Sunday, June 29, 2014

回転のやまとことば


回転のやまとことばを調べてみる。

まわる - まわす   to rotate, to revolve, to spin(以上主に自転),
                                    to circulate, to orbit は通常一回転以上。
             to turn around は半回転か多くとも一回転。

<ひねる(ひねり)>も回転がらみだが、<ひずむ(ひずみ)>、<ひがむ(ひがみ)>など<ひ>がらみ言葉がおおいので別途検討予定。

回転椅子 - swivel chair

英語動詞の自他については英語辞書参照。

まわり    around, surround
めぐる   to go around  - めぐらす to surround, to encircle, to enclose

めくる    to turn (a page), to turn around
まくる  <めくる>の方言か。

まく    to wind, to roll
まき  ねじ巻き、 鉢(はち)巻、海苔(のり)巻き、渦(うず)巻き - whirlpool
 
こま <- こまわり      (a) top

まがる - 角(かど)をまがる  to turn
まげる - まがる   棒をまげる、 棒ががる    to bend

ぐるぐるまわす、まわる
ぐるぐるめぐる
ぐるぐるまく

くるくるまわる

くるまる - くるむ、くるめる、ひっくるめる  to involve, to wrap, to bundle

<くるまる>はおもしろい動詞で、<布団(ふとん)にくるまる>のように使うが、この動作を少し細かく言うと<わが身をくるめる>で他動詞<くるめる>を使った、いわば再帰動詞表現。これは大げさに言えば<他動詞->自動詞位相変換>になる。

まるまる - まるめる
まる    circle, ring
まるい round

むく(向く)     to turn
むくいる    to compensate, to return

まかす、まかせる、まかなう <- まく

以上言うまでもないが、回転関連のやまとことばには ma-、mu、me がからむ語が多い。

挿入

別のポスト<まく、巻く、撒く(蒔く)、相手を(煙)に巻く>からの引用

任(まか)す、賄(まかな)う、は漢字で書くと見えにくくなるが、まかす(ma-ka-su)、まかなう(ma-ka-na-u)で<まく(ma-ku)>と関連がある。この場合の<まく>は<巻く>の<まく>だ。<巻く>とはどういうことかというと、上述のように<あ るモノ(コト)のまわりを何かが一まわり以上する、何かで一まわり以上させる>ことで、特に他動詞の場合は<あるモノ(コト)の>に制限、拘束をくわえる ことを意味する。<巻く>を<(ぐるぐる)しばる、しめる>とすればこの意味が鮮明になる。但し、<しばる、しめる>や<巻きつける>にくらべると<巻 く>は制限、拘束の度合いが弱く、<あるモノ(コト)>は動く自由がある。動く自由があるが、制限、拘束をくわえれれている、ということだ。これは重要な ことで、大げさに言えば、法治国家、民主主義にかかわってくる。こう説明すれば、任(まか)す、賄(まかな)う、が<巻く>と関連があることが推測できよう。

任(まか)す - あるモノ(コト、ある人)にある程度の自由をあたえてxx させる、の意だ。
賄(まかな)う - あるモノ(コト、ある人)からにある程度の自由をあたえられてxx する、の意だ。

さ らに、少し想像力のある人には<ぐるぐる巻く>が<撒く>、<蒔く>の<xx を yy でおおう>と関連があるのは明らかであろう。もう少し想像力のある人には<まくる>、<めくる>、<めぐる>、<曲(ま)がる>、<曲げる>、さらには <向(む)く>、<向(む)ける>、またさらには<報(むく)いる>も<巻く>関連の語群と思えるのではないか。

<巻く>から離れるが、この意味では<囲む>も<巻く>に似ており、囲まれた<あるモノ(コト)>は動く自由がある。動く自由があるが、制限、拘束をくわえれれている。これは意識上、したがって言語上(言語は意識を反映している)の重要なコンセプトだと思う。

挿入終わり


ところで、英語の場合も発音上グループ化が出来そうだ。

to rotate, to revolve
around, surround
swivel  (chair)
to turn (a page), to turn around
to wind, to roll
whirlpool
to bend
to involve, to wrap, to bundle
circle, ring
round

以上の外(ほか)に

to swirl
to twirl
curl
rondo
(追加予定)

英語では ”r” がらみの発音が多い。英語の ”r” は<巻き舌>ではないが、スペイン語やイタリア語では<巻き舌>の”r” だ。

whirl、swirl、twirl, curl (名詞形もある)は明らかに発音上同じグループで<まわる>感じがある。


www.thefreedictionary.com のコピー

swirl  (swûrl)
v. swirled, swirl·ing, swirls
v.intr.
1. To move with a twisting or whirling motion; eddy.
2. To be dizzy or disoriented.
3. To be arranged in a spiral, whorl, or twist.
v.tr.
1. To cause to move with a twisting or whirling motion. See Synonyms at turn.
2. To form into or arrange in a spiral, whorl, or twist.

twirl  (twûrl)
v. twirled, twirl·ing, twirls
v.tr.
1. To rotate or revolve briskly; swing in a circle; spin: twirled a baton to lead the band.
2. To twist or wind around: twirl thread on a spindle.
v.intr.
1. To move or spin around rapidly, suddenly, or repeatedly: The pinwheel twirled in the breeze.
2. To whirl or turn suddenly; make an about-face: twirled in the direction of the noise.
3. Baseball To pitch.

curl (kûrl)
v. curled, curl·ing, curls
v.tr.
1. To twist (the hair, for example) into ringlets or coils.
2. To form into a coiled or spiral shape: curled the ends of the ribbon.
3. To decorate with coiled or spiral shapes.
4. To raise and turn under (the upper lip), as in snarling or showing scorn.
5. Sports To lift (a weight) by performing a curl.
v.intr.
1. To form ringlets or coils.
2. To assume a spiral or curved shape.
3. To move in a curve or spiral: The wave curled over the surfer.
4. Sports To engage in curling.
n.
1. Something with a spiral or coiled shape.
2. A coil or ringlet of hair.
3. A treatment in which the hair is curled.
4.
a. The act of curling: the curl of a meandering river.
b. The state of being curled.
5. Sports A weightlifting exercise using one or two hands, in which a weight held at the thigh or to the side of the body is raised to the chest or shoulder and then lowered without moving the upper arms, shoulders, or back.
6. Any of various plant diseases in which the leaves roll up.

ron·do  (rnd, rn-d)
n. pl. ron·dos
A musical composition built on the alternation of a principal recurring theme and contrasting episodes.


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Monday, June 23, 2014

<ねる>動詞


<ねる>はアクセントが<る>、または平板アクセントでは<寝る>だが、アクセントが<ね>にあると<練る>になる。<ねる>がつく動詞を<あいうえお>順に列挙してみる。順に

うねる   u-neru
かねる       ka-neru
くねる         ku-neru
こねる       ko-neru
ごねる   go-neru      口語。 根拠のない不平をいう、to ne-go(tiate) のne-go (ネゴ)の倒置か?
すねる       su-neru
つねる       tsu-neru
はねる       ha-neru
ひねる       hi-neru
まねる       ma-neru

上記のうち<うねる >、<くねる >、<こねる >、<すねる >、<つねる >、<ひねる >は意味に共通したところ(ある種のまっすぐでない<行き来>の動きを示す)がある。偶然の一致ではないだろう。<ねる>に何か共通させる働きがあるようだ。<練る>(錬る、煉る)に一番近いのは<こねる>か。<こねる>は小さい<ねる>とも言えそう。

大きな計画をねる。
小麦粉水を加えてこねる。
下手(へた)な考えをこねる(こねまわす)。

<まねる>は上記の共通した意味のグループには入らない。<まねる>の<ま>は<まこと>の意の接頭辞か? ま顔、まこと、まじめ。そうだとすると、<ま>+<ねる>に意味が出てくる。<ま>を<ねる>、<ま>を<ねり出す>のだ。

前が二字になる<ねる>動詞はたくさんありそうで、あまりない。

あぐねる   a-gu-neru    言いあぐねる
おもねる   o-mo-neru   へつらう
かさねる        ka-sa-neru
くすねる   ku-su-neru   盗む
そこねる   so-ko-neru   損(そこ)なう。 いいそこねる
たずねる(尋ねる、訪ねる) ta-zu-neru
たばねる      ta-ba-neru
ゆだねる      yu-da-neru
(追加予定)

あまりいい意味でない語が多い。あぐねる、おもねる、くすねる、そこねる。これらは上記の<ある種のまっすぐでない動きを示す>と関連がありそう。

少し考えてみたが<前が二字になる<ねる>動詞はたくさんありそうで、あまりない>理由がよくわからない。例が少ないが、<ねる>は ne-ru で、u-, ku-, su-, tsu-, (a-) gu- , ku-su- のように、う(u-)列の語とくみあわせが多いようだ。大和言葉の大きな特徴だが、う(u-)列や(e-)列が多い語は大体いい意味でない。


創作やまとことば

あだねる - あだ(徒、空)にする
はばねる - 幅を持たせる、はばをきかす
 (追加予定)

はどうか?


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Friday, June 20, 2014

<ゆする>、<ゆずる>、<ゆるす>は同源か?


<ゆる(yu-ru)>が root と思うが<ゆる>関連の言葉はおもしろい。思いつくまま、少し整理して、並べてみる。

1)ゆるぐ(yu-ru-gu) - ゆるがす (yu-ru-ga-su)  - to shake (自他)、 地をゆるがす

ゆるぎ(yu-ru-gi)  名詞(体言) 、普通は<ゆるぎない(yu-ru-gi nai)>で使う。

ゆるがせにする(yu-ru-ga-se ni su-ru)、普通は<ゆるがせにできない(yu-ru-ga-se ni de-ki nai)>で使う。

手もとの辞書によると<ゆるがせ(yu-ru-ga-se>は古語<いるかせ(i-ru-ka-se)>となっている。<かせ(枷、ka-se)>がゆるい(yu-ru-i)の意か?


2)ゆらぐ (yu-ra-gu) 自動詞  - to shake       自信がゆらぐ

ゆらぎ (yu-ra-gi))  名詞(体言)  信仰(良心)のゆらぎ。<心のゆらぎ>はシュールな表現だ。
ゆらゆら(yu-ra-yu-ra)  擬態語、副詞    ゆらゆらゆれる


3)ゆるまる(yu-ru-ma-ru) - ゆるめる(yu-ru-ma-ru)  -  to get (become) loose - to make (sth) loose

ゆるい(yu-ru-i)  形容詞 - loose
ゆるゆる (yu-ru-yu-ru)  擬態語、 ゆるゆるな(だ) 形容動詞 - loose
ゆるみ(yu-ru-mi)  名詞(体言) - looseness


4)ゆれる(yu-re-ru) - ゆらす (yu-ra-su) -  to shake (自他)

<ゆるぐ(yu-ru-gu)-ゆるがす (yu-ru-ga-su)>の縮小版。逆に言えば<ゆるぐ(yu-ru-gu)-ゆるがす (yu-ru-ga-su)>は<ゆれる(yu-re-ru)-ゆする (yu-su-ru)>の拡大版。

ゆれ(yu-re)  名詞(体言)  -  a shake


5)ゆする (yu-su-ru) 他動詞、 慣用あり  -  to shake (自他)

ゆすり (yu-su-ri) 名詞(体言) - 主に慣用  ゆすりたかり


6)ゆらめく (yu-ra-me-ku) 自動詞   旗がゆらめいている

 ゆらめき (yu-ra-me-k-) 名詞(体言)

 -----

<ゆずる(yu-zu-ru、譲る)>や<ゆるす(yu-ru-su、許す)>は以上の<ゆる(yu-ru)>関連語と関係があるのか? 

<ゆずる>、<ゆるす>は<ゆるめる>と意味的につながっている。だが<ゆるめる>は<ゆらし>たり、<ゆすっ>たりして<ゆるめる>だけとは限らない。したがって、<ゆる(yu-ru)>(loose)は<ゆれる、ゆらす>関連語(shake)とはモトが違う可能性もある。


A. <ゆずる>

<ゆずる(yu-zu-ru)>昔は<ゆづる(yu-dsu-ru)>と書いた(発音した)ようなので、同じような意味がある<ゆだねる(yu-da-ne-ru)>の関連語だろう。元は<ゆづ(yu-dsu)>か? <ゆだねる>の<ねる>はおもしろい語だが、ここでは関係なさそうなので別途検討とする。 <ゆずる>の英語にはto concede、to give away がある。

B. <ゆるす>

<ゆるす>に関しては、可能性の一つに<やる(ya-ru)>がある。 <やる>は多義語で、関連はあるが、いくつか違った意味がる。

a) <する>とほぼ同じだが、やや口語的。かなり前だが<JALPACK>は<やるPACK>と言うのがあった。

これ、どうやれ(すれ)ばいいの。

<やらす(ya-ra-su)>は<やる>の使役形だが、場合によっては<ゆるす(yu-ru-su)>の意味が生じてくる。

b)   <与(あた)える>

これ、君にやろう。
金魚に餌(えさ)をやる。

 <与(あた)える>の英語は to give だが、間違いや失敗を<ゆるす>は to forgive だ。

c) <(人を)送(おく)る、行かす>

A君を医者を呼びにやろう。
現場へはとりあえずB君をやっておこう。

d)   <移(うつ)す、動かす>

あれ、どこにやった。
この問題、やり場がない。

e) <あげる>とともに<やる>は助動詞的な働きがある。動詞の連用形に付く。


買ってやろう
<買ってやろう)は<買って><与えよう>ととれるが<君のために買う>の意もありうる。この場合<買う>は未来形と言える。

してやる
頼んでやる
運んでやる
話してやる
持ってやる
(いくらでもある)

以上は<君(あなた)のためにする、頼む、運ぶ、話す、持つ>の意があり、また未来形と言える。


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Thursday, June 19, 2014

<to give up> と<あきらめる>

以前のポスト<開(あ)く、空(あ)く、飽(あ)く、明(あ)く>で次のように書いた。


 <飽きる>、<飽(あ)く>は<明るい>グループと関連なさそうだが、<あきらめる>が<明(あき)ら>+<める>という語源解説がある(中西進<ひらがなで読めばわかる日本語>)。

<明るい> が<明ける>、<明かす>、さらには<空ける>、<空かす>、<開ける>、<開かす>と関連することはわかる。

<窓をあける>と<窓をひらく>は意味がちがう。<窓をあける>と<あかるくなる>、<空間がひろがる>のだ。<窓をひらく>は物理的な動作、作業に近い。

しかしながら <明るい>グループを<飽きる>、<飽(あ)く>グループと結びつけるのは難しい。なぜなら、<明ける>、<明かす>、さらには<空ける>、 <空かす>、<開ける>、<開かす>は empty に関係するのに対して<飽きる>、<飽(あ)く>は反対の full に関係するからだ。磁石の性質として<飽和>というのがあり、full --> empty に似た現象を示すようだが、古代人がそこまで物事を科学的に観察していたかは疑問だ。

したがって、<あきらめる>は<飽きる>、<飽(あ)く>グループだろう。このグループはあまり使わない。したがって、意味が曖昧になっている。



このポストは<あきらめる>の語源への再挑戦。今回は西洋語、特に英語の<あきらめる>との関連で<to give up>について考えるてみる。

中西進<ひらがなで読めばわかる日本語>では<to give up>は簡単な<あきらめ>ではなく、日本語の<あきらめる>(あきらかにする)と同じく<give して give して give して最後にあきらめる>という積極的な面がある、と説明している。この場合<to give>には<あきらめる>の意がないので、<up>に<あきらめる>の意があることになろう。だが<up>がつく<あきらめる>関連の語は見当たらない。くりかえしになるが、<to give up>はどう考えても<あきらめる>の意と結びつかないのだ。

<to give up>は文字通りでは<与えて上げる>、<与え上げる>で、日本語では何のことだかわからない。ドイツ語では<up>の意の接頭辞<auf->が前にきた<aufgeben>と言う動詞が <to give up>に相当する。ある辞書では<aufgeben>以外の<aufhören>も二番目に載っている。これも接頭辞<auf->がつく。(末尾のインターネット辞書コピー参照) <aufhören>は<to stop>の意味があるが<auf->(up)のない<hören>に元来<to stop>の意味があるので、<auf->(up)に<あきらめる>の意はなく、強調のようだ。<geben>には<to stop>や<あきらめる>の意味はない。ドイツ語には、別のポスト(sptt Notes on Grammar: ドイツ語の接頭辞(prefex) - 7 <auf->)で紹介したが、次のような<auf->つき動詞がある。


aufgeben
aufhalten
aufheben
aufhören

halten、 hören は<止める(とめる、やめる)>の意があるが heben はこの語自体<持ち上げる>の意があり、やや特殊だ。哲学用語に<止揚>(止めて揚げる)と言うのがある。aufgeben は<与える>、<(郵便で)送る>など以外にに英語の to give up の意がある。aufgeben と to give up は文字通りでは<与え上げる>だが<与え上げる>がなぜ<あきらめる>になるかは大きな疑問でいろいろ説があるようだ。日本語では<お手上げ>が<あきら める>のサインだ。aufgeben と to give up と<あきらめる>についてはは別途検討予定。


つまりは、ドイツ語では<止める>の意がある halten、 hören に<auf->がついた動詞と<止める>の意が特にない geben と heben に<auf->がついた動詞があり、後者は<auf->(up)に<あきらめる>ではないが<止める>の意があることになる。だがこれは下記の相良独和大辞典の接頭辞<auf->の説明の中にはない。


分離動詞の前綴りとしてアクセントあり。”上方または事物の上面への運動、上面における存在、行為への刺激、復旧、終結、開始、開放、開放、更新などを意味する。



強いてさがせば<終結>だが、<終結>と<止める>(とめる、やめる)は必ずしも同じではない。一方日本語の<やめる>は<あきらめる>に近いが、<やめる>には<あきらめる>(あきらかにする)という積極的な面、はほとんどない。

 なお、英語の<to hold up>には aufhalten に近い意味がある。これも<to hold>の意が強く残っており、<up>に<あきらめる>や<止める>(とめる、やめる)の意が特にあるわけではない。

hold up
1. To obstruct or delay.
2. To rob while armed, often at gunpoint.
3. To offer or present as an example: held the essay up as a model for the students.
4. To continue to function without losing force or effectiveness; cope: managed to hold up under the stress.

日本人には2.<to hold up>の方がアメリカの映画などの影響でなじみがあるかも知れない。

話を混乱させるようだが、日本語の日常会話では<やめる>のほうが<とめる>より多く使われているだろう。<やめる>と<あきらめる>は違う。繰り返しになるが<やめる>には<あきらめる>の積極性がないのだ。

もうやめなさい。
もうあきらめなさい。

やめられない。一等賞をとるまでは(勝つまでは)やめられない。
あきらめられない(あきらめない)。一等賞をとるまでは(勝つまでは)あきらめない。

<to give up> には積極的な<あきあらめる>(to stop trying)の意もあるようだが、<やめる>の意(to give up smoking )や、<負けて、負けそうなので、勝てないので、勝てそうもないので、やめる(やめさせられる)>(to surrender)、<ゆずる>、<xx のために(身を)ささげる>の意もある。末尾のインターネット辞書コピー参照。

<やめる>、to surrender>、<ゆずる>、<ささげる>は、少し考えると、<あきらめる>の意とかなり違ってくる。したがって、<あきらめる>は限られた使い方、<to give up>は多義語といえ、to give up>=<あきらめる>ではないのは間違いない。



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(末尾のインターネット辞書コピー)

to give up  -->  German

Wörterbuch Englisch-Deutsch © WordReference.com 2012:

give up
  • I v/t
    • 1. aufgeben, aufhören mit, etwas sein lassen:
      give up smoking das Rauchen aufgeben

    • 2. (als aussichtslos) aufgeben: give up a plan; he was given up by the doctors
    • 3. jemanden ausliefern:
      give o.s. up sich (freiwillig) stellen (to the police der Polizei)

    • 4. etwas abgeben, abtreten (to an +akk)
    • 5.
      give o.s. up to a) give over I 3, b) sich einer Sache widmen

  • II v/i (es) aufgeben, sich geschlagen geben, weitS. auch resignieren

give up   

(Collins Reverso)

1       vi   aufgeben  
I give up      ich gebe auf, ich gebs auf inf     
2       vt   sep  
a    [habit, job, idea, hope]   aufgeben  
[claim]   verzichten auf (    +acc  ), aufgeben  
to give up doing sth      aufhören or es aufgeben, etw zu tun  
I'm trying to give up smoking      ich versuche, das Rauchen aufzugeben  
I gave it/him up as a bad job      inf   das/ihn habe ich abgeschrieben  
to give sb/sth up as lost      jdn/etw verloren geben  
to give sb up for dead      jdn für tot halten  
b    (=surrender)   [land, territory]   abgeben, abtreten (to    +dat  )  
[authority]   abgeben, abtreten (to an    +acc  )  
[seat, place]   freimachen (to für), abtreten (to    +dat  )  
[ticket]   abgeben (to bei)  
to give up one's life for one's country      sein Leben für sein Land opfern  
c    (=hand over to authorities)   übergeben (to    dat  )  
to give oneself up      sich stellen,   (after siege etc)    sich ergeben  
d    (=devote)   widmen  
to give one's life up to music      sein Leben der Musik widmen or verschreiben  
e    (=disclose, yield up)   [secret, treasure]   enthüllen geh  



to give up --> French
 
 WordReference English-French Dictionary © 2014:

Principal Translations/Principales traductions
give [sth] up, give up doing [sth] vtr phrasal sep (stop trying)abandonner vtr
arrêter (de faire) qch vtr
I gave up trying to get them to believe me.
J'ai arrêté d'essayer de les convaincre que je disais la vérité.
give [sth] up, give up doing [sth] vtr phrasal sepUK (smoking: quit)arrêter (de faire) qch vtr
renoncer à qch vtr ind
It'll be hard, but I'm going to try giving up chocolate for Lent.
Ça va être dur, mais je vais arrêter de manger du chocolat pour le Carême.
Ça va être dur, mais je vais renoncer au chocolat pour le Carême.
give up vi phrasal (surrender)abandonner vi
  (un peu familier)laisser tomber loc v
I give up - you're far better than me at this game!
J'abandonne, tu es bien meilleur que moi à ce jeu.
give up vi phrasalinformal (stop guessing)donner sa langue au chat loc v
OK, I give up. What's the answer?
D'accord, je donne ma langue au chat. Quelle est la réponse ?


to give up --> Italian 

WordReference English-Italiano Dictionary © 2014:


Principal Translations/Traduzioni principali
give up vi phrasalinformal (stop guessing)
Mi arrendo, dimmi la risposta al quiz.
give up vi phrasal (surrender)
I give up - you're far better than me at this game! I gave up my apartment.
Mi arrendo, sei troppo più bravo di me a questo gioco!
  (non giocare più)
Mi arrendo, sei troppo forte per me a questo gioco.
give up [sth], give [sth] up vtr phrasal sepUK (quit: smoking, etc.)
It'll be hard, but I'm going to try giving up chocolate for Lent.
Sarà dura, ma proverò a rinunciare al cioccolato per la Quaresima.
* Ho ceduto il mio appartamento


Monday, June 16, 2014

<ほのお>のやまとことば


<ほのお>は漢字で<炎>と書き、字を見るといかにも<ほのお>の感じがする。手もとの辞書によると、<ほのお>は<火の穂>がなまったもので旧仮名遣いでは<ほのほ>だ。火(ひ)関連と思われる<ほ>がつく<やまとことば>に、古語になってしまっているようだが、<ほむら> (辞書によると<火の群れ>)という解説がある。ガス/石油/電気ストーブ、電気釜、クッキングヒータでは<ほむら>は見られない。したがって<恋のほむら>も今では死語だ。 実際見る機会が少なくなってきているので<火種>、<おき火(び)>も死語になりつつある。

<ほ>のつく<やまとことば>で火(ほ)と関連ありそうなのに

ほたる
ほてる (辞書によると<火照る>
ほとぼり (火がともる、からか?)

擬態語では<ほかほか(ぽかぽか)>、<ほのぼの>、<ほっと(ぽっと)>がある。あったかいものの形容だ。

<恋のほむら>から<ほれる>も何か関連ありそう。<ほれる>は漢語由来の<愛する>はもちろん<恋する>よりも<やまとことば>的だ。なにせ<ほの字>は<ほれる>の暗示語だ。<愛する>と違って<恋する>もそうだが、<xx をほれる>とは言わず<xx にほれる>と言うのが<やまとことば>のミソだ。<ほれる>は<ほのかな>なのもあるが、一時的にせよ、炎(ほのお)のように燃えるのが本来の姿だろう。想像をたくましくすれば、イントネーションが違うが<掘れる>とも関係がありそうだ。<この場所が掘れている>は<この場所>が<掘り取られて>なくなっていることだ。<ほれる>と自分の一部が<掘り取られて>なくなっている。

一方<火がともる>の方は燃え上がるのではなく<ほのかな>な感じだ。夜空の<ほし>は<燃える>というよりは<ともっている>感じだ。<燃える>のは太陽、すなわち<日(ひ)>だ。

<ひ(hi)>より<ほ(ho)>のほうがいい響きが。笑うのも<ひひひ>より<ほほほ>のほうが上品だ。

<ほほえむ>は漢字では<微笑む>になってしまうが、これは<ほほ(ほう、頬)> + <えむ>だろう。日本語では<ほほを赤める(そめる)>とか<赤いほほ(ほっぺた)>というのがあるが、相良大独和辞典の Glut (n.f) の項目に

die Glut der Liebe  - 日本語: 恋のほむら
die Glut der (od auf den) Wangen  - 日本語: 頬の紅潮

という例がある。

<頬の紅潮>は言い換えれば<ほほのほむら(ho-ho no ho-mu-ra)>になる。


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Monday, June 9, 2014

<さまたげる>の語源


<さまたげる>はコンピュータワープロでは<妨げる>が出てくるが<妨>の一字で<さまた>と読ませるのはどうもしっくりしない。<xx をさまたげる>と使うので他動詞だ。<さまたぐ>が対応する自動詞になるが、<xx がさまたぐ>は聞いたことがない。<xx さまたぐ>も聞いたことがないが<xx さまたぐ>ほど変ではない。<xx さまたぐ>はあったとすれば古語だろう。<さまたげる>の意味からして他動詞っぽい。受身形は<xx が yy で(に)さまたげられる>でおかしくない。

さて<さまたげる>の語源だが、これは<さ>+<またぐ>だろう。<またぐ>はやや古いが<敷居をまたぐ>とか<xx 川にまたがる橋>の<またぐ>。<また>は股(また=上部の両足の間の部分)だろう。問題は<さ>だが、いわゆる強調や語呂を整える<さ>ではなく<さす>の意だろう。したがって<さし>+<またぐ>だ。<さしまたぐ>はおぼろげながら動作が創造できるが<さまたげる>動作とはむすびつかない。<さし>を調べてみたが、予想外におもしろい動詞だ。

<さす>はワープロの辞書では刺す、指す、差す、挿す、射すが出てくる。もちろん漢字を使えば五つの違った意味があるように見えるが、大和言葉では<さす、sa-su>の一語。(別のポストsptt Notes on Grammar <<さす>(刺す、指す、差す、挿す、射す)について>を参照。)

<さす>が前に来る複合動詞のなかに下記のグループがある。

差し障る(さしさわる)
差し支(つか)える
差し止める
差し控(ひか)える

上記4つの<差し(差す)>の複合動詞に共通しているのはは<差す>がある方向(とくに前方向)への動き、動作、作用があるのに対して反対方向への動き、動作、作用を示す動詞(障る、つかえる、止める、控える)との組み合わせであることだ。

<障(さわ)る>は<睡眠不足は体に障(さわ)る>のように使う。<正常なまたは良い状態に反する>ことだ。
<つかえる>は<前がつかえて先に進めない>の<つかえる>、<つまる>だ。
 <止める>は説明はいらない。
<控(ひか)える>は<<xx しないようにする>>、<xx し過ないようにする>。

<またぐ>は反対方向への動き、動作、作用を示す動詞ではないが、そうだとすると<さしまたぐ> --> <さまたぐ> --> <さまたげる>で語源が説明できる。<またぐ>動作を考えると<片脚(あし)を大股に前に出して何かを越える>ことだ。普通は<何かを越える>のが目的でこういう動作をするが、この動作で前から近づいてくるものに対抗するとは考えなれないだろうか。あるいは、よくすることだが、体を安定させるため片脚(あし)または両脚を<横に>大股に移動させて前から近づいてくるものに対抗する、と考えたらどうか。ただし<横に>と<差す>は相性が必ずしも良くはない。

<止める>関連では<はばむ>というやまとことばがある。漢字では<阻む>になるようだが、この<はばむ>は幅(はば)と関連があろう。進行中のモノ、コトの間に<幅をきかせて>て割り込むと進行をかなり有効に<止める>とこになる。<さまたげる>の<またぐ>を<幅をきかせて割り込む>ような動作とみれば、おかしくなくなる。


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Saturday, June 7, 2014

<破壊>のやまとことば


以前に<創造>のやまとことばについて書いたが、これでは片手落ちなので<破壊>のやまとことばについて書く。<破壊>のやまとことばは単独動詞では下記のようにそこそこ豊富だ。


単独動詞では

折る - 折おれる
き(切)る - きれる
くず(崩)す - くずれる
くだ(砕)く - くだける
こわ(壊)す - こわれる
さ(裂)く  - さける
そこ(損)なう  - そこなわれる(受身的な感じだ) <xx なう>動詞はおもしろい。別のポスト” <なう>動詞 " 参照。<そこなう>は英語でいえば to damage で一般性が高い<破壊>のやまとことばだが、やや改まった言葉だ。
倒す - たおれる
ちぎ(千切)る  - ちぎれる
つぶ(潰)す - つぶれる
は(剥)ぐ、はがす - はがれる
はじく - はじける  
ほころびる、ほころぶ (自動詞) - 対応する他動詞はないようだ。<ほころばす>、<ほころばす>は使役形で他動詞になるが。ほとんど使わないだろう。
ほろ(滅)ぼす - ほろぶ、ほろびる
(皮を)むく - (皮が)むける
やぶ(破)る - やぶれる、 破(やぶ)く-破ける、は方言か。
わ(割)る - われる

破壊ほどではないが

溶く - (氷が)とける
ほどく - ほどける
(追加予定)

日本人だと気づきにくいが以上はみごとな他動詞‐自動詞対応だ。英語ではこうはうまくいかない。何かわけがありそう。自動詞が<xx れる>と受身形になるのは、日本語の受身が基本的に被害、迷惑の意を含んでいることと関連するだろう。

複合動詞では物理的な力を加える動作+上記の単独動詞でもう少し豊富になる。

押しくずす
押しくだく
押しこわす
押しつぶす - 押しつぶれる
押しやぶる

引きくずす
引きさく - 引きさける
引きちぎる - 引きちぎれる
引きやぶる

打ちくだく  - 打ちくだける
打ちこわす
打ちやぶる

たたき切る
たたきつぶす
たたき割る

突きくずす
突きやぶる

ひねりつぶす (慣用)

複合動詞ではないが

<傷つける-傷つく>は<そこ(損)なう -そこなわれる>とならんで<破壊>の一般化された動詞だ。おそらくこれも英語でいえば to damage だろう。

爆破、破裂は火薬ができて(中国人の発明で、当時は花火用だったらしい)からの言葉のようで、やまとことばをあえて探せば

はじける

だが、<はじける>は自動詞で、対応する他動詞は<はじく>だ。<はじかせる>は<はじく>の使役形。<はじき>という物騒なものがあるが、<はじく>に破壊のイメージはない。<栗がはじける><ギターを弾(はじ)く>、<そろばんで利益をはじき出す>、<おはじきをはじいて遊ぶ>とかできわめて平和だ。<はじき飛ばす>とすると<爆破>の意味に近づく。


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Monday, June 2, 2014

<のる>にいつて


<のる>はコンピュータワープロでは<乗る>と<載る>が出てくるが、この二つの漢字と結びつかない意味の言い方がある。

昔は自動車もバイクも自転車も汽車や電車も、もちろん飛行機もなかったので、<乗る>モノといえば馬か馬や牛やロバが引く車(くるま)や船だった。<馬に乗る>は<乗馬>とも言うので、これでよさそう。車が路肩(重箱読み)に<のりあげる>の<のり>は<乗る>だろうか? <船に乗る>と言うが<船が座礁にのりあげる>とも言う。<馬に乗る>と<電車に乗る>では様子がかなり違うが、基本的には同じような行為と連想できる。何か動くモノに身を置いて運んでもらうのだ。これからすると<動かない>路肩や座礁に<のる>の様子が違う。<電車に乗る>ではあまり感じないが<馬に乗る>場合は<何か動くモノに身を置く>には置くが、身を馬の背、すなわち<上の方>に置かないといけない。<路肩にのりあげる>や<座礁にのりあげる>は<馬の背に身をのりあげる>と似かよったところがある。

<身をのり出して見る>、<窓から身をのりだす>と言ういい方がある。これは<乗る>ではおかしい。だが、この<のりだす>は<身の上部を前のほうにつき出す>ことなので<身をのりあげる>と似かよったところがある。

<のるかそるか>という言い方があり、辞書によるとこの<のる>は<伸(の)る>で、<身の上部を前の方に伸ばす>こと、<そる>は伸ばす後方に伸ばすこと、という説明がある。なじみは薄いが<伸(の)る>はいい言葉だ。

さらには、<名のる>の<のる>はこの<のる>と関連がありそうな<のる>だ。声を<突き出す>のだ。あえて漢字を使えば<宣言する>の<宣(の)る>。祝詞(のりと)の<のり>もこの<のる>だろう。

<載る>は記事が新聞に<載る>といった言い方に限定されるようで、これは<記載>、<掲載>されるとも言う。


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