Friday, June 6, 2025

<うずもれる>と<うずくまる>

 

うずもれる

ネット簡易辞書では

覆われて外から見えなくなる。うずまっている。うもれる。

<うもれる>と同じようような意味なので<うず>は接頭語だろうが、なにか意味があるのか? <うず>がつく語では<渦巻、うずまき>があるが、これは意味がはっきりしている。<うずもれる>の<渦>は関係なさそうだが、モノが<渦>の中に巻き込まれると見えなくなる、見えにくくなる。だが、この場合<うずにうもれる>ー><うずうもれる>ー><うずもれる>としなければならない。

 <うず高く積み上げる>の<うず>も<渦>だろう。視覚的に<<渦>が舞い上がるのが想像できる。

とい思ったが、ネットでチェックしてみると 


https://oggi.jp/194750

「うず高く」とは書きません。「うずたかい」は、漢字一文字で堆い」と書きます。「うず」は「渦」ではなく、「珍(うづ)」や「埋(うづみ)」が変化したものではないかと考えられています。

とある。 これからすると<「埋(うづみ)」、<うづむ>が語源のようだ.。もっとも

<うづむ>は<うずめる>の古語形だ。だが<高く埋める>はおかしい。

 

うずくまる

膝を曲げて、膝を抱えて、身を低くする。

同義語には

しゃがむ、しゃがみ込む (方言か)
つくばう、つくばる、這 (は) いつくばる

がある。

これも、視覚的には、人が<渦>の中に巻き込まれると見えにくくなる。だが<くまる>はなにか? 

<うずくまる>は<うずく>+<まる>で、<まる>は<まるまる> (まるくなる) 。<うずく>の方は<つくばう>の<つく>ではないか。<う>は接頭辞。つまりは<つくまる>で<つくばりまるくなる>でこれに接頭辞<う>がついたもの。だが。これは相当ムリがある。

もっと簡単に

つくばる ー> つくまる 

これに接頭辞<う>がついて

つくまる ー> うつくまる 


 再検討予定

 

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Friday, May 23, 2025

<追い越す>とは?

<追い越す>は

マラソンで前を走るランナーを追い越す
高速道路で 前を走る車を追い越す

といった言い方がある。 <マラソンで前を走るランナーを追い越す>は英語でどういうのかがわからないのでネットで調べたみたが、<追い越す>は

先に出るpass; get ahead of somebody; leave somebody behind; outrun; outstrip; overtake

https://ejje.weblio.jp/content/%E8%BF%BD%E3%81%84%E8%B6%8A%E3%81%99

 という訳語が見つかった。

to pass は<越える>、<過ぎる>、さらには<渡す>の意味があり、多義語だ。

一方、日本語の<越える>、<過ぎる>は ”<を>をとる自動詞 = 移動動詞 ” ということになっている。

<追い越す>相当の言葉に<抜き去る>があろ。これは上の to leave someone behind が近い。 

<追い越す>は<追う>と<越す>の合成語で (ここが肝心) 、英語にそのまま直すと to follow pass になる。これでは通じにくいが、to follow and pass とすれば何とかなりそう。<走って>を加えたければ、to run, follow and pass とか to follow and pass in running とすればよさそう。


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<引っ越す>とは?

 
<引っ越す>は変な言葉だ。意味内容は<引く>も<越す>もほとんど関係ないように見える / 聞こえる。英語では to move、to relocate というが<引く>も<越す>も全く関係ない。私はは初めて<引っ越す>が<to move>なのを知った時、少しおどろいた。そのためか、以後<引っ越す= to move>は忘れなくなったし、抵抗なく使えるようになった。英語圏の人が<to move= 引っ越す>は理解しがたいだろう。だが <引っ越す>は <モノを引きずって移動する>感じがないではない。<引く>が<引きずる>はまあいいが、問題は<越す>だ。<越す>は少し面倒な動詞で自動詞だか他動詞だかよくわからない。 

越える=越す
 
峠 (とうげ) / 頂上を越える
峠 (とうげ) / 頂上を越す
 
コロナウイルスは峠を越えた。
コロナウイルスは峠を越した。
 
の<越える>、<越す>は ”<を>をとる自動詞 = 移動動詞 ” ということになっている。
 
<越える>と<越す>は微妙に違うようで、<コロナウイルス>の場合は
 
 コロナウイルスは峠越えた。
 
はいいが
 
コロナウイルスは峠越した。
 
はダメ。 <越える>は自動詞性が強いと言える。一方<越す>は<が>が使えないので他動詞と見ることもできる。(これは新発見)
 
意味としては<障害物を過ぎる>だが、<過ぎる>も ”<を>をとる自動詞 = 移動動詞 ” だ。上の例ではわかりにくいが
 
川を越える / 越す
 
は<川の一方の岸から他方の 岸 (対岸)  へ行くことだ。<行く>は明らかに自動詞だ。
 
<海を越える>というが<海を越す>はあまり聞かない。海は<越える>、<越す>障害物としては大きすぎる。大きすぎるが、<一方の岸から他方の 岸 (対岸)  へ行くこと>は変わらない。
 
一方<引っ越す>に特に障害物はない。 <一方の岸から他方の 岸 (対岸)  へ行くこと>は<一方の旧住所から他方の新住所へ行くこと>だ。旧住所から他方の新住所への距離、道のりを障害物と見れば<障害物を過ぎる>になる。つまりは<引っ越す>は

モノを引きずりながら旧住所から他方の新住所への距離、道のりを越して行く

ことなのだ。to move も<引っ越す>場合は自動詞だろう。


sptt

 

 

<広がり>についてー2  渡 (わた) る

 

だいぶ前に

<広がり>についてー2  Apr 16, 2015 

というポストを書いたことがある。<広がり>は響きのいい言葉で内容もある。このポストの冒頭で


<広(ひろ)がり>はいいやまとことばの一つだ。<末広がり>というやや俗っぽい言葉もあるが、<空間の広がり>、<時間の広がり>、<時空の広がり>は物理学で使うが、哲学的でもある。詩的でもある。


と書いている。 さて最近べつのブログで "<を>とる自動詞、移動動詞 " を再チェックしていたが、<越える>、<過ぎる>、<通る>に加えて< 渡 (わた) る>をチェックしている時に< 渡 (わた) る>が<広がり>を表わすことに気がついた。その箇所を抜き出すと

日本語の方は<は基本的に自動詞で

鶴が渡って来る季節
昔は船で中国へ渡った。
鐘の音 (ね) が響き渡る。
問題は多岐にわたる。<渡る>は何か変だ。

これらは to cross はおかしい。

鶴が海を越えて渡って来る季節
昔は船で
海を越えて中国へ渡った。

なら to cross が使える。

ところで、この<渡る、わたる> は<広がり>が感じられる動詞だ。

鐘の音 (ね) が響 (ひび) き渡る。

響 (ひび) き渡る:hibiki wataru  は耳で聞いてもいい。

似た表現を探してみると

ベルが鳴り渡る。
とどろき渡るおたけび (ハリマオの主題歌
澄 (す) み渡った空
晴れ渡った空
ここは涼しい風が吹き渡って来る。

自然現象以外では

食べ物 (資料) が皆に行き渡る。
長きにわたって校長をつとめた。  <渡る>はややおかしい。<わたって>と平仮名でいいだろう。

他動詞の<渡す>も

見渡す 

は<広がり>を感じさせる。


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Wednesday, May 7, 2025

<取り越し苦労>とは?

 

<取り越す>はほとんど聞かないが、<取り越し苦労>といういい方がある。<取って><越す><苦労>ではない。<越す>は普通の<越す>、<越える>、<越えて、越して><XXをする>ではなく、<前もって><XXをする>。この場合は<前もって取る苦労>となる。時間的には<前もって>だが、空間的には<現状を越えた、前にあるもの、先にあるものを取る>のような意味になる。 先取りする。英語では、文字通りでは to pretake だが、ないようだ。

<見越す>もこの用法。to presee はないが、to foresee はある。foreseeable future はよく聞き、また使う。

<考え越す>、<思い越す>、to preconsider、to prethink という日本語、英語があってもよさそうだが、ないようだ。

<持ち越す>は<取り越す><見越す>の<越す>とは違う。 <引っ越す>は<越す>の意が薄れている。英語では to move、to relocate だ。


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Sunday, May 4, 2025

<取りあえず>とは?

 

<取りあえず>は<取り合えず>ではない。<取敢えず>だ。これは難しい。<敢える>を使うのは<敢えXXてする>, <敢えてXXしない>, <敢え無く>ぐらいだろう。また翻訳調と言えなくもない。

敢えてXXする(dare do, dare to do)、敢えてXXしない(dare not do, dare not to do)

<dare>は助動詞(動詞の原形を取る))としても普通の動詞(to 不定詞を取る)としても使われるが、たいていは助動詞用法。やまとことばに適当なのがないためか、あるいは翻訳調の方がいいためか、漢語(読み)由来と思われる<敢える>が選ばれたのだろう。日本語では<敢える>自体、単独ではほとんど用いられない。

デジタル大辞泉(小学館)の解説

敢ふ(あう)

耐える。持ちこたえる。→敢 (あ) えなむ

「秋風に—・へず散りにしならしばのむなしき枝に時雨すぐなり」〈秋篠月清集

おして…する。しとげる。→敢えて 

(他の動詞の連用形に付いて)すっかり…する。…しつくす。→敢えず

天雲に雁そ鳴くなる高円 (たかまと) の萩の下葉はもみち—・へむかも」〈・四二九六〉


2は現代語。少し考えると<おして…する>と<しとげる>は違う。<しとげる>の意味で使うことはないだろう。1は古語で2.3とは意味が違う。だが、<耐える。持ちこたえる>は意味的に<最後まで>がつく場合が少なくないだろう。

さて漢語の<敢>だが

Baike-baide の解説は

敢(拼音:gǎn)(前略)以会有胆识与勇气之意 。“敢”可表有胆量、勇于进取。“敢”也可用作谦词,有冒昧之义。 由冒昧义可引申为侵犯、冒犯义。“敢”还可用作反语,相当于“不敢”“岂敢”。

つまりは

有胆量、勇于进取

さらに意味がずれて

冒昧 mào mèi,指冒犯,无知而妄为,多用于自谦;引申为鲁莽轻率

やみくもにxxする

侵犯

冒犯 mào fàn 指言语或行为没有礼貌

礼儀をわきまえずにxxする

日本語では<敢えて>は<勇気を出してxxする>、<無理をしてでもxxする>、<無理を承知でxxする>、<わざわざxxする>、<やみくもにxxする>、<うまくいかない場合もあろうが、それでもする>のような意味に相当する副詞。

<取り敢えず>の<敢えず>は<敢ふ(あう)>の否定で

<勇気を出してまでxxしない>、<無理をしてまでxxしない>、<無理を承知してまでxxしない>、<わざわざxxしない>、<やみくもにはxxしない>、<うまくいかない場合もあろうから、xxしない> 

上の<xx>が<取る>になる。すなわち

勇気を出してまで取らない
無理をしてまでは取らない
無理を承知をしてまで取らない
わざわざ取らない
やみくもには取らない
うまくいかない場合もあろうから、取らない

となるが、すぐには、そのままでは<取り敢えず>の意にならない 。これは<取る>の否定ではなく<敢ふ(あう)>の否定であるからだ。<取らない>ではなく<取るのだ>。

<取り敢えず>は一種の反語で

勇気を出してまで取るわけではないが、とにかく取る
無理をしてまで取るわけではないが、とにかく取る
無理を承知してまで取るわけではないが、とにかく取る
わざわざ取るわけではないが、とにかく取る
やみくもには取るわけではないが、とにかく取る
うまくいかない場合もあろうから、取らない、というわけではない(とにかく取る)


 一方<取り敢えず>の<取る>は物理的な<取る>ではなく<やってみる、try to do>の意に近い。

勇気を出してまでやるわけではないが、とにかくやってみる
無理をしてまでやるわけではないが、とにかくやってみる
無理を承知してまでやるわけではないが、とにかくやってみる
わざわざやってみるわけではないが、とにかくやってみる
やみくもにはやるわけではないが、とにかくやってみる
うまくいかない場合もあろうから、やらない、というわけではない(とにかくやってみる)

<とにかく>はキーワードで、英語では anyway が相当。 

<取るものも取りあえず>といういい方があるが、これは

取るべきものも無理をしてまで取ることをしないで、(とにかくxxする、xxした)

の意に近い。

 

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Monday, April 28, 2025

<つる>のいろいろ

 

前々回のポスト ”<魚を釣る>の<釣る>の語源 ” で<<魚を釣る>は<餌で魚を連 (つ) る>ではないか、と書いたが、<つる>にはいろいろある。

足 (ふくらはぎ) がつる  自動詞

魚をつる

衣服をハンガーにつる
首をつる (これは慣用的な言い方)
風鈴をつる、つるす

<吊る>の<つる>だが、<つり下げる>場合は to hang 相当。<つるす>とも言う。 だが<つり上げる>場合もあり、これは to hang にならない。to hang はもっぱら<つり下げる>だ。to hang up は普通<電話を切る>の意だ。

<価格をつり上げる>は<吊り上げる>、<釣り上げる>は変で<価格を連り上げる>ではないか?

この<連り、つる>は

たくみな言葉、見た目で消費者をつる
まわりの人が笑うので、つられて(つれて) 笑ってしまった
xxにつれて

関連語 (派生語) に

連 (つ) れる  他動詞

連れて行く
連れて来る

はよく使う。

だが複合動詞は意外と少ない。

連れ歩く
連れ込む 
連れ添う
連れ立 (だ) つ
連れ出す
連れ戻す

二人づれ、三人づれ

連 (つら) なる 自動詞 ー 連ねる 他動詞

 山がつらなる

がある。<つながっている>イメージだ。

つるむ

良くない意味だが<つながっている>イメージだ。

 

名詞の<つる>では

植物のつる、つる性植物
弓のつる

糸状、紐 (ひも) 状。何かを<吊る>、<吊るす>す場合は糸や紐を使うことが多い。

 

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