Saturday, August 7, 2021

発生、出現のやまとことば -出る、創造のやまとことば-出す

 

<創造のやまとことば>はかなり前のポストで


<出す>、<出る>は創造関連のやまとことばが多い。

作り出す、生み出す、描き出す(絵画、小説)、彫(ほ)りだす(彫刻)、 考え出す、紡(つむ)ぎ出す(比喩)、引き出す(比喩)(特徴を引き出して描き出す)、打ち出す(比喩)(新機軸を打ち出す)

と書いた。<出す>、<出る>についてもう少しチェックしてみる。日本語では<xx 出る>、<xx 出す>という複合動詞がけっこうあり、<xx 出る>は<現れる>で現象、<xx 出す>は<創(つく)り出す>で創造が予想される。複合動詞をチェックしてみる。

<でる xx>

<出る>の連用形は<で(て)>なので<出(で) xx>となる。<出る>は基本的に自動詞。

出会(あ)う ‐ 出会い
出歩く
出かける
出くわす
でしゃばる
出直(なお)す
出っぱる
出払(はら)う
(出もどる) - 出もどり

<xx 出る>

浮き出る - 自動詞
おどり出る  - 自動詞
つきでる - 自動詞。<つき出す>は自動詞他動詞兼用。意味は違う。
溶け出る - <溶けだす>も自動詞
飛び出る - 自動詞。<飛び出す>も自動詞。
にじみ出る  - 自動詞。<にじみ出す>も自動詞。
抜け出る - <xxから抜け出る>で自動詞、<xxを抜け出る>で他動詞。<抜け出す>も可能で<xxから抜け出す>、<xxを抜け出す>。
まかり出る - 自動詞
申(もう)し出る - 他動詞
漏(も)れ出る

 (追加予定)

 <出(で) xx>、<xx出る>の複合動詞は驚くほど少ない。調べたりないのか?これでは予想していた<xx 出る>は<現れる>で現象、の説明はできない。どうなっているのか?複合動詞にこだわらなければ

足が出る - 比喩的用法。相撲では<足が出る>と負けだ。
あくびが出る
頭がでる - モグラは頭が出るとたたかれる。<出る杭(くい)は打たれる>の現代版だ。私は<出る釘(くぎ)は打たれる>と思っていた。釘は頭があり、頭をたたく方が内容に合っている。<頭かくして尻隠さず>という言い方がある。
味が出る
汗が出る
大水(おおみず=洪水)が出る

我(が)が出る
風が出る
熊が出る
雲が出る
げっぷが出る
元気が出る (元気を出す)

災害(火災)が出る - 災害が発生する、災害が起きる
(事故が出る) - 事故が発生する、事故が起きる
死者が出る
しっぽが出る - <しっぽを出す>が普通。
しゃっくりが出る
咳(せき)が出る 月が出る

力(ちから)が出る
手が出る - 比喩的用法。すぐ手が出る。<手を出す>という言い方もある。

火が出る
屁(へ)が出る
ヘビが出る

波が出る
涙が出る

バスが出る
鼻水が出る
腹が出る
火が出る
病気が出る
船が出る
星が出る
骨が出る
ボロが出る
本根が出る

芽が出る

やる気が出る (やる気を出す)
勇気が出る (勇気を出す)

以上は<xx から出る>としていなが、基本的には<xx から>を足すことができる。 <xx から>は英語では<from xx>が連想されるが、<out of xx>が適切な場合がある。<to go from>は何だか変だ。英語では to leave という重要動詞もある。

<xx 出る>は<現れる><目に見えるようになる>の意もあるが、<起きる>、<起こる>、<発生する>になるようだ。 確かに<現われる出てくる>感じはあるが、多くは一度だけで<現象>というほどのことはない。

<出る>は基本的に自動詞だが

家を出る
故郷をでる
日本を出る

という言い方があり、いわゆる<” を ” を取る自動詞>になる。 道を歩く。

<出す>

<出す>の連用形は<出し>で<出す>が先にくるももの。<出す>は基本的に他動詞。カネを出す。

出し合う
出し惜しむ - 出し惜しみ
出しがら  - だし(出汁)。<だしを出す>は意味がある。
出し切る
出し渋(しぶ)る
出し抜く - だしぬけに= 突然に

<出す>が後にくるもの。<xx 出す>。

あぶり出す - あぶり出されて来るものを見ていると創造を見る感じだ。
編(あ)み出す - 編み出されて来るものを見ていると創造を見る感じだ。
洗い出す - 選別、選択か
打ち出す - 慣用法があるが、鍛造(鍛冶)は鉄を打ってモノを作り、まさに<打ち出し>で創造。製作だ。 相撲の<打ち出し>は<終わり>か。拍子木(ひょうしぎ)を打って終わりを告げる儀式がある。
生み出す - 創造
描(えが)き出す - 同じく描き出されて来るものを見ていると創造を見る感じだ。
えぐり出す
選び出す - 選別、選択か
押し出す
おびき出す
思い出す

書き出す - <考え><思い>を書き出す。表現する。一種の創造。<書き始める>の意もある。
掻(か)き出す
かつぎ出す
考え出す - 発明、アイデア
繰(く)り出す - 軍隊を繰り出す
蹴(け)り出す
濾(こ)し出す

探し出す - 発見
さぐり出す - サーチ、発見
誘い出す
さらし出す
しぼり出す - 水けのる洗濯物をしぼってみずをしぼり出す、知恵をしぼり出す
締(し)め出す
染め出す - 創造、製作

たたき出す  - 鍛造(鍛冶)-創造、たたいて追い出す
突(つ)き出す  - 他動詞/自動詞、 <突き出る>は自動詞
つくり出す - 創造
つつき出す
つまみ出す - 選択、選別
紡(つむ)ぎ出す
飛び出す  - 自動詞 <飛び出る>も自動詞
取り出す - 選択、選別

投げ出す - 慣用法で<ほうりなげる>というのもある。
抜き出す - 選択、選別
抜け出す - 自他  xx から抜け出す、xx を抜け出す
(身を)のり出す

掃(は)き出す
吐(は)き出す
引き出す -  やや強制的な創造、発見
ひねりだす -  知恵をひねり出す -  創造
(振り出す) - 振り出し
ほうりり出す
ほじくり出す -  やや強制的な発見
掘(ほ)り出す - 発見
彫(ほ)り出す - 創造、製作

見つけ出す - サーチ、発見

割り出す - サーチ

 (追加予定)

おもしろいのは、以上は<xx して出す>で、これはかなりある。 ところが<出してxxする>がもっとあってもよさそうだが、上に並べたように<出しxx>は多くない。出し合う、出し惜しむ、出し渋(しぶ)る、出し抜く。


あぶり出す - 出しあぶる (出してあぶる)
洗い出す - 出し洗う(出して洗う)
打ち出す - 出し打つ(出して打つ)
描(えが)き出す - 出し描く(出して描く)
選び出す - 出し選ぶ(出して選ぶ)

などは可能だ。

さて<xx出す>で<始める>の意がある。これは汎用性があり、意味が通れば、どんな動詞にもつく。

歩きだす  - 自動詞
言い出す - 他動詞
売り出す - 他動詞
怒り出す - 自動詞
駆(か)け出す - 自動詞
凝(こ)り出す  - 自動詞出(で)出す  ー 人気が出出だす。<出だす>は自動詞。(で)出しな
泣き出す - 自動詞
話し出す  - 自動詞、他動詞
走り出す - 自動詞
笑い出す  - 自動詞


<xx出す>で<始める>の意がある。これは<xx が出る>、 <xx が出て来る>由来だろう。

風がでる、、波がでる、月が出る、芽がでる

はそれまでなかった(見えなかった、聞こえなかった、感じられなかった)ものが現れる 、<出て来る>の意だ。

一方漢語の<発>には<出る><出す>の意がある。

発生、発送、発射、発車、発砲、発動、発光、発音、発声、発言、発行、発見、発明、発想;出発

中国では<出発>は<出発>というが<発車>は<開車>と言う。<開始>は<開始>だ。<発明>は<発明>だが<発見>は<発現>か。<発現>は文字通りでは<見えてくる>といった感じで自動詞的。 もちろん発音は違う。

自動詞

繰(く)り出す  行列が繰り出す。他動詞用法もある
せり出す - 自動詞  <せりもち>はアーチのこと
張(は)り出す - 自動詞 <頬が張り出す>。<壁にはり出す>は<貼り出す>か。これは他動詞だ。

<出る>、<出す>、特に<xx 出す>は無意識で使っているが、いいやまとことばが少なくない。たぶん発見の意味(出て来る)、創造の意味(生み出す、作り出す)、<見えないものが見えてくる>ことを表わすからだろう。

ところで<現象>のやまとことばは何か?

 

sptt

Monday, August 2, 2021

エンジン、エンジニアのやまとことば

 

エンジン(engine)とエンジニア(engineer)は関連語。昔はエンジンを発動機と言っていたようで、ひと昔まえまではヤマハはヤマは発動機、ダイハツは大阪発動機と言っていたようだ。自動車を汽車という中国でも発動機は通じるようだ。だが日本ではいまは車のエンジン。最近は電動自動車をかなり見かけるが、こちらはエンジンではなく電動モータで動くが、モータも発動機と言うようだ。発動機のやまとことばはないだろう。発動機の<機>は機械の機で、<からくり>とうやまとことばがある。電動モータは<からくり>の感じが少しあるが、エンジンは音と力と動きが先にきて<からくり>の感じがうすい。発動は文字通りでは<動きを発する(出す)>で、発動機は<動き出しからくり>とるが、まず使う人はいないだろう。<動き出し>は<<動き出す>の連用形になってしまう。<動きを出すからくり>が正しいのだが長すぎる。エンジニアは<技術者>で、エンジニアと技術者は大体同じ意味、そして同じくらいの割合で使われているか。エンジニア、技術者のやまとことばはなにか?昔は<(たくみ(匠)>という言葉あったようだが、今は<たくみな>、<たくみに>で使われる程度だ。職人という言葉があるが、エンジニアと技術者とは別格で、エンジニアと技術者は<学>や<学問>や<学歴>が関係するが、職人は実践や修行をへて職人になる。一人前の職人になるためには実践や修行が必要だ。職人のやまとことばも見つからない。昔は一人前の職人に<(たくみ(匠)>が使われていたかもしれない。XX師(指物師、鍛冶師(鍛冶屋)、教師)というのもあり、専門職。だがこれまたやまとことばではない。師匠という言葉があるが<ししょう>で<したくみ>ではない。技術の<技>は<わざ>とも読む。<わざ>はいい意味でも使われるが、日常語で<わざ師>、<わざと>、<わざわざ>のようにあまりよくない意味でも使われる。職業の名前にはなぜかやまとことばが少ない。

さてエンジニアにもどると engine、engineer の関連語を調べてみると ingenious という言葉がある。 ingenious は褒め言葉だ。genius は天才。genius (天才)は知能指数が高いだけでなく、ときに独創性を要求される。ingenious のネット辞書の解説は

"

ingenious

/ɪnˈdʒiːnɪəs/

adjective
(of a person) clever, original, and inventive.
 
"he was ingenious enough to overcome the limited budget"
 
synonyms: inventive, creative, imaginative, original, innovative, resourceful, enterprising, insightful, inspired, perceptive, intuitive, clever, intelligent, bright, smart, brilliant, masterly, talented, gifted, skilful, capable, sharp, astute, sharp-witted, razor-sharp, quick, quick-witted, shrewd, elaborate, sophisticated, trailblazing, pioneering, on the ball, thinking outside the box, genius

 "

でほぼ言いことずくめだ。 shrewd が例外か。これは<(たくみ(匠)>の<たくみな>、<たくみに>が例えば

言葉たくみに人をだます

のように shrewd の意味があり、よく使われる。また。<わざ>も<わざ師>や<わざと>で悪い意味でよく使われるんとは対照的だ。

ところがイタリア語の ingegniere (エンジニア)の関連語、というかもとの語の動詞で ingegnare というのがあるが、これを少し詳しい辞書(Treccani)で調べてみると、 ingegnare では使われないようだが再帰用法の ingegnaresi の解説がある。

Treccani



ingegnarsi
v. intr. pron. [der. di ingegno] (io m’ingégno, ... noi c’ingegniamo, voi v’ingegnate e, nel cong., ingegniamo, ingegniate). – 1. Adoperarsi con l’ingegno per superare difficoltà e raggiungere il fine voluto: i. a (o per) trovare una soluzione; anche per fini non lodevoli: s’ingegna in ogni modo per mettere in cattiva luce i colleghi. Nell’uso ant., con sign. più generico, sforzarsi e sim.: Io era come quei che si risente Di visïone oblita e che s’ingegna Indarno di ridurlasi a la mente (Dante); E par ben ch’io m’ingegni Che di lagrime pregni Sien gli occhi miei sì come ’l cor di doglia (Petrarca). 2. Nell’uso com., adoperarsi a un fine ricorrendo a ripieghi o a espedienti (talora anche non onesti), fare del proprio meglio, industriarsi: ingegnarsi per vivere, per tirare avanti con la famiglia; ingegnarsi per guadagnare qualche cosa; anche in usi assol.: nella vita, bisogna sapersi ingegnare; non ha grandi mezzi, ma s’ingegna, fa quello che può.

とあり、いい意味での使用とあまりよくない意味での使用が半々と言ったところで、日本語の<たくみ>、<わざ>に似たようなところがあり、おもしろい。古い用法としてDante、 Petrarca が出てくるが、むずかしいのでこの箇所は省略。、イタリア語の勉強をかねて、少し詳しく見てみる。

1. Adoperarsi con l’ingegno per superare difficoltà e raggiungere il fine voluto: i. a (o per) trovare una soluzione; anche per fini non lodevoli: s’ingegna in ogni modo per mettere in cattiva luce i colleghi.

 adoperare はa + operare で to operate の強調みたいなもので<(一生懸命)働かす>。これまた再帰用法の adoperarsi で<(一生懸命)働く>になる。ingegno はもとの語(名詞)で ingenuity 相当(もっとも由来は逆で、英語の ingenuity が ingegno 由来なのだ。 superare difficoltà は困難を克服する。raggiungere il fine voluto は所期(望むところ)の目的を達する。 trovare una soluzione は解決策をみつける。anche per fini non lodevoli あるいはまた、ほめられたことではない目的のため。

s’ingegna in ogni modo per mettere in cattiva luce i colleghi.  

これは例文で<mettere in cattiva luce>は慣用表現、文字通りでは<仲間を悪い光の中に入れる>で、つまりは<仲間を悪く見えるようにする>といった意味のようだ。その前に s’ingegna in ogni modo あらゆる手(手段)を使って<(一生懸命)働く>が、あるので、かなり悪意をもった行動だ。

2. Nell’uso com., adoperarsi a un fine ricorrendo a ripieghi o a espedienti (talora anche non onesti)

Nell’uso com. = common use
ricorrendo - using
ripieghi -> ripiego (<(再び)包む>が原意- expedient (a makeshift solution)
espedienti - gimmicks
talora - talvolta (sometimes)

その場しのぎの方法やゴマカシ(gimmicks)を使って(一生懸命)働く(時として不正直に)

ということ。

fare del proprio meglio、 industriarsi

は慣用表現で、1)最善をつくす、2)できるかぎりやる、3)できるだけやる(やってみる)。 この1)2)3)は同じようだが、少し考えて見ると大きな違いがある。<できるだけやる(やってみる)>と言われてもあまり期待しない方がいい場合が少なくない。

industriarsi も再帰動詞(イタリア語では再帰動詞が大活躍する)。英語の industry  は産業と訳されるが、関連形容詞のindustrial <産業の>以外に industrious という形容詞があり、人の形容として<勤勉な,よく働く>の意だ。

ingegnarsi per vivere, per tirare avanti con la famiglia 

生きる(生活する)ために、家族をを率いて行く(何とか生活する)ために、<(一生懸命)働く>

ingegnarsi per guadagnare qualche cosa

何かを手に入れるために<(一生懸命)働く>

anche in usi assol.: nella vita, bisogna sapersi ingegnare; non ha grandi mezzi, ma s’ingegna, fa quello che può.

頭の in usi assol. の assol. は assolute の略で最上級表現(il più)といえる。<できるかぎり>と言った意味。この文の意味は

人生では<(一生懸命)働く>ことを知るべきだ。大きなやり方ではなく、出来るかぎり<(一生懸命)働く>ことを。

さてまたエンジニアにもどると、日本では英語のままではあまりいい意味では使われないが technology (これまた技術と訳される)関連語の technician(テクニシャン)、technique というのがあり、これまた技術者と訳されているようだ。 technician、technique の方は専門知識や経験はあるが、修理屋の感じがある。自動車や機械に問題があった時に正常な状態に戻してくれる。

本来の意味のエンジニアは問題解決に加えて(これまで世に中にないことの)創造、設計能力が要求されるようだ。これはtechnician(テクニシャン)には要求されない。ここが大きな違いでエンジニアは単なる専門知識や経験がある修理屋的な技術者とは違う。冒頭の ingenious の同義語を訳してみると

synonyms: inventive(発明創意的), creative(創造的), imaginative(想像豊かな、創造性豊かな、工夫が多い), original(独創的), innovative(革新的), resourceful(<資源豊かな>ではなく臨機応変な), enterprising(企業的、創業的), insightful(見方が深い), inspired (創造的な霊感がよく働く), perceptive(創造的な感受性が高い), intuitive(直観的), clever(かしこい), intelligent(知能が高い、よくないニュアンスのインテリの意味はない), bright(頭がいい), smart(頭がよく働く), brilliant(すぐれて頭がいい), masterly(職人のように器用な、熟練の), talented(才能ある), gifted(才能に恵まれた), skilful(手先が器用な、何でもうまくこなす), capable(有能な), sharp(するどい、頭が切れる), astute(臨機応変な、機敏な), sharp-witted(するどい機敏な知恵がある), razor-sharp(カミソリの刃のようにするどい、頭が切れる), quick(反応が速い), quick-witted機敏な知恵がある、気のよく利く), shrewd(ずるがしこい), elaborate(よく働く), sophisticated(洗練された。<世故にたけた>が辞書にあるが適切ではない。a sophisticated woman はいい意味だ。), trailblazing(道を切り開く), pioneering(先駆者的な、先進的), on the ball(ボールの上に乗るように巧みにxxする), thinking outside the box(常識から抜けだして考える), genius(天才がある)

 "

学校の成績がいいのは clever ではなく bright、 smartbrilliant。社会生活では smart、clever、shrewd の順で意味が悪くなる。

これを調べているうちにわかったが、<着こなしがうまい、スマートな姿>の smart は英国英語、<頭がいい、知能的な>の smart はアメリカ英語ということだが、日本でも今はアメリカ英語の smart が優勢か。

<wit >を一語で表わす、説明するのは難しい。 これは英国英語。

さて上の訳では、できるだけやもことばを使おうとしたが、実際に使時の簡潔さを考えると漢語が多くなる。 中国では技術者は一般的に工程師という。別に工場で製造工程をする人を指すわけではなく、広くエンジニア、技術者のこと工程師というようだ。香港では<xx工程公司>という会社名も見かける。一方専門的に電気、水道(水回り)の仕事をする人、修理屋、さらにはバスの運転手(運転手は普通<司机>という)も時として师傅(師傅)(shi-fu)と呼ばれる(これは北京語も広東語も同じような発音だ)。大体は自分ができないことをやってくれる専門家を<傅>とよぶようだ。中国の工程師がどう見られてているかよくわからないが一般的には若くても一目おかれており、給料も高いようだ。だが ingenious 、すなわち inventive(発明創意的), creative(創造的), imaginative(想像豊かな、創造性豊かな), original(独創的), innovative(革新的)であることは要求されていないようだ。

さてまたエンジニアにもどっとてやまとばを考えてみる。

問題解決 - 切り抜ける、ときには目新しい、かしこい、たくみなやり方を生み出して 

問題を未然に防ぐ - 工程師の仕事だ。何事(なにごと)もうまくことをはこぶ

設計 - 新しいことを考えだしてやる(実行する、させる)。設計のやまとことばも適当なのがない。<新しいことを考えだす>だけではダメで、実行できるように具体化しないといけない。設計図は具体化した例だ。実行、実施の責任はまた別だが、実行、実施が設計通りになっているかのチェックはエンジニアの仕事だろう。計画は設計に似ているが、これまた漢語だ。計画は文字通りでは<計る(図る)><画く(描く)>だ。

設計、計画: うまくはからう 

難しいことをやる - 考えて難しいこともうまくこなす 

<問題解決と設計>がエンジニアの二大仕事だろう。これをやまとことばで表わすと<切り抜け>と<考えだし>だ。さらにかしこい、たくみなやり方を使わないといけない。

エンジニア: 切れ者こなし屋(や)

 

関連のやまとことば

creative(創造的): 作り出す、描き出す、彫(ほ)り出す

inventive(発明創意的)、innovative(革新的): 切り開く

発明と発見は違うが

発見: 探し出す、見つけ出す、掘(ほ)り出す

masterly(職人のようなに器用な), skilful(手先が器用な、何でもうまくこなす), capable(有能な): 

うまくこなす、切り抜ける

insightful(見方が深い): 深く切り込む

<出す>、<切る>が重要語のようだ。

clever(かしこい), intelligent(知能が高い), bright(頭がいい), smart(頭がよく働く), brilliant(すぐれて頭がいい) : かしこい - 語源を調べていないがいいやまとことばだ。悪い意味の<かしこい>は<ずるがしこい>があるので、<かしこい>は基本的に言意味だ。また高い知能の意味だけではない。<かしこくきり抜ける>は問題がうまく解決しそう。<かしこくはからう>もコトがうまく運びそうだ。

漢語になるが日本語では知恵と悪(わる)知恵も区別があるのはいいことだ。<知恵と工夫を凝らす>は大体言い意味だ。


次のポスト予定

<切る>は カット(to cut)だけではない。(頭の)切れるエジニア

<xx 出す>は創造動詞

 

sptt