Friday, April 26, 2013
さす-刺す、差す(挿す)、指す
<さす>は刺す、差す、挿す, 指すと漢字を使うと多義語だが、やまとこどばの<さす>は広い意味で(一般化、抽象化すると)<点>にまつわる動詞だが動きがともなう。<指す>の英語はいくつかあろうが、 to point で表わせる。
以前のポスト(sptt Notes on Grammar)で<つく>について次のように書いた。
”
突く
着く
付く 、 関連語:付ける
就く
衝く (的を絞って突く、攻撃する)
尽 く 、関連語:尽きる、尽くす
憑く (もののけが(とり)つく)
搗く (こめ、もちなどをつく)
点く (火がつく、電気がつく)
漢字を使うと意味が違う、あるいは微妙に違うようだが、大和言葉としての<つく>はかなり大雑把な動詞、よくいえば、かなり一般化、抽象化された語だ。もとの大きな意味は共通している。<ある点のようなものに近づく、近づける>といったような意味だ。
<点を打つ>という表現もあるが<点をつける>はより大和言葉的だ。 <つく>、<つける>は点(0次元)関連の動詞だ。
”
<さす>は <刺す>の場合<つく>の<衝く (的を絞って突く、攻撃する)>の意味と重なるところがある。
<差す>と<挿す>はほぼ同じようだが、 <挿す>がほぼ物理的な to insert の意にせばめられるが、<差す>はかなり意味が広く、心理的な表現も多い。
傘を差す (この<差す>はどういう意味か? <差しかける>参照)
刀を差す
魔が差す
水を差す - 水差し
物差し - これは<物指し>の方がいいようだ。
差し金
差し当たり- <差し当たる>と言う動詞は使わないようだ。
差し入れる - 差し入れ 慣用あり
差し置く - この意味での<差し置き>という名詞(体言)は使わないようだ。
差し押さえる - 差し押さえ
差し替える - 差し替え
差し掛ける - 傘を差し掛ける ->傘を差す。
差し交わす- 差しつ差されつ
差しきる - 競馬用語
差し込む - 差込み
差し障(さわ)る - 差しさわり
差し迫る
差し出す - <差出す>という名詞(体言)はな使わないようだ。<差出人> は郵便用語。<モノを差し出す>とは違う。 (*2)
差し支(つか)える - 差し支え
差し出がましい (形容詞) <差し出る>は使わないようだ。
差し止める - 差し止め
差し伸べる
差し挟(はさ)む - 実際には何かを狭いすき間に差し込むことで、何かが<はさまれる>ことになることを表わすようで、<はさむ>という感じではない。ところで<はさみ>は洗濯ばさみのようなものもあるが、ふつうの<はさみ>は切る道具で、正確には<裁(断)ちばさみ>。カニの<はさみ>もほぼ同じ。
差し控える
差し引く - 差し引き(*1)
差しまねく - これは<指しまねく>ではないか?
差し向かう - これは<指し向う>だろう。<指し向かい>だろう。(*3)
差し向ける(*2) - 差し向け
差し戻す- 差し戻し(*4)
差し渡す(*2) - 差し渡し(直径)
(*) この<さす>は中国語の<差>(cha, 四声は無視)に由来するようで、やまとことばの<さす>とは関係ないようだ。
(*2)も <点>または<スキマ>にまつわる動詞とは言いがたく、どちらかというと<送(おく)る>に関連した語だ。中国語(少なくとも香港の広東語)では 郵便配達(員)(postman、mailman) のことを<郵差>と言う。
(*3) <指す>ははじめに書いたが、 英語の to point に相当する。上記の<差し向ける>と<指し向く>は違う。<指す>は英語の to point と同じく方向を示すことができる。
(*4)<差し戻す>は<いったん前に出したもの(こと)を戻す>の意だ。
<差す>と<指す>と<刺す>と漢字を使うと意味が微妙に違うようだが、基本的な意味は同じ。
差す - <何かを少し前に進める(出す)> といった動作を指す。将棋(の駒)を差す(少し前に進める)。碁は<打つ>だ。上記の<差す>の例は大体この意味で説明がつく。
指す - 物理的には指(ゆび)を<少し前に進め(出し)て>その方向を示す動作だ。
刺す - 上記の指(ゆび)を<針、ナイフのような先がするどいモノ>とすれば<刺す>になる。
いずれにしえも漢字を使わない、または話したり聞いたりするときにはすべて<さす>だ。
ところで<とげを刺す>というが、文法的には<とげが刺さる>が正しいだろう。
また、<刺身(さしみ)> の語源は何か?
sptt
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