Sunday, May 17, 2015

<風情>と<おもむき>


<風情(ふぜい)>は漢語でやまとことばではない。しかしどことなくやまとことば的だ。手もとの辞書をひくと第一義として

風情 = おもむき

がある。

 この庭は風情がある。

< この庭は風情がある>はなぜか< この庭はおもむきがある>に劣らずやまとことば的だ。まず発音が<ふじょう>ではなく<ふぜい>なのがやまとことば的な理由にあげられそう。第二義は省略して第三義として<xxのような者>の意で

 <学生風情がなまいきに xxxx>が例としてあげられている。この言い方もやまとことば的だ。

風がつく漢語には<風情>以外によく聞いたり、使ったりするのに

風景、風俗、風習、風格、風貌、風采、風刺。<風>が後ろに来る語では校風、社風、気風

があるが風情ほどやまとことば的な感じはしない。風情を含めこれらは風(かぜ)とは直接関係なさそうだが、共通しているの意味内容は何か? この風(かぜ)は<こんな風に(な)>の風(ふう)と関係がありそう。つまり<このように(な)>の<よう>だ。だがこの<よう>も漢語の<様(よう)>由来だろう。北京語では yang だが広東語では yong と発音する(いづれも高低は無視)。昔の日本人は耳がよく yang と yan、yong と yon を聞き分けていた。yang は<やう>、 yan は<やん>、 yong は<よう>、yon は<よん>なのだ。また<様>は昔は<やう>と書いていた。

風貌、風采の風は<様子>、校風、社風、気風の風は目に見えない<ある特徴>のようだ。

元の中国語の<風(feng)>に<よう>の意味があるかどうか調べていないが、<風(かぜ)>は昔の人にとっては直接には目に見えないがいろいろ目に見える現象を引き起こす自然界の神秘的なモノだったに違いない。<引き起こす>に下線をつけたのはわけがある。風景、風俗、風習、風格の<風>はよくわからないが<風情>について言えば

<風情>とは<(感)情>引き起こすコトと言える。風刺の風も引き起こすに関連がありそう。

一方<おもむき>は動詞<おもむく>の連用形の体言(名詞)化用法だが、<おもむく>は自動詞で<どこかへ行く>の意だ。したがって

<おもむき>とは<(感)情>どこかへ行くコトとを表わす、と言える。


 sptt


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