Monday, March 16, 2020

縦横(たてよこ)の横(よこ)の語源


波(なみ)関連のやまとことばを調べているが、縦(たて)波、横(よこ)波というのがある。波はよく見るとふしぎな現象で、目に見えない波を含めると自然界のすべての現象に関連している。池や水たまりに小石を投げたときにできる波をじっくり観察すると縦(たて)波、横(よこ)波がある。時間の経過とともに周期的に動くのが大きな特徴。

縦(たて)波の<たて>は<立つ>由来だろう。では横(よこ)波の<よこ>の語源は何か?これはどこかで書いたが、中国語の<横>は主に<よこしま(邪)>の意で使われ、<左右>の<横>の意ではああまり使われない。やまとことばの<横、よこ>の語源はおそらく<よける>だろう。そしてこのもとの語は<よく>だろう。同じような意味の言葉を探してみる。

よける <- (よく)
さける <- (さく)
にげる <- (にぐ)
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のける <- のく
どける <- どく (関東方言か?)
のがれる <-(のがる) <-(のぐ)
しのぐ <-(し+のぐ)
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よせる <-(よす)

<よける><さける>場合は大体<横><横斜め>に動く、動かす。 <よせる>は意味がずれるが<横><横斜め>に動く、動かすことが多いようだ。<にげる>場合は大は後ろにさがる。<逃げまわる>は文字通りでは<斜めに動き続ける>。また<にげる>は自動詞で<xx からにげる>。一方<よける><さける><よせる>は他動詞で<xx をよける、さける、よせる>。

<動く、動かす>と書いたが<よける><さける><よせる>は他動詞だ。これは

(自分の身を) xx から<よける><さける>
(自分の身を)<よせる>

場合は<動く>になり、日本語の隠れた再帰表現といえる。

のける <- のく
どける <- どく 

は<そこのけ、そこのけ>の意味は

そこからのけ、そこをのけ、

が可能で自動詞、他動詞兼用となる。だがこれも

 そこから(その身を)のけ

と考えれば、あるいは無意識的にそう考えた発話と見れば<他動詞の再帰表現>‐>自動詞、となる。

<のがれる>は<危機から逃れる><危機を逃れる>で自他兼用のようだが、これまた

(わが身を)危機から逃れる

と無意識的にそう考えた発話と見れば<他動詞の再帰表現>‐>自動詞、となる。


sptt

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