Thursday, August 28, 2025

<猫も杓子も>の語源、杓子定規 (しゃくしじょうぎ)

 

<猫も杓子も>の語源はいくつかあるようだが、ネットでチェックしていただくとして,ここでは自説を紹介したい。

猫の手は形やその手の動作は杓子に似ている。杓子シャクシと読み、ごはんを盛るときに使うシャモジのこと。ところで、シャモジは<xx文字>という言い方で、

お目文字
お目にかかることをいう女性語。

か文字
髪のこと

その他<xx字>というのもあり

ほの字
惚ほれること

御 (おん) の字
たいへん結構なこと、十分結構なこと

 一方<杓子>には杓子定規 (しゃくしじょうぎ) という言い方がある。この場合の<杓子>もシャモジのこと。<杓子定規>由来は私のとっては意外で

https://www.weblio.jp/content/%E6%9D%93%E5%AD%90%E5%AE%9A%E8%A6%8F

杓子定規の語の由来・語源

「杓子定規」は「杓子定規に使う」という趣旨言葉である。杓子は「しゃもじ杓文字)」のことであり、飯あるいは汁などをすくう道具である。その柄はたいてい湾曲している。そのような曲がった杓子を、定規として使おうとするなら、正しく線描できるはずがないそのようにそもそも正しくないものごと基準として用いる」さまを「杓子定規」と言った

ということだ。これからすると、私は<杓子定規>の意味をとり違えて使っていたことになる。<定規のように融通が利かない>と思い、使っていた。だが私のような人は他にもいるのではないか。一方<杓子>一般には弾力性があり、融通が利く。

さて、<猫も杓子も>に戻ると、意味は (関係がなさそうな人でも、特別でない、どこにでもいるような人でも)<だれもみな>。猫は動物なのでいいとして、杓子はおかしい。だが、ここで重要なのは<関係がなさそうな>で、猫は今は人気があるようだが、昔は特別でない、どこにでもいるような、だがどちらからというと目立たない動物だった。 杓子の方もごはんを盛るときだけに使う目立たない道具だ。杓子は擬人化でいいだろう。

 

sptt

 

 

 

Thursday, August 7, 2025

<そむける>の語源

 

<そむける>の語源は、ネットで調べて見ると

 《「背(そ) 向ける」の意》

 というのがある。

そうだろうか? <背 (を) 向ける>は何か取って付けた感じだ。

<そむける>の由来は<そむく>だろう。<そむく>の由来が<そむける>というのは考えにくい。文法的には

向く 自動詞 ー 向ける 他動詞

で<向く>自動詞なので<背が向く>。<背が向く>が<そむく>になるだろうか。

<向ける>は他動詞で、<そむける>も他動詞だ。

<そむく>は

1)そっぽを向く

という言い方があり。 

そっぽを向く ー> そっぽ向くー> そ向く

が考えられる。

2)<そむく>は漢字で書くと<背く>になるが<そむく>、<そむける>に元来<背>の意はないとすると、簡単に<そむける>の語源は<そむく>ではないか。

<そむく>の可能形として<そむける>がある。<そむくことができる>の意だが、めったに使わない。

<そむく>は、上のネットの<そむける>の語源説《「背(そ)向ける」の意》からすると

「背(そ) 向く」

になるが、上述にように、文法的には

向く 自動詞 ー 向ける 他動詞

だが<向く>は<を>がとれる自動詞だ。西を向く。だが<背を向く>は<背の方を向く>の意ではないだろう。

<そむく>は<xxに反対する、反抗する、逆らう>だが、原因、または結果して<対象から離れる>の意がある。<そむける>は<対象から、目や顔を離す>ことだ。 

<そむく>は自動詞。<そむける>は<そむく>の他動詞化。<ける>には上述の可能形と並んで (これは汎用的) 、他動詞化がある。だがこれは汎用的ではない。もともとは使役か。

空 (あ) ける 他動詞 ー 空く 自動詞
付 (つ) ける 他動詞 ー 付く 自動詞
続ける 他動詞 ー 続く 自動詞
届ける 他動詞 ー 届く 自動詞
やわらげる 他動詞 ー やわらぐ 自動詞


sptt

 

Monday, August 4, 2025

おもしろい<xxける>動詞

 

<xxける>動詞はたくさんあるが、おもしろいものが少なくない。 アイウエオ順にならべてみると

あざける 他動詞
いじける 自動詞
おじける  (おじる)  自動詞
おどける 自動詞

かまける 自動詞  仕事にかまけて、家庭をおろそかにする
こける 自動詞  づっこける
ころげる、ころがる  自動詞 ー ころがす 他動詞  笑いころげる

しょげる 自動詞   しょげかえる
しらける 自動詞
すすける 自動詞
ずるける 自動詞

たいらげる 他動詞
たまげる 自動詞  方言か?
だらける 自動詞
たわける 自動詞

なまける  他動詞 他動詞 ー 届く 自動詞
にやける 自動詞

はげる  自動詞 ー はがす 他動詞  頭がはげる、ペンキがはげる
ひしゃげる、ひしゃぐ  自動詞
ふける (老いる)  自動詞
ふざける 自動詞 
ふやける 自動詞
ぼける 自動詞
ほどける 自動詞 ー ほどく 他動詞
ぼろける 自動詞   ぼろけた家、ぼろけた車

むける 自動詞 ー むく 他動詞  一皮 (ひとかわ) むける、リンゴん皮をむく
もげる 自動詞 ー もぐ 他動詞  リンゴをもぐ、もぎとる

 

共通事項

1)人の否定的、非難的、ほめられたものではない言動を示す自動詞が多い。

あざける
いじける
おじける
おどける
かまける
しょげる
ずるける
だらける
たわける
なまける
にやける
はげる
ふける (老いる)
ふざける
ぼける
ぼろける

2)必要以上の弛緩 (リラックス)、主に人の言動関連 (重複あり)

おどける
しらける
だらける
たわける
なまける
にやける
ふざける
ぼける

3)上の 2) に関連するが  正常、本来からの離脱  (重複あり)

かまける
こける  づっこける
ずるける
だらける
たわける
なまける
はげる
ひしゃげる
ふける (老いる)
ふやける
ぼける
ほどける
むける (皮がむける)
もげる

 

SPTT



Saturday, August 2, 2025

こる、こりる、こらす、こらしめる

 

<こる>、<こりる>、<こらす>、<こらしめる>は関連語だろうがややこしそう。 ここではあえて当て字に近い漢字を使わずに話を進める。

こる

肩がこる
将棋にこる

<xxをこる>とは言わないので自動詞だ。<肩がこる>はいかにも自動詞だが、<将棋にこる>は対象があるので他動詞的だ。だが<将棋をこる>とは言わない。

<肩がこる>は<肩が固まる>感じだ。<将棋にこる>もこじつければ<将棋に固まる>感じだ。

<こり症>の<こり>は<こる>の連用形の体言 (名詞)用法。

肩のこりがひどい。

も同様。

 

こりる

続いた二度の失敗にこりて、三度目はあきらめた。
幾度もの失敗にこりずに続けた。
もうこりごりだ。

<こりる>の意味は、難しく

Wiki 辞典では

ひどい目にあったために再びしようとする気力が無くなる。

というやや長い解説がある。

英語訳は、ネット辞書では適当なのが見当たらない。基本的には、あるいは一般的には、一度、あるいは幾度やってもうまくいかず<やるのがいやになる>といった意味だろう。

 

こらす 他動詞

<こらす>は少なくとも二つの違った意味がある。

1)目をこらす

目をこらしてもっとよく見ろ。

<ある特定の場所に固定してよく見る、見続ける>といった意味だろう。

2)意匠をこらした作品

十分に力を入れる。心を入れる。

自動詞<こる>の他動詞版といえる。

 

こらしめる 

Wiki辞典、その他では

悪いことをした人に制裁 (罰) を加え、二度としないようにさせる。

太郎は人の迷惑になることばかりしているので、少しこらしめてやる。

<こらしめる>は<こらす>の使役形に見えるが<こらす>の意味とはかけ離れている。<こらす>の使役形は<こらさす>もあるが、これは<こる>の使役形にもなりうる。

こる

肩がこる -> 肩をこらさす
将棋にこる ->(太郎を)将棋にこらさす

こらす

目をこらす ー> 目をこらさす
意匠をこらす ー> 意匠をこらさす

<こらしめる>はどこからぃたのか?

意味が通じるのは

<こりる>の

ひどい目にあったために再びしようとする気力が無くなる。

 で、これを少し言い換えると

ひどい目にあわせて、再びしようとする気力を無くする。

 これは<こりさせる>。だがこれは<こらしめる>に通じる。


sptt