<こころなし>の<なし>はいわゆる形容詞をつくる接辞で<こころがある>という意味が基本にある。一方<こころない>の<ない>は否定の<ない>で<こころがない>が基本にある、というか、状況によってばそのまま<こころが無い>で通じる。
こころない人々のおかげで、この道路にはたばこの吸い殻(すいがら)がたくさん落ちている。こころない人々のによってまだつぼみの桜の花の枝がたくさん切り取られている。
いっぽう<こころなし>はむずかしい。<こころがある>の意味が基本にあり、手もとの辞書によると、<こころなしか>の<なし>は<形容詞をつくる接辞>で、意味は<こころがそう思うからか>となっている。
いいかえると、 <なす>を使って
こころがなすためか - こころがなす技のためか
となる。
太郎はこのところ、こころなしか、さびしそうだ。花子はこのところ、こころなしか、少しやせたようだ。
<思いなしか>も同じような意味で<そう思うからか>、<思いがそうなすためか - 思いがなす技のためか>などの意味となる。いずれにして、かなりデリケートなやまとことばだ。
sptt
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