すこし前ののポスト "<ひと (いち) >はやまとことばの宝庫 " で<ひと> (イチ、一) の慣用的な言い方を辞書で調べてページをめっくていると<人 (ひと) >の慣用的な言い方が紛れ込んでくる。<人 (ひと)>の使われ方もおもしろい。
日本語の独立して使われる、または頭にくる<人>は多分に<他人>のことだ。これはやまとことばの特徴ではないか。ここでは辞書のように<あ、い、う、え、お>に並べないが、ある程度の区別をつけて、思いつくままに書き出すと
人を見たら泥棒と思え。(渡る世間に鬼はなし、というのもあるので、そう悲観することはない、世間=世間の人々とすると、正確には<渡る世間に鬼はいず、いない>となる)
人のふり見てわがふり直せ。
人のふんどしで相撲をとる。
人様のものには手を出すな。
人の金に手をつける。.
人のうわさを気にすることはない。人の言うことを気にすることはない。
人の言うことをよく聞け。 この場合の<人>は往々にして話し手のこと。
人の手を借りる。
人は人、自分は自分。
人を人とも思わない。 初めの<人>が他人で、二番目の<人>は<人扱いされる標準的な人>。
人には親切にするものだ。
人聞きが悪い
人目をはばかる
人前もはばからず
人の目を盗んで
人の顔に泥を塗る。
人の口にのぼる
人並み
人まね
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合成語
合成語というのは私が勝手につけた名前で、<人+動詞の連用形>のパターンでこれが名詞句となっているもの。そしてこの過程で、下記の太字で示した助詞が消えてしまうのだ。このポストの一つのポイント。これは<ひと (いち) >はやまとことばの宝庫 " のポストの最後で大発見としてやっていることとほぼ同じ。やまとことばのおもしろさ、かくれた文法性と言えるのではないか。
人聞きが悪い 人が聞く ―>聞き
人ずれした(人ずれする) 人とすれる ー>ずれ
人慣れした (人慣れする) 人に慣れる ー>慣れ
人嫌い 人を嫌う 嫌う ー>嫌い
人思い 人を思う 思う ー>思い
人まかせ 人にまかせる まかせる ー>まかせ
人頼り(だより) 人に頼る 頼る ー>頼り
人騒がせな 人を騒がせる 騒がせる ー>騒がせ
人見知りする、しない 人を見知る 見知る ー>見知り
<見知る>は<見て知る>が原意だが、<人見知りする>は<子供が、見知らぬ人に対して、恥ずかしがったり嫌ったりすること>というかなりひねくれた意味になっている。<人怖じする>と似たような意味なので<人を怖じる>と同じく<人を見知る>でいいと思うが、これだとすると<見知る>を<見て、怖じる>の意に解さないといけない。機会があれば別途検討。
人好きがする (人に好まれる、か) 人が好く 好くー>好き
人あたりがいい 人にあたる あたる ー>あたり
人あしらいがうまい (必ずしもほめ言葉ではない) 人をあしらう あしらう ー>あしらい
人使いが荒い 人を使う 使う ー>使い
人怖 (お) じする、しない 人を怖じる、 怖じる ー>怖じ
人助け (人だすけ) する 人を助ける 助ける ー>助け
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かならずしも他人ではない、一般的な人。微妙なところがあるものがある。
人殺し、人さらい、人買い、人込み、人け (気)、人影 (ひとかげ)、人手 (ひとで)、人違い、人並み
<人殺し、人さらい、人買い、人込み、人違い>は上の
<人+動詞の連用形>のパターンでこれが名詞句となっている。そしてこの過程で、下記の太字で示した助詞が消える。
が適用できる。
人殺し 人を殺す ころす ー>殺し
人さらい 人をさらう さらう ー>さらし
人買い 人を買う 買う ー>買い
人混み 人が混む 混む ー>混み
人違い 人が違う 違う ー>違い
人がいい これは特別な意味もある
人が悪い これも特別な意味がある
人は考える動物である。 考える人
人は死ぬものである。
人は見かけによらぬものだ。
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<xxする人>の意で人が後にくるもの。この慣用表現はなぜか意外と、と言うか異常に少ない。このポストのポイント。
世捨て人 これも古語に近い。
読み人 (知らず) これも古語に近い。
その他は<ひと>がなまったもので
あきんど 商人おちゅうど 落人
かりゅうど 狩人
助っ人 (すけっと)
ぬすっと 盗人
その他では、あまり使わないが
待ち人 (びと)(きたらず) これは<待つ人>ではなく<待たれている人>。
たずね人 (びと) これも<たずねる人>ではなく<たずねられている人>。
下記参照
人(ひと)は動詞。形容詞、形容詞の連体形につくのが普通で、意味は一般的なものにと止まっている。
行く人、来る人、歩くひと、走るひと、する人、作るひと、食べる人、働く人、遊ぶ人、考える人、etc
いい人、悪い人、美しい人、etc <いい人>、<悪い人>は慣用的な意味の場合もある。静かなひと 、etc
これはある意味では大きな特徴と言える。 そしてこの<ひと>は独立して冒頭などに使われれ、冒頭にはこない<者 (もの)>などとの大きな違いだ。
一方、おもしろいのは<者 (もの) >で、ちょっと調べれば、<あ、い、う、え、お>に並べられるほどある。
あぶれ者
あらくれ者
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かたぎ者 堅気者
きらわれ者
こわ者
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しっかり者
忍びの者
しゃれ者
しれ者 (痴れ者)
好き者
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たわけ者
つまみ者
とらわれ者
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なまけ者
ならず者
にくまれ者
のけ者
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はぐれ者
はたらき者 (働き者)
鼻つまみ者
はみだし者
ひかげ者 日陰者
ひかれ者 (の小唄)
ひとり者
ひねくれ者
ふしだら者
ふとどき者
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まわし者
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よそ者
よた者
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笑い者
わる者
なぜか悪い、好ましくない者 (ひと) が多い。漢語+<者>もこの傾向があるようだ。
邪魔 (じゃま) 者
正直 (しょうじき) 者
粗忽 (そこつ) 者
道楽 (どうらく) 者
半端 (はんぱ) 者
人を意味する<手 (て) >も少なくない。ピアノ、ギターなどの弾き手 英語でも pianist, guitarist, violinist などと言う。
歌い手 singer (英語の<xxする人>はほとんど<xx-er, or>で済ましている。
おどり手 dancer
ある種のペア
送りて、渡し手 ー 受け手、取り手
あげ手 ー もらい手
教え手 ー 習い手
読み手、語り手、話し手 ー 聴き手 、聞き手
売り手 ー 買い手
その他
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