<見るまに>は短い時間と思うが<またたくまに>はもっと短い時間のことだ。
見る間にあたりが暗くなってきた。
<またたくま>にあたりが暗くなってきた。
はダメだろう。<見るまに>は<みるみる>でもよさそうで
みるみるあたりが暗くなってきた。
<みるみる>はおもしろい言い方で、<みるみる>に<見る>の意識はほとんどないが、<みるみる>は<見て、またすぐ見る>の意だろう。<見て、またすぐ見る>は<またたく>をゆっくりするようなことだ。
さて、このような重箱の隅をつつくような話をしているかというと、イタリア語の dal vedere al non vedere という言い方に出くわしたからだ。どこで出くわしたかというと、イタリア語の童話<ピノキオ(の冒険)>だ。その英訳は意外というか、苦心の作でおもしろい。イタリア語と英語を並べると、
http://ercoleguidi.altervista.org/pinocchio/
第5章
Ma l'appetito nei ragazzi cammina presto, e di fatti, dopo pochi minuti, l'appetito diventò
fame, e la fame, dal vedere al non vedere, si convertì in una fame da lupi, in una fame da tagliarsi col coltello.
But appetite with boys walks fast, and in fact, after a few minutes, the appetite became
hunger, and the hunger, in a twinkling, became ravenous; a hunger one could slice with a knife.
dal vedere al non vedere は直訳すれば<見るから見ないへ(の間に)>で<またたく(まぶたをたたく)>に近い。一方英語が in a twinkling で twinkling はtwinkle twinkle little star という歌があるので、星がチラチラするの<チラするあいだ>で、これもきわめて短い時間で、これも<またたく>に近い。そのほかにも英訳は苦心のあとがみられ、
si convertì in una fame da lupi
が
became ravenous
になっている。 <オオカミのように腹をへらして>という表現は英語にないのだろう。最後の
una fame da tagliarsi col coltello.
a hunger one could slice with a knife.
は多分<ナイフで切られるようなひどい<腹のへり方>という意味だろう。
ところで、英語の hunger とイタリア語の fame は名詞で日本語では<腹がへっていること>、<おなかがすいていること>の意味だが長すぎて、一語表現の簡潔さからはほど遠い。<飢(う)え>という言葉があるが、日本語の<飢え>は文章語で、口語ではいわば<腹へり>だが使うことはない。おそらくこれは<飢(う)え>が中国語の<餓(現代北京語ではあいまい母音の e (エではなく u ウに近い)>由来で、やまとことばではないためだろう。
sptt
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