<雉も鳴かずば撃たれまい> は<よけいなことは言わない方がよかった>、さらには一般化して<よけいなことは言わない方がいい>といった意味だが、日本語として相当こなれた言い方だ。またすべてやまとことばだ。何も特別<雉>でなくてもいいようだ。
鳩も鳴かずば撃たれまい。猿も騒(さわ)がずば捕(と)られまい。
タヌキも穴から出ずば捕(と)られまい。
モグラも頭を出さずばたたかれまい。
細かいことをいうと<雉も鳴かずば>の<も>はどういう意味か?これは
菊も香(かお)る季節
という言い方に似ている。 いろいろ考えたが、次のように解釈したらどうか。
”
雉も、鳴かずば、撃たれまい。
は
雉も(そうだが、雉にかぎらず、撃たれる運命にある雉と同じような状況にあるモノはみな)、鳴かずば、撃たれまい。
と言い換えできる。この<も>は( )内にあるような背景を背負った助詞といえる。 これで教訓性がでる。とりわけ雉でなくてもいいのだ。
これは、私の新発見か、と思って調べたが、残念ながらそうではない。” 譲歩の大助詞<も> ” のポストで紹介しているが、手もとの辞書<三省堂新明解>の助詞<も>の解説の一番目に
1) 類似した事柄を列挙したり、同様の事柄がまだあることを言外に表わしたり、する。
とあり、まさしくこの<同様の事柄がまだあることを言外に表わし>だ。
これをを参考に
菊もかおる季節
を考えてみる。 <菊もかおる季節>は秋を想定させる。同類の範囲を狭めて、あるいは広げて
菊も(そうだが、菊にかぎらず、秋に花を咲かせてかおる花々が)かおる季節
とならないか?
”
以上は最近書いた sptt Notes on Grammar の方の ” <キジも鳴かずば>の<も>について、大助詞<も>-2 ” (大助詞<も>シリーズ)の結論部。
sptt
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