Saturday, July 6, 2013
<見舞う>の語源
<見舞う>の語源を時々考えているが、確かそうな回答が見つからない。このポストは中間報告。
<見舞う>には少なくとも関係なさそうな二つの意味がある。
1)病人を見舞う、被災地を見舞う
2)パンチを見舞う、関東地方を水害が見舞う、関東地方が水害に見舞われる(他動詞の受身だが、被害、迷惑の意もふくまれるようだ)
<見舞う>は助詞<を>をとるので他動詞。名詞(体言)は<見舞い>だ。丁寧にいえば<お見舞い>。したがって、1)2)は次のようにも言える。
1)病人をお見舞いする(または、病人のお見舞いをする)、被災地の見舞をする
2)パンチのお見舞いをする、水害のお見舞いを受ける(ふざけた言い回しのようだが、可能だ)
1)の<病人を見舞う、被災地を見舞う>の<見舞う>は<訪れる>、<たずねる>でもいいが、 一般的な言い方だ。一方<見舞う>は対象が病人、被災地と不利、困難な状況にある人、ところの場合の専用だ。これは2)パンチを見舞う、水害に見舞われる、に関連するようだが、意味は違う。2)はあくまで<害>を与えることで、 不利、困難なな状況にある人、ところを<訪ねる>とは根本的に違う。
1)2)のどちらか元来の意味で他方派生的な用法と考えることができるが、それではどちらが元来の用法か。言葉の歴史を調べればわかるだろう。
<みまう>の<み> は<見る>の<見(み)>でいいと思うが、問題は<舞う>だ。<舞(まい)を舞(ま)う>と言うが、<舞>、<舞う>と1)<訪れる>、<たずねる>(病人や被災地の人々を見に行って舞を舞うわけではない)、2)害をあたえる、といったいどういう関係があるのか?
<まい>は<まう>の連用形名詞(体言)用法。いかにも大和言葉のようだが、大和言葉には<おどりをおどる(踊りを踊る)>の<おどる(o-do-ru)>がある。これはかなりの高確率で大和言葉だ。一方<舞う>の<舞>は現代中国語(普通語、北京語)で<wu>(四声は無視)と発音するが広東語では<mou>(これも六声だか七声は無視)で<まう>と関連がありそう。なお、中国語では名詞も動詞も<舞>のひとつだ。<おどる(o-do-ru)>に比べれば<まう>がで大和言葉である確率はそう高くない。
推測-1)<訪れる>、<たずねる>に関してはは<まいる(参る>という大和言葉がある。見にまいる --> 見まいる --> 見まう、の変化は考えられないか?
推測-2)<舞い上(あ)がる>、<舞い降(お)りる>という言い方がある。<舞い下がる>とは言わない。この<舞(ま)う>は<巻(ま)く>に近い。ぐるぐる巻きながら(回わりながら)上がり、降りる、のだ。<ホコリが舞い上がる>、<竜(りゅう)が舞い上がる(降りる)>、<ヘリコプターが舞い上がる(降りる)>だ。<蝶のように舞い、蜂のように刺す>ボクサーがかなり前にいたが、私の観測では蝶は<ひらひら舞う>だけで<舞い上が>ったり、<舞い降り>たりはしない。<巻く> --> <舞う>は考えられないか?これはさらにもうひとつ意味上の関連がある。<舞い降りる>は<上から降りてくる>のだが、これは<予期せぬモノ>が現れることもあらわす。さらには<予期せぬコト>が現れることもあらわす。<予期せぬコトが現れる>のはよいコトの場合もあるが、悪いことの場合は<災害>だ。<災害>は<舞い降りて>くるのだ。これで2)の<パンチを見舞う、関東地方を水害が見舞う>の説明はつく。さて1)の<病人を見舞う、被災地を見舞う>だが、今は電話などで都合を聞いてから<見舞う>が、これは本来相手が<予期しないのに現れる>ことではなかったか?昔は電話という文明の利器はなかった。
sptt
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