Tuesday, July 15, 2025

構える、かまう、かまける

 

 <構える>は

門、家を構える

刀を構える

彼は少し構えたところがある。

などと使い、漢字の<構える>で特に違和感はない。ある意味では<格好をつける>。

一方<かまう>は日常よく使う。

それはかまわない。

そんなことにかまっちゃいられない。

弟をかまってやれ。 

ある意味では<気にする、気にかける>。

 英語では、I do not mind.  I do not care.という言い方がある。

こちらの方は<構わない>、<構っちゃ、構って>は何かおかしい。

<かまける>も関連語だろう。

仕事にかまけて、家庭がおろそかになった。

<かまける>は<気をとられて>で<かまける>と関係がありそう。

<構える>と<かまう>は関連がなさそうだが、<構える>は、上述のように、ある意味では<格好をつける>とすると、<気にかける>が関連してくる。

 

sptt

Wednesday, July 9, 2025

かなう、かなえる、かなわない

<かなえる>、<かなう>はややこしい。

<夢をかなえる>、<望みをかなえる>で他動詞。<望みにかなう>、<理にかなう>、<要求にかなう>で自動詞。さらに<かなわない>という言い方がある。<この相手にはとてもかなわない>。この場合、<かなわない>の肯定は<かなう>で<対抗できる>といった意味になるが、<毎日こう暑くてはかなわない>(主語がない、というか省略されている)といった言い方もある。

意味は

<かなえる>は<夢、望みを実現させる>。

<かなう>は自動詞だが<望みを、理 (道理) を、要求を満足させる>といった意味で<xxを満足させられる>ではない。<xxが満足させられる>ならよさそう。これが他動詞ー>自動詞変換か?

かなう、かなえる、かなわない

ネットでは

叶う、叶える、叶わない

と<叶>の字が出てくる。

夢が叶わない

はいいが

こう暑くては叶わない

はおかしい。

中国の簡体字では<叶>は<葉>だ。少し調べてみると

 叶 = 協

で、協力、協調、協議、協定は少しよく考えると<合わせる>という意味が含まれている。

一般化すると、<かなう>は<状況に合う>、<かなえる>は<(意識して、努力して) 状況に合わせる>。

 日本人が好む<思いやり>、あるいは<思いやりのある言動>は、ある意味では<(意識して、努力して) 状況に合わせる>ことではないか?

 

sptt

Friday, June 6, 2025

<うずもれる>と<うずくまる>

 

うずもれる

ネット簡易辞書では

覆われて外から見えなくなる。うずまっている。うもれる。

<うもれる>と同じようような意味なので<うず>は接頭語だろうが、なにか意味があるのか? <うず>がつく語では<渦巻、うずまき>があるが、これは意味がはっきりしている。<うずもれる>の<渦>は関係なさそうだが、モノが<渦>の中に巻き込まれると見えなくなる、見えにくくなる。だが、この場合<うずにうもれる>ー><うずうもれる>ー><うずもれる>としなければならない。

 <うず高く積み上げる>の<うず>も<渦>だろう。視覚的に<<渦>が舞い上がるのが想像できる。

と思ったが、ネットでチェックしてみると 


https://oggi.jp/194750

「うず高く」とは書きません。「うずたかい」は、漢字一文字で堆い」と書きます。「うず」は「渦」ではなく、「珍(うづ)」や「埋(うづみ)」が変化したものではないかと考えられています。

とある。 これからすると<「埋(うづみ)」、<うづむ>が語源のようだ.。もっとも

<うづむ>は<うずめる>の古語形だ。だが<高く埋める>はおかしい。

 

うずくまる

膝を曲げて、膝を抱えて、身を低くする。

同義語には

しゃがむ、しゃがみ込む (方言か)
つくばう、つくばる、這 (は) いつくばる

がある。

これも、視覚的には、人が<渦>の中に巻き込まれると見えにくくなる。だが<くまる>はなにか? 

<うずくまる>は<うずく>+<まる>で、<まる>は<まるまる> (まるくなる) 。<うずく>の方は<つくばう>の<つく>ではないか。<う>は接頭辞。つまりは<つくまる>で<つくばりまるくなる>でこれに接頭辞<う>がついたもの。だが。これは相当ムリがある。

もっと簡単に

つくばる ー> つくまる 

これに接頭辞<う>がついて

つくまる ー> うつくまる 


 再検討予定

 

sptt
 

Friday, May 23, 2025

<追い越す>とは?

<追い越す>は

マラソンで前を走るランナーを追い越す
高速道路で 前を走る車を追い越す

といった言い方がある。 <マラソンで前を走るランナーを追い越す>は英語でどういうのかがわからないのでネットで調べたみたが、<追い越す>は

先に出るpass; get ahead of somebody; leave somebody behind; outrun; outstrip; overtake

https://ejje.weblio.jp/content/%E8%BF%BD%E3%81%84%E8%B6%8A%E3%81%99

 という訳語が見つかった。

to pass は<越える>、<過ぎる>、さらには<渡す>の意味があり、多義語だ。

一方、日本語の<越える>、<過ぎる>は ”<を>をとる自動詞 = 移動動詞 ” ということになっている。

<追い越す>相当の言葉に<抜き去る>があろ。これは上の to leave someone behind が近い。 

<追い越す>は<追う>と<越す>の合成語で (ここが肝心) 、英語にそのまま直すと to follow pass になる。これでは通じにくいが、to follow and pass とすれば何とかなりそう。<走って>を加えたければ、to run, follow and pass とか to follow and pass in running とすればよさそう。


sptt

<引っ越す>とは?

 
<引っ越す>は変な言葉だ。意味内容は<引く>も<越す>もほとんど関係ないように見える / 聞こえる。英語では to move、to relocate というが<引く>も<越す>も全く関係ない。私はは初めて<引っ越す>が<to move>なのを知った時、少しおどろいた。そのためか、以後<引っ越す= to move>は忘れなくなったし、抵抗なく使えるようになった。英語圏の人が<to move= 引っ越す>は理解しがたいだろう。だが <引っ越す>は <モノを引きずって移動する>感じがないではない。<引く>が<引きずる>はまあいいが、問題は<越す>だ。<越す>は少し面倒な動詞で自動詞だか他動詞だかよくわからない。 

越える=越す
 
峠 (とうげ) / 頂上を越える
峠 (とうげ) / 頂上を越す
 
コロナウイルスは峠を越えた。
コロナウイルスは峠を越した。
 
の<越える>、<越す>は ”<を>をとる自動詞 = 移動動詞 ” ということになっている。
 
<越える>と<越す>は微妙に違うようで、<コロナウイルス>の場合は
 
 コロナウイルスは峠越えた。
 
はいいが
 
コロナウイルスは峠越した。
 
はダメ。 <越える>は自動詞性が強いと言える。一方<越す>は<が>が使えないので他動詞と見ることもできる。(これは新発見)
 
意味としては<障害物を過ぎる>だが、<過ぎる>も ”<を>をとる自動詞 = 移動動詞 ” だ。上の例ではわかりにくいが
 
川を越える / 越す
 
は<川の一方の岸から他方の 岸 (対岸)  へ行くことだ。<行く>は明らかに自動詞だ。
 
<海を越える>というが<海を越す>はあまり聞かない。海は<越える>、<越す>障害物としては大きすぎる。大きすぎるが、<一方の岸から他方の 岸 (対岸)  へ行くこと>は変わらない。
 
一方<引っ越す>に特に障害物はない。 <一方の岸から他方の 岸 (対岸)  へ行くこと>は<一方の旧住所から他方の新住所へ行くこと>だ。旧住所から他方の新住所への距離、道のりを障害物と見れば<障害物を過ぎる>になる。つまりは<引っ越す>は

モノを引きずりながら旧住所から他方の新住所への距離、道のりを越して行く

ことなのだ。to move も<引っ越す>場合は自動詞だろう。


sptt

 

 

<広がり>についてー2  渡 (わた) る

 

だいぶ前に

<広がり>についてー2  Apr 16, 2015 

というポストを書いたことがある。<広がり>は響きのいい言葉で内容もある。このポストの冒頭で


<広(ひろ)がり>はいいやまとことばの一つだ。<末広がり>というやや俗っぽい言葉もあるが、<空間の広がり>、<時間の広がり>、<時空の広がり>は物理学で使うが、哲学的でもある。詩的でもある。


と書いている。 さて最近べつのブログで "<を>とる自動詞、移動動詞 " を再チェックしていたが、<越える>、<過ぎる>、<通る>に加えて< 渡 (わた) る>をチェックしている時に< 渡 (わた) る>が<広がり>を表わすことに気がついた。その箇所を抜き出すと

日本語の方は<は基本的に自動詞で

鶴が渡って来る季節
昔は船で中国へ渡った。
鐘の音 (ね) が響き渡る。
問題は多岐にわたる。<渡る>は何か変だ。

これらは to cross はおかしい。

鶴が海を越えて渡って来る季節
昔は船で
海を越えて中国へ渡った。

なら to cross が使える。

ところで、この<渡る、わたる> は<広がり>が感じられる動詞だ。

鐘の音 (ね) が響 (ひび) き渡る。

響 (ひび) き渡る:hibiki wataru  は耳で聞いてもいい。

似た表現を探してみると

ベルが鳴り渡る。
とどろき渡るおたけび (ハリマオの主題歌
澄 (す) み渡った空
晴れ渡った空
ここは涼しい風が吹き渡って来る。

自然現象以外では

食べ物 (資料) が皆に行き渡る。
長きにわたって校長をつとめた。  <渡る>はややおかしい。<わたって>と平仮名でいいだろう。

他動詞の<渡す>も

見渡す 

は<広がり>を感じさせる。


sptt

Wednesday, May 7, 2025

<取り越し苦労>とは?

 

<取り越す>はほとんど聞かないが、<取り越し苦労>といういい方がある。<取って><越す><苦労>ではない。<越す>は普通の<越す>、<越える>、<越えて、越して><XXをする>ではなく、<前もって><XXをする>。この場合は<前もって取る苦労>となる。時間的には<前もって>だが、空間的には<現状を越えた、前にあるもの、先にあるものを取る>のような意味になる。 先取りする。英語では、文字通りでは to pretake だが、ないようだ。

<見越す>もこの用法。to presee はないが、to foresee はある。foreseeable future はよく聞き、また使う。

<考え越す>、<思い越す>、to preconsider、to prethink という日本語、英語があってもよさそうだが、ないようだ。

<持ち越す>は<取り越す><見越す>の<越す>とは違う。 <引っ越す>は<越す>の意が薄れている。英語では to move、to relocate だ。


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