Monday, May 24, 2021

でんぐりがえる


<でんぐりがえる>を言葉で説明するのは簡単ではないが、子供も大人も<でんぐりがえり>、<でんぐりがえし>(手もとの辞書ではこれが見出し語になっている)は知っている。

英語ではどういうかというと somersault が名詞形で、<でんぐりがえる>という動作を言う場合は

to turn a somersault

とか

to make a  somersault

というようだが、わたしは聞いたことも使ったこともない。発音はサマーソルトで通じるだろう。言葉で通じなければ身をもって示せばいい。somersault の語源は dictionary.com では

1520–30; <Middle French sombresaut, alteration of sobresault; compare Old Provençal sobre over (<Latin super), saut a leap (<Latin saltus)

とあり、フランス語由来のようで,頭のsome は英語の some ではない。

さて<でんぐりがえる>はスポーツをのぞけば子供の遊びと言える。地上で<でんぐりがえる>のは、少し練習すれば、さほど難しくはない。これを空中でやるのは<とんぼがえり>と言うようで、これは練習と勇気がいるが、身軽という条件で、これまたさほど難しいことではない。<トンボを切る>という言い方がある。テレビなどでは忍者がこれをする。

ところでなぜ<でんぐりがえる>を取り上げたかというと、イタリアの子供向け童話に<ピノキオ(の冒険>>というのがあり、実際にフルで読んだ人は多くはないと思うが、始めの部分(第2章)にピノキオがダンスやフェンシングとともに<でんぐりがえり>ができるようにする、という話がある。イタリア語で<でんぐりがえる>、正確には<<でんぐりがえりをする>だが、これを

fare i salti mortali 

と言っている。何度もできるように複数になっている。salto (単数)は英語の sault と同根で、jump (名詞形)。上の語源説明で<saut a leap (<Latin saltus)>とある。イタリア語では似たような語に salute というのがあり、こちらは<健康>というい意味だ。問題は形容詞の mortale (単数名詞につく場合)で<死の>という意味だ。始めは何のことだかわからなかったが、<死ぬほどのジャンプ>、<決死のジャンプ>で意味がとおる。

<でんぐりがえる>にもどると、

世の中をひっくりかえす

は場合によっては革命のことと言えるが

世の中をでんぐりがえす(でんぐりがえさす)

では大きな騒ぎはおこるが、元に戻ってしまう。

関連の言葉に<ころがる>がある。純やまとことばで<ころがり>は物理用語か工学用語でよく使われる。体を横にしてころがるのは<でんぐりがえる>ではなく<ころがる>で、<ころがる>は基本動詞<ころがる>は<転がる>と書くが<でんぐりがえる>も回転運動だ。<寝ころがる>、は正確には回転運動ではなさそうだが<ごろごろする>は回転運動気味だ。

<ころげまわる>は<ころがり>ながら<まわる>でかなり複雑な動きだ。

<くるくるまわる> 、<ぐるぐるまわる>、<くる<、<ぐる>が擬態語だ。<でんぐりがえる>の<でんぐり>は<でんぐる>の連用形だと思うが、<ぐる>は擬態語に近い。<でん>は<でんでんむし>の<でん>と関係がありそうだ。<でんでんむし>は<出む出む、虫>が語源らしく、<でんぐる>は<出てぐるりとまわる>、<頭を前に出してぐるりとまわる>動作に近い。

 

sptt

 

 

 

 

 

 

Definition of salto mortale

deadly jump : full somersault : fateful or dangerous decision

somersault

Origin of somersaultde

1520–30; <Middle French sombresaut, alteration of sobresault; compare Old Provençal sobre over (<Latin super), saut a leap (<Latin saltus)

 

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