<耳を傾(かたむ)ける >は文字通りでは変な表現で、多分<耳がある顔、頭を傾けて音がでているところに耳を近づけ、よく聞こえるようにする>ことだろう。これはヒトは犬のように耳だけを傾かせる、動かせることができないからだ。
一方<聞き耳をたてる>、<耳をそばだてる(直立させる)>という言い方もある。
これらは<ヒトは犬のように耳だけを傾かせる、動かせることができない>ことを考えると、比喩的な表現だ。
耳を傾(かたむ)ける
と
聞き耳をたてる、耳をそばだてる
は意味が違う。
<耳を傾(かたむ)ける>は飛躍して<他人の意見をよく聞く>、さらにはそして実際には<他人の意見をよく聞き、それにしたがう>とうい意味で使われる。
英語では
to listen to
あるいは比喩的に
You should have big ears.
と言うかも知れない(未確認)。
ふつう
You have big ears.
は(他人の)小さい、細かいニュース、うわさまでしっている、といった否定的な意味で使われる、ようだ。
聞き耳をたてる、耳をそばだてる
には<他人の意見をよく聞く、(聞き、それにしたがう)>という意味はない。だいたい<聞きにくい小さな音をきこうとする>の比喩的な意味で使われる。
さて、以上の<聞く>表現に関連して国が変われば、言葉が変われば同じような表現でも意味が違う例を見つけた。
ピノキオの冒険原文(イタリア語)
http://ercoleguidi.altervista.org/pinocchio/pin_20.htm
でかなり頻繁に出て来る表現に
dare retta a (qualcuno)
と言うのがある。英語訳はだいたい
to listen to (someone)
となっており、日本語では<耳を傾ける>相当だ。< dare retta a>の retta は<直立(した)>といった意味だ。そして<体を直立して>ではなく<耳を直立させて>、<耳を立てて>、さらには<耳をそばだてて>が一番近いようだ
語源が詳しいTreccani 辞典(on-line)では
rètta1 s. f. [forse lat. arrecta (auris) «(orecchio) rizzato, teso»].
という解説がある。
sptt
No comments:
Post a Comment