丁寧(ていねい)はいい言葉だ。
花子は丁寧な仕事をする。丁寧に書かれた文章、説明、解説は読みやすい。 (だが<丁寧に書かれた詩>は褒め言葉ではないだろう。)
この家具は丁寧に仕上げてある。
しかし使われすぎているためか
電話ですむところをご丁寧にも電車に乗ってやってきた。
と皮肉的、否定的に使われることもある。 さらには
電話で簡単すむところをバカ丁寧にも雨の中電車に乗り、正装し、手みやげ持ってやってきた。
ともなる。これは皮肉でなくなる。
丁寧の語源を調べてめて驚いた。
”
https://www.changshiwang.com/ryrm/12529.html
【丁寧の語源・由来】
丁寧は、金属製の楽器の名に由来する。
昔、中国の軍隊で、警戒や注意を知らせるために鳴らす楽器を「丁寧」といった。
そこから、注意深くすることを「丁寧」と言うようになり、細かい点まで注意が行き届いていることや、礼儀正しく手厚いことも意味するようになった。
”
他のネット語源辞典も大体同じだ。だが中国で中国語で聞いたり見たりしたことはない。Wiki言語辞典では https://zh.m.wiktionary.org/zh-hant/%E4%B8%81%E5%AE%81
4番目に<言語懇切貌>というのがあるが文例は昔の文書語なので現代では死語だろう。ここで懇切がでてくるが、同義語だろう。懇切丁寧というのもある。歴史的には丁寧は<丁寧は、金属製の楽器>のことして輸入されて、その後日本で今の丁寧の意味変わっていった、とは考えにくい。したがって上の本家中国の4番目の意味<言語懇切貌>で書面語として輸入されたのだろう。
一方日本語では日常生活で、皮肉的な言い方を含めてかなり頻繁に使われる。丁寧(ていねい)のやまとことばは何か? 上のネット辞典
【丁寧の語源・由来】では丁寧の意味として
1) 注意深くすること。
(これは注意深くxxすること、あるいは注意深いこと、だろう。)
2)細かい点まで注意が行き届いていること。
3)礼儀正しく手厚いこと。
を意味としている。
3)は<礼儀正しい>と<手厚い>同じレベルでは結びつかない。したがって、3)礼儀正しいこと。4)手厚いこと。になるだろう。だが<手厚い>は意味を調べないといけない。<手厚い>は簡容ネット辞書では、ほぼみな同じで(だから版権はないだろう)
扱い方やもてなし方が、親切で丁寧である。
ここで丁寧がでてくるので親切がないと
手厚い: 扱い方やもてなし方が丁寧である。
となり堂々巡りになる。 <親切>は漢語だが、これは丁寧に似てほぼ日本語になっている。親切の語源は、これまたネットで簡単に調べられるが版権がありそうなので、簡単に説明すると
<親>は親(した)しい -> <親(した)しい>ためには仲が良くないといけない。<仲が良い(状態)>ためには相手の立場、相手の身になって考え(理性)、思って(こころ、心情)相手に対応する必要がある。言い換えると<親>は<思いやりがある対応>をにおわせる。
<切>は<切実>の<切>で、<切>だけで<切実>の意味がある。<切る>とは基本的に関係ない。<切実>は実(じつ、み)があるで、からっぽ、表面的の反対の意味だ。
以上のような<親>と<切>を足すと
実のある(表面的でない)+思いやりがある対応
となり
心から思いやりがある対応
とでもなる。本場の中国では<親切>ほとんど聞かない。死語ではないか。末尾(注)参照。だが丁寧のやまとことばを考えるときこの和製漢語のような<親切>はキーワードだ。
さてはじめの例文を考えて見る。
1. 花子は丁寧な(丁寧に)仕事をする。
具体的には、仕事内容にもよるが、丁寧な仕事とは
1)ミスが少ない、2)やり直したり、訂正する必要がごく少ない、3)<細かい点まで注意が行き届いていること>を感じさせる
仕事と言えそうだ。
花子がなぜ丁寧な(丁寧に)仕事をするかというと、考えられるのは
花子の性格。いい加減に仕事はしたくない。ここで<いい加減>は元来の意味(良い加減)とは反対の意味に変遷してしまっている。<細かい点まで注意が行き届いていること>は<注意深い>とは違う。<注意深い>は<ミスがない、やり直したり、訂正する必要がないようにxxする>に近い。<細かい点まで注意が行き届いていること>はどの方向かよくわからないが、<注意深い>から一歩進んでいる。
2. 丁寧に書かれた文章、説明、解説は読みやすい。 (だが<丁寧に書かれた詩>は褒め言葉ではないだろう。)
これも逆に<いい加減に>書かれた文章、説明、解説は読みにくい、わかりずらい、さらには読みたくないとなる。なぜか。筋(すじ)が追えない、頭にはいってこないのだ。<細かい点まで注意が行き届いて>書かれた文章、説明、解説というのはすぐにはピンとこない。したがってよくできていても<細かい点まで注意が行き届いていること>を感じさせることは少ない。書かれた文章、説明、解説は読みやすい、わかりやすい、筋(すじ)が追える、すんなり頭にはいってくればいいようだ。
一方、だが<丁寧に書かれた詩>は褒め言葉ではないだろう。これはなぜか。よい詩は独創性が必要だ。少し読みにくくても独創性があればよい詩になる。<細かい点まで注意を行き届かせる>と常識にとらわれ独創性をそぐことになる可能性がある。ただし<細かい点まで注意を行き届かせた>独創性のある詩もあるだろう。
<細かい点まで注意を行き届かせる>と常識にとらわれるのは、主に他人(読者)がどう思うか、他人がどう対応するかを考えすぎるからだろう。これは別の見方をすると、<他人への思いやり、親切心>の行き過ぎ、方向違いともいえ、自己、自主性、独自性がそこなわれるのだ。
3.この家具は丁寧に仕上げてある。
丁寧に仕上げれた家具は見栄え(みばえ)がよく、使い勝手がいい。 場合によっては愛すべき家具となる。さてこのポスとの題目<丁寧(ていねい)のやまとことば>にもどる。
丁寧(ていねい)と親切の違い
1. 花子は丁寧な(丁寧に)仕事をする。
1-1)花子は親切な(親切に)仕事をする。
2. 丁寧に書かれた文章、説明、解説は読みやすい。
2)-1 親切に書かれた文章、説明、解説は読みやすい。
3.この家具は丁寧に仕上げてある。
3-1)この家具は親切に仕上げてある。
<親切>がまったくダメというわけではないが、<親切>を使う人、ケースはごく限られるだろう。<親切>は相手、対象との人的関係が強く、<思いやり>が深くからんでいる。一方<丁寧>は相手、対象とは関係するが、<細かい点まで注意を行き届かせる>のは必ずしも<相手、対象への思いやり>からではない。花子の例のように、一種の(花子の)性格、性質によるところが大きい。言い換えると、人的関係を第一としなければ、 丁寧は親切より本質的といえる。
さて丁寧のやまとことばだが、
丁寧には上記のように
1) ミス(落ちど)が少ない
2) 細かい点まで注意が行き届いている
3) 本質的な好ましい性格、性質
の属性がある。やまとことば候補として
丁寧(ていねい): 落ちどぎらい(たち)
はどうか?
丁寧に - 落ちどぎらいに (これは新語だ)
末尾 (注)
https://www.zdic.net/hant/%E8%A6%AA%E5%88%87
◎ 親切 qīnqiè
(1) [cordial;kind]∶形容人態度親愛和善
態度親切
(2) [intimate]∶親密;親近
(3) [cordial]∶熱情關切
和善熱誠。如:「對人要親切。」反冷淡,冷漠 1.凶暴 2.隔膜,疏遠
親近、親密。《紅樓夢.第五八回》:「儼似同胞共出,較諸人更似親切。」近親密,親暱,親近,親熱
仔細、準確。《三國演義.第一八回》:「暗地拈弓搭箭,覷得親切,一箭射去,正中夏侯惇左目。」《老殘遊記.第一回》:「章伯看得親切,不禁狂叫。」
英語 amiable, cordial, close and dear, familiar
sptt
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