Monday, June 16, 2014

<ほのお>のやまとことば


<ほのお>は漢字で<炎>と書き、字を見るといかにも<ほのお>の感じがする。手もとの辞書によると、<ほのお>は<火の穂>がなまったもので旧仮名遣いでは<ほのほ>だ。火(ひ)関連と思われる<ほ>がつく<やまとことば>に、古語になってしまっているようだが、<ほむら> (辞書によると<火の群れ>)という解説がある。ガス/石油/電気ストーブ、電気釜、クッキングヒータでは<ほむら>は見られない。したがって<恋のほむら>も今では死語だ。 実際見る機会が少なくなってきているので<火種>、<おき火(び)>も死語になりつつある。

<ほ>のつく<やまとことば>で火(ほ)と関連ありそうなのに

ほたる
ほてる (辞書によると<火照る>
ほとぼり (火がともる、からか?)

擬態語では<ほかほか(ぽかぽか)>、<ほのぼの>、<ほっと(ぽっと)>がある。あったかいものの形容だ。

<恋のほむら>から<ほれる>も何か関連ありそう。<ほれる>は漢語由来の<愛する>はもちろん<恋する>よりも<やまとことば>的だ。なにせ<ほの字>は<ほれる>の暗示語だ。<愛する>と違って<恋する>もそうだが、<xx をほれる>とは言わず<xx にほれる>と言うのが<やまとことば>のミソだ。<ほれる>は<ほのかな>なのもあるが、一時的にせよ、炎(ほのお)のように燃えるのが本来の姿だろう。想像をたくましくすれば、イントネーションが違うが<掘れる>とも関係がありそうだ。<この場所が掘れている>は<この場所>が<掘り取られて>なくなっていることだ。<ほれる>と自分の一部が<掘り取られて>なくなっている。

一方<火がともる>の方は燃え上がるのではなく<ほのかな>な感じだ。夜空の<ほし>は<燃える>というよりは<ともっている>感じだ。<燃える>のは太陽、すなわち<日(ひ)>だ。

<ひ(hi)>より<ほ(ho)>のほうがいい響きが。笑うのも<ひひひ>より<ほほほ>のほうが上品だ。

<ほほえむ>は漢字では<微笑む>になってしまうが、これは<ほほ(ほう、頬)> + <えむ>だろう。日本語では<ほほを赤める(そめる)>とか<赤いほほ(ほっぺた)>というのがあるが、相良大独和辞典の Glut (n.f) の項目に

die Glut der Liebe  - 日本語: 恋のほむら
die Glut der (od auf den) Wangen  - 日本語: 頬の紅潮

という例がある。

<頬の紅潮>は言い換えれば<ほほのほむら(ho-ho no ho-mu-ra)>になる。


sptt





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