Sunday, February 18, 2024

<もっけの幸い>の語源

 

僥倖(ぎょうこう)という中国語を調べているとき、なぜか<もっけの幸い>という言い方が頭に浮かんできた。いづれも<予期せぬ、思いがけない幸い>なのだが、ネット例文にあってみると、使われ方がかなり違う。

僥倖は文語的で、あらたまったところがある。口語、日常語では<たなからぼたもち、たなぼた>に近い。

僥倖にも恵まれて、事業は順調に拡大していった。

一方<もっけの幸い>は口語で、例文をあったてみると

  1. 親の留守をもっけの幸いとゲーム三昧だ。
  2. ともこちゃんとここで会えたのはもっけの幸いだ。
  3. もっともこの事件のように好都合に決着したのはもっけの幸いだったと感じていたが。(ツルゲーネフ 父と子)
  4. いずれにしてもパスパルトゥーが主人のそばにいないことは、もっけの幸いであった。(ヴェルヌ 80日間世界一周)
  5. またあの子を父親が引き取ってくれたことは、あたしたちにとってはもっけの幸いでしたね。(エミリー・ブロンテ 嵐が丘)

というのがあるが、1. 以外は何かおかしい。2.- 5. はややかたぐるしくなるのもあるが、僥倖の方が正しい。あえていえば<もっけの幸い>は間違い。

  1. 親の留守をもっけの幸いとゲーム三昧だ。(OK)
  2. ともこちゃんとここで会えたのは僥倖だ。
  3. もっともこの事件のように好都合に決着したのは僥倖だったと感じていたが。(ツルゲーネフ 父と子)
  4. いずれにしてもパスパルトゥーが主人のそばにいないことは、僥倖であった。(ヴェルヌ 80日間世界一周)
  5. またあの子を父親が引き取ってくれたことは、あたしたちにとっては僥倖でしたね。(エミリー・ブロンテ 嵐が丘)

なぜこのようなことがおこるかというと、特に外国語の訳文で

もっけの幸い=予期せぬ幸運、さらには
lucky =もっけの幸い

とパターン化しているためではないか。 

windfall profit,(棚からぼたもち)は<もっけの幸い>ではない。

<もっけの幸い>は<物の怪(もののけ)の幸い>がなまった<物怪(もっけ)の幸い>で、元の意味(それからの派生、転意を含めて)

悪いことをもたらす<物の怪>が<何かの間違いで幸い、幸運をもたらす>ことではないか。

だが、まやかしの説明のようだ。他の語源説もある。私は何となく<もうけのさいわい>と思っていた。

<もっけの幸い>の正しい使い方はむずかしい。

普段成績のいい生徒が、もっけの幸い今日はみな風邪で休んでいたので、今日の試験では一番になった。

もっけの幸い口うるさい上司が三日ほど出張することになったので、仕事がはかどる。

 

sptt

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