<ヤケになる>は<ヤケクソになる>という言葉があるくらいなじみがある。<ヤケになる>の<ヤケ>の語源は不詳で、ネットで検索してみると
domani.shogakukan.co.jp/563268
1)今までに築いた財産や家が火事によって焼かれてしまい、気力も失せてしまった説
2)物が焼けた際に形や性質そのものが変わることからきた説
3)思った通りにいかず、心が焼けるように苛立つことからきた説
1)は<気力も失せてしまって>も<ヤケになる>とはかぎらない。
2)はほとんど説明になっていない。
3)は<苛立つ>ー><ヤケになる>のプロセスは妥当だが、<苛立つ>ことを<心が焼ける>というだろうか?<胸が焼ける>はまた別だ。
<ヤケになる>、<ヤケクソになる>は大体言動(主に行動)がともなう。 <ヤケになって(ヤケクソになって)>xxするのだ。
さて上記の語源はいずれも<焼ける>がもとになている。これにとらわれなければ<いやけ(嫌気)>というのがある。<いやけ>の頭の<い>はアクセントがない、高いピッチ(イントネーション)ではないので落ちやすい。
いやけがさす ー> ヤケがさす
いやけを起こす ー> ヤケを起こす
はいいが、
いやけになる ー> ヤケになる
は少し具合が悪い。
<イヤケ>は対象(出来事、結果、人)に嫌悪感があり、往々にして対象に反抗的になる。これが語源上肝心だ。
<ヤケになる>の英語は、ネット辞書によると
to become desperate
to abandon oneself (up) to despair (自暴自棄になる)
to lose one's temper
to lose one's reason (理性を失う)
などがある。これらは現象で理由、原因がない。<ヤケになる>理由、原因は色々あるが、大体自分の落ち度で不具合が生じ、他人から指摘された場合が多い。ここには甘えがある。
入学、就職試験に落ちた。
彼女にふられた。
小さなミスを上司に指摘された。
などで、気の短い人は <ヤケになる>、<ヤケをおこす>。
これを書いているのは今精読中の中国の大小説<紅楼夢>で<赌气>という言葉に出くわしたからだ。
赌气(繁体字では賭氣)は<ギャンブル中毒>ではない。<紅楼夢>の主人公贾宝玉は時により赌气ぎみになることがある。他の登場人物でも<ヤケになる>男女がいる。<紅楼夢>で出くわしたのは、金釧という女性が<ヤケをおこして(実際にはそう簡単ではないが)>井戸に飛び込み自殺する場面だ。 <紅楼夢>のクライマックス場面の一つ。赌气の意味をチェックしてみると
baike.baidu
赌气 dǔ qì,意思是因不满或受指责用任性行动来表示心中有气
不満や間違いや失敗の責任を指摘された時にな破れかぶれな行動をとるようになる気質
といったところだ。
英語訳では
angry, to get angry (これは比較的単純で、生气, 脾气 というのがある)
to act rashly out of a sense of injustice
to act rashly due to wrong blame, often regardless of the consequences
to feel wronged and act impetuously (- in a sudden way, without considering the results of your actions)
二番目の<out of a sense of injustice>は注意が必要で、自分だけが<out of a sense of injustice>の場合は<ヤケになる>でいが、第三者からみても、社会的に見ても<out of a sense of injustice>の場合は、取る言動は、復讐、仇討になる。<イジメ>はかなりの<injustice>だが複雑で、すぐには<ヤケになって>復讐、仇討にならない。復讐、仇討はうまくいった場合は<Justice is done>となる。
三番目の<often regardless of the consequences> は往々にして<ヤケになった>時の言動だ。
話はずれるが、予想外の様子あらすのに<ヤケに>、<イヤに>と言表現がある。
今朝はヤケに寒い。 今朝はイヤに寒い。今日はヤケに人が多い。 今日はイヤに人が多い。
いづれも<イヤケ>由来だろう。
sptt
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