Friday, March 28, 2014

<だらしがない>の語源


<だらしがない>という言い方があるが、手もとの辞書によると<だらし>は<しだら>を並べ換えたもの、となっている。<ふしだら>と言う言葉があり、純やまとことばにいいかえると<しだらがない>となる。だがこの辞書に<しだら>の説明はなく、また<しだ ら>の見出し語もない。これでは親切な説明とは言えない。

<だらし>は<だらけ>と関連があろう。<だらけ>は<好ましくないモノ、コトにつく接尾辞>という説明がこの辞書にある。

<だらけ>

ごみだらけにする(なる)
借金だらけにする(なる)
血だらけににする(なる)
つぎはぎだらけにする(なる)
どろだらけにする(なる)
ほこりだらけにする(なる)
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うそだらけの報告
キズだらけの青春
失敗だらけの人生
にきび(しわ)だらけの顔
まちがいだらけの答案
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幸せだらけの青春
成功だらけの人生
正解だらけの答案

とは言わない。
 

<好ましくないモノ、コトにつく>接尾辞だから、<だらけ>自体に悪い(よくない、好ましくない)意味はないはずだがだが、連想が働いて<だらけ>が悪い意味があるように思えるのだ。また<だらける>という動詞や形容詞まがいの<だらけている>という表現もある。<堕落(だらく)>は<だらけ>と関係のない漢語だが、文字から離れて耳で聞く限りは何らかの連想が働きそうだ。

言語上に見られる<二重否定の単純否定>というややこしいのがあるが、これとの連想で<だらし(<だらけ>由来)>の<好ましくない、よくないモノ、コト>という否定的な感じにひかれて<だらしない>は二重否定になる。だがこの場合二重否定は肯定で、これまたややこしいが<だらし>(好ましくない、よくないモノ、コト、という否定的意味)があることにになる。これと似たのに<せわしい>、<せわしない>がある。

sptt

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