Tuesday, April 8, 2014

<みちびく>、<ひきいる>について


<みちびく>はほとんどの場合<導く>と書かれ、発話する場合でもこの<導>の漢字が頭に浮かんできているのではないだろうか。少し考えれば<みちびく>は<道(みち)引く>がもとのやまとことばだろうと察しがつく。だが<道引く>、<道を引く>とはいったいどういうことか?<道を敷(し)く>ではないので(<ひく>と<しく>の区別がない地方がある)で<道をつくる>の意味ではない。したがって<道を引く>は<道にそって人々を引いて行く>、<道にそって人々を率(ひき)いてて行く>が語源だろう。いい言葉だと思うが、残念ながら、この意味で<みちびく>はあまり使われずリーダーを意味する<みちびき手>はさらにほとんど使われない。リーダーとか指導者を使うのが一般的だ。

<みちびく>が人気がないのはもとの意味の<道を引く>のイメージにあるようだ。<道を行く>の<行く>は自動詞だが<引く>は他動詞。したがって。<道を引く>は<道を(手前に)引く>、<道を(手前に)引っ張る>感じがするのだ。<道を引いて行く>とすれば<道にそって(前に)(人々を)引っ張って行く>の感じが少しはでるがこのイメージはわきにくい。

何か別のいいやまとことばはないか?

<ひきいる>、漢字で書くと<率いる>という動詞がある。手元の辞書(三省堂)を引くと次のような説明がある。

<引く>+引率の意の雅語<る>(末尾参照)

 <る>の見出し語はこの現代語辞書にはない。引率の意の<る>を知る人はごく限られているだろう。一般の人で<る>で<引率の意>を連想する人はいない。<引く>自体に<引率の意>がないだろうか?


いろはにほへと

ところで<辞書をひく>の<ひく>といったいどういう意味(行為)か? 明らかに<to pull>や<to draw>や<to drag> の意味(行為)ではない。別途検討。<引く(ひく)>はおもしろい動詞だ。


 末尾<いろはにほへと

いろはにほへと ちりぬるを
わかよたれそ  つねならむ
うゐのおくやま けふこえて
あさきゆめみし ゑひもせすん

色は匂へど 散りぬるを
我が世誰そ 常ならむ
有為の奥山 今日越えて
浅き夢見じ 酔ひもせず



昔は<>と<>、<え>と<>、<お>と<を>の発音上(したがって、文字上)の区別があった。<あ>と<わ>の区別は今でもある。


sptt

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