Friday, September 12, 2014

<並(なら)ぶ>に見る<横並び思考>


<並(なら)ぶ>は面白い動詞だ。いくつかの意味があるが、英語の to line up(英国英語は to queue up)の訳語では<列に加わる>という原語に近い訳もあるが、日本語(大和言葉)らしいのは<ならぶ>だ。手もとの辞書によると<均(な)らすと同源か>という解説がある。

<ならぶ>と<ならす>はどこが同源か。

<ならす>は漢字では<馴らす>、<慣らす>、<均(な)らす>がある。<鳴らす>はイントネーションが違い意味もほんどまったく違う。<馴らす>、<慣らす>、<均らす>は意味が違うように見えるがいづれももっと一般化した<ならす>で、同源、同根と言うよりは同じ意味だ。それでは、もっと一般化した<ならす>とは何か。一般化した<ならす>は<あるモノ、ある人を通常は大きく支配的(一般的)な集団の特性に合わせる>といった意味で、社会性をおびている。

英語の to line up が<ならぶ>で訳されると、意味合いが違ってくる。 to line up や<列に加わる>ではあまり集団は意識されず、個人の行動に目が向いている。一方<並(なら)ぶ>は集団が意識されているようだ。<並(なら)ぶ>( to line up)のに、縦も横も斜めもないが、<横並び>という表現がある。<どれもこれもほぼ同じ>といった意味だ。<横並び思考(指向か)>は<集団に属していて、目立たないようにする>といった意味で使われる。

一方他動詞は<並べる>で、これまたいくつかの意味があるが、だいたい<比較的たくさんのモノや人を列状に置く>といった意味だ。<適当に並べておけ>では必ずしも<列状>である必要はなく、英語の to arrange がこれに相当するか?

<な(馴、慣、均)らす>関連では<習(なら)う>という動詞がある。人や動物を<な(馴、慣)らす>ためには<習わせる>必要がある。<ならわし>は集団思考(指向)の関連語。人の場合は自主的に<習う>こともある。

別途検討が必要だが、日本語の基本動詞の一つ<なる>も関連語だろう。

なる、なれる、ならす、ならう、ならわす、ならぶ、ならべる


sptt




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