<xxに興味がある>という言い方は今は変ではないが、これは英語学習で<to be interested in xx>の訳(やく)として頭に入ってしまっているからだろう。
I am interested in physics.
私は物理に興味がる。
が普通だが。英語の方は
Physics interests me.
という言い方もあり、個人的にはこの方が好きだ。日本語の方は
物理は私に興味をわかせる。
という人はごく少数派だろうが、この方が動的で悪くない。
さて<興味>だが、これは中国語だ。だが本場の中国では<興趣>がつかわれる。
<興>は<おこす>で
<会社をおこす>は<興す>でも<起こす>でもいいだろうが、やまとことばからすれば
会社をおこす
でいい。これからすると<興味>は<味をおこす>で、すぐには<興味>には結びつかない。一方中国の<興趣>は<趣をおこす>で、やまとことばを使えば<おもむきをおこす>で意味ありげだ。
趣=おもむき
としたが、<おもむき>自体がで意味ありげなのだ。少し前のポスト<風情(ふぜい)と趣(おもむき)>で
”
趣(おもむき)はやまとことばで<思い向く>、<思いの向き>だ、と考えたが、手元の辞書で調べて見ると、これは"<おもむく赴く>と同源で、<おもむく>は<面(おも)むく>。反対語に<背(そ)むく>" という解説がある。<そむく>には<顔をそむける>という言い方があるが<おもむく>には<顔をおもむける>という言い方はない。顔(かお)=面(おも)なので具合がわるいためか? さて、<思いの向き>があったとして
この庭は思いの向きがある。
では通じにくいし、まずこうは言わない。まずこうは言わないが、そこはやまとことばで、日本人ならなんとなくわかる。
”
と書いた。 最近<Asnet Art Gallery>のブログのほうで中国の八大山人という画家の紹介文を英語でやっているが(かなり長い中国文の Google 翻訳をベースに英語翻訳している)、この<興趣>に出くわした。Google 翻訳では簡単に interest ですましているが、ことはそう簡単ではない。<興趣>は絵画鑑賞のキイワードなのだ。中国では画家の個性というような意味で<風格>という語も絵画鑑賞では使われる。<風格>は日本語の<風情>とかなり違う。
いい絵を見て感じるのは interestではなくpleasing feeling さらには fascinating feeling、さらには attractiveness、つまりは<心惹(ひ)かれる>ことなのだ。また<風格>を感じることもある。
<心惹(ひ)かれる>は<思い惹(ひ)かれ>とも少し違う。 <心惹(ひ)かれる>の方はやや理知的で、絵画鑑賞にはいい。
sptt
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