<なじむ>と<にじむ>は語感が似ているが意味は大いに異なる。<馴染む>、<滲む>と書いてしまうと全く別の言葉に見える。意味を考えてみる。
なじむ:少しずつ慣れてくる / いく
にじむ :少しずつ色が染 (し) みてくる / いく <にじむ>と<しみる>も語感が似ている。
<少しずつ>は<じわじわ>で置き換えられ。<じわじわ>も<なじむ>、<にじむ>の<じ>を介して語感が似ている。
これらはやまとことばの大きなな特徴だ。
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<なじむ>と<にじむ>は語感が似ているが意味は大いに異なる。<馴染む>、<滲む>と書いてしまうと全く別の言葉に見える。意味を考えてみる。
なじむ:少しずつ慣れてくる / いく
にじむ :少しずつ色が染 (し) みてくる / いく <にじむ>と<しみる>も語感が似ている。
<少しずつ>は<じわじわ>で置き換えられ。<じわじわ>も<なじむ>、<にじむ>の<じ>を介して語感が似ている。
これらはやまとことばの大きなな特徴だ。
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<見栄>は当て字で<見え>の意でやまとことば。<見え>は語源的には<見えること>、<見える様子>。場合によっては、<見え=見ばえ>になるか。<見ばえがいい>という言い方があるが、<見ばえ>自体に<はえる>の意があり、ややおかしい。<見栄 (ば) えがする>は問におない。
<見えを張る>という言い方があるが、他人の目を意識した<自分の姿、見た目、外見>をよく見せようと努力することだ。女性の化粧は<自分の姿、見た目、外見>をよく見せようとすることだが、<見えを張る>とは言わない。<見えを張る>の<張る>は<無理をしてxxする>で、ある種の緊張感がある。<見えを張る>は無理して<自分の姿、見た目、外見>をよく見せようとすることと言える。
一方中国には<面子 (メンツ) >という言葉がる。中国の<面子>は日常生活、社会生活で活躍する。ほぼ同じような意味で日本語にもなっている。面子を立てる、面子が立たない。
面子を立てる:世間、他人から非難されないようにする。
面子が立たない:世間、人様 (ひとさま) に見せる顔がない。
<面目 (メンモク、メンボク) ない>という言い方があるが、これも<世間、人様 (ひとさま) に見せる顔がない>の意だ。<恥 (はじ) >に通じるものがあるが、ここでは深入りしない。
<虚栄>も中国語。<栄>の字を<見栄 (みえ) >とか<見栄(みば) え>に流用しているのは<虚栄>が関連しているためだろう。<虚栄>は<栄>が<虚>で否定されている。
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<穴埋めする>は比喩 (ひゆ) 的に使われる。対応するのは<穴をあける>、<穴があく>で、失敗する、損失を出すの意。<穴埋めする>は失敗、損失を取り戻す。一方<穴をふさぐ>は意味が違い、主に物理的に開いた穴から出てくるモノ (水、空気) を止めることだ。<口をふさぐ>をは口から出てくる言葉を止めることだ。
漢語では<弁償 (べんしょう) する>というのがある。
<償う>は<つぐなう>と読むやまとことば。<罪のつぐない>と言うとシリアスになる。<罪の穴埋めをする>はダメだろう。英語は to compensate。
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前回のポストで<すごい>と<すさましい>を取り上げたが、続いて<ひどい>、<ひでー>をチェックしてみる。
これはすごい。
それはすげー。
すごい奴だ (すげー奴だ )
これはひどい。
それはひでー。
ひどい奴だ (ひどー奴だ )
で、<ひどい>は使い方は<すごい>に似ている。しかし、情況にもよるが、上の<すごい、すげー>、<ひどい、ひでー>では意味が大きく異なる。
<ひどい>は、語源が<非道 (ひどう) >のようで、この意味が強く残っているようだ。もとは
非道なり
非道だ
の漢語流用の形容動詞だっただろう。これから形容詞の<ひどい>、さらにはその副詞形の<ひどく>が使われ出したのだろう。だがそう簡単に形容動詞が形容詞になるだろうか。似たような意味の漢語流用の語では<大変、たいへん>がある。
大変なことになった。
それは大変だ。
で形容動詞だ。
大変い、大変しい
という形容詞形はない。
一方<非道>の方は
非道+い
非道+しい
になる可能性があるようだ。これはおもしろい。
形容詞の<ひどい>
昨日はひどい天気だった。でネガティブな意味だが、<非道>の意味から離れている。
副詞形<ひどく>はさらに<非道>の意味から離れて純強調の副詞に近い。
状況はひどく悪い
太郎はひどく怒りっぽい。
でネガティブな意味の強調だが、
花子は新しい環境にひどく喜んでいた。
といった、中立、ポジティブな内容の強調も可能だ。
花子は新しい環境にたいへん喜んでいた。
<ひどく喜んでいた>は<たいへん喜んでいた>よりやまとことばらしい。
英語でも
terribly bad
が普通だが、
Hanako is terribly happy when she passed the exam unexpectedly.
も可能だ。
<すごい>、<すごく>もそうだが、元来悪い意味の強調が、中立化してくると、良い意味の強調にも使われ出すようになるとようだ。これは日本語だけではない。
前回のポスト<すごい>と<すさましい>参照。
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<すごい>、あるいは、もっとくだけて<すげー>は良く使う。程度がはなはだしい様子におどろいたた時に使うようだ。
これはすごい。
それはすげー。
すごい奴だ (すげー奴だ )
で形容詞。副詞は<すごく>。すごくいい。さらには<ものすごくいい>というのもある。
関連する語に<すごむ>、<すごみ>があるが、比較的新しい語だろう。
<すごい>の古語形は<すごし>。
すご・し 【凄し】
① 気味が悪い。
出典源氏物語 若紫
「霰(あられ)降り荒れてすごき夜のさまなり」
[訳] あられが荒々しく降り、気味が悪い夜のようすである。
② もの寂しい。ぞっとするほど寂しい。
出典更級日記 かどで
「日の入りぎはの、いとすごくきりわたりたるに」
③ 殺風景だ。冷ややかだ。
出典紫式部日記 消息文
「艶(えん)になりぬる人は、いとすごうすずろなるをりも、もののあはれにすすみ」
[訳] 情趣本位が身についてしまった人は、ひどく殺風景でなんということのないときも、しみじみとした情趣をもとめ。◇「すごう」はウ音便。
④ ぞっとするほどすばらしい。
出典源氏物語 若菜下
「おどろおどろしからぬも、なまめかしく、すごくおもしろく」
[訳] (太鼓が入らず)仰々しくないのも、優雅で、ぞっとするほどすばらしく趣があり。
「日の入りぎはの、いとすごくきりわたりたるに」
「艶(えん)になりぬる人は、いとすごうすずろなるをりも、もののあはれにすすみ」
は感心するほど素晴らしい日本語だ。
④ ぞっとするほどすばらしい。
はすでに意味が変遷している。まさしく程度がはなはだしい様子におどろいたた時に使う>。
さて、いかにもやまとことばらしいのに<すさまじい>がある。 これは古語<すさまじ>由来で、この<すさまじ>意味の変遷は複雑だ。
すさま・じ 【凄じ】
① おもしろくない。興ざめだ。しらけている。
出典枕草子 木の花は
「梨(なし)の花、よにすさまじきものにして、近うもてなさず」
[訳] 梨の花は、まったくおもしろくないものとして、身近には取り扱わない。
② 寒々としている。殺風景だ。情趣がない。
出典徒然草 一九
「すさまじきものにして見る人もなき月の」
[訳] 殺風景なものとして見る人もない(冬の)月が。
③ 冷たい。寒い。
出典平家物語 六・紅葉
「風すさまじかりける朝(あした)なれば」
[訳] 風が冷たかった朝なので。
④ ものすごい。激しい。ひどい。
出典保元物語 中
「すさまじき者の固めたる門へ寄せ当たりぬるものかな」
[訳] ものすごい者が守っている門に攻めてきてしまったものだな。
さて現代語の<すごい>と<すさましい>だが、<すごい>は言葉が短いこともあって<驚き>が優先するようだ。いいことにも悪いことにも使われる。
すごくいい、すごく悪い
が普通の言い方だが
<すごい、いい>、<すごい、悪い>とも言う。こちらの方が強調度が強いか? この場合<強調>の副詞になっている。
<ひどい>も<すごい>に似たところがる。
ひどい
ひでー
ひどく
それはひどい、ひでー
ひどい奴だ。ひでー奴だ
今の状況はひどく悪い。
はいいが、
今の状況はひどくいい
はまだダメのようだ。だがそのうち、<すごく>のように、中立的な<強調>の副詞になるかもしれない。
英語では
terrible が terror (恐れ) 由来で、本来は<恐ろしい>だが、意味は拡張して<すごい>、<ひどい>、terribly<すごく>、<ひどく>で<強調>の形容詞、副詞なっている。普通は否定的な内容だが、肯定的な意味でも使われることもある。
terrific も terror (恐れ) 由来だが、こちらの方は肯定的な意味で使われる場合が多い。<すばらしい>。
His music performance was terrific.
中国語では<厉害>が <すごい>、<ひどい>に相当。<害>の字があるが、悪い場合だけでなく、いい場合にも使われる、<すばらしい>。
広東語では<犀利>(sai1 lei6) 、<好犀利 hou3 sai1 lei6>という。これも肯定的な内容でも否定的な内容でも使われる。こう頻度使用語。
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