Friday, January 22, 2016
<なぐさめ>について
<なぐさめ>、<なぐさめる>(他動詞)の語源は<なぐ(凪ぐ)>+<さめる>だろうが、<なぐ>は自動詞、<さめる>も他動詞ではなく自動詞なので少し変だ。<さめる>の他動詞には<さます>がある。<さめる>の使役形は<さめさす>、<さめさせる>だが、<さます>を使うのがふつうだろう。この<さめる>、<さます>は<冷める>、<冷ます>で、<覚(醒)ます>、<覚(醒)める>では意味が逆転しそうだ。だが、普通は語源までさのぼらず<なぐさめ>、<なぐさめる>の一語としてつかう。
意味はやや特殊でかなり限定された状況で使われるようだ。英語の to cheer up、to encourage (元気づける)とは少し違うようだ。<なぐさめる>には to sooth という動詞がある。
思いがけず試験に落ちたり、勝つはずの試合に負けたりしたして<気落ちした>(*)人を<なぐさめる>のと<元気づける>のとはどこが違う?<元気づける>の方はそこそこ積極的で<覚(醒)ます>、<覚(醒)める>の意味が少しはありそう。一方<なぐさめる>にはそれほどの積極性はなさそう。いわば<元気づける>は<気落ちした人>を引き上げようとするが、<なぐさめる>は<気落ちした人>をこれ以上<落ちない>ようにする程度のようだ。
もう一つ<なぐさめ>、<なぐさめる>、特に<なぐさめ>は応急処置的、とりあえず的な感じがあり、そこそこの効果はあるが、大きな、本格的な回復は期待していない感じがある。<癒(いや)し><癒す>というのが最近はやっている。現代は<なぐさめ>、<なぐさめる>では足りないようだ。
<おなぐさみ>という慣用句がある。<なぐさめ>とはちがった使い方だ。 文章で読む場合になるが漢字を使って<慰め>とするとまた少し感じが違うようだ。
(*)<意気消沈>という四字漢語がある、やまとことば派としては<気落ち>がいい。
sptt
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