Friday, April 19, 2013

写真用語のやまとことば


写真用語はやまとことば、漢語、英語、オランダ語の混合だ。


1.写真-漢語。中国語は照片。

2.ピント(焦点)-辞書によると、ピントはオランダ語のbrandpuntからきている。ドイツ語は, 隣国のためか似たような Brennpunkt で、brennen が<もやす(もえる)、こがす(こげる)>の意だから、まさしく<焦点>だ。ドイツ語辞書によると Brennpunkt はラテン語の punctum ustionis の訳という。手持ちのラテン語では ustulo (もやす(もえる)、こがす(こげる)という語があるので ustionis はその形容詞だろう。英語はfocus。<ピンぼけ>は<ピントがぼけている>ことだが、<ぼけ>は<ぼける>の連用形の名詞用法。<ぼける>は<ほける><--<ほおける>由来だ。

3.カメラ(写真機)-調べてはいないが、これもオランダ語由来ではないか。英語でも camera というが、あきらかにこれはラテン語系言語由来だ。中国語は照機。

4.しぼり(絞り)-Japan wiki の解説は次の通り。

光学系において絞り(しぼり、英語: diaphragm)とは、通過するの量を調整するために用いる遮蔽物のことである。開口部を指す aperture が訳語になることもある。

日本語の< しぼり>の方が一般化が進んでいる。また動詞<しぼる>の意が強くのこっており、いい<やまとことば>だ。

5.ぶれ-<ぶれ>は辞書によると<ふれ><--<振れる>由来という。<ぶれる>という動詞形もある。<手振れ>という写真用語があるのでもっともらしいが、次のようにも考えられる。 
英語の写真用語<ぶれ>に相当する英語は動詞<to blur>だ。<blur>という名詞形もあるが、意味は限定されているようで、写真用語<ぶれ>には相当しないようだ。過去分詞形<blurred>とそれの形容詞用法は頻繁に使われる。<-ed >はは強調しない限り弱まるので<blur>も<blurred>も聞いたかぎりでは<ブラ->と<ブロ->の中間あたり(いわゆる日本人が苦手な<あいまい母音>)で、<ブレ->とも聞こえる。また伸ばす部分の<->もそれほど長くはない。言うまでもないが、日本語には<l>と<r>の区別がない。<手振れ>本来のやまとことばからすれば<手ぶれ>ではなく<手ぶるえ>だ。

なお、<振(ふ)れる>、<触(ふ)れる>は英語では

振(ふ)れる = to swing (自動詞)、 (<震(ふる)える>は to shake, to vibrate  (自動詞))
触(ふ)れる = to touch  (他動詞)

の区別があるが、やまとことばでの <ふれる>は一般化が進んでいる(別の見方をすれば、分(析)化が遅れている)。



sptt







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