数学で用いられる<集合>のやまとことばについて考えてみる。前回のポスト<システム、組織のやまとことば>で<組織>のやまとことばを<くみ(組)>ではなく<あつまり>とした。なぜなら、<あつまり>は<あつまる>原因や理由が感じられ、有機的だからだ。さて<集合>は文字通りには<集まり合う>だが数学の<集合>に有機的な感じは必要ないので、これを<くみ(組)>としたらどうか。<くみ(組)>は二つのモノが合わさった pair の意味にもなるが、三つ以上の場合も<くみ>だ。ただし数学では<組み合わせ>という用語があり、まぎらわしくなる。
数学の<集合>のもとの英語は set だと思うが、食堂やレストランでは set は set menu 以外に<盛り合わせ>の意味で使われることがある。 ただし<集合>を<盛り合わせ>に変えるには勇気がいる。
そこで、 <集合>も<あつまり>が持つ原因や理由、有機的な感じは忘れて<あつまり>がいいようだ。
数学では<集合>以外に<群>があり<群論>として高等代数(抽象数学)で使われている。<群>のもとの英語は group だ。set、group ともラテン語系ではなく純英語なので(注)、<群>のやまとことばをさがしてみる。群論は<ぐんろん>と読まれるが、 群のやまとことばは<むれ>だ。<むれる>、<むれをなす>は大体似たモノが集まることだ。したがって、 group --> 群(ぐん)でいいのだが、これを<むれ>とすると数学者から文句が出そうだ。数字ではなく動物が集まる感じがする。また俗語の<グルになる>は<グループになる>がもとの意味だ。
なかま(仲間)はどうか?これはヒト(ヒトも動物だが)が集まる感じだ。<なかま>の場合、数字でも<むれ>ほど違和感はない。 <なかま>は仲間と書かれるが、仲は<なかがいい>の<なか>で、中身の<なか(中)>と関連があろう。だが中間-なかのあいだ-では意味をなさ ない。<遊び仲間>、<飲み仲間>は<遊び友達>、<飲み友達>と同じだから、なかま(仲間)=友達(とまだち)= friend(s) になる。
family - これは純英語のようだがラテン語系。日本語は<家族>が普通だが、あるまとまりを示している。family、家族のやまとことばは何か? <いえびと>か? だが<族>は血縁関係のある人々の集まりのようなので、長くなるが<血つながり家びと>。
group 化は数学で重要な操作だが、日本人は group になるのが得意のようで、group 化を示すやまとことばはけっこうある。
あつまり <-- あつまる、あつめる
かたまり <-- かたまる、かためる
くくり <-- くくる (動詞<くくる>は数学で用いられるが、名詞(体言)<くくり>はあまり見ない)
くみ <-- くむ(組む)
たば <-- たばねる
? <-- たむろす、<たむろする>が正しいようだ。<たまる>と関連があろう。
つどい <-- つどう
まとまり、まとめ <-- まとまる、まとめる
があるが、数学に用いるには問題がありそう。ある程度の<思い切り>が必要だ。<思い切り>は数学に向かない。ある部分を切り離すと<完全>、<正しさ>が得られないのだ。
抽象数学では set、group 以外に category というのがあり、これはなじみの薄い<圏(けん)>が用いられ、圏論(Category Theory)というのがある。 環(かん)、環論(Ring Theory)、体(たい)、体論(Field Theory)というのもある。体(たい)と Field は結びつかないが、これは英語ではなくフランス語の Corp、ドイツ語の Korp の訳だからだ。物理ではField =<場(ば)>というやまとことばを採用しているのであえて避けたのだろう。Category はラテン語系だが Ring, Field は純英語(注)。抽象数学はIQ度と学ぶ時間に比例して理解が進むのだろうが、群論、圏論、環論、体論がわかりにくいのはその抽象性とばかりはいえないようだ。
(注)
set: [Middle English setten, from Old English settan; see sed- in Indo-European roots.]
group: [French groupe, from Italian gruppo, probably of Germanic origin.]
ring: [Middle English, from Old English hring; see sker-2 in Indo-European roots.]
set: [Middle English setten, from Old English settan; see sed- in Indo-European roots.]
group: [French groupe, from Italian gruppo, probably of Germanic origin.]
ring: [Middle English, from Old English hring; see sker-2 in Indo-European roots.]
field: [Middle English, from Old English feld; see pel-2 in Indo-European roots.]
- www.thefreedictionary.com
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