Friday, June 11, 2021

耳を傾ける


<耳を傾(かたむ)ける >は文字通りでは変な表現で、多分<耳がある顔、頭を傾けて音がでているところに耳を近づけ、よく聞こえるようにする>ことだろう。これはヒトは犬のように耳だけを傾かせる、動かせることができないからだ。

一方<聞き耳をたてる>、<耳をそばだてる(直立させる)>という言い方もある。

これらは<ヒトは犬のように耳だけを傾かせる、動かせることができない>ことを考えると、比喩的な表現だ。

耳を傾(かたむ)ける



聞き耳をたてる、耳をそばだてる

は意味が違う。

<耳を傾(かたむ)ける>は飛躍して<他人の意見をよく聞く>、さらにはそして実際には<他人の意見をよく聞き、それにしたがう>とうい意味で使われる。

英語では

to listen to

あるいは比喩的に

You should have big ears.

と言うかも知れない(未確認)。

ふつう

You have big ears.

は(他人の)小さい、細かいニュース、うわさまでしっている、といった否定的な意味で使われる、ようだ。

聞き耳をたてる、耳をそばだてる

には<他人の意見をよく聞く、(聞き、それにしたがう)>という意味はない。だいたい<聞きにくい小さな音をきこうとする>の比喩的な意味で使われる。

さて、以上の<聞く>表現に関連して国が変われば、言葉が変われば同じような表現でも意味が違う例を見つけた。

ピノキオの冒険原文(イタリア語)

http://ercoleguidi.altervista.org/pinocchio/pin_20.htm

でかなり頻繁に出て来る表現に

dare retta a (qualcuno)

と言うのがある。英語訳はだいたい

to listen to (someone)

となっており、日本語では<耳を傾ける>相当だ。< dare retta a>の retta は<直立(した)>といった意味だ。そして<体を直立して>ではなく<耳を直立させて>、<耳を立てて>、さらには<耳をそばだてて>が一番近いようだ

語源が詳しいTreccani 辞典(on-line)では

rètta1 s. f. [forse lat. arrecta (auris) «(orecchio) rizzato, teso»].

という解説がある。


sptt


 

 

 

 

 





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