Thursday, May 29, 2014

五感動詞-ふれる、さわる、タッチする


コンピュータワープロでは<ふれる>は<触れる>、<さわる>は<触る>と出てくるが、<触る>は<ふる>とも読めるので、ひらがなの<さわる>の方がよさそう。見る、聞く、嗅ぐ、味わう、と並んで五感動詞の一つだが、五感動詞はむずかしい。

xx が手に触れる - 明らかに自動詞

xx に手触れる

<を>があるので他動詞のように見えるが、あるいは感じられるが、これは<を>をとる自動詞。<を>をとる自動詞では<道を歩く>、<階段を上(のぼ、あが)る>、<橋を渡る>などのいわゆる移動動詞がある。

xx を手で触れる

とも言いいそうが、これは翻訳調で、おそらく間違いだろう。

xx は手で触れられる

とはあまり言わないが、受身ではなく可能になるようだ。受身形がないのいは<ふれる>が他動詞ではなく自動詞の証(あかし)でもある。

それでは<さわる>はどうか?

xx が手にさわる - 明らかに自動詞
xx に手さわる - かなり変だ
xx を手でさわる - よさそう。では他動詞か?
xx は手でさわれられる  - すこし変だが、<私 xx を手でさわられるのがきらいなの>と言う。この場合、受身と言うよりは迷惑、被害。セクシャルハラスメント(セクハラ)だ。
 xx は手でさわれる  - 受身ではなく可能

<触(ふ)れる>、<触(さわ)る> はどうも違うようだ。辞書によると、<さわる>は<ふれる>より行為者の意図が強い。セクハラ裁判で、加害者の罪度合いに関係しそうだ。<ただ触れただけだ>、<いいえ、さわったのよ>。

和製英語まがいの<タッチする>はどうか?

xx が手にタッチする - 少し変だが、自動詞
xx に手タッチする - 変だ
xx を手でタッチする - よさそう。では他動詞か?
xx は手でタッチされる  - 少し変だが、可能ではなく受身形

こうしてみると、<ふれる>、<さわる>は自動詞、<タッチする>は自動詞 / 他動詞両刀使いと言うことになる。<タッチする>は和製英語による混乱と言うべきか、はたまた和製英語の効用と言うべきか。

コンピュータワープロでは、<ふれる>は<触れる>以外に<振れる>が出てくる。一方<さわる>は<障る>(xx に体にさわる、体によくない)が出てくるが<振れる>、<障る>は<タッチする>で置き換えられない。まだ日本語として十分こなれていないというべきか。

<触れる>、<振れる> と書いてしまうと違うように見えるが、耳できけばどちらも<ふれる>だ。物理的にみれば<触れる>時には物質の<振れる>現象が関与している。もっとも、見る、聞く、嗅ぐ、味わう、も物質の振動現象が関与しているようだ。

英語では<触れる>、<さわる>は to touch だが、ドイツ語は日本語に似たところがある。berühren (他動詞)が to touch に相当するが(英語の to touch ほど使用頻度はないようだ) rühren には<振るえる>の意がある。


 sptt


回(まわ)る - 世界を回る。<回る>は特定方向性は低い、またはないが移動性は高い。特殊な方向性だ。<動きまわる>は円周上を動くわけではなく、動きの方向はいわば不定だ。<あっちこっち動きまわる>。だがここでも<を>が使われる。

<震(振)るえる>、<ゆれる>は基本的には<を>がとれない。方向性、移動性とも低い。<震(振)るえる>、<ゆれる>は仔細に見れば<AとBの間を行った り来たり>することで、物理学ではきわめて重要な運動だが、方向性から見ると<まわる>と同じく移動性は高いが特殊な方向性だ。<震(振)るえる>に関連して<触れる>という動詞がある。

触れる - xx に手で触れる、といういい方があり、自動詞扱い。 <xx に手触れる>とも言い、むしろこちらが日本語として自然だ。<xx を手で触れる>とも言いそうだが、これはおそらく英語の他動詞 touch に影響された翻訳調日本語で、純正日本語ではない。といういい方があり、これは他動詞か。移動性は低い。 <触れる>は自動詞。

xx が手に触れる - 明らかに自動詞

(だれだれが)xx に手触 れる - <を>をとるので他動詞のように見えるが自動詞。この場合<触れる>の目的語は<xx>で<に>をとるので間接目的語(必ずしも適当な文法用語 ではないようだ)。<手を>の<を>は上に例のように<で>で置き換えられ、手段、道具を示し、明らかに直接目的語ではない。だが<を>をとるので目的語 のようにも感じられる。

英語では

(だれだれ、単数) touches xx with the hand. (この場合、his hand は間違いだろう)

に なるか。調べていないが他の言語(たとえばドイツ語)ではまた別の表現だろう。<触れる>は、見る、聞く、嗅ぐ、味わう、と並んで五感動詞の一つで、やや 特殊。また<触れる>とにた動詞に<さわる>がある。<触れる>については別のポストで再検討予定。ここでは<を>は<で>で置き換えられることに注目。 ただし方向性は弱い。

また<触れる>は大和言葉では<振(ふ)れる>と同じで<ふれる>のひとつ。、<振(ふ)るえ る>は仲間だ。したがって、感覚動詞の印象が強いが<動き>の動詞でもある。物理的には見る、聞く、嗅ぐ、味わう、もすべて振動に関係している。したがっ て<動く>はきわめて基本的かつ重要な動詞で、しかも自動詞だ。

以上から<を>をとる自動詞は方向性と関係がありそう。 - 別途検討

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