Friday, March 28, 2025

侮辱 (ぶじょく) する、侮辱される

 

<侮辱>は<ぶじょく>と発音される漢語でやまとことばではない。発音は難しいことはなく、さらに<ぶじょく>という音は<侮辱>>内容にあっているようでもある。<ぶ>は<不>を連想させるが、単なる<否定>から<否定的>な<よくない>を連想させる。さらには

ぶざま
ぶしつけ

といった<半やまとことば>も連想させる。

<辱>の<じょく>の方は漢語の発音だが、擬態語で

じくじく

も連想させる(私だけか?)

<侮辱>は昔<ぶじょく>のような発音で輸入されたのだろう。 侮辱の現代中国語 (北京語) の発音は

侮辱  wǔ rǔ

で<ぶじょく>とはかけ離れtている。古い発音を残しているといわれる広東語の発音は

侮辱 mou juk、モウチョク (聞いたことはない)

<チョク>の方は<じょく>にきわめて似ている。<侮 mou モウ>の方はよくわからない。

さて<侮辱>の意味だが、日本語ネット辞典では

デジタル大辞泉 「侮辱」の意味・読み・例文・類語


ぶ‐じょく【侮辱】

[名](スル)相手を軽んじ、はずかしめること。見下して、名誉などを傷つけること。「侮辱を受ける」「他民族を侮辱する」
[類語]恥辱ちじょく屈辱汚辱はずかしおとしめる嘲る見下す見くびる侮る見下げる卑しめる蔑む嘗める辱める虚仮こけにする馬鹿にする泥を塗る愚弄翻弄嘲弄軽蔑軽侮自嘲侮蔑陵辱蔑視


けっこうやまとことばが並んでいて、やまとことばの宝庫とも言える。ふりがながないとすぐには読めないものがある。

嘲る ー あざける
侮る ー あなどる これは重要語だ。
蔑む - さげすむ 
卑しめる ー いやしめる
嘗める ー なめる (舐める)口語
辱める ー はずかしめる

これにならえば<侮辱>は<侮り辱める、あなどりはずかしめる>

<はずかしめる>はいいとして<あなどる>が難しい。 <あなどる>については、だいぶ前に

<あなどる>の語源 January, 2019

というポストを書いているので参照。 読み返してみたが、書き換える必要はないようだ。

上の日本語ネット辞典の漢語の方では、現代北京語でよく使われるのは<侮蔑,wǔ miè>。これまた発音は<侮蔑 ぶべつ>とはかけ離れている。日本では<侮蔑 ぶべつ>は<侮辱、ぶじょく>、<軽蔑、けいべつ>に比べ、聞く機会は少ない。

また初めの方の漢語で<汚辱>がある。<おじょく>と読むが、ほとんど聞かない。聞いてすぐに書ける人も少ないだろう。 意味は

地位名誉などけがされることによるはずかしめ。「—をこうむる

中国語では

污辱 wū rǔ  损害别人的自尊心。

だが、これはあまり見ない。中国ドラマ、メロドラマでよく出て来るのは、上で書いた<侮蔑,wǔ miè>。中国の Wiki ともいえる Baike-Bauduでは

污蔑:wū miè,歪曲事实而玷污他人的名誉。区别:污蔑谈客观效果(可能主观不良也可能只是误解),诬蔑谈主观不良的做法。

诬蔑:汉语词语,拼音wū miè,意思是捏造假象败坏别人的名誉。区别1:诬蔑谈主观不良的做法,污蔑谈客观效果。区别2:严重的诬蔑称诽谤
 
というおもしろい解説がある。 污蔑、诬蔑で区別があるが、発音は同じ wū miè 。耳で聞いたのでは区別が難しいだろう。もっとも、この区別内容も理解は容易ではない。<污蔑は客观的>となると、客观的な污蔑はさほど悪くない>になりかねない。
 
 
一方<侮辱、ぶじゅよく>は
 
侮辱  wǔ rǔ,使对方人格(或称名誉)受到损害;以言行侮弄羞辱别人,使对方人格(或称名誉)受到损害;受轻慢的待遇,被欺辱。
 
侮弄、羞辱、欺辱はときどき見る程度、あるいは見逃しているのだろう。 一方<污蔑>はかなりの高頻度で出てくる。

英語では<侮蔑,wǔ miè>は

to make statements about someone that are not true and that are damaging to their reputation:

で、日本語では、漢語だがよく聞く<中傷 (する) >という語がある。

侮辱  wǔ rǔ>の方は

(to ) insult
an offensive remark or action

だが、ややこしいところがあって

ネット簡易中英辞典では

侮蔑 ->自動変換 侮辱

( to ) contempt, insult, scorn
a remark or action intended to insult or offend someone

と出てきて侮蔑、侮辱の区別がない。だが<侮蔑>をよくチェックしてみると

( to )  slander

と出てくるものがある。逆に<slander>を 中英辞典でチェックしてみると、日本人がなじみがあるものでは

诽谤 (誹謗) 、讒言 (ざんげん) 、中伤 (中傷)

が出てくる。

さて、初めの方の日本語ネット辞典では

「侮辱を受ける」「他民族を侮辱する」

という例文が出てくる。概して侮辱>は主観的、心理的で、さらに被害者意識が加わって、ややこしいところがある。侮辱する方は<侮辱する>意識が薄いが、侮辱される方は<受けたと感じる侮辱>を増幅して取る傾向がある。

 

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<侮辱>は元来漢語で、<ぶじょく>のような発音で輸入されたのだろう。

としよく使われる。<ぶ>

 

 

<xxが侮辱する><侮辱される>に比して<侮辱してやる>はあまり聞かない。

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