Friday, May 23, 2025

<広がり>についてー2  渡 (わた) る

 

だいぶ前に

<広がり>についてー2  Apr 16, 2015 

というポストを書いたことがある。<広がり>は響きのいい言葉で内容もある。このポストの冒頭で


<広(ひろ)がり>はいいやまとことばの一つだ。<末広がり>というやや俗っぽい言葉もあるが、<空間の広がり>、<時間の広がり>、<時空の広がり>は物理学で使うが、哲学的でもある。詩的でもある。


と書いている。 さて最近べつのブログで "<を>とる自動詞、移動動詞 " を再チェックしていたが、<越える>、<過ぎる>、<通る>に加えて< 渡 (わた) る>をチェックしている時に< 渡 (わた) る>が<広がり>を表わすことに気がついた。その箇所を抜き出すと

日本語の方は<は基本的に自動詞で

鶴が渡って来る季節
昔は船で中国へ渡った。
鐘の音 (ね) が響き渡る。
問題は多岐にわたる。<渡る>は何か変だ。

これらは to cross はおかしい。

鶴が海を越えて渡って来る季節
昔は船で
海を越えて中国へ渡った。

なら to cross が使える。

ところで、この<渡る、わたる> は<広がり>が感じられる動詞だ。

鐘の音 (ね) が響 (ひび) き渡る。

響 (ひび) き渡る:hibiki wataru  は耳で聞いてもいい。

似た表現を探してみると

ベルが鳴り渡る。
とどろき渡るおたけび (ハリマオの主題歌
澄 (す) み渡った空
晴れ渡った空
ここは涼しい風が吹き渡って来る。

自然現象以外では

食べ物 (資料) が皆に行き渡る。
長きにわたって校長をつとめた。  <渡る>はややおかしい。<わたって>と平仮名でいいだろう。

他動詞の<渡す>も

見渡す 

は<広がり>を感じさせる。


sptt

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