<ふるまい>は漢字を使うと<振る舞い>になるが意味内容は<振る>も<舞う>も関係なさそう。<ふるまい>の語源はなにか?
以前のポストで<見舞い>の語源を書いたがこれにあまりとらわれずに、<ふるまい>について考えてみる。日本の物理の先生は<ふるまい>と大和言葉が気に入っているようでよく聞き、目にする。
無重力下でのモノの振る舞い(ふるまい)。<動き>や<場(ば)>も物理の先生が好きな大和言葉だ。これはなぜか? 物理学は中国からではなく西欧から輸入された。対応する英語は
振る舞い - behaviour (behavior)
動き - motion、 movement
場(ば) - field
<behaviour> は必ずしも物理用語ではないが、つきめるところ物理学は<モノの振る舞い>の原因を数式を使ってあらわす学問と言える。また振動は物理学ではモノの根源的な<振るまい>のひとつで、世界、宇宙は振動からできているとも言える。
振る舞い(behaviour)を漢語であらすと、行動、動作、行為があるがあるが、どれもイマイチで<振る舞い>にはかなわない。
さて<ふるまい>の語源について考えてみる。
<ふる>+<まい>、あるいは動詞形の<ふるまう>であれば<ふる>+<まう>と分析できるだろう。
<ふる>に大きく分けて<ふる(振る>と<ふる(降る)>がある。アクセントが違い、使い分けられている。<ふるまう>の<ふる>が<降る>の<ふる>由来である可能性は少ないが否定はできない。降りかかる雨。胡椒(コショウ)を振りかける。
<ふるまう>の特徴的なことは<ふる>の連用形<ふり>+<まう>の<ふりまう>(複合動詞)でないことだ。連用形<ふり>の複合動詞は多い。
振りあげる
振りあてる
振りおとす
振りかえる
振りかける --> ふりかけ
振りかぶる
振りきる
振りこむ
振りしぼる
振りだす --> ふりだし
振りつける --> 振りつけ
(振りにげる) --> 振りにげ (野球用語)
振りのける
振りはなす
振りはらう
振りほどく
振りまく
振りまわす
振りむく
振りむける
振りわける
文字通り<振って>XXするの意味が多いが、比喩的なのもある-振りあてる、振りかえる、(知恵を)振りしぼる、 (笑顔を)振りまく、振りわける。
また、<振る>は振動の表現でいく度も<行ったり来たり><する>、<させる>反復動作を示すようだが、振りあげる、振りあてる、振りかえる、振りかぶる、振りこむ、振りむく、振りむける、は反復ではなく<行ったきり>の動作で<振る>の漢字は必ずしも適切でないようだ。<ふる>のワープロ辞書は<振る>と<降る>だけだが 、<降る>は別として<ふる>には<振る>以外の意味があることになる。
振動の表現の大和言葉には<ゆれる、ゆする>があるがこちらのほう往復専用で<行ったきり>の動作は示さないようだ。右に振れる(O).右にゆれる(ゆする))(X)。
<ふる>が後ろにくる複合動詞はあまりない-わり振る。
いづれにしても<ふりまう>でなく<ふるまう>は特徴的なことで、語源を考える上で参考にした方がよささう。辞書によると<フルチン>は<振りチン>のなまりで、<ふるまう>も<ふりまう>のなまりの可能性がある。
<ふるまう>にはモノの<ふるまい>のほかにモノを<ふるまう>(与える)の意があり、<オオバン振る舞い>という言い方がある。<オオバン>の方は<大盤>のようだが、これだと与えるモノは食べ物だろう。<大判>だと金銭になるが、はした金ではない。<ふるまい>は文字通り<振り播く、振り撒く>の動作が想像され、これが語源だろう。モノの<ふるまい>の語源を考える上で参考にした方がよささう。また触れる(古語は<触る>か?)も関連があろう。
結局今回の調査では残念ながら語源がわからなかった。継続調査予定。
sptt
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