Thursday, July 14, 2016
<たのむ>、<たよる>について
<たのむ>はよく使うやまとことばだ。コンピュータワープロでは<頼む>が一番目に出てくるが<頼む>だけではまに合わない場合がある。
1)花子に来てくれるように頼む(頼んだ、頼もう)。
2)花子、頼むから来てくれ。
1)は<頼む>でよさそうだが、2)の<頼む>はややおかしい。文字にするとこの違いが出てくるが、言ったり、聞いたりする場合は<たのむ>だ。1)はあまり感情がはいっていない。2)は感情がはいっているだけでなく、<頭を下げている>様子が想像され、さらに<頼む>と言う漢字はそぐわないような気がする。
名詞(体言)の<頼み(たのみ)>はどうか?
1)頼みがある。
2)頼みの綱
これまた1)は<頼み>でいいが、2)は<頼み>という漢字はそぐわないような気がする。また、これまた文字にするとこの違いが出てくるが、言ったり、聞いたりする場合は<たのむ>だ。
コンピュータワープロでは二番目に<恃む(たのむ>が出てくるが、使う人はごく少ないだろう。侍(さむらい)と勘違いしそうだ。こちらの方は、漢語を使うことになるが、<依頼する>というよりは<依存する>。<依存する>は<よりかかる>といううやまとことばがある。<たのもしい>という形容詞は<よりかかれる>といった意味だ。さらには<よりかかる>は<よる>+<かかる>だが、<よる>関連では<たよる>というこれまたよく使うやまとことばがある。<たのもしい>は<たよれる>でもある。
たのむ
たよる
と二つならべて、さらに
た のむ
た よる
としてみる。
<た よる>は接頭辞<た>+よりかかるの<よる>で語源が説明できそう。一方これを<た のむ>に応用すると接頭辞<た>+ 飲むの<のむ>になる。<のむ>には<うけいれる>と言った意味もある。こじつけのようだが、これが<たのむ>の語源ではないか?
はじめのほうで<花子、頼むから来てくれ>は<頭を下げている>様子が想像され、と書いたが、これはイタリア語勉強中 supplicare と言う動詞に遭遇して書いたもの。supplicare は<たのむ>に似た意味がある。辞書をしらべると英語にも、聞いたこと、見たことはないが、to supplicate という動詞がある。supplicare はラテン語分析すると、sub + plico で、sub は<下へ(に)>(subway, submarine)、 plico は<折る、曲げる>だ。連想がよくはたらく人は英語の to complicate が思い浮かぶのではないか。<下へ(に)><折る、曲げる>は<頭を下げている>様子が想像される。
英語には to beg という動詞がある。I beg your pardon. は聞き返すときの常套句になってしまっているが、少しゆっくり、感情をいれて言えば、頭を下げて許しを請うときにもつかえる。
ところで、中国語はどうか?<依頼>という漢語があるので、<たのむ>に相当する動詞がありそうだが、日常の口語では<助ける>に相当する<帮(手)>がきわめてよく使われるが、頭を下げるほどではない。
<たのむ>は手元の辞書の第一義は
”
相手を信用して、力を貸してくれる(自分のかわりに何かをしてくれる)ように申し入れる。
”
となっており、けっこう複雑な内容。<たのまれる>ということ信用されているということだ。ひとは<たのまれているうちが花>と言えそう。
sptt
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