Friday, May 8, 2026

<残り>、<わび> I miss you.

 

前回のポスト

<ゆとり>と<あせり>、<余り>と<残り>

で、<余り>と<残り>をいろいろ考察してみたが、なかなか面白い。おそらく結論は出ないだろう。これとは別にたまたま<わび>、<さび>を再々検討していたところ、

<わび>、<さび>の最新英語版AI 辞典で

AI Overview (-8-May-2026)
 
Wabi-sabi is a Japanese aesthetic and philosophical worldview centered on finding beauty in imperfection, impermanence, and incompleteness. Rooted in Zen Buddhism, it celebrates natural, weathered, and simple objects, promoting acceptance of the inevitable cycle of growth and decay. This mindset encourages authenticity over perfection, valuing character and history in everyday items.
 
Key Aspects of Wabi-Sabi:
  • Embracing Imperfection: Valuing the flawed, rustic, or aged (e.g., chipped pottery, weathered wood).
  • Appreciating Impermanence: Accepting that all things are fleeting, changing, and temporary.
  • Simplicity and Nature: Focusing on natural materials, textures, and subtle, muted colors rather than opulence.
  • The Three Core Truths: According to the The Conversation, it is based on the ideas that things are flawed, things change, and things are never fully finished.

以下略 

という解説が出てきた。 
Impermanence = 非永久性、一時性

下線部(sptt)は私にとっては新知識。Wikiにもあったてみたとことろ

Wiki

わび侘びとも)とは、辞典の定義によれば、「貧粗・不足のなかに心の充足をみいだそうとする意識」を言い、動詞「わぶ」の名詞形である。「わぶ」には、「気落ちする」「迷惑がる」「心細く思う」「おちぶれた生活を送る」「閑寂を楽しむ」「困って嘆願する」「あやまる」「・・・しあぐむ」といった意味がある。

本来、侘とは厭う(いとう)べき心身の状態を表すことばだったが、中世に近づくにつれて、いとうべき不十分なあり方に美が見出されるようになり、不足の美を表現する新しい美意識へと変化していった。室町時代後期には茶の湯と結び付いて侘の理解は急速に発達し、江戸時代の松尾芭蕉が侘の美を徹底した

 以下略

下線部(sptt)


さび寂び然びとも)は、「閑寂さのなかに、奥深いものや豊かなものがおのずと感じられる美しさを」言い、動詞「さぶ」の名詞形である。

以下略


さび)の方は特に不完全、不十分、不足に関連した解説はない。

 

ーーーーー

前回のポスト

<ゆとり>と<あせり>、<余り>と<残り>

を読み返してみると、<残り>に関連しては不完全、不十分、不足使った説明が多い。


<残り>、remaining はやっかいで

(中略)

言い換えると<未達>、あるいは<不十分>を表している。背後に<未達>、あるいは<不十分>の意識がある。これも重要なコンセプトだ。<未達>の<未>中国語では重要で、<いまだxxせず>。未完、未熟。<背後に<未達>、あるいは<不十分>の意識がある>と書いたが、ある意味では<達成>、<完了>, の意識があるとも言える。


beauty in imperfection, impermanence, and incompleteness.

Embracing Imperfection:

中世に近づくにつれて、いとうべき不十分なあり方に美が見出されるようになり、不足の美を表現する新しい美意識へと変化していった。

は難しいところだ。

どう解釈すべきか?

英語に

I miss you.

という言い方がある。I love you. に近い意味だが、遠回しの言い方だ。missing は<欠けている>で

I miss you.

I feel that you.are missing.

と言いかえることができる。簡易ネット英和辞典では

私はあなたがいなくて寂しいです。

という翻訳調の訳がある。寂 (さび) しい>は普通 lonely と訳され、逆翻訳すると

 I feel lonely that you.are missing.

になるが、これはおかしい。

<わび>の由来の<わびしい>は難しくさびしい>ではない。どちらかというと<悲しい>、sad だが、これとも違う。英語に sorry という語があるが、多義語で

I am sorry. は<すみません>以外に、原意に近い<私は悲しい>の意味もある。

男女関係を忘れて、一般化すると。missing <欠けている>は<わび>に通じるところがある。だがこれを<美>にまで昇華させることができるか?

sorry は多義語と書いたが

I miss you.

I feel that you.are missing.

I feel sorry that you.are missing.

とも言えるが、この sorry はどういう意味か?

sorry の<かなしい>の意味を含む詳しい解説はアメリカ系の merriam-websterで

 https://www.merriam-webster.com/dictionary/sorry

Synonyms of sorry
 
1
a
: feeling sorrow or sympathy
I'm so sorry for your loss.
We were very sorry to hear the news.
She felt sorry for him. [=she felt sympathy and concern for him because of his situation, problems, etc.]
He told me to stop feeling sorry for myself. [=to stop indulging in self-pity]
b
: feeling regret or penitence
He was sorry about what he had said.
 
(中略)
 
used to express polite regret
I'm sorry, but I think you're wrong.
I'm sorry to interrupt you.
used to introduce disappointing or bad news in a polite way
I'm sorry, but we won't be able to come.
used as an apology for a minor fault or offense
Oh, sorry—that was clumsy of me.
I'm late again. Sorry about that. [=I'm sorry; I apologize]
 
2
: mournful, sad
Rilla remembered one moonlit evening of childhood when she had said to her mother, "The moon just looks like a sorry, sorry face."Lucy Maud Montgomery
 
3
: inspiring sorrow, pity, scorn, or ridicule : pitiful
Their affairs were in a sorry state.
Lawrence blushed, and then smiled awkwardly. A man in love is a sorry spectacle.Agatha Christie
In view of the sorry treatment of the Native Americans of the US, it is time that their voice was heard a little more clearly in contemporary American society.Tim Flannery
… had been on her way to work when her rusted-out, … sorry excuse for a car … choked on its last drop of gasoline, then died.Ingrid Law

というもの。

sorrow と sorry は同源だろう。sorrow はかなり<わび>に近い。 しかも sorry にsorrow と同時に sympathy の意味があろところがミソだ。


I'm so sorry for your loss.

では sympathy の意味が強そう。日本語では<気の毒だ>、<残念だ>という言い方がある。

 We were very sorry to hear the news.

は場合によって(ニュース内容によって) <気の毒だ>、<残念だ>、<かなしい>などになる。

feeling regret or penitence

regret  後悔、残念
penitence 悔 (く) い、自責の念、良心の呵責

 

 

 sptt

 

 

Friday, April 24, 2026

<ゆとり>と<あせり>、<余り>と<残り>

 

<ゆとり>については、少し前のポスト

 <ゆとり>について

でごく簡単に触れた。


<ゆとり>はやまとことばらしい言葉だ。 

デジタル大辞泉


物事に余裕があり窮屈でないこと。余裕。「経済的にゆとりがない」「心にゆとりを持つ」

 ”

<時間にゆとりがある、ない>もよく使う。「心にゆとりを持つ」とはどういうことか?<ゆとり>のコンセプトは何か?

 ”

物事に余裕があり窮屈でないこと。余裕。

はコンセプトとしては簡単すぎる。<ゆとり>=余裕では言葉の遊びだ。

<ゆとり>の反義語として<あせり>、<せわしい、せわしない>がある。ここでは<あせり>をとりあげる。<ゆとり>と<あせり>のコンセプトとを得るため<余り>と<残り>のコンセプトとを考えてみる。少しよく調べてみたが、<余り>と<残り>の違いはたいそう複雑だ。用例は数が多い方が分析結果が正確になる傾向があるので、できるだけ用例を探してみた。

前段として 

まだはもうなり、もうはまだなり。

をとりあげる。これは主に株式投資家への警句。これは別のところで取り上げたことがある。

株価は<まだ上がる、下がる>と言う、思うが、どっこい。もう上げ終わり、下げ終わりだ。

株価は<もう上がらない、下がらない>と言う、思うが、どっこい、まだ上がる、下がる。

という意味だ。

<まだ上がる、下がる>は言い換えると<まだ上がる、下がる余地がある>。

<もう上がらない、下がらない>は言い換えると<もう上がる、下がる余地がない>。

という意味だ。ここでは<余地> を使っているが、

まだ上がる、下がる<ゆとり>がある

もう上がる、下がる<ゆとり>がない

とは言えるが 

まだ上がる、下がる<余り>がある

もう上がる、下がる<余り>がない

とは言いそうにない。 必ずしも<ゆとり>=<余り>ではないようだ。

<余り>に似て非なる語に<残り>がある。

まだ上がる、下がる<残り>がある

もう上がる、下がる<残り>がない

とも言いそうにない。  だが

まだ上がる、下がる<余地>が残っている

もう上がる、下がる<余地>が残っていない

と言える。<残っている、remains>は<ある、exists>、<残っていない、does not remain>は< (あら) ない、does not exist>で、主要語は<余地>の方だ。

 

<余り>と<残り>の違い

<余り>は英語では excess、<残り>は remaining と言える。

<余り>、 excess は必要以上のモノ、必要以上のモノがある状態。そして背後には<達成している>、<十分以上にある>、<十二分にある>の意識がある。これらは重要なコンセプトだ。

more than needed, necessary   必要以上
more than enough   十分以上

次のような言い方もある。

more than expected  期待以上
more than wanted  欲しい以上
more than required  要求以上

<残り>、remaining はやっかいで

場合によっては

<余り>、 excess と同じくは必要以上のモノ、必要以上のモノがある状態。

<売れ残り>は、必要以上のモノ、必要以上のモノがある状態。

と言えるが、<売り切ること>を<必要なこと>とすれば、<必要以下>で終わる、言い換えると<未達>、あるいは<不十分>を表している。背後に<未達>、あるいは<不十分>の意識がある。これも重要なコンセプトだ。<未達>の<未>中国語では重要で、<いまだxxせず>。未完、未熟。<背後に<未達>、あるいは<不十分>の意識がある>と書いたが、ある意味では<達成>、<完了>, の意識があるとも言える。

<ゆとり>は <余り>、 excess 、すなわち

は必要以上のモノ、必要以上のモノがある状態、<十分以上にある>状態から生まれる。だが

more than needed, necessary   必要以上
more than enough   十分以上
more than expected  期待以上
more than wanted  欲しい以上
more than required  要求以上 

がすぐには<余り>にならない。 ここはややこしいところだ。

必要以上のモノ、必要以上のモノがある状態、<十分以上にある>状態以外に何かがありそう。

<余り>は基本的には

1)<好ましいもの>が対象になる。代表は<お金>。

金に余りがある。金が余っている。金は余るほどある。余るほど金がある。

時間は<好ましいもの>の場合もあるが、基本的にはは中立だ。

時間に余りがある。時間が余っている。時間は余るほどある。余るほど時間がある。

という。必要以上の時間に<ヒマ>がある。

ヒマは余るほどある。

はいいが

ヒマに余りがある。ヒマが余っている。余るほどヒマがある。

はおかしい。 <ヒマ>は<持て余している時間>とも言え、<余る>が重複することになる。

<仕事>も基本的にはは中立だ。

仕事が余っている。

これは、人が足りない、人が十分にいない、ためにこうなるようだが、 普通は

仕事が余っている。

とは言わない。

仕事は十分ある。

<仕事が残っている>は別で仕事の内容が違う。

すべき仕事が残っている。 

<すべき仕事が余っている>はおかしい。

すべき仕事は十分ある。

も何かおかしいが、間違いではないだろう。

(仕事が余っている。)  仕事は十分ある。

仕事が残っている。

では<仕事内容に違いはないか?

仕事が残っている。

の仕事は<すべき仕事>で特定化されている

仕事は十分ある。

の仕事は一般的に人がする仕事。特定化されていないため

一般的に人が足りない状況、人手不足の状況では

仕事は十分ある。さらには

仕事が余っている。仕事は余るほどある。

と言えそうだ。

一般的に人はもう足りている、人は十分いる(達成済み、十分)場合では

仕事は十分ある。仕事が余っている。仕事は余るほどある。

はおかしい。 中立と見える<仕事>でも状況によりけりだ。

 

さて、見方を変えて対象が<好ましいモノ>と<好ましくなモノ>に分けて考えてみる。

金 (カネ)  - 好ましいモノ

時間、仕事 - 中立

機会、チャンスも中立だ。成功するチャンス、失敗するチャンス

成功する、失敗するチャンスが余っている - ダメ

成功する、失敗するチャンスが残っている - OK

好ましいモノ

幸福、しあわせ、成長、発展、進歩、成功

<幸福、しあわせ、成長、発展、進歩、成功>が余っている。

は基本的にダメだ。 

<幸福、しあわせ、成長、発展、進歩、成功>が残っている。

<成長、発展、進歩、成功>が残っている。

はいいが

<幸福、しあわせ>>が残っている。

は何かおかしいが、全くダメだ、というわけではない。

好ましくなモノ

宿題、問題、不幸、失敗、没落、悩み

<宿題、問題、不幸、失敗、没落、悩み>が余っているはダメ。

<宿題、問題、不幸、失敗、没落、悩み>が残っているはOK。

対象が<好ましいモノ>と<好ましくなモノ>の違いによる<余り>と<残り>の使い分けはどうもはっきりしない。<余り>がやっかいだ。

<好ましいモノ>でなおかつ<使う、する予定のないモノ、コト>はどうか?

金 (カネ)、食べ物、文房具、家具、薬 (くすり) 、力、気力、元気

<金 (カネ)、食べ物、文房具、家具、薬 (くすり) 、力、気力、元気>が余っている。

すべてOKだ。

時間、仕事は中立だが<使う、する予定のない>場合は

<時間、仕事>が余っている。

でOKだ。

機会、チャンスも中立だがどうか? <使う、利用する予定のない>場合でも

<機会、チャンス>が余っている。

とは言わない。これは<機会、チャンス>が保存、ためておくことができないためだろう。もっとも時間もためておくことができないが、割り当てることはできる。 時間は特別だ。

以上から<余り>、<あまる>は

1)好ましいモノ、コト

2)使う、する予定のないモノ、コト

3) 保存、ためておくことができるモノ、コト

に限って使える、といえよう。

 

一方<残り>、<残る>はこのような制約はない。

 <宿題、問題、不幸、失敗、没落、悩み>が残っている。 好ましくなモノ、コト

 <金 (カネ)、食べ物、文房具、家具、薬 (くすり) 、力、気力、元気>が残っている。ー

使う、予定があっても、なくても<残っている>が使える。

 <機会、チャンス>が残っている。


<あせり>

一方<あせり>は<残り>、remaining のうち

<未達>は<不十分>と感じる心理状態、未達感、不十分感から生まれる。言い換えると、達成しようとする、十分になろうとする、<残り>、remaining を埋めようとする心理状態から生まれる。 

<ゆとり>も<あせり>も状況や程度による。

ウサギとカメの競争では、ウサギは必要以上に<ゆとり>を持ってしまった。

<急がば回れ>、<急 (せ) いてはことを仕損じる>も状況や程度による。急いで、特に<あせって>やると、ミスが多くなる傾向にはある。

 

<あせり>は動詞<あせる>の連用形の体言 (名詞) 用法。<あせる>は<せく、急く>、<せる、競る>由来だろう。何かに<追われている>感じで<ゆとり>がない。

次の話は上の<まだはもうなり、もうはまだなり>の関連するが、英語で

(The glass is) Half empty.

(The glass is) Half full.

という言い方がある。中立的には

(The glass) Half remains. 

と言えるが、日本語では

半分残っている。

もう半分しか残っていない。(The glass is) already half empty.

まだ半分残っている。(The glass is) still half full.

 これは<残り>のことを言っていて<余り>についてではないようだが、例えば

もう十二分にビールを飲んでいる場合には (達成済み、十分)

まだグラスに半分余っている、と言える。残っている、でもいい。

ビールがまだ飲み足りない場合には  (未達、不十分)

もうグラスに半分しか余っていない。

はダメで

もうグラスに半分しか残っていない。

<もうグラスに半分しか余っていない>に似た表現に

仕事が余っている。 

がある。これも<もうグラスに半分しか余っていない>と同じく、あまり聞かな言い方だ。普通は

人が余っている。

これは、仕事が足りない。 仕事が十分にない、ためだ。 

仕事が余っている。

これは、反対に人が足りない、人が十分にいない、ためにこうなるようだが、

仕事が余っている。

とはいわない。 普通は

仕事は十分ある。

<仕事が余っている>がおかしいのは

もう人は足りている、人は十分いる(達成済み、十分)場合

人は余っている 


<余計 (よけい) >は漢語だが、

余計なことはするな、言うな。

などとしてよく使う。

やまとことばでは

いらぬことはするな、言うな。

で済む。 <いらぬ>は<要 (い) らない>、<必要のない>の意で、上の


<余り>、 excess は必要以上のモノ、必要以上のモノがある状態。言い換えると<達成している>、<十分以上にある>、<十二分にある>を表している。これらは重要なコンセプトだ。

が使えそうだが

<余りな>ことはするな、言うな。

 は聞いたことがない。だが

<達成している>、<十分以上にある>、<十二分にある>のだから、それ以上することはない、という意味にはなる。言い換えると<必要以上のこと>になり、<あまり>は<必要以上のこと>と言えるのだ。それではなぜ

<余りな>ことはするな、言うな。

と言えない、言わないのか? 

中国語で<多管閒事>という四字成語がある。普通は否定命令で使われ

别多管闲事! 余計なことをするな!

余計>は和製漢語のようで単純な<余り>ではなく

余計 ー · 過分,多餘;無用的 · 多餘; 剩餘 · 比平時多; 格外 · 多此一舉; 不必要; 畫蛇添足 · 更加; 格外; 

というのが中国語に解説はネット上にある。不必要、必要以上、行き過ぎ、無用、ムダといった意味だ。


ーーーー

<余り>と<残り>の慣用表現

<余り>

苦情を言っても余りあり (余りがある)   苦情は言い切れない、言い果たせない、山ほどある

あまりない  そう多くはない、そう頻繁ではない、まれだ

あまりにひどい、あまりにもひどい  excessively 

<余す>

余すところなく、すっかり

 

<残り>

残りなく、すっかり

残り物に福あり  余り物に福あり、とは言わない

居残り <ー 居残る

<残す>

言い残す   未達

食べ残す  未達のことだが、量が多過ぎる場合は<食べ余す>と言えそうだ。

やり残す  未達

 


末尾

せく

学研全訳古語辞典

せ・く 【急く・逼く】

[一]自動詞カ行四段活用

活用{か/き/く/く/け/け}

① いそぐ。あわてる。あせる。

出典禁野 狂言

「そなたがその様(やう)におしゃると心がせくによって」

[訳] あなたがそのようにおっしゃると心があせるので。

② いらだつ。嫉妬(しつと)する。

出典出世景清 浄瑠・近松

「はっとせきたる気色(けしき)にて」

[訳] はっといらだったようすで。


[二]他動詞カ行四段活用 (略)
 
 
 
sptt

 


Wednesday, April 22, 2026

<リラックス>のやまとことば - 2 、<ゆるみ>


<リラックスのやまとことば>についてはだいぶ前のポスト

リラックスのやまとことば、<ほがらか>  Sep 8, 2017

で取り上げている。 

最近、" <ゆとり>について " というポストを掻いたが、<リラックス = ゆとり>ではない。<ゆとり>を調べているうちに<リラックス> 、<ゆとり>関連では<ヤ行>の語が多いのを見つけた。

やすむ (休む)  やすまる  やすめる

やすらぐ  やすらぎ

ゆるむ ./ ゆるまる / ゆるめる、ゆるい、ゆるやか、ゆるみ  リラックスのやまとことば候補だ。

ゆっくり  ゆっくりする  これもリラックスのやまとことば候補だ。

やわらぐ / たわらげる、やわらかい、やわらかめる

" リラックスのやまとことば、<ほがらか> " のポストでは、肩こりを<ほぐす>ー><ほがらか>といったようなことを書いたが、凝 (こ) った肩をやわらかにする、やわらかめる、はリラックスに通じる。

ゆさぶる  振動させる、振 (ふる)わす ゆさぶり

ゆする  振動させる、振 (ふる)わす ゆすり 慣用的な言い方がある。ゆすり、たかり

ゆらぐ  振動する、振 (ふる) える  ゆらぎ

ゆらす  振動させる、振 (ふる)わす ゆらし

ゆれる   振動する、振 (ふる) える  ゆれ

マッサージ機は主に振動の機能を利用している。

ゆるがす  振動させる、振動させて倒す  ゆるがし 慣用的な言い方がある。ゆるがしにできない

ゆるぐ   ゆるくなる、ぐらつく、  ゆるぎ  ゆるぎない

よたる (方言か)  - よたよたする

よろける  - よたよたする、よろよろする

よろつく - よろよろする

 

最後の方は<ゆるみ>に起因するよくないことだ。

 

sptt



 

つつむ (包む) 、つつましい、つましい

 

<つつましい>、<つましい>をネットでチェックしてみると

「つつましい」は「他から見て控えめである。慎重である」(広辞苑)の意味、「つましい」は「倹しい/約しい」と書き「質素である。また、生活ぶりが地味である」(同)という意味です。

さらには 

しかし「つつましい」には「ぜいたくでない、質素」という意味もあり、「つましい」と重なる部分も。そのため最近では「つましい」と同義で使われることも多いようです。

 

私、個人的には<つましい>は使ったことがない。<つましい>を耳にしたこともあまりない。<つつましい>も<つつましい生活>といった言い方で、<花子はつつましい性格だ>という言い方はしない、と思う。

したがって、上記の広辞苑の解説は相当<古くなっている>と言えよう。近代だけでも意味の変遷があるのだ。

<つつましい>はいみないようからして動詞<つつむ (包む) >由来だろう。<つつましい>、<つましい>の古語をチェックしてみる。

<つつましい>


学研全訳古語辞典

つつま・し 【慎まし】

形容詞シク活用

活用{(しく)・しから/しく・しかり/し/しき・しかる/しけれ/しかれ}

① 気が引ける。気兼ねされる。遠慮される。

出典大和物語 一四九

「久しく行かざりければ、つつましく立てりけり」

[訳] (女の所へ)長い間行かなかったので、気が引けて(外に)立っていた。

② きまりが悪い。気恥ずかしい。

出典源氏物語 夢浮橋

「幼ければ、ふと言ひ寄らむもつつましけれど」

[訳] 幼いので、突然話しかけることも気恥ずかしいけれど。

 

① 気が引ける。気兼ねされる。遠慮される。

の<気兼ねされる>、<遠慮される>は日本語特有の<気兼ねする>、<遠慮する>の自発表現と言える 。受身ではない。

 

例を見る限り<つつま・し 【慎まし】>は

「他から見て控えめである。慎重である」でも「質素である。また、生活ぶりが地味である」でもない。

「他から見て控えめである。慎重である」は

気兼ねする、遠慮する

に近い。 「質素である。また、生活ぶりが地味である」の意味は全くない、といっていい。したがって、広辞苑のやや古い解説と合わせて、この意味を持つようになったのははかなり最近のことだろう。

 

<つましい> 

 <つましい> は古語にない。ネットでチェックしてみると


https://e-kotobano.com/9205/

「つま」は「端」や「爪」と語源が同じで、指先ほどのわずかなものを指します。「つまむ」も少量を食べる/取る」という意味ですが、これも同じですね。つまり、「つましい」は、わずかなものを大切に節約して生活する倹約生活のことなんです。

 

<つましい生活>、<生活がつましい>は最近ほとんど聞かない。死語になりつつあるのだろう。またやや貧乏臭 (くさ) いところ、ネガティブなところがある。一方<つつましい生活>、<生活がつつましい>は使われており、こちらの方は特に貧乏臭 (くさ) いところはない。むしろ積極的、ポジティブなところがある。これが<つつましい>は優勢になった理由だろう。

 

sptt

 




Sunday, April 19, 2026

<ゆかしい>、<おくゆかしい>


<ゆかしい>は今は使い方がわからなくなっているためか、ほとんど聞かない、使わない。<おくゆかしい> は人の形容として

言動が控 (ひか) えめな

の意で使われる。基本的にはいい意味で使われる。<ゆかしい>も<おくゆかしい>も残したいいいやまとことばだ。英語では、humble、reserved という形容詞がある。

<ゆかしい>、<おくゆかしい>の語源をチェックしてみたが、なかなかおもしろい。

古語の<ゆかしい>に<言動が控 (ひか) えめな>の意はない。

小学館 全文全訳古語辞典

ゆか・し

〔形容詞シク活用〕 [類義語]なつかし・こころにくし ⇒ ゆかしがる

動詞「行く」の形容詞化した語。そちらの方へ行ってみたくなるほど興味がひかれる、がもとの意。そこから、知りたい見たいなつかしい恋しい、などの意が生まれる。

❶興味・関心をひかれる様子。知りたい。見たい。聞きたい。

「忍びて寄する車どものゆかしを」〈徒然草・137〉

目立たぬようにやってくる牛車(ぎつしや)が(誰の牛車かと)知りたいのを。

❷なつかしい。恋しい。慕わしい。

「昔の名残(なごり)も、さすがゆかして」〈平家・6・小督〉

昔の出来事の思い出も、なんといってもやはり懐かしくて。

で語源は字面からくる意味<行 (ゆ) かし>、<行きたい>ー><行ってみたくなるほど興味がひかれる>なのだ。英語で attractive という形容詞がある。主に魅力的な女性の形容で使われる。とりたてて美人でなくてもいいところがミソだ。

一方<おくゆかしい>は


学研全訳古語辞典

おく-ゆか・し 【奥床し】

形容詞シク活用

活用{(しく)・しから/しく・しかり/し/しき・しかる/しけれ/しかれ}

① もっとよく知りたい、見たい、聞きたい。

出典大鏡 序

「いつしか聞かまほしく、おくゆかしき心地するに」

[訳] 早く聞きたく、もっとよく知りたい気がするときに。

② 洗練されていて上品だ。深い心遣いが感じられて心引かれる。

出典源氏物語 賢木

「なかなかなまめかしうおくゆかしう思ひやられ給(たま)ふ」

[訳] かえって優美で洗練されていて上品に自然と推察されなさるのである。◇「おくゆかしう」はウ音便。

参考

「ゆかし」が、知りたい・見たい・聞きたいの意味を持つところから、①の意味が導かれる。

 

で、これまたすぐには<言動が控 (ひか) えめな>の意味はない。

① もっとよく知りたい、見たい、聞きたい。

は主観的な感情

② 洗練されていて上品だ。深い心遣いが感じられて心引かれる。

の前半<洗練されていて上品だ>は第三者の形容。後半の<深い心遣いが感じられて心引かれる>は主観的な感情で ① と同じだ。 おそらく洗練されていて上品だ>は意訳に近い。これは、英語で言えば、refined, noble で humble、reserved とは違う。
 
<言動が控 (ひか) えめな>の意味への変化は、おそらく
 
① もっとよく知りたい、見たい、聞きたい。

② 深い心遣いが感じられて心引かれる。

は<奥の深い人物>が対象となる。<うすっぺらな人物>は対象にならない。<奥の深い人物>は大体<言動が控 (ひか) えめ>だ。
 
 
ところで前回のポストで<ゆとり>をとりあげたが、<おくゆかしい>人には<ゆとり>が感じられないだろうか? また<ゆったりした>感じもある。いづれも<<ゆ>がつくことばだ。

 
関連するやまとことばとしては<つつましい>があるが、これは動詞<包む>由来だろう。
 
 
 
sptt


 

Saturday, April 18, 2026

<ゆとり>について

 

<ゆとり>はやまとことばらしい言葉だ。 

デジタル大辞泉


物事に余裕があり窮屈でないこと。余裕。「経済的にゆとりがない」「心にゆとりを持つ」

 ”

関連語としては、擬態語みたいだが<ゆったり>がある。語源ではなさそうだが古語に<ゆたけし>というのがある。

 ①(空間的に)ゆったりとしている。広々としている。

②(気持ち・態度などに)ゆとりがある。おおらかだ。

 ③(勢いなどが)盛大だ。

<末尾>参照

   <ゆたけし>は<ゆたか (な、だ)>の古語と言っていい。<ゆたけし>が<ゆったり>という語を生み、これが<ゆとり>になったのではないか?

 

<末尾>

学研全訳古語辞典

ゆた-け・し 【豊けし】

形容詞ク活用

活用{(く)・から/く・かり/し/き・かる/けれ/かれ}

①(空間的に)ゆったりとしている。広々としている。

出典万葉集 四三六二

「海原のゆたけき見つつ」

[訳] 海原が広々としているのを見ながら

②(気持ち・態度などに)ゆとりがある。おおらかだ。

出典万葉集 一六一五

「ゆたけき君を思ふこのごろ」

[訳] おおらかなあなたを思うこのごろ。

③(勢いなどが)盛大だ。

出典源氏物語 若菜上

「最勝王経・金剛般若(はんにや)・寿命(ずみやう)経など、いとゆたけき御祈りなり」

[訳] 最勝王経・金剛般若経・寿命経など、たいそう盛大な御祈禱(きとう)である。

 

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<間、ま>について

 

<間、ま>はやまととばでの重要語の一つだ。ほとんど無意識で<間>を日常使っている<間>が使われている語、慣用語、慣用表現を並べてみる。


間合い  剣道では重要こと。間合いを計(はか) る。
間がある  バスがくるまでにはまだ間がある。
間がない  xxする間がない
間が持たない
間が悪い
間ぢか 間近   試験が間近に迫っている(時間)。間近で見る(空間)
間抜け  前回のポスト ": <バカ>と<間抜け>の語源 " で 詳しく検討した。

間のびする
間もなく

間をあける 間を空ける
間を入れる
間を置く
間をつめる  間を詰める  あいだを詰める  <あいだ>はいかにもやまとことばらしい。
間をとる   休む(時間)ほぼ<間を置く>と同じ。<間を取って置く>。空間を空ける <間を詰める、あいだを詰める>の反義語だ。
間を持たせる 


あい間  <合い間>ではなく<空 (あ) い間>。この意味での<空き間>はあまり聞かない。<空き間>は普通<空いている部屋>。

い間  居間  この<間>も部屋の意味だ。
いとま ひま 暇
日本語の「ひま」はヒ(物の割れ目)+マ(間)で、「空間的な狭い割れ目・隙間、転じて、時間的・心理的な割れ目」の意。 「いとま」はイト(休みの時)+マ(間)で、「仕事を休んでいる時」の意という(『岩波古語辞典』)。

貸し間
すき間、隙間
つかの間 束の間
なかま 仲間  <仲間>の語源はややこしい。
はざま 狭間
ひと間、ふた間  六畳ひと間の部屋、六畳と四畳半のふた間ある。<間>は部屋をかぞえる数詞とも言える。
またたく間 瞬く間

鬼のいぬ間に
知らぬ間に
見る間に  しばらく見ぬ間に
休む間もなく
くちびるの色あせぬ間に  (歌の文句)

時間関係の語が多いが空間関係の語もある。

時間関係の語では<何もしない時間>、<時間の経過>の意が多い。英語では idling time、passing time、timing 間が悪い

死語になっているようだが、私が子供のころは<タンマ>という語が使われていた、今は<タイム (をとる) >のようだ。<タンマ>は 耳で聞いた Time Out (タイム アウト ー> タムア ー> タンマ) か?

空間関係の語  英語では space、vacant space、room

間近で見る(空間)
<空き間> 空いている部屋。
居間
貸し間
すき間 隙間
はざ間 狭間
ひと間、ふた間  中国語でも部屋 (房) は<间>でかぞえる。一间房。

間を詰める  あいだを詰める

 

<間>関連のやまとことばでは、

あき、空き
ゆとり

room には<部屋>以外にこのような意味もある。


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