Sunday, November 4, 2012

付く、着く、離れる

<離れる>は<着く、付く>の反対語だが、<離れる>関連の動詞は<着く、付く>に反してそれこそ山のようにある。

ある場所から離れるのを、去る、とも言う。<立ち去る>の<立つ>(<発つ>とも書かれる)も<東京をたつ>というから<さる>の意に近い。反対語は<着く>。

的(まと)から離れてしまうのを、それる、はずれる、たがう(当たらない)、とも言う。反対語は<近づく>。

的(まと)から離れようとするのを、避ける、逃(のが)れる、とも言う。反対語は<近づける>。

付着していたものが離れるのを、抜ける、脱げる、とれる、落ちる、はずれる、はげる、はがれる、とも言う。反対語は<付く>。

付着していたものを離すのを、抜く、脱ぐ、取る、落とす、はずす、はぐ、はがす、そぐ、もぐ、剃(そ)る、刈る、除(のぞ)く、ぬぐう、掃(は)く、払う、のける、とも言う。反対語はおおむね<付ける>。

ひとつの物を二つ以上に離すのを、切る、断(た)つ、裂(さ)く、割(さ)く 、割(わ)る、やぶる、分ける、散らす、削(けず)る、とも言う。これらも反対語はおおむね<付ける>。

<近づく>の反対語は<離れる>でもよいが、近(ちか)+付く(着く)とすると、<離れる>よりも<遠のく>、<遠ざかる>がいい。

のく - 関連語:のける、のがれる
さかる - 関連語:避(さ)ける、裂(さ)く


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<なう>動詞

<なう>の付く動詞を考えてみる。
<なう>は<縄をなう>で使われるが、<縄をなう>ひとは今は少ない。縄(なわ)と<なう>は関連があろう。<なう>の付く動詞には次のようなものがある。


あがなう
あきなう: 関連語: あきる、商(あきな)い
いざなう
うしなう
うべなう
うらなう
おぎなう
おとなう: ほとんど古語。いまは<おとずれる>
おこなう: 関連語: おこる、おこす
かなう: 望みが叶う。 君には敵わない。要求に適う。
しなう: <しなる>は方言
そこなう: 関連語: そこねる
そなう: ふつうは<そなわる><そなえる>
つぐなう
となう: ふつうは<となえる>、関連語: とう(問う)
ともなう
になう
まかなう
まじなう:  関連語: まじない
みそなう: ふつうは<みそなわす>
やしなう
よなう: ほとんど使われない。(紐を)<よる>の方言か。

一般化がむずかしいが、

あがなう、おぎなう、つぐなう は意味的にひとつのグループ。
うしなう 、そこなう は上記と反対の意味だが、意味的にひとつのグループ。
そなう、になう、まかなう、 やしなう は意味的にひとつのグループ。
うらなう、まじなう、となう は意味的にひとつのグループと言えそう。
ともなう、になう は体言+なう


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Friday, November 2, 2012

つく、つくる、つかむ; <つくる>の語源

<つく(tsu-ku)>は実に様々な意味がある。ワープロの辞書では下記のごとし。

突く
着く
付く 、 関連語:付ける
就く
衝く (的を絞って突く、攻撃する)
尽 く 、関連語:尽きる、尽くす
憑く (もののけが(とり)つく)
搗く (こめ、もちなどをつく)
点く (火がつく、電気がつく)

適当な漢字がないようだが、まりをつく; 杖をつく、手をつく; 息をつく もある。

漢字を使うと意味が違う、あるいは微妙に違うようだが、もとの大きな意味は共通している。<ある点のようなものにあたる、あてる>、さらに一般化すれば<ある特定の場所に関して方向が意識されて何かがおこる、なにかをおこす(変化)>といったような意味だ。

反対語を探してみる。

突く - 引く
着く - 離れる、去る
付く - 離れる、外(はず)れる、はがれる、とれる。 この<とれる>の英語は<to go (come) off>。
就く - 離れる、去る。<あるポストに就く>の英語は<to take a post>。
衝く - 引く、引き下がる、退(しりぞ)く
尽く - 満つ、満ちる; 始まる; 続く
憑く - 離れる、去る
搗く (こめ、もちなどをつく) - ?   <搗く>の英語は<to pound (dough)>。
点く - 消える。<電灯がつく>の英語は<the light turns on>で<電灯が消える>の英語は<the light turns off>、<the light goes off>。

まりをつく - ? <まりをつく>の英語は<to bounce a ball>。
杖をつく、手をつく - (ささえを)外(はず)す < 杖をつく>の英語は<to stick a stick>。<to stick>はステッカーの<to stick>、<a stick>はステッキ。
息をつく -  続ける(休むの反対語)

以上の反対語の大きな意味はかなり共通している。<ある場所から離れる>、さらに一般化すれば<つく>と同じく<ある特定の場所に関して方向が意識されて何かがおこる、何かをおこす(変化)>といったような意味だ。

<つく>の反対語をもっと探せばかなりある。

切る-切れる、裂(さ)く-裂ける、割(さ)く 、割(わ)る-割れる、分ける-分かれる、散らす-散る、削(けず)るー削れる、脱ぐ-脱げる、取る-とれる、落とす-落ちる、外(はず)す-外れる、はぐ-はげる-はがれる、そぐ-そげる、もぐ-もげる、剃(そ)る、刈る、除(のぞ)く、ぬぐう、掃(は)く、払う、のける。

逆に、以上の反対語は大体<つく><つける>で間に合う。


搗く (こめ、もちなどをつく)、 まりをつく の反対語は難しい。 ちなみに<ひく>のワープロの辞書では下記のごとし。

引く、弾く、轢く、挽く、惹く、曳く、牽く、退く

このうち<挽く>が搗く (こめ、もちなどをつく)の反対語ではないが、関連語だ。ただし穀物を挽いて粉にする意だ。

<近づく>の反対語は<離れる>でもよいが、近(ちか)+付く(着く)とすると、<離れる>よりも<遠のく>、<遠ざかる>がいい。

のく - 関連語:のける、のがれる、
さかる - 関連語:避(さ)ける、裂(さ)く。<去(さ)る>が語源か?

以上 tsu-ku について(tsu-i-te <-- tsu-ki-te のイ音便)述べた。

ところで、<つく(tsu-ku)>は人の活動としては重要な動詞<つくる(tsu-ku-ru)>、<つかむ(tsu-ka-mu)>と関連ありそうだ。<つくる>の語源はおそらく<もちをつく>の<つく>からきている。もち以外について<つくる>ものに刀(かたな)がある。刀は<焼いてたたいて>つくる(鍛造)がこの製造工程の一部は<つく>だ。もちや刀はついて<かたちつくる>のだ。つくる(tsu-ku-ru)は重要な動詞だと思うが、<つく(tsu-ku)>に比べると3音節、さらに<-u>が連続するため発音しにくいし、聞きずらい。<こしらえる>、<こさえる>はそれぞれ5音節、4音節だが発音しにくい、聞きずらいことはない。<こしる>、<こす>の語源は?マークだが、<える>が続くので可能とともに<得る>の意がある。<つくって>、<つくった>モノを得るのだ。

<手をつけ>ると始まり、<メドがつく>と終わりに近づき、 <運が底をつく>と終わりだ。


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