Tuesday, January 21, 2020

うごき


<動き>、<流れ>は簡潔でいいやまとことばだ。この簡潔さと意味の広さ、深さは

動くこと
流れること

と対比できる。前回<はたらき>をとりあげたが

働(はたら)く - はたらくこと - はたらき

まだまだある(いくらでもある)

走る - はしること - はしり
歩く - あるくこと - あるき  (あゆむ - あゆむこと - あゆみ)
運ぶ - はこぶこと - はこび
滑(すべ)る - すべること - すべり
振れる - ふれること - ふれ
回(まわ) - まわること - まわり
効(き)く  - 効くこと - 効き (効きがいい)
休(やす)む - やすむこと - やすみ
変わる - かわること - かわり
遊ぶ - あそぶこと - あそび
すわる - すわること - すわり
まがる - まがること -まがり  (まげる - まげること -まげ)

<相撲用語>
押す - 押すこと - 押し
引く - 引くこと - 引き
倒す - 倒すこと - 倒し
投げる - 投げること - 投げ
まわす - まわすこと - まわし

(追加予定)

さてここでは前々回の<ちから>、前回の<はたらき、しごと>で物理、力学が出てきたのでやまとことばの<動き、うごき>、もこのように検討してみる。

<うごき>、<うごく>の慣用的な言い方

うごきがいい、わるい
うごきが速い、にぶい、のろい
うごきがとまる

うごきを止める、封(ふう)じる

こころの動き
世の中のうごき

<うごく>

うごき出す
うごき始める (<うごき終わる>は<止まる>だ)
うごきまわる

テコでもうごかない
 ゆれうごく

(追加予定)

英語の<うごき>は movement、motion のほかに動詞 to move をそのまま使った (a) move (to make a move) がある。これは英語の大きな特徴。

カメラメーカーの宣伝文句だと思うが<動きをとらえる>というのがある。<一瞬の動きをとらえられる高性能カメラ>といった宣伝文句だろうが、いい表現だ。

物理用語に<動き>があってもいいと思うが、motion が<運動>で力学用語のようだが容易に体育の運動が連想されしまう。<ニュートンの運動方程式>というのがある。

Wiki


ニュートンの運動方程式英語:Newtonian Equation of motion)は、非相対論的古典力学における一質点の運動を記述する運動方程式のひとつであり、以下のような形の2階微分方程式である。
m{\boldsymbol  {a}}=m{\frac  {{\mathrm  {d}}^{2}{\boldsymbol  {r}}}{{\mathrm  {d}}t^{2}}}={\boldsymbol  {F}}
ここで、mは質点の質量、{\boldsymbol {r}} は質点の位置ベクトル\boldsymbol{a} は質点の加速度\boldsymbol{F} は質点にかかるt は時間である。\boldsymbol{F}, \boldsymbol{a}はベクトル量、mスカラー量



これは前々回の<ちから>、前回の<はたらき、仕事>で何度か使った。

{\boldsymbol {r}} は質点の位置ベクトル>なので{\boldsymbol {r}} もベクトル量のはずだが、これだけではわかりにくい。ベクトルは<強さと方向を持つ>と記憶しているが。Wikiの解説<ベクトル>では数学の定義の一つとして


大きさ向きを持った。有向線分として捉えることができる。



とある。これを応用すると<方向を持った距離(大きさ)>ともいえる。

力がモノに<はたらく>とモノは時間の経過とともに<動き>、移動する。だがこれは間違いで(慣性の法則がある。だが実際にはたいていは抵抗があるので、ちからが必要だ)、力がモノに<はたらく>とモノは時間の経過とともに<動きが変化する>、移動するモノが移動した<大きさ>は距離と言える。<何かを動かし始めるたり、変化させる>には<ちから>が必要なのだ。反対に<<動き>が止まると<ちから>を生む。超高速で飛んでいる質量が大きい(重い)ジェット機が墜落して<急に止まると>大きな<ちから>が生まれてジェット機は破壊する。

(抵抗があるとして)モノが移動した<大きさ>が距離で距離は結果と言える。

ちから - ポテンシャル  (これは<ちから>のポストで書いた。これに対し距離は

距離 - 結果

と言えないか。では<動き>はなにか?ポテンシャルと結果の中間のような気がする。だがそう簡単ではない。<動いている>とはごく普通に言う。だが言葉上は

ちからを出している、ちからが出ている
距離がでている  - 距離を出している

という言い方もできる。現在進行形にすると

ちからが出ていて、(モノは)動いていて、距離がでている。

少し変だが、高性能カメラではうつらないが、力学的に<動きをとらえる>とこうなる。

平叙文で言い換えると

ちからが出て、(モノは)動いて、距離がでる。

仮定文、説明文にすると

ちからが出ると、(モノは)動いて、距離がでる。

もおかしくはない。

話が<どうどうめぐり>になってきているのでそろそろやめる。

スチル写真や絵画は停止した美だが、<動き>の美もある。<動き>の美は<流れ>の美でもある。これまた中途ハンパだが、これでとりあえず<動き(うごき)>のポストを終える。実際のところ<動き>はとらえにくい代物か?どんどん動いて行ってしまうのは確かだ。



 sptt

Saturday, January 18, 2020

はたらき、しごと


前回のポストでやまとことばの<ちから>について書いたので(中途ハンパだが”<ちから>はポテンシャル>”というのが結論)、関連語の<はたらき>、<しごと>について考えて見る。関連というのはもちろん<ポテンシャル>に関連するものだ。

はたらきに行く
仕事に行く
つとめに行く

は大体同じような意味で<はたらき><仕事(しごと)>、<つとめ>はいずれもやまとことばだ。<仕事>は漢字でみると漢語のようだが<仕(し)>は変格活用の<する>由来だ。

し-ない
し-て(し-ます)
する
する-とき、ところ、こと
せ-よ

で<こと>は体言(名詞)なので連体形の<する>がついて<すること>になるはずだが、<連用形+体言(名詞)>の言い方はある。

連用形+体言(名詞)

読むとき - 読みどき
行くとき - 行きどき
行くところ - 行きどころ
寝るところ - 寝どころ
休むところ - 休みどころ
休むとき - 休みどき

まだまだあり、文法法則は一般化できるがここでは省略。これにならうと

すること - しごと

はともに文法法則違反ではない。意味はどうかというと<別のところで(sppt Notes on Grammar の方)書いた>のを思い出すと、<xxべきとき、ところ>の場合に<連用形+体言(名詞)>になることが多い。一方<連体形+体言(名詞)>は中立的な意味だ。

だが今回発見したが、<xx こと>の場合は様子が違う。

賭(か)けること - 賭けごと
作(つく)ること - つくりごと
なやむこと ‐なやみごと
こまる - こまること - こまりごと
ならうこと - ならっていること - ならいごと
秘(ひ)めること - 秘めごと
もめること - もめていること - もめごと
わらうこと - わらいごと (<わらいごと>ではない)

<ならいごと>を除くとなぜか<わるい、否定的>な意味だ。文法法則は一般化できるがここでは省略。これにならうと

だが<しごと>の場合は<すべきこと>の意でいいだろう。だが意識的には<しごと=すべきこと>がうすれてしまっている。

仕事がら
仕事口(ぐち)
仕事探し
仕事先
仕事中
仕事づくめ
仕事一筋
仕事の鬼
仕事にならない

<はたらき>は<はたらく>の連用形の体言(名詞)用法。<仕事>にくらべて純やまとことばの感じが強い。ふつうは自動詞だが他動詞用法もある。

はたらきがい(がある) <仕事がい>はダメだ。<しがい>はいい。
はたらき口(ぐち)
はたらき手
はたらき蜂(ばち)、はたらき蟻(あり)
ともばたらき

脳のはたらき
はたらき
はたらき
脳の、頭の、胃はたらきがいい、わるい

<はたらく>

やすみなくはたらく
一生懸命はたらく
はたらかぬもの食うべからず
花子はよくはたらく。
太郎はよくはたらかない。(これは何か変だ。)

なぜか基本的には<よい、肯定的>な意味だ

他動詞用法

盗(ぬす)みをはたらく
悪事をはたらく

これはなぜか<わるい、否定的>な意味だ

<はたらく>は英語の to work もそうだが、<効く>、<効果>があるの意がある。

英語の to work (it) out という表現がある。日本語にはないが、辞書では to solve, to resolve で<問題を解決する>といった意味になるが、実際には<結果、対策、答えを出す(out)とするために一生懸命はたらく>といった意味で、英語らしい表現の一つ。


<つとめ>は<つとめる>の連用形の体言(名詞)用法 。<つとめる>はいくつかちがった意味があるが、<すべきことをする>の意もある。

おつとめ(ごくろうさまです)
つとめ口(ぐち)
勤め先

さて前回のポスト<ちから>で冒頭で三省堂の辞書(新明解国語辞典、第6版)の解説を引用したが、ここでも<新明解国語辞典、第6版>の解説をみてみる。



<はたらき>


そのものがその能力をフルに使ってなにかをはたすこと。



<はたらく>


1)頭、体を使って仕事をする。
2)行動にかりたてるなんらかの精神作用が発現する。
3)そのものが他に影響を与える作用をする。


 

<そのものがその能力をフルに使ってなにかをはたすこと。>は細かいこと言うと<はたすこと>は微妙で<はたしたこと>ではない。だが<する、行(おこな)う>よりは<期待している、されている結果>に重点が置かれている見ることができる。これが<はたらく>は<なぜか基本的には<よい、肯定的>な意味だ>と関連がある。


物理用語の<仕事>。

やまとことばの仕事(しごと)は物理用語にある。理解しても記憶からすぐなくなるので印象がうすい。 Wikiの解説をコピーすると、


物体に力 F が作用し、その位置が Δx だけ変化したとき、力 F がこの物体に対してした仕事 W
W={\boldsymbol  {F}}\cdot \Delta {\boldsymbol  {x}}
によって定義される。力 F と変位 Δxベクトル量であり、仕事はその内積で与えられるスカラー量である


とある。よくわからないというか、記憶にに残らないのはこれが<定義>だからだろう。また<力 F>と<変位 Δx>がわかっていないといけない。さらには物理用語でない、上で書いたような日常生活の<仕事>とほとんど関係がないからか。 推測だが、英語の物理用語 Work も同じような状況(よくわからないというか、記憶にに残らない)ではないだろうか。<変位>は英語で Displacement というが移動の意味合いが残っている。Wikiによると中国語では<移位>または<>というようで、これまた移動の意味合いが残っている。文字通りでは<位置の移動>だ。<位置の移動>をやまとことばにすると<いどころ移り>とでもなるか。

力(ちから) -> 動(うご)き -> 変位(Displacement)

直観的には

あるモノに力が<はたらいて>動くと(<動き>が生じると)、そのモノの位置(いどころ)は移る。

たとえばA点からB点へ移る。AとBの間が距離だ。重要なのは、当たり前のことだが、時間が経過していることだ。力があっても時間が経過しないとこの距離は出てこない。 問題は<動き>で、これを速度(大きさと向きをもったベクトル量)とすると、速度は距離の時間微分なので、これまた時間が経過しないとゼロ(0)。速度がゼロだと距離は出てこない。もっとも F = ma なので、右から左をえると、速度がゼロだと加速度もゼロなので<ちから>が出てこないことになる。

 F = ma

時間で積分すると

F (ちから)の時間積分結果 = mv  (v は速度)

という関係がある。これは Momentum (運動量)という。

速度は距離の時間微分だが、細かく言うと上の<変位>の時間微分。

繰り返しになるが


物体に力 F が作用し、その位置が Δx だけ変化したとき、力 F がこの物体に対してした仕事 W
W={\boldsymbol  {F}}\cdot \Delta {\boldsymbol  {x}}
によって定義される。力 F と変位



で、言い換えると物理の<仕事>はF(ちから)と距離(変位)をかけたものだ。(これまた正確に言うと<x>はドット積(ベクトル用語、距離に方向を加味したともの)。

仕事 = 力 x 距離

<力仕事(ちからしごと)をすれは距離が出る>ならなんとなくわかるが、この式を変えると

 仕事
--- = 距離
 力

で仕事を力で割ると距離がでる、というこになる。これでますますわからなくなる。

さらに数式をつかうと


仕事 = 力(m x 速度の時間微分 x 距離(変位=速度の時間

    = (m x 速度の時間微分) x 速度の時間

積分は微分の逆の操作なので、

仕事 = m x 速度

で運動量(Momentum)になる。仕事と運動量の違いは運動量はポテンシャル、仕事は時間が経過し<ちから>を使った結果、ということか?

   
<ちから>に続いてこれまた中途ハンパだが、次回のポストでやまとことばの<うごき>について考えてみる。



 sptt

Tuesday, January 14, 2020

ちから


<ちから>は世の中の<動きのもと>(原動力)、世の中を動かすおおもと、みなもとで、やまとことばの最重要語のひとつだろう。手もとの三省堂の辞書(新明解国語辞典、第6版)では


それ自身のいとなみとしてそのものが持続したり、変化したりする(そのものが他のものに影響や変化を与える)作用を可能にしている根源だと考えられているのもの。



という日本語離れした解説だ。苦心のすえの解説だと思うので批判はしないことにする。

<ちから>の熟語、慣用句を思いつくまま並べてみよう。

ちからいっぱい
ちからおよばず
ちからくらべ
ちからしごと
ちからずく(づく)
(お)ちからぞえ
ちからだめし
ちからつきて
ちからづよい
ちからなし(に)
ちからまかせに
ちから水(すもう)
ちからもち

くそぢから
そこぢから
バカぢから

ちからのかぎり
愛のちから
カネのちから
ことばのちから

ちからをあわせる
ちからを入(い)れる
ちからをおよぼす
ちからをかける
ちからをかす(貸す)
ちから をくじく
ちからをこめる
ちからをそぐ
ちからをそそぐ
ちからを出す、出しおしむ
ちからをためる
ちからをつくす
ちからをつける
ちからをひめる
ちからをふるう (ちからを発揮する)
ちからを見せる、見せつける

ちからがあまる(ちからあまって、ちからのあまり)
ちからがある、ない
ちからがたりない
ちからが出る、出ない
ちからがぬける
ちからがわく

ちからになる、ならない
ちからにまかせて (ちからまかせに)

(追加予定)

熟語、慣用句の方はかなりこなれた日本語だ。意味内容で分けられると思うが、ここではとりあえず省略。

<ちから>は英語では force が一番近い。純英語のようだが、イタリア語では forza というのでラテン語由来だろう。自然界を動かす根源である force の正体を

F = ma (質量x加速度)

と分析したのはニュートンで、人類の歴史上の最大の発見の一つだろう。加速度は速度の変化率のことで、速度は(m が動いた(F が m を動かした))距離を時間で割ったもの。<ちから>は漢語では<力>で、動力(これはありそうであまりきかない)、電力、水力、火力というが、これらは英語では force ではなく power だ。

<パワーがある>とも<力(ちから)がある>ともいうが使い分けがあるようだ。漢語になってしまうが<電力、水力、火力>のついでに

力学、流体力学、熱力学
電力 / 水力、火力、原子力、風力(発電)、磁力(線)
重力、引力、圧力、弾力、応力
体力、眼力、聴力、抵抗力、回復力
知力、観察力、理解力、分析力、統合力
総合力
経済力、政治力、権力、勢力
軍事力、暴力、防衛力、守備力
統率力(リーダーシップ)
実行力、行動力
努力
活力、生命力
反発力、吸収力
耐久力、持続力
実行力

<力>は<りき>とい言い方もある。

自力(じりき)、地力(じりき)
力士(りきし)

(追加予定)

いくらでもありそうで、物理学、自然、経済、政治、社会、生活と多岐にわたって<力>が使われている。したがって<力>がわかれば(理解を深めれば、見方を多様化すれば)世の中がよく見えてくることになる。残念ながら以上の<力>は漢語で<ちから>ではなく<りょく>と読み発音する。また以上の<xx力>を英語に訳すと、xx force、xx power になるとは限らない。おもしろいが英語の話はここでは深入りしない。使われ方をみると、やまとことばの<ちから>は漢語の<力(りょく)>に比べかなり劣勢だ。

<能力>は<できる力>だ。英語では ability とか capability に相当。上の辞書の解説に<作用を可能にしている根源>とある。

運動能力、探知能力、発電能力

これもいくらでもありそう。

英語の power も何だかよくわからない。 電力は水力(水のちから)、火力(火のちから、これは正確には蒸気発電、蒸気のちからか)、風力(風のちから)とは違う。電力発電はナンセンス。電力は<電気のちから>だが Electrical Force ではなく Electrical Power (略号:P)となる。電気のちから(電力)でモータを回して回転力(回しぢから)を得ることができる。英語では Electrical Power ではめんどうなので状況で誤解をまねかなければ Power だけで電力になる。電力は<電気のちから>でもいいようだが<電気のちから>という言い方は使われ方はかぎられている。

何だかよくわからない power (パワー)だが、ラテン語系のイタリア語が参考になる。 Power の語源は調べていないがはラテン語系統ではないだろう。

Collins English-Italian Reverso Dictionary

power

    a      (physical strength, also)      (fig)   forza  ,   (energy)    energia,   (force, of engine, blow, explosion)    potenza,   (of sun)    intensità,   (electricity)    elettricità

    b      (ability, capacity)    capacità    f inv  , potere    m     ,   (faculty)    facoltà    f inv  
    mental powers      capacità    fpl   mentali  

    c      (Pol, authority)   potere    m  , autorità    f inv    
      (もっと詳しくは末尾参照)

      つまりは power を power という言葉を使わないで説明していることになるわけだが、

      a) ちから、エネルギー、ポテンシャル、強さ、電気
      b) 能力(できること)
      c) 権力

      と説明している。a) は分類しないといけない。

      power = forza (ちから)

      <パワー>と<ちから>は同じではないのでイタリア語でも混乱しているというか、区別はあいまいなようだ。<エネルギー>はこれまたなんだかよくわからない。

      potenza がよくわからないが、potenza は動詞 potere の名詞形だ。 potere は英語の助動詞 can に近い。ただし potere は名詞としてもつかわれる。(末尾参照)

      intensità はほぼ intensity の意で

        (gen, Fis)   
      intensity  ,   (del vento)    force, strength(つよさ)

      日本語では<ちから>と<強さ(strength)>の区別があるが、中国語では<強さ(strength)>も<力>であらわすようだ。たとえば紙袋、ロープ、さらにはヒトなどの耐久力は<強い、弱い>ではなく<力がある、力がない>であらわす。また power は中国語では<功率>という。訪問先の中国工場で電源製品の規格書で<功率>が出てきて、日本語の効率で解釈してわけが分からなくなった経験がある。そして相手に言わせればトンチンカン ”この<功率>とはなのか?” という質問をしたが回答、説明はなかった。トンチンカンなやつ、変な日本人だと思ったのだろう。中国語の<功率>とはどういうことか?

      Wiki中国語版


      功率(英語:Power)定義為能量轉換或使用的速率,以單位時間的能量大小來表示,即是作功的率。



      能量はエネルギーのこと。Power は Energy の時間微分(極限微小時間ごと変化率)で、エネルギーの使用効率ではなく<エネルギーの使用速率>と理解しておく。

      elettricità はほぼ electricity の意。日本語では<電気>に相当が、上記のように英語では Power は電力になる。

      末尾に例句があるがイタリア語では、場合により current (corrente) 電流が power 電力の意になるようだ。

      to cut off the power        (Elec)   togliere la corrente  
      the power's off      la corrente è staccata    


      正確さは別として、水の流れを連想すると、目に見えない power 電力よりも具体的だ。

      日本語の例でも

      (お)ちからぞえ  
      ちからをかす(貸す)
      からになる 

      などの表現があるが、これは<助け>に相当する。末尾の英語例文では

      it is beyond his power to save her      non può far nulla per salvarla  
      to do all in one's power to help sb      fare tutto quello che si può per aiutare qn

       という言い方がある。
       

      さてやまとことばの<ちから>にもどって<ちから>は

      ちからもち
      ちからを出す、出しおしむ
      ちからをためる

      で言葉上は<もつこと>、<出すこと>、<出さないこと>、<ためること>ができるしろものなのだ。一方

       ちからを出す(他動詞)

      とも

      ちからが出る(自動詞)

      ともいう。

      これはよくわからない<ちからの正体>をかいま見させる。

      ちからを出そうとしても ちからがで出ない。

      という方があるので、<ちから>はコントロールできないしろもののようだ。 また基本的には<ちから>は<でる>、<でてくる>もののようだ。

      では何が<ちからを出させるのか?>、何が<ちからが出るように>にするのか?冒頭の辞書の解説のように<ちから>は<動きのもと、おおもと、みなもとで>なので、この問いは<動きのもとのちからのもとは何か>という問いになる。パワー、エネルギーという言葉を使うと

      ちからのもとはパワー。そしてパワーのもとはエネルギー。

      具体的には

      腹が(極端に)へるとちからが出ない。

      のは事実だ。これは

      腹が(極端に)へるとちからを出すパワーがない。

      とも言えそうで、これはさらに

      腹が(極端に)へるとエネルギー不足で、パワーがないので、ちからが出ない。

      で何となくよさそうだが、パワーもエネルギーもやまとことばではない。また

      ちから = パワー(power) = エネルギー (上記の英語-イタリア語ネット辞典)

      とすると

      <ちから>のもとは<ちから>で、そして<そのちから>のもとは<ちから>だ。

      となってナンセンスだ。

      さて

      P = V(電圧) x  I(電流)

      という公式、等式がある。この式は理解しにくいところがある。実はこのポスト<ちから>を書きはじめたのはこのためだ。したがて、これまでは前置きで、これからが本番。繰り返しになるが<作用を可能にしている根源>が参考になる。

      V(電圧)はポテンシャルで、<作用>ではなく<作用を可能にしている根源>ともいえる。 I(電流)の方はわかりにくく、<根源>にさかのぼると

      Wikiの解説


      定常的に流れる電流 I は次のように計算できる。
      I = {Q \over t} \,
      ここで、Q は電荷、t時間である。このとき電流の流れる向きは、電線に沿って正の電荷が流れる方向と定められる。
      より一般的に表すと、ごくごく短い時間 dt に流れる電荷量を dQ とすると次のように表される。
      I = \frac{dQ}{dt} \,
      ここで電荷 Q は電流計によって電流量を測定した区間を流れた電荷の量を表し、(後略)



      (sptt注<電荷 Q は電流計によって電流量を測定した区間を流れた電荷の量を表し>は< Q は電流計によって電流量を測定した区間を流れた電荷の量を表し>とすべきだろう。もっともこの説明自体よくわからない。英語版は<More generally, electric current can be represented as the rate at which charge flows through a given surface>で電流計も区間も出てこない。)

      <定常的に流れる>とは<一定(不変)>とういうことで、こまかいことをいえば実際には起こりにくい。二番目の式は<微分(方程)(等)式>で<より一般的に表すと>こうなる。つまりは、実際には起こりにくい<一定(不変)>ではなく、常に変わる場合にも適用できる。<一定(不変)>でもいいので一般化が進んでいることになる。二番目の式はダイナミックな変化状態をあらわせるのだ。微分もニュートンが発明(発見か)したことになっているので、ニュートンの偉大さがわかる。F = ma も<a(加速度)>は<速度の微分>なので<微分(方程)(等)式>なのだ。さて I(電流)にもどると

      Q(チャージ、電荷)を時間(t)で割ったもので、時間が関係している。ゼロでは割れないので、時間が経過しないと(t = 0) I(電流)はナンセンスになる。一方<微分(方程)(等)式>の方はナンセンスではなく、微分は値(この場合はQ)に変化がないと結果はゼロになるので I(電流)はゼロといえる。

      よくわからないが、 I(電流)は、ポテンシャルなV(電圧)にくらべ、実行、実施(to carry out という英語表現は<電荷を運んでいる>感じがある)、作用に関連しているようだ。最初の式にもどって

      P = V(電圧) x  I(電流)

      この式は本来<P と V と I の関係式>なのだが、直観的に電圧がないと電流はない、出てこない、と言えそう。そして逆の場合の<電流がないと電圧がない、出てこない>は考えにくい(注)。 数学では、トリッキーだが、等式は<xxというわけでという理由や原因はなく、こういう関係にあると定義する>場合が少なくない。この等式もそう考えた方がよさそう。電圧と電流の単位は違うのだ。V(電圧)の単位はV(ボルト)で、

      Voltage = Energy / Charge

      という関係がある。

      一方 I(電流)の方は単位はA(アンペア)で上述のように

      Current = Charge / time

      という関係がある。

      したがって

      P(電力)= V(電圧) x  I(電流) =(Energy / Charge)x(Charge / time)

      P =Energy / time

      となる。 P(電力)とエネルギーの関係等式だ。Wikiの Electric power の解説


      Definition (定義であることに注意)
       
      Electric power, like mechanical power, is the rate of doing work, measured in watts, and represented by the letter P. The term wattage is used colloquially to mean "electric power in watts." The electric power in watts produced by an electric current I consisting of a charge of Q coulombs every t seconds passing through an electric potential (voltage) difference of V is

      P={\text{work done per unit time}}={\frac {VQ}{t}}=VI\,
      where
      Q is electric charge in coulombs
      t is time in seconds
      I is electric current in amperes
      V is electric potential or voltage in volts

      おそらく work (仕事、物理用語)が何だかよくわからないだろうが、こういう定義(VQ)なのだ。

      P =Energy / time

      この式は

      P(電力)はエネルギーとみなしていい。違いはP(電力)は時間当たりのエネルギー量で、時間が実際に経過しないとエネルギーにならないのだ。ある意味ではポテンシャルと言える。したがって、P(電力)はまだ出ていな、出していない<ちから>。一方エネルギーの方も時間に関係しているが

      Energy = Power x time

      で Power すなわち<ちから>に変わりはない。違いはエネルギーは出そうとすれば Power という時間(あたりの)割合(time rate)で出てくる<ちから>を<足し合わせた><ちから>なのだ。<出そうとすれば>は肝心で、ださなければ、エネルギーもポテンシャルなのだ。

      以上から

      ちから、パワー、エネルギー ともすべてポテンシャル。

      ということができる。 このことから

      腹がへるとちからが出ない。
      腹がへるとパワーが出ない。
      腹がへるとエネルギーが出ない。

      は同じことをいっていることになる。パワーやエネルギーという外来語がなくても<ちから>でまにあうだろう。上に<実行力>を書いたが、<実行力>も実行しないうちはポテンシャルにとどまる。その他の<xx力>、<xx能力>もみなポテンシャルだ。

      ところで食べ物にはカロリーがある。カロリーはエネルギーの単位で

      1 cal = 4.184 J 

      ヒト(動物)の<ちから>のもとは<熱エネルギー>か?



      末尾

      Collins English - Italian Reverso

      power

        
      1       n  
      a      (physical strength, also)      (fig)   forza  ,   (energy)    energia,   (force, of engine, blow, explosion)    potenza,   (of sun)    intensità,   (electricity)    elettricità
      to cut off the power        (Elec)   togliere la corrente  
      the power's off      la corrente è staccata  
      the ship returned under its own power      la nave è tornata con i propri mezzi  
      more power to your elbow!      fam   dacci dentro!  
      nuclear power      energia nucleare  
      solar power      energia solare  
      b      (ability, capacity)    capacità    f inv  , potere    m     ,   (faculty)    facoltà    f inv  
      mental powers      capacità    fpl   mentali  
      it is beyond his power to save her      non può far nulla per salvarla  
      to do all in one's power to help sb      fare tutto quello che si può per aiutare qn  
      the power of speech      la facoltà or l'uso della parola  
      powers of persuasion/imagination      forza di persuasione/immaginazione  
      c      (Pol, authority)   potere    m  , autorità    f inv     
      the power of the Church      l'autorità della Chiesa  
      that is beyond my power(s)      questo è al di là dei miei poteri  
      to have power over sb      aver potere su qn  
      to have sb in one's power      avere qn in proprio potere  
      to be in sb's power      essere in potere di qn  
      to be in power      essere al potere  
      the Tories were in power for 18 years      i conservatori sono stati al potere per diciotto anni  
      to come to power      salire al potere  
      the power behind the throne      l'eminenza grigia  
      the world powers      le grandi potenze  
      the powers that be      le autorità costituite  
      the powers of darkness or evil      le forze del male  
      d      (Math)   potenza  
      7 to the power (of) 3      7 al cubo or alla terza  
      e    fam, a lot of   it did me a power of good      mi ha fatto un bene enorme  
      2       vt   azionare  
      plane powered by 4 jets      aereo azionato da 4 motori a reazione  
      nuclear-powered submarine      sottomarino a propulsione atomica  
      3       adj     (saw, also, Elec, cable)    elettrico (-a)     ,   (supply, consumption)    di energia elettrica


      (注)<電流がないと電圧がない、出てこない>は考えにくい。直観的にはこうだが、電気回路で二つ以上の抵抗による電圧分割(Voltage Divider)というのがあり、これは電流がないと起こらない。


      sptt