Thursday, August 7, 2025

<そむける>の語源

 

<そむける>の語源は、ネットで調べて見ると

 《「背(そ) 向ける」の意》

 というのがある。

そうだろうか? <背 (を) 向ける>は何か取って付けた感じだ。

<そむける>の由来は<そむく>だろう。<そむく>の由来が<そむける>というのは考えにくい。文法的には

向く 自動詞 ー 向ける 他動詞

で<向く>自動詞なので<背が向く>。<背が向く>が<そむく>になるだろうか。

<向ける>は他動詞で、<そむける>も他動詞だ。

<そむく>は

1)そっぽを向く

という言い方があり。 

そっぽを向く ー> そっぽ向くー> そ向く

が考えられる。

2)<そむく>は漢字で書くと<背く>になるが<そむく>、<そむける>に元来<背>の意はないとすると、簡単に<そむける>の語源は<そむく>ではないか。

<そむく>の可能形として<そむける>がある。<そむくことができる>の意だが、めったに使わない。

<そむく>は、上のネットの<そむける>の語源説《「背(そ)向ける」の意》からすると

「背(そ) 向く」

になるが、上述にように、文法的には

向く 自動詞 ー 向ける 他動詞

だが<向く>は<を>がとれる自動詞だ。西を向く。だが<背を向く>は<背の方を向く>の意ではないだろう。

<そむく>は<xxに反対する、反抗する、逆らう>だが、原因、または結果して<対象から離れる>の意がある。<そむける>は<対象から、目や顔を離す>ことだ。 

<そむく>は自動詞。<そむける>は<そむく>の他動詞化。<ける>には上述の可能形と並んで (これは汎用的) 、他動詞化がある。だがこれは汎用的ではない。もともとは使役か。

空 (あ) ける 他動詞 ー 空く 自動詞
付 (つ) ける 他動詞 ー 付く 自動詞
続ける 他動詞 ー 続く 自動詞
届ける 他動詞 ー 届く 自動詞
やわらげる 他動詞 ー やわらぐ 自動詞


sptt

 

Monday, August 4, 2025

おもしろい<xxける>動詞

 

<xxける>動詞はたくさんあるが、おもしろいものが少なくない。 アイウエオ順にならべてみると

あざける 他動詞
いじける 自動詞
おじける  (おじる)  自動詞
おどける 自動詞

かまける 自動詞  仕事にかまけて、家庭をおろそかにする
こける 自動詞  づっこける
ころげる、ころがる  自動詞 ー ころがす 他動詞  笑いころげる

しょげる 自動詞   しょげかえる
しらける 自動詞
すすける 自動詞
ずるける 自動詞

たいらげる 他動詞
たまげる 自動詞  方言か?
だらける 自動詞
たわける 自動詞

なまける  他動詞 他動詞 ー 届く 自動詞
にやける 自動詞

はげる  自動詞 ー はがす 他動詞  頭がはげる、ペンキがはげる
ひしゃげる、ひしゃぐ  自動詞
ふける (老いる)  自動詞
ふざける 自動詞 
ふやける 自動詞
ぼける 自動詞
ほどける 自動詞 ー ほどく 他動詞
ぼろける 自動詞   ぼろけた家、ぼろけた車

むける 自動詞 ー むく 他動詞  一皮 (ひとかわ) むける、リンゴん皮をむく
もげる 自動詞 ー もぐ 他動詞  リンゴをもぐ、もぎとる

 

共通事項

1)人の否定的、非難的、ほめられたものではない言動を示す自動詞が多い。

あざける
いじける
おじける
おどける
かまける
しょげる
ずるける
だらける
たわける
なまける
にやける
はげる
ふける (老いる)
ふざける
ぼける
ぼろける

2)必要以上の弛緩 (リラックス)、主に人の言動関連 (重複あり)

おどける
しらける
だらける
たわける
なまける
にやける
ふざける
ぼける

3)上の 2) に関連するが  正常、本来からの離脱  (重複あり)

かまける
こける  づっこける
ずるける
だらける
たわける
なまける
はげる
ひしゃげる
ふける (老いる)
ふやける
ぼける
ほどける
むける (皮がむける)
もげる

 

SPTT



Saturday, August 2, 2025

こる、こりる、こらす、こらしめる

 

<こる>、<こりる>、<こらす>、<こらしめる>は関連語だろうがややこしそう。 ここではあえて当て字に近い漢字を使わずに話を進める。

こる

肩がこる
将棋にこる

<xxをこる>とは言わないので自動詞だ。<肩がこる>はいかにも自動詞だが、<将棋にこる>は対象があるので他動詞的だ。だが<将棋をこる>とは言わない。

<肩がこる>は<肩が固まる>感じだ。<将棋にこる>もこじつければ<将棋に固まる>感じだ。

<こり症>の<こり>は<こる>の連用形の体言 (名詞)用法。

肩のこりがひどい。

も同様。

 

こりる

続いた二度の失敗にこりて、三度目はあきらめた。
幾度もの失敗にこりずに続けた。
もうこりごりだ。

<こりる>の意味は、難しく

Wiki 辞典では

ひどい目にあったために再びしようとする気力が無くなる。

というやや長い解説がある。

英語訳は、ネット辞書では適当なのが見当たらない。基本的には、あるいは一般的には、一度、あるいは幾度やってもうまくいかず<やるのがいやになる>といった意味だろう。

 

こらす 他動詞

<こらす>は少なくとも二つの違った意味がある。

1)目をこらす

目をこらしてもっとよく見ろ。

<ある特定の場所に固定してよく見る、見続ける>といった意味だろう。

2)意匠をこらした作品

十分に力を入れる。心を入れる。

自動詞<こる>の他動詞版といえる。

 

こらしめる 

Wiki辞典、その他では

悪いことをした人に制裁 (罰) を加え、二度としないようにさせる。

太郎は人の迷惑になることばかりしているので、少しこらしめてやる。

<こらしめる>は<こらす>の使役形に見えるが<こらす>の意味とはかけ離れている。<こらす>の使役形は<こらさす>もあるが、これは<こる>の使役形にもなりうる。

こる

肩がこる -> 肩をこらさす
将棋にこる ->(太郎を)将棋にこらさす

こらす

目をこらす ー> 目をこらさす
意匠をこらす ー> 意匠をこらさす

<こらしめる>はどこからぃたのか?

意味が通じるのは

<こりる>の

ひどい目にあったために再びしようとする気力が無くなる。

 で、これを少し言い換えると

ひどい目にあわせて、再びしようとする気力を無くする。

 これは<こりさせる>。だがこれは<こらしめる>に通じる。


sptt

 

 

 

Tuesday, July 15, 2025

構える、かまう、かまける

 

 <構える>は

門、家を構える

刀を構える

彼は少し構えたところがある。

などと使い、漢字の<構える>で特に違和感はない。ある意味では<格好をつける>だ。

一方<かまう>は日常よく使う。

それはかまわない。

そんなことにかまっちゃいられない。

弟をかまってやれ。 

ある意味では<気にする、気にかける>。

 英語では、I do not mind.  I do not care.という言い方がある。

こちらの方は<構わない>、<構っちゃ、構って>は何かおかしい。

<かまける>も関連語だろう。

仕事にかまけて、家庭がおろそかになった。

<かまける>は<気をとられて>で<かまう>と関係がありそう。

<構える>と<かまう>は関連がなさそうだが、<構える>は、上述のように、ある意味で<格好をつける>とすると、<気にかける>が関連してくる。

 

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Wednesday, July 9, 2025

かなう、かなえる、かなわない

<かなえる>、<かなう>はややこしい。

<夢をかなえる>、<望みをかなえる>で他動詞。<望みにかなう>、<理にかなう>、<要求にかなう>で自動詞。さらに<かなわない>という言い方がある。<この相手にはとてもかなわない>。この場合、<かなわない>の肯定は<かなう>で<対抗できる>といった意味になるが、<毎日こう暑くてはかなわない>(主語がない、というか省略されている)といった言い方もある。

意味は

<かなえる>は<夢、望みを実現させる>。

<かなう>は自動詞だが<望みを、理 (道理) を、要求を満足させる>といった意味で<xxを満足させられる>ではない。<xxが満足させられる>ならよさそう。これが他動詞ー>自動詞変換か?

かなう、かなえる、かなわない

ネットでは

叶う、叶える、叶わない

と<叶>の字が出てくる。

夢が叶わない

はいいが

こう暑くては叶わない

はおかしい。

中国の簡体字では<叶>は<葉>だ。少し調べてみると

 叶 = 協

で、協力、協調、協議、協定は少しよく考えると<合わせる>という意味が含まれている。

一般化すると、<かなう>は<状況に合う>、<かなえる>は<(意識して、努力して) 状況に合わせる>。

 日本人が好む<思いやり>、あるいは<思いやりのある言動>は、ある意味では<(意識して、努力して) 状況に合わせる>ことではないか?

 

sptt

Friday, June 6, 2025

<うずもれる>と<うずくまる>

 

うずもれる

ネット簡易辞書では

覆われて外から見えなくなる。うずまっている。うもれる。

<うもれる>と同じようような意味なので<うず>は接頭語だろうが、なにか意味があるのか? <うず>がつく語では<渦巻、うずまき>があるが、これは意味がはっきりしている。<うずもれる>の<渦>は関係なさそうだが、モノが<渦>の中に巻き込まれると見えなくなる、見えにくくなる。だが、この場合<うずにうもれる>ー><うずうもれる>ー><うずもれる>としなければならない。

 <うず高く積み上げる>の<うず>も<渦>だろう。視覚的に<<渦>が舞い上がるのが想像できる。

と思ったが、ネットでチェックしてみると 


https://oggi.jp/194750

「うず高く」とは書きません。「うずたかい」は、漢字一文字で堆い」と書きます。「うず」は「渦」ではなく、「珍(うづ)」や「埋(うづみ)」が変化したものではないかと考えられています。

とある。 これからすると<「埋(うづみ)」、<うづむ>が語源のようだ.。もっとも

<うづむ>は<うずめる>の古語形だ。だが<高く埋める>はおかしい。

 

うずくまる

膝を曲げて、膝を抱えて、身を低くする。

同義語には

しゃがむ、しゃがみ込む (方言か)
つくばう、つくばる、這 (は) いつくばる

がある。

これも、視覚的には、人が<渦>の中に巻き込まれると見えにくくなる。だが<くまる>はなにか? 

<うずくまる>は<うずく>+<まる>で、<まる>は<まるまる> (まるくなる) 。<うずく>の方は<つくばう>の<つく>ではないか。<う>は接頭辞。つまりは<つくまる>で<つくばりまるくなる>でこれに接頭辞<う>がついたもの。だが。これは相当ムリがある。

もっと簡単に

つくばる ー> つくまる 

これに接頭辞<う>がついて

つくまる ー> うつくまる 


 再検討予定

 

sptt
 

Friday, May 23, 2025

<追い越す>とは?

<追い越す>は

マラソンで前を走るランナーを追い越す
高速道路で 前を走る車を追い越す

といった言い方がある。 <マラソンで前を走るランナーを追い越す>は英語でどういうのかがわからないのでネットで調べたみたが、<追い越す>は

先に出るpass; get ahead of somebody; leave somebody behind; outrun; outstrip; overtake

https://ejje.weblio.jp/content/%E8%BF%BD%E3%81%84%E8%B6%8A%E3%81%99

 という訳語が見つかった。

to pass は<越える>、<過ぎる>、さらには<渡す>の意味があり、多義語だ。

一方、日本語の<越える>、<過ぎる>は ”<を>をとる自動詞 = 移動動詞 ” ということになっている。

<追い越す>相当の言葉に<抜き去る>があろ。これは上の to leave someone behind が近い。 

<追い越す>は<追う>と<越す>の合成語で (ここが肝心) 、英語にそのまま直すと to follow pass になる。これでは通じにくいが、to follow and pass とすれば何とかなりそう。<走って>を加えたければ、to run, follow and pass とか to follow and pass in running とすればよさそう。


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<引っ越す>とは?

 
<引っ越す>は変な言葉だ。意味内容は<引く>も<越す>もほとんど関係ないように見える / 聞こえる。英語では to move、to relocate というが<引く>も<越す>も全く関係ない。私はは初めて<引っ越す>が<to move>なのを知った時、少しおどろいた。そのためか、以後<引っ越す= to move>は忘れなくなったし、抵抗なく使えるようになった。英語圏の人が<to move= 引っ越す>は理解しがたいだろう。だが <引っ越す>は <モノを引きずって移動する>感じがないではない。<引く>が<引きずる>はまあいいが、問題は<越す>だ。<越す>は少し面倒な動詞で自動詞だか他動詞だかよくわからない。 

越える=越す
 
峠 (とうげ) / 頂上を越える
峠 (とうげ) / 頂上を越す
 
コロナウイルスは峠を越えた。
コロナウイルスは峠を越した。
 
の<越える>、<越す>は ”<を>をとる自動詞 = 移動動詞 ” ということになっている。
 
<越える>と<越す>は微妙に違うようで、<コロナウイルス>の場合は
 
 コロナウイルスは峠越えた。
 
はいいが
 
コロナウイルスは峠越した。
 
はダメ。 <越える>は自動詞性が強いと言える。一方<越す>は<が>が使えないので他動詞と見ることもできる。(これは新発見)
 
意味としては<障害物を過ぎる>だが、<過ぎる>も ”<を>をとる自動詞 = 移動動詞 ” だ。上の例ではわかりにくいが
 
川を越える / 越す
 
は<川の一方の岸から他方の 岸 (対岸)  へ行くことだ。<行く>は明らかに自動詞だ。
 
<海を越える>というが<海を越す>はあまり聞かない。海は<越える>、<越す>障害物としては大きすぎる。大きすぎるが、<一方の岸から他方の 岸 (対岸)  へ行くこと>は変わらない。
 
一方<引っ越す>に特に障害物はない。 <一方の岸から他方の 岸 (対岸)  へ行くこと>は<一方の旧住所から他方の新住所へ行くこと>だ。旧住所から他方の新住所への距離、道のりを障害物と見れば<障害物を過ぎる>になる。つまりは<引っ越す>は

モノを引きずりながら旧住所から他方の新住所への距離、道のりを越して行く

ことなのだ。to move も<引っ越す>場合は自動詞だろう。


sptt

 

 

<広がり>についてー2  渡 (わた) る

 

だいぶ前に

<広がり>についてー2  Apr 16, 2015 

というポストを書いたことがある。<広がり>は響きのいい言葉で内容もある。このポストの冒頭で


<広(ひろ)がり>はいいやまとことばの一つだ。<末広がり>というやや俗っぽい言葉もあるが、<空間の広がり>、<時間の広がり>、<時空の広がり>は物理学で使うが、哲学的でもある。詩的でもある。


と書いている。 さて最近べつのブログで "<を>とる自動詞、移動動詞 " を再チェックしていたが、<越える>、<過ぎる>、<通る>に加えて< 渡 (わた) る>をチェックしている時に< 渡 (わた) る>が<広がり>を表わすことに気がついた。その箇所を抜き出すと

日本語の方は<は基本的に自動詞で

鶴が渡って来る季節
昔は船で中国へ渡った。
鐘の音 (ね) が響き渡る。
問題は多岐にわたる。<渡る>は何か変だ。

これらは to cross はおかしい。

鶴が海を越えて渡って来る季節
昔は船で
海を越えて中国へ渡った。

なら to cross が使える。

ところで、この<渡る、わたる> は<広がり>が感じられる動詞だ。

鐘の音 (ね) が響 (ひび) き渡る。

響 (ひび) き渡る:hibiki wataru  は耳で聞いてもいい。

似た表現を探してみると

ベルが鳴り渡る。
とどろき渡るおたけび (ハリマオの主題歌
澄 (す) み渡った空
晴れ渡った空
ここは涼しい風が吹き渡って来る。

自然現象以外では

食べ物 (資料) が皆に行き渡る。
長きにわたって校長をつとめた。  <渡る>はややおかしい。<わたって>と平仮名でいいだろう。

他動詞の<渡す>も

見渡す 

は<広がり>を感じさせる。


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Wednesday, May 7, 2025

<取り越し苦労>とは?

 

<取り越す>はほとんど聞かないが、<取り越し苦労>といういい方がある。<取って><越す><苦労>ではない。<越す>は普通の<越す>、<越える>、<越えて、越して><XXをする>ではなく、<前もって><XXをする>。この場合は<前もって取る苦労>となる。時間的には<前もって>だが、空間的には<現状を越えた、前にあるもの、先にあるものを取る>のような意味になる。 先取りする。英語では、文字通りでは to pretake だが、ないようだ。

<見越す>もこの用法。to presee はないが、to foresee はある。foreseeable future はよく聞き、また使う。

<考え越す>、<思い越す>、to preconsider、to prethink という日本語、英語があってもよさそうだが、ないようだ。

<持ち越す>は<取り越す><見越す>の<越す>とは違う。 <引っ越す>は<越す>の意が薄れている。英語では to move、to relocate だ。


sptt

 

Sunday, May 4, 2025

<取りあえず>とは?

 

<取りあえず>は<取り合えず>ではない。<取敢えず>だ。これは難しい。<敢える>を使うのは<敢えXXてする>, <敢えてXXしない>, <敢え無く>ぐらいだろう。また翻訳調と言えなくもない。

敢えてXXする(dare do, dare to do)、敢えてXXしない(dare not do, dare not to do)

<dare>は助動詞(動詞の原形を取る))としても普通の動詞(to 不定詞を取る)としても使われるが、たいていは助動詞用法。やまとことばに適当なのがないためか、あるいは翻訳調の方がいいためか、漢語(読み)由来と思われる<敢える>が選ばれたのだろう。日本語では<敢える>自体、単独ではほとんど用いられない。

デジタル大辞泉(小学館)の解説

敢ふ(あう)

耐える。持ちこたえる。→敢 (あ) えなむ

「秋風に—・へず散りにしならしばのむなしき枝に時雨すぐなり」〈秋篠月清集

おして…する。しとげる。→敢えて 

(他の動詞の連用形に付いて)すっかり…する。…しつくす。→敢えず

天雲に雁そ鳴くなる高円 (たかまと) の萩の下葉はもみち—・へむかも」〈・四二九六〉


2は現代語。少し考えると<おして…する>と<しとげる>は違う。<しとげる>の意味で使うことはないだろう。1は古語で2.3とは意味が違う。だが、<耐える。持ちこたえる>は意味的に<最後まで>がつく場合が少なくないだろう。

さて漢語の<敢>だが

Baike-baide の解説は

敢(拼音:gǎn)(前略)以会有胆识与勇气之意 。“敢”可表有胆量、勇于进取。“敢”也可用作谦词,有冒昧之义。 由冒昧义可引申为侵犯、冒犯义。“敢”还可用作反语,相当于“不敢”“岂敢”。

つまりは

有胆量、勇于进取

さらに意味がずれて

冒昧 mào mèi,指冒犯,无知而妄为,多用于自谦;引申为鲁莽轻率

やみくもにxxする

侵犯

冒犯 mào fàn 指言语或行为没有礼貌

礼儀をわきまえずにxxする

日本語では<敢えて>は<勇気を出してxxする>、<無理をしてでもxxする>、<無理を承知でxxする>、<わざわざxxする>、<やみくもにxxする>、<うまくいかない場合もあろうが、それでもする>のような意味に相当する副詞。

<取り敢えず>の<敢えず>は<敢ふ(あう)>の否定で

<勇気を出してまでxxしない>、<無理をしてまでxxしない>、<無理を承知してまでxxしない>、<わざわざxxしない>、<やみくもにはxxしない>、<うまくいかない場合もあろうから、xxしない> 

上の<xx>が<取る>になる。すなわち

勇気を出してまで取らない
無理をしてまでは取らない
無理を承知をしてまで取らない
わざわざ取らない
やみくもには取らない
うまくいかない場合もあろうから、取らない

となるが、すぐには、そのままでは<取り敢えず>の意にならない 。これは<取る>の否定ではなく<敢ふ(あう)>の否定であるからだ。<取らない>ではなく<取るのだ>。

<取り敢えず>は一種の反語で

勇気を出してまで取るわけではないが、とにかく取る
無理をしてまで取るわけではないが、とにかく取る
無理を承知してまで取るわけではないが、とにかく取る
わざわざ取るわけではないが、とにかく取る
やみくもには取るわけではないが、とにかく取る
うまくいかない場合もあろうから、取らない、というわけではない(とにかく取る)


 一方<取り敢えず>の<取る>は物理的な<取る>ではなく<やってみる、try to do>の意に近い。

勇気を出してまでやるわけではないが、とにかくやってみる
無理をしてまでやるわけではないが、とにかくやってみる
無理を承知してまでやるわけではないが、とにかくやってみる
わざわざやってみるわけではないが、とにかくやってみる
やみくもにはやるわけではないが、とにかくやってみる
うまくいかない場合もあろうから、やらない、というわけではない(とにかくやってみる)

<とにかく>はキーワードで、英語では anyway が相当。 

<取るものも取りあえず>といういい方があるが、これは

取るべきものも無理をしてまで取ることをしないで、(とにかくxxする、xxした)

の意に近い。

 

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Monday, April 28, 2025

<つる>のいろいろ

 

前々回のポスト ”<魚を釣る>の<釣る>の語源 ” で<<魚を釣る>は<餌で魚を連 (つ) る>ではないか、と書いたが、<つる>にはいろいろある。

足 (ふくらはぎ) がつる  自動詞

魚をつる

衣服をハンガーにつる
首をつる (これは慣用的な言い方)
風鈴をつる、つるす

<吊る>の<つる>だが、<つり下げる>場合は to hang 相当。<つるす>とも言う。 だが<つり上げる>場合もあり、これは to hang にならない。to hang はもっぱら<つり下げる>だ。to hang up は普通<電話を切る>の意だ。

<価格をつり上げる>は<吊り上げる>、<釣り上げる>は変で<価格を連り上げる>ではないか?

この<連り、つる>は

たくみな言葉、見た目で消費者をつる
まわりの人が笑うので、つられて(つれて) 笑ってしまった
xxにつれて

関連語 (派生語) に

連 (つ) れる  他動詞

連れて行く
連れて来る

はよく使う。

だが複合動詞は意外と少ない。

連れ歩く
連れ込む 
連れ添う
連れ立 (だ) つ
連れ出す
連れ戻す

二人づれ、三人づれ

連 (つら) なる 自動詞 ー 連ねる 他動詞

 山がつらなる

がある。<つながっている>イメージだ。

つるむ

良くない意味だが<つながっている>イメージだ。

 

名詞の<つる>では

植物のつる、つる性植物
弓のつる

糸状、紐 (ひも) 状。何かを<吊る>、<吊るす>す場合は糸や紐を使うことが多い。

 

sptt


Saturday, April 26, 2025

引きずる、引きづる

 

<引きずる>はけっこうよく使う。多義語のようで、ネットでチェックしてみると

 出典:デジタル大辞泉(小学館)


ひき‐ず・る【引き×摺る】の解説

地面などをすって引いて行く。「下駄を—・って歩く」
2 長い物を垂らして地面などに触れさせる。「裾を—・る」
無理に連れて行く。「交番に—・って行く」
故意に長引かせる。「回答を月末まで—・る」
5 捨てきれずに今なおもちつづける。いつまでも忘れないでいる。「失恋痛手を—・る」6 (普通「ひきずられる」の形で用いる)他人の行動や考えを引っ張る。影響を与える。「雰囲気に—・られてつい承諾してしまった」


 <引く>は類語というよりは<引きずる>の構成原動詞だ。<引く>が一般的に瞬間的、一時的な動作であるのに対して<引きずる>は継続的な動作、動きだ。

<引きずる>には<擦る、する>由来の<ずる>が<引く>に続いているので<引きずる>でよさそうだが、上のネット辞典の三番目

無理に連れて行く。「交番に—・って行く」  

の<連れる>は<つれる>だ。<ずるずる>と<引きずって>いる感じがあれば<交番に引きずって行く>でいいが、<引き連れて行く>であれば<引きづって行く>だろう。だが、普通は<引き連れて行く>と言うだろう。

<擦 (す) れる>と<連 (つ) れる>は全く違う。

故意に長引かせる。「回答を月末まで—・る」 

では<擦れる>の派生語<ズレる>がある。 

5 捨てきれずに今なおもちつづける。いつまでも忘れないでいる。「失恋痛手を—・る」

も<ずるずると><引きずる> の意だ。

6 (普通「ひきずられる」の形で用いる)他人の行動や考えを引っ張る。影響を与える。「雰囲気に—・られてつい承諾してしまった」

は<連れる、連れられる>の意だ。

「雰囲気に引き連 (づ) られてつい承諾してしまった」


sptt

 

 

Friday, April 25, 2025

<魚を釣る>の<釣る>の語源

 

 <魚を釣る>の<釣る>の語源はなにか?

<釣る>は<つる>だが、漢字を使うと意味が極めて似た<吊る、吊るす>がある。水の中の生きた魚は<釣る>だが、とった(獲った) 魚を糸やひもで<つる、つるす>場合は<吊る、吊るす>だ。漢字で書くとこの区別があるが、口で言う場合、耳で聞く場合はこの区別はない。生きた魚は<釣り上げる>、獲った魚の場合は<吊り下げる>。もっとも、生きた魚も<釣り上げた>後は<吊り下がって>いる。

<釣る>の語源は<つる>動作の一般的な<吊る> だろう。いづれにしてもやまとことばとしての元は<つる>だ。

ところで、<魚を釣る>を英語ではどう言うか ?

ネットでは

to catch (a) fish

と出てくくるが、手や網で魚をとる (獲る、捕る) 感じだ。動詞の to fish の一語で<魚を釣る>だ。 to fish a fish とは言わない。また fish の複数形は fish で、a lot of fishes とは言わない。

さらにところで、以下はこじつけなのだが、<連れる、つれる>は関係ないか?

<連れる>は高頻度使用語。

連れて行く
連れて来る

引き連れる

はよく使う。 

だが複合動詞は意外と少ない。

連れ歩く
連れ込む  いまは Love Hotel というようだが、昔は<連れ込むみホテル>と言っていた。
連れ添う
連れ立つ
連れ出す
連れ戻す

さらに関係、相関関係を示す

xxにつれてyyになる

という重要表現がある。

現代語では

連れない (これはほとんど聞かない)
連れて
連れる
連れること、連れる時 (これはほとんど聞かない)
連れれば (仮定形)(これはほとんど聞かない)

と下一段活用だが、昔は下二段活用で (終止形<連る>)

連れず
連れて
連る
連るること、
連るる時 
連るれば (已然形)

<連れる>の意味は

デジタル大辞泉

読み方:つれる

一緒について来させる。ともなう。同行する。「を—・れて散歩出かける

一方状況変化するとともに他方状況変化する。「年をとるに—・れ忘れっぽくなる

1は英語で to accompany という動詞があるが、<同行する>の意で<連れて行く>、<連れて来る>には使えない。

  1. go somewhere with (someone) as a companion or escort.
  2. be present or occur at the same time as (something else).

2は日本語解説の2に似ている。

漢字の<>は<金ヘン>で針、hook>が関係しているのではないか? 調べてみると

似たような字の<钩>が to hook で、<魚>は<魚を釣る、to fish、fishing>の意で、<島>は<うおつりじま>と訳されている。もともとは中国領だろう。中国語版 Google の Baike-baidu では

 diào 以钩饵取鱼。
 用饵诱鱼上钩:钓鱼。钓饵。垂钓。钓具。

という解説で、<>、<>、<>が出てくる。

このように、<魚を釣る>には餌を使うが、魚は餌に<られて>くる。られる>は古語<連る>の受身形になるが、られる>を派生動詞と見てもいい。れる>の受身形は<れられる>。

また<餌で魚をつる>は<餌で魚を連る>。実際<魚をつっている>場面をを想像すると<魚を餌で水から連れ出している>感じがないでもない。


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Thursday, April 24, 2025

<失望する>のやまとこば

<失望する>のやまとこばは大方<がっかりする>だろう。だが<がっかりする>は擬態語の<がっかり>に<する>がついたもので、感覚的にはこれでもいいが、文章にする場合には少し気がひける。

英語では他動詞の disappoint というのがあり、 

to be disappointed

が<がっかりする>に相当する。頭に dis- があって<当てが外 (はず) された>といった感じで、わるくない。私はよく使う。<(当てが外 (はず) されて)残念だ>の意味にもなる。

<当てが外れる>だけでは<失望する>にならない。ここが肝心。

<失望する>は文字通りでは<望みを失う>のようだが、細かく言うと<望みを失った時の感情の表現>ともいえる。<絶望する>はもっとシリアスで<まったく望みを失った時の感情>で、心は<空虚>になる。これに比べると<期待外れ (になる) >はそれほどシリアスではない。

その他では

気が抜ける
気落ちする だが、自分のことの場合はあまり使わないようだ。私は気落ちしている。(X) 太郎は気落ちしているようだ。
<気が落ちる>でもよさそうだが、ほとんど聞かない。
<気を落とす>も自分のことの場合はあまり使わないようだ。私は気を落としている。(X) 花子は気を落としているようだ。 

もっとも日本では<失望する>も自分のことの場合はあまり使わないようだ。

私は失望している。
私は花子が返事をくれないのに失望している。

なにか他人ごとのようだ。

私は花子が返事をくれないのにがっかりしている。
私は花子が返事をくれないのでがっかりしている。 

が自然で、これが<がっかりする>が使われる理由だろう。

ところで、香港では、広東語では

我好失望 sat mong。

といって問題なく、よく耳にする。

また中国ネットで<失望>をチェックしていたら、<希望落空>という語が出てきた。中国語だが悪くない表現だ。心が<空虚>になるのだ。

 

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Sunday, April 20, 2025

ご苦労さまです。ねぎらいの言葉

 

<ご苦労さまです>はよく使うが、<苦労>に<ご><さま>がついた変な言い方だ。

 これは、元は<あなたに苦労をかけた>。これが

あなたに苦労をかけさせて申し訳ない。

場合によっては

あなたに苦労をかけさせて申し訳ないが、これで助かった。ありがたい。

感謝を示す、または<ねぎらい>示すのであれば<苦労>に<ご>、<さま>がついてもおかしくはない。最近は純やまとことばの<お疲れさまです>が多く使われるようだ。これまた<ご>と<さま>がついている。

<ねぎらい>、<ねぎらう>は古いやまとことばだ。語源をチェックしてみると

” 

https://wordorigin.seesaa.net/article/201607article_40.html

これらの 3 つのことばのもとになっている語は 「ねぐ」 という動詞です。

「ねぐ」 は, 「祈ぐ」 「請ぐ」 「労ぐ」 と書かれます。

このうち, 「祈ぐ」 「請ぐ」 と書く場合は, 〈自分の望むことがかなうように神仏に祈る〉 ことを意味します。その 「ねぐ」 が 「ねがふ」 になりました。

また,〈願いがかなえられるように努力してくれた神仏に対して,その心を安めて,神仏の加護を祈る〉 ことが 「ねぎらふ」 ということばになりました。

神社の神職としての 「禰宜 (ねぎ) 」 は,その 「ねぎらう」 ことを代行してくれる人ということになります。

というのがみつかった。だが、ここで気になるのは 意味の違いを漢字を使って説明していることだ。実際口に出して言う時はこの漢字での区別はない。つまり<ねぐ、negu>で、場合によっては

1) 〈自分の望むことがかなうように神仏に祈る〉 ことを意味します。その 「ねぐ」 が 「ねがふ」 になりました。

2) 〈願いがかなえられるように努力してくれた神仏に対して,その心を安めて,神仏の加護を祈る〉 ことが 「ねぎらふ」 ということばになりました。

 

さて、現在では<ねぎらう>は

Wiktionary

相手苦労慰める。苦労に謝意を示す。 

の意で使う。

さて、これで終わりではない。問題は感謝の表現に<苦労>がつかわれていることだ。苦労>は和製漢語で、本家の中国では、他にもあるが、<辛苦>が第一番の相当語。

一方<苦労>に相当する適当な英語はない。ざっとチェックしてみると

difficulty; hardship; trouble

がでてくる。hardship がやや近いが<実行が難しいこと、つらいこと>で、hardship を<乗り超える ( to overcome ) >過程が<苦労>、<苦労する>だ。

difficulty は 困難
troubleは 問題。障害 

to do hard work、to work hard は過程なので<苦労>に近い。

一方中国語の辛苦>は、Baike‐baidu (中国版Wiki) の解説では

辛苦 xīn kǔ,原指味道辛辣而苦,比喻艰难困苦,很疲倦的感觉。现多指工作和劳作的感受。辛劳苦累,付出艰辛,用于烦劳别人时表示客气、慰问。 

で最後に、おもしろいことに

<用于烦劳别人时表示客气、慰问>とあり、<ご苦労さまです>に近い用法があることだ。

你辛苦了。または

辛苦你了。

有什么区别?那意思差不多了,你辛苦了,只是对你客气的说你很辛苦了,那辛苦你了,但又包含了一些愧疚和不好意思,还有很感谢你的意思,差别就在这点。

 で後半の説明は

愧疚和不好意思 ー 申し訳ない、

さらには感謝の意になる (很感谢你的意思)。 


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