Friday, April 26, 2013
さす-刺す、差す(挿す)、指す
<さす>は刺す、差す、挿す, 指すと漢字を使うと多義語だが、やまとこどばの<さす>は広い意味で(一般化、抽象化すると)<点>にまつわる動詞だが動きがともなう。<指す>の英語はいくつかあろうが、 to point で表わせる。
以前のポスト(sptt Notes on Grammar)で<つく>について次のように書いた。
”
突く
着く
付く 、 関連語:付ける
就く
衝く (的を絞って突く、攻撃する)
尽 く 、関連語:尽きる、尽くす
憑く (もののけが(とり)つく)
搗く (こめ、もちなどをつく)
点く (火がつく、電気がつく)
漢字を使うと意味が違う、あるいは微妙に違うようだが、大和言葉としての<つく>はかなり大雑把な動詞、よくいえば、かなり一般化、抽象化された語だ。もとの大きな意味は共通している。<ある点のようなものに近づく、近づける>といったような意味だ。
<点を打つ>という表現もあるが<点をつける>はより大和言葉的だ。 <つく>、<つける>は点(0次元)関連の動詞だ。
”
<さす>は <刺す>の場合<つく>の<衝く (的を絞って突く、攻撃する)>の意味と重なるところがある。
<差す>と<挿す>はほぼ同じようだが、 <挿す>がほぼ物理的な to insert の意にせばめられるが、<差す>はかなり意味が広く、心理的な表現も多い。
傘を差す (この<差す>はどういう意味か? <差しかける>参照)
刀を差す
魔が差す
水を差す - 水差し
物差し - これは<物指し>の方がいいようだ。
差し金
差し当たり- <差し当たる>と言う動詞は使わないようだ。
差し入れる - 差し入れ 慣用あり
差し置く - この意味での<差し置き>という名詞(体言)は使わないようだ。
差し押さえる - 差し押さえ
差し替える - 差し替え
差し掛ける - 傘を差し掛ける ->傘を差す。
差し交わす- 差しつ差されつ
差しきる - 競馬用語
差し込む - 差込み
差し障(さわ)る - 差しさわり
差し迫る
差し出す - <差出す>という名詞(体言)はな使わないようだ。<差出人> は郵便用語。<モノを差し出す>とは違う。 (*2)
差し支(つか)える - 差し支え
差し出がましい (形容詞) <差し出る>は使わないようだ。
差し止める - 差し止め
差し伸べる
差し挟(はさ)む - 実際には何かを狭いすき間に差し込むことで、何かが<はさまれる>ことになることを表わすようで、<はさむ>という感じではない。ところで<はさみ>は洗濯ばさみのようなものもあるが、ふつうの<はさみ>は切る道具で、正確には<裁(断)ちばさみ>。カニの<はさみ>もほぼ同じ。
差し控える
差し引く - 差し引き(*1)
差しまねく - これは<指しまねく>ではないか?
差し向かう - これは<指し向う>だろう。<指し向かい>だろう。(*3)
差し向ける(*2) - 差し向け
差し戻す- 差し戻し(*4)
差し渡す(*2) - 差し渡し(直径)
(*) この<さす>は中国語の<差>(cha, 四声は無視)に由来するようで、やまとことばの<さす>とは関係ないようだ。
(*2)も <点>または<スキマ>にまつわる動詞とは言いがたく、どちらかというと<送(おく)る>に関連した語だ。中国語(少なくとも香港の広東語)では 郵便配達(員)(postman、mailman) のことを<郵差>と言う。
(*3) <指す>ははじめに書いたが、 英語の to point に相当する。上記の<差し向ける>と<指し向く>は違う。<指す>は英語の to point と同じく方向を示すことができる。
(*4)<差し戻す>は<いったん前に出したもの(こと)を戻す>の意だ。
<差す>と<指す>と<刺す>と漢字を使うと意味が微妙に違うようだが、基本的な意味は同じ。
差す - <何かを少し前に進める(出す)> といった動作を指す。将棋(の駒)を差す(少し前に進める)。碁は<打つ>だ。上記の<差す>の例は大体この意味で説明がつく。
指す - 物理的には指(ゆび)を<少し前に進め(出し)て>その方向を示す動作だ。
刺す - 上記の指(ゆび)を<針、ナイフのような先がするどいモノ>とすれば<刺す>になる。
いずれにしえも漢字を使わない、または話したり聞いたりするときにはすべて<さす>だ。
ところで<とげを刺す>というが、文法的には<とげが刺さる>が正しいだろう。
また、<刺身(さしみ)> の語源は何か?
sptt
Friday, April 19, 2013
写真用語のやまとことば
写真用語はやまとことば、漢語、英語、オランダ語の混合だ。
1.写真-漢語。中国語は照片。
2.ピント(焦点)-辞書によると、ピントはオランダ語のbrandpuntからきている。ドイツ語は, 隣国のためか似たような Brennpunkt で、brennen が<もやす(もえる)、こがす(こげる)>の意だから、まさしく<焦点>だ。ドイツ語辞書によると Brennpunkt はラテン語の punctum ustionis の訳という。手持ちのラテン語では ustulo (もやす(もえる)、こがす(こげる)という語があるので ustionis はその形容詞だろう。英語はfocus。<ピンぼけ>は<ピントがぼけている>ことだが、<ぼけ>は<ぼける>の連用形の名詞用法。<ぼける>は<ほける><--<ほおける>由来だ。
3.カメラ(写真機)-調べてはいないが、これもオランダ語由来ではないか。英語でも camera というが、あきらかにこれはラテン語系言語由来だ。中国語は照機。
4.しぼり(絞り)-Japan wiki の解説は次の通り。
光学系において絞り(しぼり、英語: diaphragm)とは、通過する光の量を調整するために用いる遮蔽物のことである。開口部を指す aperture が訳語になることもある。
日本語の< しぼり>の方が一般化が進んでいる。また動詞<しぼる>の意が強くのこっており、いい<やまとことば>だ。
5.ぶれ-<ぶれ>は辞書によると<ふれ><--<振れる>由来という。<ぶれる>という動詞形もある。<手振れ>という写真用語があるのでもっともらしいが、次のようにも考えられる。
英語の写真用語<ぶれ>に相当する英語は動詞<to blur>だ。<blur>という名詞形もあるが、意味は限定されているようで、写真用語<ぶれ>には相当しないようだ。過去分詞形<blurred>とそれの形容詞用法は頻繁に使われる。<-ed >はは強調しない限り弱まるので<blur>も<blurred>も聞いたかぎりでは<ブラ->と<ブロ->の中間あたり(いわゆる日本人が苦手な<あいまい母音>)で、<ブレ->とも聞こえる。また伸ばす部分の<->もそれほど長くはない。言うまでもないが、日本語には<l>と<r>の区別がない。<手振れ>本来のやまとことばからすれば<手ぶれ>ではなく<手ぶるえ>だ。
なお、<振(ふ)れる>、<触(ふ)れる>は英語では
振(ふ)れる = to swing (自動詞)、 (<震(ふる)える>は to shake, to vibrate (自動詞))
触(ふ)れる = to touch (他動詞)
の区別があるが、やまとことばでの <ふれる>は一般化が進んでいる(別の見方をすれば、分(析)化が遅れている)。
sptt
Saturday, April 13, 2013
集合のやまとことば - 2、あつめる、つつむ、ふくむ
前回のポスト<集合のやまとことば>では<集合>も<あつまり>が持つ原因や理由、有機的な感じは忘れて<あつまり>とした。
A. <あつまり>関連のやまとことばを調べてみる、おもしろいことがわかる。前回のポスでは
あつまり <-- あつまる
つどい <-- つどう
? <-- たむろす、<たむろする>が正しいようだ
まとまり、まとめ <-- まとめる
くくり <-- くくる (動詞<くくる>は数学で用いられるが、名詞(体言)<くくり>はあまり見ない)
たば <-- たばねる
かたまり <-- かためる
をとりあげたが、意味をやや広げればまだまだある。
かさ(み) <-- かさむ (かさねる)
からみ <-- からむ (からめる)
かこみ <-- かこむ
くるみ <-- くるむ
つつみ <-- つつむ
ふくみ <-- ふくむ
-ーー
意味はかなりずれてしまうが
たたみ <-- たたむ (<畳み込み>という語は数学、電子工学、情報工学にある)
つまみ <-- つまむ
はさみ <-- はさむ
よどみ <-- よどむ
以上はあきらかにパターン化がある。
1)動詞は3音節で<む(mu)>で終わる。
2)名詞(体言)は動詞の連用形でかなり動詞の意味を保っている。
B. さらに、意味はやや広がるが、<あつまる>、<あつめる>、<まとまる>、<まとめる>の関連のやまとことばを調べてみる。
からめる、からまる (<-- からむ)
くるめる、くるまる (<-- くるむ)
ためる、たまる
につめる、につまる (<-- つめる、つまる)
はめる 、はまる
まるめる、まるまる
以上いづれも<める(meru)><まる(maru)>で終わる 。
おもしろいのはA、Bともに<m>音が多いのだ。 これは<集合>の反対の<離散> のやまとことばを少し調べ、対比すれば明らかに特徴、パターン化だ。
<離散> のやまとことば
きる(切る)、 きれる(切れる
ちらす(散らす)、ちる(散る)
ならす(均す)
はがす(剥がす)、はがれる(剥がれる)
はぐ(剥ぐ) 、はげる(剥げる)
はずす(外す)、はずれる(外れる)
はなす(離す)、はなれる(離れる)
<m>音は見当たらない。
sptt
Friday, April 12, 2013
集合のやまとことば
数学で用いられる<集合>のやまとことばについて考えてみる。前回のポスト<システム、組織のやまとことば>で<組織>のやまとことばを<くみ(組)>ではなく<あつまり>とした。なぜなら、<あつまり>は<あつまる>原因や理由が感じられ、有機的だからだ。さて<集合>は文字通りには<集まり合う>だが数学の<集合>に有機的な感じは必要ないので、これを<くみ(組)>としたらどうか。<くみ(組)>は二つのモノが合わさった pair の意味にもなるが、三つ以上の場合も<くみ>だ。ただし数学では<組み合わせ>という用語があり、まぎらわしくなる。
数学の<集合>のもとの英語は set だと思うが、食堂やレストランでは set は set menu 以外に<盛り合わせ>の意味で使われることがある。 ただし<集合>を<盛り合わせ>に変えるには勇気がいる。
そこで、 <集合>も<あつまり>が持つ原因や理由、有機的な感じは忘れて<あつまり>がいいようだ。
数学では<集合>以外に<群>があり<群論>として高等代数(抽象数学)で使われている。<群>のもとの英語は group だ。set、group ともラテン語系ではなく純英語なので(注)、<群>のやまとことばをさがしてみる。群論は<ぐんろん>と読まれるが、 群のやまとことばは<むれ>だ。<むれる>、<むれをなす>は大体似たモノが集まることだ。したがって、 group --> 群(ぐん)でいいのだが、これを<むれ>とすると数学者から文句が出そうだ。数字ではなく動物が集まる感じがする。また俗語の<グルになる>は<グループになる>がもとの意味だ。
なかま(仲間)はどうか?これはヒト(ヒトも動物だが)が集まる感じだ。<なかま>の場合、数字でも<むれ>ほど違和感はない。 <なかま>は仲間と書かれるが、仲は<なかがいい>の<なか>で、中身の<なか(中)>と関連があろう。だが中間-なかのあいだ-では意味をなさ ない。<遊び仲間>、<飲み仲間>は<遊び友達>、<飲み友達>と同じだから、なかま(仲間)=友達(とまだち)= friend(s) になる。
family - これは純英語のようだがラテン語系。日本語は<家族>が普通だが、あるまとまりを示している。family、家族のやまとことばは何か? <いえびと>か? だが<族>は血縁関係のある人々の集まりのようなので、長くなるが<血つながり家びと>。
group 化は数学で重要な操作だが、日本人は group になるのが得意のようで、group 化を示すやまとことばはけっこうある。
あつまり <-- あつまる、あつめる
かたまり <-- かたまる、かためる
くくり <-- くくる (動詞<くくる>は数学で用いられるが、名詞(体言)<くくり>はあまり見ない)
くみ <-- くむ(組む)
たば <-- たばねる
? <-- たむろす、<たむろする>が正しいようだ。<たまる>と関連があろう。
つどい <-- つどう
まとまり、まとめ <-- まとまる、まとめる
があるが、数学に用いるには問題がありそう。ある程度の<思い切り>が必要だ。<思い切り>は数学に向かない。ある部分を切り離すと<完全>、<正しさ>が得られないのだ。
抽象数学では set、group 以外に category というのがあり、これはなじみの薄い<圏(けん)>が用いられ、圏論(Category Theory)というのがある。 環(かん)、環論(Ring Theory)、体(たい)、体論(Field Theory)というのもある。体(たい)と Field は結びつかないが、これは英語ではなくフランス語の Corp、ドイツ語の Korp の訳だからだ。物理ではField =<場(ば)>というやまとことばを採用しているのであえて避けたのだろう。Category はラテン語系だが Ring, Field は純英語(注)。抽象数学はIQ度と学ぶ時間に比例して理解が進むのだろうが、群論、圏論、環論、体論がわかりにくいのはその抽象性とばかりはいえないようだ。
(注)
set: [Middle English setten, from Old English settan; see sed- in Indo-European roots.]
group: [French groupe, from Italian gruppo, probably of Germanic origin.]
ring: [Middle English, from Old English hring; see sker-2 in Indo-European roots.]
set: [Middle English setten, from Old English settan; see sed- in Indo-European roots.]
group: [French groupe, from Italian gruppo, probably of Germanic origin.]
ring: [Middle English, from Old English hring; see sker-2 in Indo-European roots.]
field: [Middle English, from Old English feld; see pel-2 in Indo-European roots.]
- www.thefreedictionary.com
- www.thefreedictionary.com
sptt
システム、組織のやまとことば
システム(system)と組織にあたるやまとことばを捜してみる。
漢語では<系統>が一番それらしいが、エンジン(電気)系統の故障、呼吸器(消化器)系統の病気などと使われが、<系統>だけで独立して用いられる場合はすくなく、この場合は<システム>が使われるようだ。
これはある箇所の問題というよりは系統の問題だ。 ---> xxxx、これはシステムの問題だ。
<系統>だけでは<統制のとれた係わり合い>といった意味だが、実際にはこれに<組織>をつけた<<統制のとれた係わり合いもつ組織>になる。<統制>と<組織>がまた漢語なので、これを<まとまり>、<あつまり>にかえると<まとまりのある係わり合いもつあつまり>ということになる。しかしこれはいかにも長すぎる。つまりシステム(system)はいくつかの意味を持つ言葉を足し合わせた、またはかけ合わせた意味を持つ言葉なのだ。文字通りシステム的な言葉なのだ。
さて、 組織にあたるやまとこばは何か? <くみ(組)>だけではだめだ。システムで用いた<あつまり>が適当だろう。<あつまり>は<あつまる>原因や理由が感じられ、有機的だ。
sptt
漢語では<系統>が一番それらしいが、エンジン(電気)系統の故障、呼吸器(消化器)系統の病気などと使われが、<系統>だけで独立して用いられる場合はすくなく、この場合は<システム>が使われるようだ。
これはある箇所の問題というよりは系統の問題だ。 ---> xxxx、これはシステムの問題だ。
<系統>だけでは<統制のとれた係わり合い>といった意味だが、実際にはこれに<組織>をつけた<<統制のとれた係わり合いもつ組織>になる。<統制>と<組織>がまた漢語なので、これを<まとまり>、<あつまり>にかえると<まとまりのある係わり合いもつあつまり>ということになる。しかしこれはいかにも長すぎる。つまりシステム(system)はいくつかの意味を持つ言葉を足し合わせた、またはかけ合わせた意味を持つ言葉なのだ。文字通りシステム的な言葉なのだ。
さて、 組織にあたるやまとこばは何か? <くみ(組)>だけではだめだ。システムで用いた<あつまり>が適当だろう。<あつまり>は<あつまる>原因や理由が感じられ、有機的だ。
sptt
Monday, April 8, 2013
関係のやまとことば
前回のポストで<法律、規則、法則のやまとことば>を検討してみた。今回はこれに、特に物理や数学の<法則>に関連する<関係>のやまとことばについて検討してみる。
漢字に頼ることになるが<原因-結果>を分解すれば、
原 - =元(もと)、もと+づく(基づく)、関連名詞(体言): もと
因 - よる(因る)、よって
結 - むすぶ(結ぶ)、名詞(体言): むすび(結び)、
果 - はてる(果てる)、名詞(体言): はて(果て)
また<因果応報>を分解すれば、
因 - よる(因る)、よって
果 - はてる(果てる)、名詞(体言): はて(果て)
応 - おうじる(応じる)、おうじて
報 - むくいる(報いる )、名詞(体言): むくい(報い)
以上のやまとことばからは法律、規則、法則に関連した言葉は出てこない。<むくい>がやや関連する。むしろ関係を示す言葉が多い。 まず英語、中国語、日本語のロジック語法を見てみる。
1)英語
<Because XX, YY>でもいいが英語語法からは結論が先に来るので<YY because XX.>が普通。
その他では
As XX, so YY.
Since XX, YY.
XX. Therefore YY.
2)中国語
应为XX,所以YY. = Because XX, therefore YY が普通。英語より念が入っている。
3)日本語
日本語はロジック語法教育は盛んでないようだが、意識せずに次のような言い方になる。
XX(な)ので、YY。
XX(だ)から、YY。
XXより、YY。 (数学)
YY、 なぜならXX(なので)。 (翻訳調)
<な>、<だ>は断定の助詞<なり>、<だ>からきている。断定なので仮定ではなく確定のロジック。 ロジックと接続助詞については別のところでやや詳しく述べている。 sptt Notes on Grammar: <日本語文法とロジック - 4, 接続助詞>。
---
XX、したがってYY。
XX.、だからYY。
XX、よってYY。(文語的)
XX、ゆえにYY. (翻訳調)
以上は<原因-結果>、<因果>関係を表すときの言い方だが、主に接続助詞、接続詞が活躍している。動詞自体が関係を示すものとしては
1)かかわる(関わる )、 xx に(と)かかわる
AはBに かかわる。 AのXはBのYに かかわる。
<かかわる>のワープロ辞典では<関わる>、<係わる>が出てくるので<かかわる>は<関係>のやまとことばの代表といえる。<かかわりあう>ということばもある。<かかわる>は<かかる(かける)>+<わる>だろうから、数学、ロジックと関連がある。<かかわる>の前半<かか>は<かかる>(もとは<かく> か?)の一部だ。<かかる>の連用形は<かか>ではなく<かかり>。
<かかりむすび>というのが日本語の語法にあるが、いい言葉だ。残念ながら<かかりむすぶ>という動詞は使われない。<かかりむすびつける>とすればかなり強めの<関係>を示すことができるが、これも動詞として使われない。
2)むすびつける(結び付ける)、むすびつく(結び付く)、 xx と(に)むすびつける、むすびつく
AはBとむすびつく。 AのXはBのYとむすびつく。
<むすぶ(結ぶ)>だけでも<関係>を示せる。 AはBとむすぶ。 AのXはBのYとむすぶ。但し<むすぶ>は単なる動作、作業を示す動詞で、関係を示すということであれば<むすびつける>がまさる。<つける>に意味があるのだ。
3)したがう(従う)、 xx にしたがう
AはBにしたがう。 AのXはBのYにしたがう。
4)よる(因る、拠る)、 xx による
AはBによる。 AのXはBのYによる。<したがう>よりは関係度合いが弱いようだ。
5)およぶ(及ぶ)、おおぼす(及ぼす)、 xx におよぶ(及ぶ)、 xx に yy をおおぼす
AはBにおよぶ(およぼす)。 AのXはBのYにおよぶ(およぼす)。<むすびつける>が接触的であるのに対して、<およぶ>は遠隔的な関係を示す。例)ちから(力)をおよぼす。
6)つなぐ、つなげる、つながる、 xx に(と)つなぐ、つなげる
<むすびつける>、<むすびつく> 、に似ているが、<つなぐ>、<つなげる>、<つながる>は仏のモノ、コト意外に三個以上のモノ、コト、をつなぐ(げる)、がつながる場合によく使われる。ネットワークは<結ぶ>ではなく<つなげる>、<つながる>だ。
7)沿う、沿わせる、xx に沿う、沿わせる
<したがう>に似ているが関係度は弱い。<つかづ離れず>の関係だ。
8)ならう、 xx にならう
これも<したがう>に似ているが、関係度が弱いというよりは<ならう>ものに自主性があると言える。
9)xx のおかげで
恩恵関係。あらたまると<おかげさまで>となる。もとは<かげ(影)> だろう。影は影響の<影>だ。
10)たたる、xx がたたって; わざわいする、xx わざわいして
迷惑、被害の因果関係だが、たいていは主観的、自己中心的でで客観性は低い。
---
人間関係では<関係ができる>、<関係をつくる>、<関係をむすぶ>が一般的だが、<関係をつける>、<コネをつける> 、<関係をつなぐ>というのがあり、こちらはある特定の目的をもった人為的な意味がともなう。
sptt
漢字に頼ることになるが<原因-結果>を分解すれば、
原 - =元(もと)、もと+づく(基づく)、関連名詞(体言): もと
因 - よる(因る)、よって
結 - むすぶ(結ぶ)、名詞(体言): むすび(結び)、
果 - はてる(果てる)、名詞(体言): はて(果て)
また<因果応報>を分解すれば、
因 - よる(因る)、よって
果 - はてる(果てる)、名詞(体言): はて(果て)
応 - おうじる(応じる)、おうじて
報 - むくいる(報いる )、名詞(体言): むくい(報い)
以上のやまとことばからは法律、規則、法則に関連した言葉は出てこない。<むくい>がやや関連する。むしろ関係を示す言葉が多い。 まず英語、中国語、日本語のロジック語法を見てみる。
1)英語
<Because XX, YY>でもいいが英語語法からは結論が先に来るので<YY because XX.>が普通。
その他では
As XX, so YY.
Since XX, YY.
XX. Therefore YY.
2)中国語
应为XX,所以YY. = Because XX, therefore YY が普通。英語より念が入っている。
3)日本語
日本語はロジック語法教育は盛んでないようだが、意識せずに次のような言い方になる。
XX(な)ので、YY。
XX(だ)から、YY。
XXより、YY。 (数学)
YY、 なぜならXX(なので)。 (翻訳調)
<な>、<だ>は断定の助詞<なり>、<だ>からきている。断定なので仮定ではなく確定のロジック。 ロジックと接続助詞については別のところでやや詳しく述べている。 sptt Notes on Grammar: <日本語文法とロジック - 4, 接続助詞>。
---
XX、したがってYY。
XX.、だからYY。
XX、よってYY。(文語的)
XX、ゆえにYY. (翻訳調)
以上は<原因-結果>、<因果>関係を表すときの言い方だが、主に接続助詞、接続詞が活躍している。動詞自体が関係を示すものとしては
1)かかわる(関わる )、 xx に(と)かかわる
AはBに かかわる。 AのXはBのYに かかわる。
<かかわる>のワープロ辞典では<関わる>、<係わる>が出てくるので<かかわる>は<関係>のやまとことばの代表といえる。<かかわりあう>ということばもある。<かかわる>は<かかる(かける)>+<わる>だろうから、数学、ロジックと関連がある。<かかわる>の前半<かか>は<かかる>(もとは<かく> か?)の一部だ。<かかる>の連用形は<かか>ではなく<かかり>。
<かかりむすび>というのが日本語の語法にあるが、いい言葉だ。残念ながら<かかりむすぶ>という動詞は使われない。<かかりむすびつける>とすればかなり強めの<関係>を示すことができるが、これも動詞として使われない。
2)むすびつける(結び付ける)、むすびつく(結び付く)、 xx と(に)むすびつける、むすびつく
AはBとむすびつく。 AのXはBのYとむすびつく。
<むすぶ(結ぶ)>だけでも<関係>を示せる。 AはBとむすぶ。 AのXはBのYとむすぶ。但し<むすぶ>は単なる動作、作業を示す動詞で、関係を示すということであれば<むすびつける>がまさる。<つける>に意味があるのだ。
3)したがう(従う)、 xx にしたがう
AはBにしたがう。 AのXはBのYにしたがう。
4)よる(因る、拠る)、 xx による
AはBによる。 AのXはBのYによる。<したがう>よりは関係度合いが弱いようだ。
5)およぶ(及ぶ)、おおぼす(及ぼす)、 xx におよぶ(及ぶ)、 xx に yy をおおぼす
AはBにおよぶ(およぼす)。 AのXはBのYにおよぶ(およぼす)。<むすびつける>が接触的であるのに対して、<およぶ>は遠隔的な関係を示す。例)ちから(力)をおよぼす。
6)つなぐ、つなげる、つながる、 xx に(と)つなぐ、つなげる
<むすびつける>、<むすびつく> 、に似ているが、<つなぐ>、<つなげる>、<つながる>は仏のモノ、コト意外に三個以上のモノ、コト、をつなぐ(げる)、がつながる場合によく使われる。ネットワークは<結ぶ>ではなく<つなげる>、<つながる>だ。
7)沿う、沿わせる、xx に沿う、沿わせる
<したがう>に似ているが関係度は弱い。<つかづ離れず>の関係だ。
8)ならう、 xx にならう
これも<したがう>に似ているが、関係度が弱いというよりは<ならう>ものに自主性があると言える。
9)xx のおかげで
恩恵関係。あらたまると<おかげさまで>となる。もとは<かげ(影)> だろう。影は影響の<影>だ。
10)たたる、xx がたたって; わざわいする、xx わざわいして
迷惑、被害の因果関係だが、たいていは主観的、自己中心的でで客観性は低い。
---
人間関係では<関係ができる>、<関係をつくる>、<関係をむすぶ>が一般的だが、<関係をつける>、<コネをつける> 、<関係をつなぐ>というのがあり、こちらはある特定の目的をもった人為的な意味がともなう。
sptt
Sunday, April 7, 2013
法律、規則、法則のやまとことば
法律、規則のやまとことばは乏しい。律令制度が中国からの輸入であることを考えれば当然のことか。自然界や物理、化学の法則に当たるやまとことばもないようだ。 しいてあげれば
1)法律、規則のやまとことば (英語ではLaw、Order、Ordinance、Rule)
きまり(決まり) <--- 決(き)まる、決(き)める
おきて(掟) <--- 語源はおそらく<おきる>(起きる)。<置き手>は考えにくい。
さだめ(定め) <--- 定(さだ)める
が一般的のようだ。ほかには
則, 法(のり)-ほとんど使わない。 やまとことばか? <のりと>と何か関連があるのか?
漢字からの連想になってしまうが
のり <-- のる(動詞)をのる(則る <--測る)とすると、<のる>の意味は<はかる(測る)>になり、<はからい>、<はかりごと>、<はかない>の関連語があり、<はからい>は法律、規則、法則に関連してくる。
2) 自然界や物理、化学の法則 (英語ではLaw)
これはおそらく、原因-->結果、の必然的な因果関係のことだろうが、これも<きまり>や<さだめ>となるようだ。ただし、<さだめ>がある程度自然界の因果関係を示すのに対して、<きまり>や<おきて>は人為的な感じだ。
<自然のさだめ>が普通だが<自然のきまり>や<自然のおきて>でも間違いではない。
<なりゆき>というやまとことばがあり、<自然のなりゆき>、<ことのなりゆき>などというが、必然的な因果関係は感じられない。
やや哲学的になるが、<例外のないきまり>はないが<さだめ>には例外はないようだ。したがって、<さだめ>はLaw, <きまり>はRule、<おきて>はOrderに近い。文法はRule(きまり)で、Law(さだめ)ではない。 したがって、例外がかならずある。
sptt
1)法律、規則のやまとことば (英語ではLaw、Order、Ordinance、Rule)
きまり(決まり) <--- 決(き)まる、決(き)める
おきて(掟) <--- 語源はおそらく<おきる>(起きる)。<置き手>は考えにくい。
さだめ(定め) <--- 定(さだ)める
が一般的のようだ。ほかには
則, 法(のり)-ほとんど使わない。 やまとことばか? <のりと>と何か関連があるのか?
漢字からの連想になってしまうが
のり <-- のる(動詞)をのる(則る <--測る)とすると、<のる>の意味は<はかる(測る)>になり、<はからい>、<はかりごと>、<はかない>の関連語があり、<はからい>は法律、規則、法則に関連してくる。
2) 自然界や物理、化学の法則 (英語ではLaw)
これはおそらく、原因-->結果、の必然的な因果関係のことだろうが、これも<きまり>や<さだめ>となるようだ。ただし、<さだめ>がある程度自然界の因果関係を示すのに対して、<きまり>や<おきて>は人為的な感じだ。
<自然のさだめ>が普通だが<自然のきまり>や<自然のおきて>でも間違いではない。
<なりゆき>というやまとことばがあり、<自然のなりゆき>、<ことのなりゆき>などというが、必然的な因果関係は感じられない。
やや哲学的になるが、<例外のないきまり>はないが<さだめ>には例外はないようだ。したがって、<さだめ>はLaw, <きまり>はRule、<おきて>はOrderに近い。文法はRule(きまり)で、Law(さだめ)ではない。 したがって、例外がかならずある。
sptt
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