前回のポストで<法律、規則、法則のやまとことば>を検討してみた。今回はこれに、特に物理や数学の<法則>に関連する<関係>のやまとことばについて検討してみる。
漢字に頼ることになるが<原因-結果>を分解すれば、
原 - =元(もと)、もと+づく(基づく)、関連名詞(体言): もと
因 - よる(因る)、よって
結 - むすぶ(結ぶ)、名詞(体言): むすび(結び)、
果 - はてる(果てる)、名詞(体言): はて(果て)
また<因果応報>を分解すれば、
因 - よる(因る)、よって
果 - はてる(果てる)、名詞(体言): はて(果て)
応 - おうじる(応じる)、おうじて
報 - むくいる(報いる )、名詞(体言): むくい(報い)
以上のやまとことばからは法律、規則、法則に関連した言葉は出てこない。<むくい>がやや関連する。むしろ関係を示す言葉が多い。 まず英語、中国語、日本語のロジック語法を見てみる。
1)英語
<Because XX, YY>でもいいが英語語法からは結論が先に来るので<YY because XX.>が普通。
その他では
As XX, so YY.
Since XX, YY.
XX. Therefore YY.
2)中国語
应为XX,所以YY. = Because XX, therefore YY が普通。英語より念が入っている。
3)日本語
日本語はロジック語法教育は盛んでないようだが、意識せずに次のような言い方になる。
XX(な)ので、YY。
XX(だ)から、YY。
XXより、YY。 (数学)
YY、 なぜならXX(なので)。 (翻訳調)
<な>、<だ>は断定の助詞<なり>、<だ>からきている。断定なので仮定ではなく確定のロジック。 ロジックと接続助詞については別のところでやや詳しく述べている。 sptt Notes on Grammar: <日本語文法とロジック - 4, 接続助詞>。
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XX、したがってYY。
XX.、だからYY。
XX、よってYY。(文語的)
XX、ゆえにYY. (翻訳調)
以上は<原因-結果>、<因果>関係を表すときの言い方だが、主に接続助詞、接続詞が活躍している。動詞自体が関係を示すものとしては
1)かかわる(関わる )、 xx に(と)かかわる
AはBに かかわる。 AのXはBのYに かかわる。
<かかわる>のワープロ辞典では<関わる>、<係わる>が出てくるので<かかわる>は<関係>のやまとことばの代表といえる。<かかわりあう>ということばもある。<かかわる>は<かかる(かける)>+<わる>だろうから、数学、ロジックと関連がある。<かかわる>の前半<かか>は<かかる>(もとは<かく> か?)の一部だ。<かかる>の連用形は<かか>ではなく<かかり>。
<かかりむすび>というのが日本語の語法にあるが、いい言葉だ。残念ながら<かかりむすぶ>という動詞は使われない。<かかりむすびつける>とすればかなり強めの<関係>を示すことができるが、これも動詞として使われない。
2)むすびつける(結び付ける)、むすびつく(結び付く)、 xx と(に)むすびつける、むすびつく
AはBとむすびつく。 AのXはBのYとむすびつく。
<むすぶ(結ぶ)>だけでも<関係>を示せる。 AはBとむすぶ。 AのXはBのYとむすぶ。但し<むすぶ>は単なる動作、作業を示す動詞で、関係を示すということであれば<むすびつける>がまさる。<つける>に意味があるのだ。
3)したがう(従う)、 xx にしたがう
AはBにしたがう。 AのXはBのYにしたがう。
4)よる(因る、拠る)、 xx による
AはBによる。 AのXはBのYによる。<したがう>よりは関係度合いが弱いようだ。
5)およぶ(及ぶ)、おおぼす(及ぼす)、 xx におよぶ(及ぶ)、 xx に yy をおおぼす
AはBにおよぶ(およぼす)。 AのXはBのYにおよぶ(およぼす)。<むすびつける>が接触的であるのに対して、<およぶ>は遠隔的な関係を示す。例)ちから(力)をおよぼす。
6)つなぐ、つなげる、つながる、 xx に(と)つなぐ、つなげる
<むすびつける>、<むすびつく> 、に似ているが、<つなぐ>、<つなげる>、<つながる>は仏のモノ、コト意外に三個以上のモノ、コト、をつなぐ(げる)、がつながる場合によく使われる。ネットワークは<結ぶ>ではなく<つなげる>、<つながる>だ。
7)沿う、沿わせる、xx に沿う、沿わせる
<したがう>に似ているが関係度は弱い。<つかづ離れず>の関係だ。
8)ならう、 xx にならう
これも<したがう>に似ているが、関係度が弱いというよりは<ならう>ものに自主性があると言える。
9)xx のおかげで
恩恵関係。あらたまると<おかげさまで>となる。もとは<かげ(影)> だろう。影は影響の<影>だ。
10)たたる、xx がたたって; わざわいする、xx わざわいして
迷惑、被害の因果関係だが、たいていは主観的、自己中心的でで客観性は低い。
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人間関係では<関係ができる>、<関係をつくる>、<関係をむすぶ>が一般的だが、<関係をつける>、<コネをつける> 、<関係をつなぐ>というのがあり、こちらはある特定の目的をもった人為的な意味がともなう。
sptt
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