Thursday, September 21, 2017

<へ>、<へま>、<へちま>


英語に blunder と言う言葉がある。<間違い>のことだが a mistake (mistakes) (よく使う語なので単数と複数に注意)は汎用的な<間違い>であるのにたいして blunder は<(比較的大きな、そして多くは不注意による)馬鹿げた間違い>のことだ。日本語では<(大きな、大変な、とんでもない)へま>が適当のようだ。この<へま>の語源はなにか?<へちま>の<ち>抜けの可能性がある。

<へともおもわない>は私のコンピュータワープロでは<屁とも思わない>と出てくるし、私もこう思っていたが、これは大きな間違い(blunder)だ。よく考えると<屁とも思わない>では言っていること(言いたいこと)の意味に結びつかない。<こんな失敗は屁とも思わない>。<課長の注意など屁とも思わない>。この間違いは<思わない>の対象(失敗、注意)を<屁>とも思わないで何となく意味が通じてしまうためだろう。手もとの辞書には、元来は<へちまとも思わない>。そしてこの<へちまとも思わない>は元来<へちまの皮とも思わない>、という解説がある。へちまは中身を使う(化粧水、ふろ場用具)ので<へちまの皮>は無用なもの、という解説がついている。これで納得。へちまの実は真っすぐなのや曲がっているものがあって形は千差万別。その姿はなかなか味があり、東洋画でよく描かれる。おなら(お鳴ら)の<へ>は、漢字で<屁>と書き、<放屁>の<屁(ひ)>で似かよっているが<へ>はやまとことばだろう。

<へ>、<へま>、<へちま>以外の<へ>がつくやまとことばには


へこむ - おなかがペコペコの<ペコペコ>はこの<へこむ>由来だろう。<へこむ>は<へりこむ>由来か?

へし折る - 鼻をへし折る

へそ - へそをまげる、へそで茶をわかす、と言う表現がある。へそ(臍)は人の体の中心にあるので、<かなめ>でもいいのだが、<これがかなめだ>の意味で<これがへそだ>というのは悪くない表現だと思うが、めったに聞かない。

へた(下手) - 上手(じょうず)の反対の意味以外に<へたをすると>という言い方があり これは mistake と言うようより blunder <へま>に近い。くだものや野菜の<へた>と同源か?

へたる、へたりこむ、へとへと - へとへとに疲れる。

へど - へどがでるような、比喩的に使うのが多そう。口語では<げろ>(これも方言か)。

ヘドロ - これは日本語。<どろ>は<泥(どろ)>の意。

へなへな - へなへなした頼りない男。

へばる - <へたる>と同じような意味。関東方言か。

へべれけ - へべれけに酔う。

へっぴり腰 - これも私のコンピュータワープロでは<屁っ放(ぴ)り腰>と出てくる。<へとも思わない>と同じで<屁をひる格好の腰>でなんとなく意味が通じるので、私もこれまで<屁っぴり腰>と思っていたが、どうも違うようだ。

へぼ  - へぼ将棋。へぼ画家でも<へちま>の絵はうまく見える。

へらずぐち - この<へら>は<減る>の<へる> の未然形だが、これまた手もとの辞書によると、正しくは<へりくだる>の<へる>(<減る>の派生的な意味)で、<へらず>で<謙虚さがない>の意。この方が<減らない口>より意味が通る。

へる (減る)

敢えて否定的な意味の言葉をな並べたが、こういう言葉がないと言葉はおもしろくない。

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<へま>に関しては<チョンボ>というのがあり(これまた関東方言か)、これは韓国語のように聞こえるだ。



sptt








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