Monday, June 2, 2014

<のる>にいつて


<のる>はコンピュータワープロでは<乗る>と<載る>が出てくるが、この二つの漢字と結びつかない意味の言い方がある。

昔は自動車もバイクも自転車も汽車や電車も、もちろん飛行機もなかったので、<乗る>モノといえば馬か馬や牛やロバが引く車(くるま)や船だった。<馬に乗る>は<乗馬>とも言うので、これでよさそう。車が路肩(重箱読み)に<のりあげる>の<のり>は<乗る>だろうか? <船に乗る>と言うが<船が座礁にのりあげる>とも言う。<馬に乗る>と<電車に乗る>では様子がかなり違うが、基本的には同じような行為と連想できる。何か動くモノに身を置いて運んでもらうのだ。これからすると<動かない>路肩や座礁に<のる>の様子が違う。<電車に乗る>ではあまり感じないが<馬に乗る>場合は<何か動くモノに身を置く>には置くが、身を馬の背、すなわち<上の方>に置かないといけない。<路肩にのりあげる>や<座礁にのりあげる>は<馬の背に身をのりあげる>と似かよったところがある。

<身をのり出して見る>、<窓から身をのりだす>と言ういい方がある。これは<乗る>ではおかしい。だが、この<のりだす>は<身の上部を前のほうにつき出す>ことなので<身をのりあげる>と似かよったところがある。

<のるかそるか>という言い方があり、辞書によるとこの<のる>は<伸(の)る>で、<身の上部を前の方に伸ばす>こと、<そる>は伸ばす後方に伸ばすこと、という説明がある。なじみは薄いが<伸(の)る>はいい言葉だ。

さらには、<名のる>の<のる>はこの<のる>と関連がありそうな<のる>だ。声を<突き出す>のだ。あえて漢字を使えば<宣言する>の<宣(の)る>。祝詞(のりと)の<のり>もこの<のる>だろう。

<載る>は記事が新聞に<載る>といった言い方に限定されるようで、これは<記載>、<掲載>されるとも言う。


sptt

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