Friday, April 24, 2026

<ゆとり>と<あせり>、<余り>と<残り>

 

<ゆとり>については、少し前のポスト

 <ゆとり>について

でごく簡単に触れた。


<ゆとり>はやまとことばらしい言葉だ。 

デジタル大辞泉


物事に余裕があり窮屈でないこと。余裕。「経済的にゆとりがない」「心にゆとりを持つ」

 ”

 実際<ゆとり>はやまとことばの重要語の一つと言っていいだろう。<ゆとり>のコンセプトはなにか?

物事に余裕があり窮屈でないこと。余裕。

はコンセプトとしては簡単すぎる。 

<ゆとり>の反義語として<あせり>、<せわしい、せわしない>がある。ここでは<あせり>をとりあげる。<ゆとり>と<あせり>のコンセプトとを得るため<余り>と<残り>のコンセプトとを使ってみる。堂々巡りになるので<余り>と<残り>のコンセプトは詮索 (せんさく) せず自明として、例文をチェックしてみる。

前段として 

まだはもうなり、もうはまだなり。

をとりあげる。これは主に株式投資家への警句。 

株価は<まだ上がる、下がる>と言う、思うが、どっこい。もう上げ終わり、下げ終わりだ。

株価は<もう上がらない、下がらない>と言う、思うが、どっこい、まだ上がる、下がる。

という意味だ。

<まだ上がる、下がる>は言い換えると<まだ上がる、下がる余地がある>。

<もう上がらない、下がらない>は言い換えると<もう上がる、下がる余地がない>。

という意味だ。ここでは<余地> を使っているが、

まだ上がる、下がる<ゆとり>がある

もう上がる、下がる<ゆとり>がない

とは言えるが 

まだ上がる、下がる<余り>がある

もう上がる、下がる<余り>がない

とは言いそうにない。 必ずしも<ゆとり>=<あまり>ではないようで。

<余り>に似て非なる語に<残り>がある。

まだ上がる、下がる<

まだ上がる、下がる<残り>がある

もう上がる、下がる<残り>がない

とも言いそうにない。  だが

まだ上がる、下がる<余地>が残っている

もう上がる、下がる<余地>が残っていない

と言える。 

 

<余り>と<残り>の違い

<余り>は英語では excess、<残り>は remaining と言える。

<余り>、 excess は必要以上のモノ、必要以上のモノがある状態。言い換えると<達成している>、<十分以上にある>を表している。これらは重要なコンセプトだ。

<残り>、remaining はやっかいで

場合によっては

<余り>、 excess と同じくは必要以上のモノ、必要以上のモノがある状態。

<売れ残り>は、<売り切ること>が<必要なこと>とすれば、<必要以下>で終わる、言い換えると<未達>を表している。<未達>は重要なコンセプトだ。<未達>は<不十分>とも言える。

<ゆとり>は <余り>、 excess 、すなわち

は必要以上のモノ、必要以上のモノがある状態、<十分以上にある>状態から生まれる。

一方<あせり>は<残り>、remaining のうち

<未達>は<不十分>と感じる心理状態、未達感、不十分感から生まれる。言い換えると、達成しようとする、十分になろうとする、<残り>、remaining を埋めようとする心理状態から生まれる。

<あせり>は動詞<あせる>由来で、<あせる>は<せく>、<せる>由来だろう。

話は上の<まだはもうなり、もうはまだなり>の関連するが

(The glass is) Half empty.

(The glass is) Half full.

という言い方が英語にある。中立的には

(The glass) Half remains. 

と言えるが、日本語では

半分残っている。

もう半分しか残っていない。(The glass is) already half empty.

まだ半分残っている。(The glass is) still half full.

 これは<残り>のことを言っていて<余り>についてでないようだが、例えば

もう十二分にビールを飲んでいる場合には (達成済み、十分)

まだグラスに半分余っている。残っている、でもいい。

ビールがまだ飲み足りない場合には  (未達、不十分)

もうグラスに半分しか余っていない。

はダメで

もうグラスに半分しか残っていない。

 


末尾

せく

学研全訳古語辞典

せ・く 【急く・逼く】

[一]自動詞カ行四段活用

活用{か/き/く/く/け/け}

① いそぐ。あわてる。あせる。

出典禁野 狂言

「そなたがその様(やう)におしゃると心がせくによって」

[訳] あなたがそのようにおっしゃると心があせるので。

② いらだつ。嫉妬(しつと)する。

出典出世景清 浄瑠・近松

「はっとせきたる気色(けしき)にて」

[訳] はっといらだったようすで。


[二]他動詞カ行四段活用 (略)
 
 
sptt

 


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