Wednesday, October 17, 2012

<割り当て>と<分布>について

分布は統計用語だ。さほど頻繁ではないが厳格な意味を意識しないで一般的にも使われる。純中国語か和製中国語かわからないが、和製中国語のような気がする。

1)中国語は<分>は分けるで、<布>は<ぬの>ではなく動詞で公布、布告で使われる<ちらす><まきちらす>の意。
(注)中国語は名詞、動詞の形態上の変化はなく、意味上も名詞、動詞どちらとも解釈できる場合があり、曖昧といいうか融通むげなところがある。

2) 英語は distribution で dis+tribution 。<dis>は discover、dishonest の dis ではなく、disperse、disturb、dispense の dis で<布>に似て<ちらす><まきちらす>の意。tribution の語源はラテン語の tribuo で、辞書によると、to allot、to assign、さらに一般的には to give の意。したがって、 distribution は<まきちらして>+<あたえる>の意。

3)さて純日本語、やまとことばだが、中国語や英語よりも意味をもっとよく表しているものがある。

<分け与える>でもいいが、翻訳調であり。<連用形の体言化><分け与え>はほとんど使わない。もっといいのは<割り当てる>の体言化<割り当て>だろう。<配(くば)る>は<分け与える>に近いが一語だけに意味が、<与える>ほどではないが、一般化しすぎてしている。

a)  分け与え

ある事象の分布を調べるには得られたデータをなんらかの基準にしたがって分ける必要がある(通常グループ化)。各グループに対して分けられたデータ量(数字)が全体の分布を示すが、これを図にすると分布が見やすい。グループ化自体<分ける>作業だが、分布を知るには分けた各グループになんらかの基準で分けたデータを<与える>作業がある。説明は少しややこしいが、作業は単純作業。単純作業だが、得られた結果(分布)は意味がある。


b) 割り当て

ややこしい説明を繰り返すことになるが、<割 り当て>をするためには<分ける>必要がある。<分けた>データは各グループに割り当てられる。よく考えてみれば、<割る>という作業は<分ける>こ とである。このことにはかなり深い意味があり、興味と時間のあるひとは考えてみるとおもしろい。<当てる>は<的に当てる>の行動、作業の意は残っている が、英語の to allot、to assign の意にやや変化している。<振り当てる><振り当て>という言葉もある。

c) <分け与え>と<割り当て>の違い

<分け与え>は各メンバーに同じように分けて与える(等分)印象があるのに対して<割り当て>は何らかの基準にしたがって各メンバーに不等分に分けて与える印象がある。このことからも distribution の大和言葉訳は<割り当て>がいい。

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<割り当て>は統計学的な分布のことはほとんど考えずによく使われており、残したいいいやまとことばだ。


sptt

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