Saturday, June 7, 2014

<破壊>のやまとことば


以前に<創造>のやまとことばについて書いたが、これでは片手落ちなので<破壊>のやまとことばについて書く。<破壊>のやまとことばは単独動詞では下記のようにそこそこ豊富だ。


単独動詞では

折る - 折おれる
き(切)る - きれる
くず(崩)す - くずれる
くだ(砕)く - くだける
こわ(壊)す - こわれる
さ(裂)く  - さける
そこ(損)なう  - そこなわれる(受身的な感じだ) <xx なう>動詞はおもしろい。別のポスト” <なう>動詞 " 参照。<そこなう>は英語でいえば to damage で一般性が高い<破壊>のやまとことばだが、やや改まった言葉だ。
倒す - たおれる
ちぎ(千切)る  - ちぎれる
つぶ(潰)す - つぶれる
は(剥)ぐ、はがす - はがれる
はじく - はじける  
ほころびる、ほころぶ (自動詞) - 対応する他動詞はないようだ。<ほころばす>、<ほころばす>は使役形で他動詞になるが。ほとんど使わないだろう。
ほろ(滅)ぼす - ほろぶ、ほろびる
(皮を)むく - (皮が)むける
やぶ(破)る - やぶれる、 破(やぶ)く-破ける、は方言か。
わ(割)る - われる

破壊ほどではないが

溶く - (氷が)とける
ほどく - ほどける
(追加予定)

日本人だと気づきにくいが以上はみごとな他動詞‐自動詞対応だ。英語ではこうはうまくいかない。何かわけがありそう。自動詞が<xx れる>と受身形になるのは、日本語の受身が基本的に被害、迷惑の意を含んでいることと関連するだろう。

複合動詞では物理的な力を加える動作+上記の単独動詞でもう少し豊富になる。

押しくずす
押しくだく
押しこわす
押しつぶす - 押しつぶれる
押しやぶる

引きくずす
引きさく - 引きさける
引きちぎる - 引きちぎれる
引きやぶる

打ちくだく  - 打ちくだける
打ちこわす
打ちやぶる

たたき切る
たたきつぶす
たたき割る

突きくずす
突きやぶる

ひねりつぶす (慣用)

複合動詞ではないが

<傷つける-傷つく>は<そこ(損)なう -そこなわれる>とならんで<破壊>の一般化された動詞だ。おそらくこれも英語でいえば to damage だろう。

爆破、破裂は火薬ができて(中国人の発明で、当時は花火用だったらしい)からの言葉のようで、やまとことばをあえて探せば

はじける

だが、<はじける>は自動詞で、対応する他動詞は<はじく>だ。<はじかせる>は<はじく>の使役形。<はじき>という物騒なものがあるが、<はじく>に破壊のイメージはない。<栗がはじける><ギターを弾(はじ)く>、<そろばんで利益をはじき出す>、<おはじきをはじいて遊ぶ>とかできわめて平和だ。<はじき飛ばす>とすると<爆破>の意味に近づく。


sptt

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