Tuesday, October 2, 2018
加減乗除のやまとことば
加減乗除のやまとことばは、動詞では<足す、引く、掛ける、割る>、体言(名詞)にすると<足し、引き、掛け、割り>で日常よく使い、算数からはなれた慣用ことばも少なくない。一方<加減乗除>の漢字に従えば<加える、減らす、乗(の)せる、除(のぞ)く>となるが、<乗せる、除く>はダメで、 <乗せる>は<上(うわ)乗せする>で<足す>、<除く>は<取り除く>で<引く>になってしまう。<乗、除>はもとの漢語には<掛ける、割る>の意味がある、あったかもしれないが、調べていない。
加減乗除(足す、引く、掛ける、割る)の答(結果)にも漢語がつかわれ<和、差、積、商>で教科書に出てくる。 <和、差>はいいが<積、商>、特に<商>日常ではほとんど使わない。<和(わ)>は<和をもって貴(とうと)しとなす>でやまとことばのように聞こえるが漢語由来だ。 現代北京語では<he>(四声無視、<e>は<エ>ではなく曖昧(あいまい)母音の<ゥ>)だが、広東語では<wo>と発音する。 一方<輪)わ)になる>の<輪(わ)>はやまとことばだ。<和、差、積、商>の適当なやまとことばは見当たらないが、なくても日常生活ではそれほどこまらない。大げさだがつまりは数学用の特殊な専門用語と言える。これは英語でも同じようなことが言え、
和: sum
差: difference
積: product
商: quotient
積: product、商: quotient はなじみの薄い語となる。加減乗除の英語動詞(名詞)は
足す: to add (addition)
引く: to subtract (subtraction) to deduct (deduction) でもいいようだがが数学では to subtract (subtraction) が使われている。
掛ける: to multiply (multiplication)
割る : to divide (division)
で特殊用語ではないがややあらたまった語だ。
複合動詞
<足し加える>はあまり聞かない。<足し増す>はいい。
<引き減らす>もほとんど聞かない。<引き抜き減らす>は長すぎる。
<掛け乗せる>、<掛け加える>もほとんど聞かない。<掛け増す>は理にかなっているが、これもほとんど聞かない。
<割り除く>もほとんど聞かない。<割り引く>は<割った分を引く>で理にかなっている。 <割り減らす>は理にかなっているが、これもほとんど聞かない。
<引き除く> もほとんど聞かない。
その他慣用的な言い方では
足し引き - <足し引く>という動詞も可能。
差し引き - <差し引く>も可能。意味は<引く>とほぼ同じ。
掛け引き - この意味の<かけひく>という動詞はない。ワープロでは<駆け引き>と出てくる。
割り引き、割り引く(上述)
割り増し - 割った分を増す
上乗せ - 掛け算と言うよりは足し算だ。<割り増し>に近い。
つけ足す -<つけ>は<加える>の意がある。
<引き離す>は<引く>の意にならない。物理的な<引く>の意が残ってしまうのだ。<引きつける>も物理的な意味だ。
<割る>は<分ける>でもあるが、正しくは<等しく分ける(等分)>だ。<割る>と余りが出たり、分数になったりする。一方分数を掛けることは<割る>ことになるので<掛ける>が常に<増える>ことではない。これは負数(マイナス)を足すと<引く>になるのに似ているが、<負数(マイナス)を足す>はかなり高度な数学的な技(わざ)だ。<掛ける>も見方を変えれば<同じモノ(数字)を何度も<足して>いくことなので、少なくとも<足す、引く、掛ける>は<足す>でまに合うことになる
足し合わせる
掛け合わせる - 掛け算にはならず<足し合わせる>とほぼ同じ意味。
言葉の方はかなり<いい加減>だ。
上で<和、差、積、商>の適当なやまとことばは見当たらない、と書いたが、よく探してみると
和: 足し合わせ
差: 違い
積: 掛け合わせ (これは<掛け算>の意味をもたせられるようだ)
商: 割り分けまえ (<分けまえ>だけでは等分にならない)
が可能だ。<違い>は一語ですっきりしているが、その他は複合(合成)動詞になる。
<割り切る>、<割り切れない>はよく使う。行動につながる決心は<割り切り>と言える。<割り切らない>は<決心しない>でいいが、<(なにか)割り切れない>は<(なにか)納得がいかない>の意になる。逆に<(これで)納得がいく>を<(これで)割り切れる>とはあまり言わない。
sptt
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