことがない。<つましい>を耳にしたこともあまりない。<つつましい>も<つつましい生活>といった言い方で、<花子はつつましい性格だ>という言い方はしない、と思う。

したがって、上記の広辞苑の解説は相当<古くなっている>と言えよう。近代だけでも意味の変遷があるのだ。

<つつましい>はいみないようからして動詞<つつむ (包む) >由来だろう。<つつましい>、<つましい>の古語をチェックしてみる。

<つつましい>


学研全訳古語辞典

つつま・し 【慎まし】

形容詞シク活用

活用{(しく)・しから/しく・しかり/し/しき・しかる/しけれ/しかれ}

① 気が引ける。気兼ねされる。遠慮される。

出典大和物語 一四九

「久しく行かざりければ、つつましく立てりけり」

[訳] (女の所へ)長い間行かなかったので、気が引けて(外に)立っていた。

② きまりが悪い。気恥ずかしい。

出典源氏物語 夢浮橋

「幼ければ、ふと言ひ寄らむもつつましけれど」

[訳] 幼いので、突然話しかけることも気恥ずかしいけれど。

 

① 気が引ける。気兼ねされる。遠慮される。

の<気兼ねされる>、<遠慮される>は日本語特有の<気兼ねする>、<遠慮する>の自発表現と言える 。受身ではない。

 

例を見る限り<つつま・し 【慎まし】>は

「他から見て控えめである。慎重である」でも「質素である。また、生活ぶりが地味である」でもない。

「他から見て控えめである。慎重である」は

気兼ねする、遠慮する

に近い。 「質素である。また、生活ぶりが地味である」の意味は全くない、といっていい。したがって、広辞苑のやや古い解説と合わせて、この意味を持つようになったのははかなり最近のことだろう。

 

<つましい> 

 <つましい> は古語にない。ネットでチェックしてみると


https://e-kotobano.com/9205/

「つま」は「端」や「爪」と語源が同じで、指先ほどのわずかなものを指します。「つまむ」も少量を食べる/取る」という意味ですが、これも同じですね。つまり、「つましい」は、わずかなものを大切に節約して生活する倹約生活のことなんです。

 

<つましい生活>、<生活がつましい>は最近ほとんど聞かない。死語になりつつあるのだろう。またやや貧乏臭 (くさ) いところ、ネガティブなところがある。一方<つつましい生活>、<生活がつつましい>は使われており、こちらの方は特に貧乏臭 (くさ) いところはない。むしろ積極的、ポジティブなところがある。これが<つつましい>は優勢になった理由だろう。

 

sptt

 




Sunday, April 19, 2026

<ゆかしい>、<おくゆかしい>


<ゆかしい>は今は使い方がわからなくなっているためか、ほとんど聞かない、使わない。<おくゆかしい> は人の形容として

言動が控 (ひか) えめな

の意で使われる。基本的にはいい意味で使われる。<ゆかしい>も<おくゆかしい>も残したいいいやまとことばだ。英語では、humble、reserved という形容詞がある。

<ゆかしい>、<おくゆかしい>の語源をチェックしてみたが、なかなかおもしろい。

古語の<ゆかしい>に<言動が控 (ひか) えめな>の意はない。

小学館 全文全訳古語辞典

ゆか・し

〔形容詞シク活用〕 [類義語]なつかし・こころにくし ⇒ ゆかしがる

動詞「行く」の形容詞化した語。そちらの方へ行ってみたくなるほど興味がひかれる、がもとの意。そこから、知りたい見たいなつかしい恋しい、などの意が生まれる。

❶興味・関心をひかれる様子。知りたい。見たい。聞きたい。

「忍びて寄する車どものゆかしを」〈徒然草・137〉

目立たぬようにやってくる牛車(ぎつしや)が(誰の牛車かと)知りたいのを。

❷なつかしい。恋しい。慕わしい。

「昔の名残(なごり)も、さすがゆかして」〈平家・6・小督〉

昔の出来事の思い出も、なんといってもやはり懐かしくて。

で語源は字面からくる意味<行 (ゆ) かし>、<行きたい>ー><行ってみたくなるほど興味がひかれる>なのだ。英語で attractive という形容詞がある。主に魅力的な女性の形容で使われる。とりたてて美人でなくてもいいところがミソだ。

一方<おくゆかしい>は


学研全訳古語辞典

おく-ゆか・し 【奥床し】

形容詞シク活用

活用{(しく)・しから/しく・しかり/し/しき・しかる/しけれ/しかれ}

① もっとよく知りたい、見たい、聞きたい。

出典大鏡 序

「いつしか聞かまほしく、おくゆかしき心地するに」

[訳] 早く聞きたく、もっとよく知りたい気がするときに。

② 洗練されていて上品だ。深い心遣いが感じられて心引かれる。

出典源氏物語 賢木

「なかなかなまめかしうおくゆかしう思ひやられ給(たま)ふ」

[訳] かえって優美で洗練されていて上品に自然と推察されなさるのである。◇「おくゆかしう」はウ音便。

参考

「ゆかし」が、知りたい・見たい・聞きたいの意味を持つところから、①の意味が導かれる。

 

で、これまたすぐには<言動が控 (ひか) えめな>の意味はない。

① もっとよく知りたい、見たい、聞きたい。

は主観的な感情

② 洗練されていて上品だ。深い心遣いが感じられて心引かれる。

の前半<洗練されていて上品だ>は第三者の形容。後半の<深い心遣いが感じられて心引かれる>は主観的な感情で ① と同じだ。 おそらく洗練されていて上品だ>は意訳に近い。これは、英語で言えば、refined, noble で humble、reserved とは違う。
 
<言動が控 (ひか) えめな>の意味への変化は、おそらく
 
① もっとよく知りたい、見たい、聞きたい。

② 深い心遣いが感じられて心引かれる。

は<奥の深い人物>が対象となる。<うすっぺらな人物>は対象にならない。<奥の深い人物>は大体<言動が控 (ひか) えめ>だ。
 
 
ところで前回のポストで<ゆとり>をとりあげたが、<おくゆかしい>人には<ゆとり>が感じられないだろうか? また<ゆったりした>感じもある。いづれも<<ゆ>がつくことばだ。

 
関連するやまとことばとしては<つつましい>があるが、これは動詞<包む>由来だろう。
 
 
 
sptt


 

Saturday, April 18, 2026

<ゆとり>について

 

<ゆとり>はやまとことばらしい言葉だ。 

デジタル大辞泉


物事に余裕があり窮屈でないこと。余裕。「経済的にゆとりがない」「心にゆとりを持つ」

 ”

関連語としては、擬態語みたいだが<ゆったり>がある。語源ではなさそうだが古語に<ゆたけし>というのがある。

 ①(空間的に)ゆったりとしている。広々としている。

②(気持ち・態度などに)ゆとりがある。おおらかだ。

 ③(勢いなどが)盛大だ。

<末尾>参照

   <ゆたけし>は<ゆたか (な、だ)>の古語と言っていい。<ゆたけし>が<ゆったり>という語を生み、これが<ゆとり>になったのではないか?

 

<末尾>

学研全訳古語辞典

ゆた-け・し 【豊けし】

形容詞ク活用

活用{(く)・から/く・かり/し/き・かる/けれ/かれ}

①(空間的に)ゆったりとしている。広々としている。

出典万葉集 四三六二

「海原のゆたけき見つつ」

[訳] 海原が広々としているのを見ながら

②(気持ち・態度などに)ゆとりがある。おおらかだ。

出典万葉集 一六一五

「ゆたけき君を思ふこのごろ」

[訳] おおらかなあなたを思うこのごろ。

③(勢いなどが)盛大だ。

出典源氏物語 若菜上

「最勝王経・金剛般若(はんにや)・寿命(ずみやう)経など、いとゆたけき御祈りなり」

[訳] 最勝王経・金剛般若経・寿命経など、たいそう盛大な御祈禱(きとう)である。

 

sptt

<間、ま>について

 

<間、ま>はやまととばでの重要語の一つだ。ほとんど無意識で<間>を日常使っている<間>が使われている語、慣用語、慣用表現を並べてみる。


間合い  剣道では重要こと。間合いを計(はか) る。
間がある  バスがくるまでにはまだ間がある。
間がない  xxする間がない
間が持たない
間が悪い
間ぢか 間近   試験が間近に迫っている(時間)。間近で見る(空間)
間抜け  前回のポスト ": <バカ>と<間抜け>の語源 " で 詳しく検討した。

間のびする
間もなく

間をあける 間を空ける
間を入れる
間を置く
間をつめる  間を詰める  あいだを詰める  <あいだ>はいかにもやまとことばらしい。
間をとる   休む(時間)ほぼ<間を置く>と同じ。<間を取って置く>。空間を空ける <間を詰める、あいだを詰める>の反義語だ。
間を持たせる 


あい間  <合い間>ではなく<空 (あ) い間>。この意味での<空き間>はあまり聞かない。<空き間>は普通<空いている部屋>。

い間  居間  この<間>も部屋の意味だ。
いとま ひま 暇
日本語の「ひま」はヒ(物の割れ目)+マ(間)で、「空間的な狭い割れ目・隙間、転じて、時間的・心理的な割れ目」の意。 「いとま」はイト(休みの時)+マ(間)で、「仕事を休んでいる時」の意という(『岩波古語辞典』)。

貸し間
すき間、隙間
つかの間 束の間
なかま 仲間  <仲間>の語源はややこしい。
はざま 狭間
ひと間、ふた間  六畳ひと間の部屋、六畳と四畳半のふた間ある。<間>は部屋をかぞえる数詞とも言える。
またたく間 瞬く間

鬼のいぬ間に
知らぬ間に
見る間に  しばらく見ぬ間に
休む間もなく
くちびるの色あせぬ間に  (歌の文句)

時間関係の語が多いが空間関係の語もある。

時間関係の語では<何もしない時間>、<時間の経過>の意が多い。英語では idling time、passing time、timing 間が悪い

死語になっているようだが、私が子供のころは<タンマ>という語が使われていた、今は<タイム (をとる) >のようだ。<タンマ>は 耳で聞いた Time Out (タイム アウト ー> タムア ー> タンマ) か?

空間関係の語  英語では space、vacant space、room

間近で見る(空間)
<空き間> 空いている部屋。
居間
貸し間
すき間 隙間
はざ間 狭間
ひと間、ふた間  中国語でも部屋 (房) は<间>でかぞえる。一间房。

間を詰める  あいだを詰める

 

<間>関連のやまとことばでは、

あき、空き
ゆとり

room には<部屋>以外にこのような意味もある。


sptt

 

 

 

Thursday, April 16, 2026

<バカ>と<間抜け>の語源

 

日本語の代表的な罵倒語は<バカ>で、<間抜け>は二番目か。関西では<アホ>が一番か。<バカ>は漢字表記で<馬鹿>となるがこれは当て字で馬も鹿も関係ない。だが中国語系にBaidu Wiki には

中国の『 史記 』における 趙高 の「 指鹿為馬 」の故事に由来し、

という解説がある。 現代の中国式の罵倒語は<馬鹿野郎>(bakayarou) で日本人が出てくるドラマではこの<bakayarou>が時々出てくる。

日本語野 Wikiでは


広辞苑によると、古くは僧侶隠語であったものとされており、おそらく梵語サンスクリット語)のmoha(「無知」という意味の語)から転じた語だとされているが、その他にも様々な説がある(語源を参照)。

:"

とある。中国語の<指鹿為馬>は>は 、 <鹿>は で 音韻では<baka>とまったく関係ない。<馬鹿>を音読みすると<マロク>(鹿鳴館、ロクメイカン) 、訓読みすると<うましか> で、昔は、<ゥましか><ㇺましか>で ー><まか、maka>ー><バカ>になるのは否定できない。上のサンスクリット語 moha ば baka になったのと大した違いはない。

一方<間抜け>の語源はどうか? これはおもしろい。 一般的な説は、ネット上で

https://karens8.com/manuke/

間抜け】の語源についてご紹介します。つぎのとおりです。

  • 『間抜け』は、『間ガ抜ケル』から用いられるようになったもので、原義は、拍子が抜ける、調子が外れることをいう。
    そこから、手抜かりがある意を表すようになった。

    (出典:語源辞典形容詞編)
  • 『間』は、芝居や音楽での拍子や調子といった意味。
    この間が抜けると芝居の雰囲気がくずれ、音楽も変な調子になってしまう。

    そこから、動作や会話などにおいて他人と歩調が合わず、テンポの狂ってしまう人を、ぼんやり者、うすのろという意味で『間抜け』といった
    (出典:語源ものしり辞典)
これからすると、芝居や音楽で拍子>や<調子>を<間>といい、この<>が<抜けている>ことから、<間抜け>が現代の意味の<動作や会話などにおいて他人と歩調が合わず、テンポの狂ってしまう人>、<ぼんやり者>、<うすのろ>さらには<バカ者>となったことになる。細かいことを言えば<テンポの狂ってしまう人>ではなく<テンポを狂わせてしまう人>だろう。
 
意味の変遷経緯をもう少し考えてみると、 
 
1)芝居や音楽に限って言えば
 
芝居や音楽で、拍子や調子、すなわち<間>が<抜ける>ことを指すのだが、元来<>自体<空間>、あるいは<時空間>の意味で、時間についていえば、使用されていない時間
が<>だ。言い換えると、空いた時間、空 (あ) い間 (この意味での<空き間>はあまり聞かない)。
 
さらに少し考えてみると、使用されていない時間、すなわち<空いた時間> が<抜けても>たいしたことはないはずだ。
 
2)ところが 芝居や音楽で、使用されていない時間、すなわち<空いた時間>、さらにすなわち<間>は重要なのだ。芝居や音楽の良い効果を高めるために意図的に<間>を置くのだ。
 
3)2)の意味が芝居や音楽以外に拡張されると、一般的に、言動において、使用されていない時間、空いた時間>、<間>は重要なのだ。ここが <間抜けの語源>のポイント。
 
4)絵画では、時間が止まっているので、<間>は使用されていない場所になる。中国絵画では、昔から<虚実の妙>というのがあって、<虚 >は<間>に相当する。
 
 
sptt
 
 

Friday, April 10, 2026

立ち入る、立ち入り禁止

 子供のころ<立ち入り禁止> と書かれている場所で、友達と<立って入るのがダメなら、かがんで入ればいいのか?>といったような論議をした記憶がある。

<立ち入り禁止>は英語で言えば <No entry without permission> が一例。

また<立ち行ったことを聞くようですが> といった言い方もある。これは<できれば、聞きたいのですが>と相手の許可、了解が前提となっているようでもある。

この<立ち入り>の<立つ> には他<立つ、to stand up>の意味はほとんどない。<立つ>の複合動詞<立ちxx>を調べてみると

<立ちxx>

立ち合う 慣用表現
立ち上がる ー 立ち上げる 慣用表現
立ち行く   立ち行かない 慣用表現
立ち入る 慣用表現
立ち行 (おこな) う    <する>、<行う>の改まった言い方。
立ち遅れる  慣用表現

立ち返る 慣用表現  
立ち消える   立ち消え  慣用表現   
たちくらむ   
立ち込める   霧が立ち込める  

立ち去る 慣用表現   とっとと、ここから立ち去れ!
立ちすくむ   
立ち止まる   

立ち直る - 立て直す
立ち並ぶ   家がが立ち並ぶ
立ちのく  慣用表現
立ちのぼる

立ちはだかる
(たちふるまう) 立ちふるまい

立ち回る  慣用表現 うまく立ち回る
立ち向かう

 

以上の例からは、いくつか大雑把に見て共通している意味のものがある。

立ち合う    参加する
立ち行く   立ち行かない ー> うまく行かない、適切な言動がとれない
立ち行 (おこな) う    <する>、<行う>の改まった言い方。
立ち遅れる   行動をとるのが遅れる
立ち去る   <去る>行動をとる
立ち止まる  <止まる>行動をとる
(たちふるまう) 立ちふるまい   行動する
立ち回る   うまく動く、行動する
立ち向かう  <相手に向かう、対抗する>行動をとる  

共通している意味は<行う、行動する>といえる。

 

sptt

 

Friday, April 3, 2026

落ち合う、落ち合わせる、待ち合わせる

 

落ち合う  ー to meet  (with) each other  したがって<落ちう>だろう。だが<落ちて会う>とはどう意味か。<落ち>があるので単純な<会う>とは違う。<落ちる>は自動詞。<落ち合わせる>も同じような意味だ。

駅前で落ち合うことにしよう。
例の場所で落ち合わせることにしよう

<落ちる>にはあまりいい意味がない。試験に落ちる、落ちこぼれる、落ち込む、落ちぶれる、落ち目、落ち度など。だが<落ち会う>、<落ち合わせる>に特に悪い意味はない。<落ち会う>はあえて言い換えると<落ちて会う>、<落ちながら会う>だが、聞いたことがない。かなりなコジツケだが、<腑に落ちない>という言い方がある。肯定は<腑に落ちる>で、わからないこと、納得できないことが、腹の底 (腑) に落ちて当たって<わかるようになる、納得できるようになる>ことで、<落ちて当る>は<落ちて合う、会う>ことだ。

単純な<会う>ではなく<たがいに納得、了解、合意してして会う>の意味がないだろか? 

 

待ち合わせる、待ち会わせる

<待って会う>ではない。前もって<待つこと>に合意しておいて<会う>>の意に近い。<合意する>は<意見を合わせる>で<合わせる>、一方<人に会う>は<会う>だ。

 

 

sptt

 

Thursday, April 2, 2026

示し合わせる、打ち合わせる

<示し合わせる>をネットでチェックしてみると

デジタル大辞泉

前もってひそかに相談しておく。「兄弟で―・せて家を抜け出す」
互いに合図をして知らせあう。「目で―・せる」
  

<前もってひそかに相談しておく>だけではないだろう

前もってひそかに相談して言動に食い違いが無いようにしておく。
言動に食い違いが無いように、前もって相談して取り決めし、合意しておく。

<示す> は他動詞で to show 相当だが、 ここでは<意図、計画を示す>だ。<合わせる>に<合意する>の意がある。


関連語としては

言い合わせる

他人となにかを一緒に何かをする場合に、前もって話し合って言動に食い違いが無いようにしておく、といったような意味だ。

もともとは同じことをいっしょに<言う> の意味だったようだ。 

デジタル大辞泉

口をそろえて言う。同じことを言う。

「あはれなるもをかしきも—・せたるこそをかしけれ」〈一八一〉

申し合わせる

前もって話し合って食い違いが無いように取り決めておく。

打ち合わせる

<打ち合わせる>、<打ち合わせ>の語は日本の会社では非常に多く使われ、また実際に<打ち合わせる>機会も多い。<前もって話し合って言動に食い違いがないようにしておく>、<前もって話し合って食い違いが無いように取り決めておく>場合もあるが、今は意見交換の準会議のようなものを指すようだ。

 

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Monday, March 23, 2026

離れる、離す 関連の<はxx>動詞

 

 前々々回のポスト " xx合う、xx合わす 複合動詞  " はけっこう長くなった。おもしろい慣用表現が少なくない。そして最後に


<xx合う>、<xx合わす>は日本人好みの言葉が多い。

折り合いがつく / をつける、<折り合いを欠く>人は歓迎されない。

助け合う、わかり合う

打ち合わせる、擦 (す) り合わせる

大雑把には<人に、場に合わせる>のが好ましいのだ。

” 

と書いた。これを書いた後、対照的な動詞を見つけた。<離れる>と<離す>だ。そしておもしろい発見をした。<離れる>、<離す>は<付く>、<付ける>とも対照的だ。おもしろい発見というのは<離れる>、<離す>の関連動詞には<は>で始まる動詞が多いのだ。


はがれる ― はがす
はく(吐く) 吐き出す
はく(掃く) 掃き出す
はぐれる   道にはぐれる
はげる    ペンキがはげる  (髪の毛が)はげる  ー  はぐ
はじける ー はじく  はじけ出る、はじき出す
はしょる
はずれる ― はずす (外す)
はなたれる (放たれる) — はなつ(放つ)
はねる  水がはねる、さかなが水面からはねる   はね返る 、はねっかえり娘
はぶく(省く)
はみ出る、はみ出す
はらう  追いはらう、 振りはらう
はれる (晴れる)  疑いがはれる ― はらす  恨みをはらす

はるか、はるかに

 

sptt


xx合う、xx合わす 複合動詞相当の英語表現

 
 前々回のポスト " xx合う、xx合わす 複合動詞  " はけっこう長くなった。おもしろい慣用表現が少なくない。そして最後に

<xx合う>、<xx合わす>は日本人好みの言葉が多い。
 
折り合いがつく / をつける、<折り合いを欠く>人は歓迎されない。
助け合う、わかり合う
打ち合わせる、擦 (す) り合わせる
大雑把には<人に、場に合わせる>のが好ましいのだ。
 
” 
 
と書いた。チェックしてみると分かるが、<xx合う>、<xx合わす>は慣用表現の宝庫と言える。一部に英語訳も併記したが、日本語と英語の対比もおもしろい。 

1.<xx合う>
 
<xxし合う >は普通<たがいに> (一般的) 、相互に (一般的) ,  代わる代わるに、reciprocal の意で、each other。細かく言うと同時の場合と<代わる代わるに>、reciprocal の場合がある。同時に<xxし合う >の場合も each other で間に合わせるようだ。 
 
もう一つは <ともに、一緒に> together の意がある。
 
言い合う  ー to say / speak each other    <言い合う>、. <言い合い>は慣用表現もある。
 
下記参照。
 
同時に<xxし合う >

いがみ合う、言い合う  to growl / quarrel each other
打ち合う、たたき合う、なぐり合う ー to hit each other

語 (かた) り合う ー to talk each other
咬 (か) み合う ー to talk each other   多くは慣用表現。議論が咬み合わない。
傷つけあう  ー to harm each other
嫌い合う  ー to dislike each other
蹴り合う   ー to kick each other
恋し合う  ー to love each other
殺し合う  殺し合い  ー to kill each other はおかしく、片方が殺されてしまうと、<殺し合い>は終わる。したがって、to try to kill each other が現実的だ。実際に<殺し合ってしまう、しまった>場合は killed each other でいい。

攻め合う  ー to attack each other
せめぎ合う ー to compete with each other
競 (せ) り合う ー to compete with  each other

助け合う  ー to help each other
戦い合う, (果たし合う) 果たし合い  ー to fight against each other
抱き合う  ー to hag each other
溶けあう  ー to solve, resolve each other / together
 
投げ合う  相撲用語では each other でいいが、野球用語では相手を投げる / 投げとばすのでなく、ボールを投げることになるが each other でもいいだろう。
握り合う   手を握り合う  to shake hands    each other は要らない。
 
張り合う, 競い合う、せめぎ合う  — to compete with each other
混ざり合う  — to mix each other, together
触 (ふれ) れ合う  ー to touch each other     to touch は普通他動詞なので、<触 (さわり) り合う>になるか。

見つめ合う ー to see, to gaze each other
向き合う  ー to face each other
 
譲り合う  ー to concede
寄り添 (そ) い合う   ー to lean each other, to sit / be close to each other
 
わかり合う  ー to understand each other

だいたいは一人対一人だが、多数対多数、一人対多数でもいい。多数の場合は together が使える場合がある。

押し合う  ー to push each other together はおかしい。<皆で押す>になってしまう。
込み合う  ー to become crowded これは each other も together はおかしい。
混ざり合う  — to mix together  自動詞   他動詞の場合は<混ぜ合う>。英語だと to mix things together となる・
 
また each other は相手、多くは対抗相手が必要だが、好意的な相手の場合もある。
 
言い合う  多くは対抗相手 
語 (かた) り合う 多くは好意的な相手
話し合う   これは中立か。 ときに対抗相手、ときに好意的な相手
 
恋し合う  ー to love each other
助け合う  ー to help each other
抱き合う  ー to hag each other
寄り添 (そ) い合う  to lean on each other, to sit / be close to each other   
 
together はむしろ多くは<共に、一緒にする>仲間が必要だ。これは大きな違いだ。
 
<xx合う>は意味が違うものが他にもある。
 
受け合う  慣用表現 each other, together の意味はない
落ち合う  慣用表現 to meet each other  したがって<落ち会う>だろう。
折り合う  慣用表現  折り合いがつく、折り合いを欠く


かけあう   慣用表現 これも each other, together の意味はない。
示し合う  文字通りでは to show each other <示し合わせる>は慣用
表現。示し合わせる 示し合わせてxxする
 
立ち会う  相撲用語では each other でよさそうだが (立ち合い) 、<xxに立ち会う>という慣用表現がある。<立ち入 (い) る>も慣用表現
 
吊り合う  to balance    each other は使わない
出会う   出会い to meet だが to encounter という私が好きな言葉がある。
取り合う ー to try to to take something each other これとは別に<取りあう >、<取りあわない>という慣用表現がある。

引き合う to drag, to pull each other これとは別に<引きあう >、<引きあわない>という慣用表現がある。

見合う ー to see each other  <お見合い >は<seeing each other>ではなく、match making <お見合いをすること >がある。おそらく見合う>ではなく<見会う>、<会って、見る>ではないか? 
また、<xxに見合った>という言い方がある。仕事内容に見あった給料。
上の<引きう >も<この給料では仕事内容に引きわない>という言い方が可能だ。
さらにその上の<吊り合う>も 同じように<この給料では仕事内容に吊り合わない>
以上の<見合う>、<引き合う >、<吊り合う>は意味的には同じグループと言えよう。相当する英語としては
 
見合う
to worth it

引き

to pay

つり

to balance

似合う
to suit, to match, to fit
 
がネット辞典では出てくるが、使い方を知っていなければばらばい。もっといいのは正しい使い方で使いなれていることだ。基本的に each other の意味はない。becoming という形容詞がある。
 
to suit, to match, to fit は<合う>の一つの意味のグループと言える。
 
めぐり合う ー  これは<めぐり会う>だろう。 これも to encounter 相当だが<出会う>より味がある言葉だ。小説 (novel) では<めぐり会い>手法がよく使われる。
 
持ち合う  ー to share, to hold each other

(寄り合う)  寄り合い(会合) a meeting, a gathering   <寄り合い所帯 (じょたい) >という言い方がある。いくつかの所帯、世帯l、家族は一緒にすむ。
 
 
<会う>の場合  to meet (with) 
 
行き会う
落ち会う
出会う   出会い 
めぐり会う
 

2<xx会わす>、<xx会わせる
 
わす>、<合わせる>は<合う>の他動詞、意味としては<合うようにする、させる>だが、そう単純ではない。<合う>-<合わす, 合わせる>のコンビがあるものとないものがある。
 
言い合う ー 言い合わせる   <示し合わせる>に近い 
 
折り合う 慣用表現 - 折り合わせる 文字通りでは to fold and match
 
考え合わせる
切り合わせる   to cut and fit together
組み合わせる   to compose (together はいらないだろう)

こすれ合う、こすり合う ー こすり合わせる  to rub each other

示し合う to show each other ー 示し合わせる  慣用表現
(すり合う)  ー すり合わせる  慣用表現

 
つり合う  ー つり合わせる
う ー 出わす、出わせる
溶けあう  ー 溶かし合わせる
取り合う ー 取り合わせる
 
慣用表現      取り合わせの妙   
 
(縫い合う) ー 縫い合わせる
 
(貼 (は) り合う) ー 貼り合わせる to stick / adhere together (each other はおかしい)
引き会う  ー 引き会わせる 慣用表現  紹介する
 
混じり合う ー 混ぜ合わせる   to mix each other, to mix together

めぐり合う ― めぐり合わせる    いずれも自動詞か。 太郎と花子がめぐり合う。

太郎と花子がめぐり合わせる。<太郎を子にめぐり合わせる>はおかしい。
 
持ち合う  ー to share, to hold each other     持ち合わせる / 持ち合わせていない 慣用用法
 
盛り合わせる  盛り合わせ  慣用用法

寄り合う 寄せ合う ー 寄せ合わせる   <寄せ合う>は<肩を寄せ合う>で他動詞。
(より合う)  ー より合わせる <よる>は<糸を撚る>の<よる>。
 
 
<会う>の場合  to meet (with) 
 
落ち会う
出会う ー 出会わす、出会わせる
めぐり合う
 
これまでの例は実際かなりいいかげんなところ、クリアーカットではないところがある。
英語に<合う>、<合わせる>関連と思われる接頭辞がある。チェックしてみる。
 
co-, col-, com-, con-, cor-
 
基本接頭辞は con- で、次に<l>が続く場合は col- に、<b, m, p>が続く場合は com- に、<r>がが続く場合は cor- になる。接頭辞は con- は, 基本的な意味は<ともに>だ。
 
末尾《参考》参照
 
to co-host  共同して (いっしょになって) 主催する
to co-operate ともに、いっしょにする、働く。比較的新しい語では co[working というのがあるが、これは場所は共有するが、別々に独立して働く。

to co-relate ともに、いっしょに関係する 

to cohere  首尾一貫する、 筋が通る、xxと一致する coherence 首尾一貫

 
to collaborate  協力する
colleague  同僚
to collect  集める

to collude  癒着する (引っつき会う) 、 共謀する
 
to combine  一からげにする、結びつける  combination 組み合わせ

to combust  燃焼する  combustion engine
to communicate  情報をやりとりする

to compare   比較する  xxと比べる

to complete  完成する / させる、完全に終わらす
to comply   満足する / させる、満たす  to comply with   コンプライアンス
 
AI による概要
コンプライアンス(Compliance)は、単なる「法令遵守」にとどまらず、企業倫理、社会規範、社内規定を守り、公正・誠実に業務を行うことを指します。

to compose  組み立てる、構成する、作曲する(音楽用語)   composition 構成、絵画用語でコンポジション

to compromise   妥協する

to compute  計算する

to concede   譲歩する  <譲り合う>の意はない

to conclude  結論する、決まりをつける

to concrete  固める

to condemn  非難する

to confer   協議する   conference 協議
to configure  ネット辞典では<設定する>となっているが、自信がないので 自主的に使ったことはない。名詞は configuration で<設定>になる。具体的には、<あれこれやって動く、働くようにする>といった感じだ。to figure out, figure it our はよく耳にし、時々自主的に使う。これも<あれこれやって動く、働くようにする>といった意味で使っている。
  
to conflict  対立する、矛盾する  
to confuse  混乱させる
to congregate  集合する、集まる

to connect  接続する,つなげる
to construct  建築する

to consult  相談する
to consume  消費する
to convene  集会する  集まって会議をする   convention 会議

to correct  訂正する

 
日本語にした場合多くは漢語利用になりがちだ。また<合う>、<合わせる>の語が出てこないものが多い。これは予想外だった。
 
 
末尾ー1 参考
 
https://gogengo.me/roots/33 

「ともに」の英単語

 
accompany, accomplice, anticommunism, auto-configure, co-worker, co-working, coalesce, coalition, coexist, cognate, cohere, coherence, coherent, collaborate, collaboration, collaborator, collect, collected, collecting, collection, collective, collectively, collectiveness, collector, combat, combinable, combination, combinational, combine, commerce, commercial, commercially, commit, commitment, committee, common, commonly, commune, communicate, communication, communicator, communism, communist, community, communization, communize, communized, companion, company, comparable, comparative, compare, comparison, compathy, compel, compelling, compete, competing, competition, competitive, competitor, complex, complexion, complexity, complicate, complicated, complication, complicity, component, compose, composed, composer, composite, composition, compost, compound, compounder, compress, compression, compromise, compromised, compulsion, compulsive, compulsory, computation, compute, computer, concentrate, concentrated, concentratedly, concentration, concentrator, concentric, concentrically, concierge, conclude, conclusion, concuss, concussion, concussive, condominium, conduct, conductive, conductively, conductor, confect, confection, confectionery, confer, conference, configurable, configuration, configure, confine, confined, conflict, conflicting, confliction, conflictual, confront, confrontation, confrontational, congratulate, congratulation, congregate, congress, congressional, congressionally, congressman, conjoin, conjoint, connect, connected, connection, conscript, conscriptee, conscription, conscriptional, conscriptionist, consecution, consecutive, consecutively, consecutiveness, consequence, consequent, conspiracist, conspiracy, conspiration, conspirator, conspire, construct, construction, constructional, constructionally, constructive, constructively, constructor, consul, consulate, consult, consultancy, consultant, consultation, consultative, consulting, contain, container, contemporary, content, context, contextual, contextualization, contextualize, contextually, continent, continental, continual, continually, continue, continuous, continuously, contract, contracted, contracting, contraction, contractor, convene, convention, conventional, conversation, conversational, converse, conversion, convoy, cooperation, cooperative, coordinate, coordination, coordinative, coordinator, copiable, copier, copious, copiously, copy, copyist
 
 ーーーーーー
 
末尾ー2 参考
 
冒頭に  

<xx合う>、<xx合わす>は日本人好みの言葉が多い。
 
折り合いがつく / をつける、<折り合いを欠く>人は歓迎されない。
助け合う、わかり合う
打ち合わせる、擦 (す) り合わせる
大雑把には<人に、場に合わせる>のが好ましいのだ。
 
” 
 
と書いたが、このポストをとりあえず書き終えてみると
 
 
<ふれ合い>、<出会い>、<めぐりい、<ゆずりり合い>も日本人が好きそうな言葉と言えよう。
 
 
 
sptt