<高みの見物>はコンピュータワープロでこう出てくる。<高見の見物>ではない。一方<細身の体>はワープロでこう出てくる。<み>はよくわからない語尾だが意味がある。大体形容詞につく。<さ>と<め>という語尾もあるので並べて比較してみる。
高い - 高み - 高さ - 高め
低い - 低み - 低さ - 低め
深い - 深み - 深さ - 深め
浅い - 浅み - 浅さ - 浅め
遠い - 遠み - 遠さ - 遠め
近い - 近み - 近さ - 近め
大きい - 大きみ - 大きさ - 大きめ
小さい - 小さみ - 小ささ - 小さめ
多い - 多み - 多さ - 多め
少ない - 少なみ - 少なさ - 少なめ
長い - 長み - 長さ - 長め
短い - 短み - 短さ - 短め
のろい - のろみ - のろさ - のろめ
早い - 早み - 早さ - 早め
遅(おそ)い - 遅み - 遅さ - 遅め
暑い - 暑み - 暑さ - 暑め
寒い - 寒み - 寒さ - 寒め
あたたかい - あたたかみ - あたたかさ - あたたかめ
涼しい - 涼しみ - 涼しさ - 涼しめ (これは<xxしい>型形容詞。
熱い - 熱み - 熱さ - 熱め
冷たい - 冷たみ - 冷たさ - 冷ため
厚い - 厚み - 厚さ - 厚め
薄い - 薄み - 薄さ - 薄め
細い - 細み - 細さ - 細め
太い - 太み - 太さ - 太め
形容詞ではないが
やせた
太(ふと)った
がある。
暗(くら)い - 暗み - 暗さ - 暗め
明るい - 明るみ - 明るさ - 明るめ
弱い - 弱み - 弱さ - 弱め
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白い - 白み - 白さ <白(しら)む、(白まる)> - 白め黒い - 黒み - 黒さ <(黒む)、黒ずむ、黒まる> - 黒め
赤い - 赤み - 赤さ <赤む、赤まる> - 赤め
黄色い - 黄色み <黄み、卵の黄み> - 黄色さ - 黄色め
青い - 青み - 青さ - 青め
淡(あわ)い - 淡み - 淡さ - 淡め
濃い - 濃み - 濃さ - 濃(い)め (酒の)コクはこの<濃い>由来
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甘い - 甘み - 甘さ - 甘め辛い - 辛み - 辛さ - 辛め
塩辛い - 塩辛み - 塩辛さ - 塩辛め
しょっぱい - しょっぱみ - しょっぱさ - しょっぱめ
苦(にが)い - 苦み - 苦さ - 苦め
渋い - 渋み - 渋さ - 渋め
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たのしい - たのしみ - たのしさ - たのしめ <たのしむ>という動詞あり、<たのしみ>はこの動詞の連用形体言(名詞)用法。以下もこれと同じだろう。
うれしい - うれしみ - うれしさ - うれしめ <うれしむ>はあまり使われない。
おかしい - おかしみ - おかしさ - おかしめ <おかしむ>はあまり使われない。
悲しい - 悲しみ - 悲しさ - 悲しめ <悲しむ>はよく使われる。
美しい - 美しむ - 美しさ - 美しめ <美しむ>はほとんど使われない。
おもしろい - おもしろみ - おもしろさ - おもしろめ <おもしろむ>は古語にはあるか。
おそろしい - おそろしみ - おそろしさ - おそろしめ <おそろしむ>も古語にはあるか。
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以上をざっと見ると<xxx さ>は問題なく、ほぼ完全な文法法則。意味は<程度>を表わすといっていいだろう。<xxx め>も大体OKで、意味は<比較して、現状、通常より xxx い>を表わすといっていいだろう。 <xxx め>も文法法則と言える。
さて<xxx み>だが、これは使えるのがかなり限られている。
高み - 高みの見物
低み - 手もとの辞書にはあるが(<低いところ>の意)聞いたことはない
深み - 深みにはまる、深みがある (深いところ)-比喩的
浅み - <浅いところ>は池、川、海では<浅瀬>というのが使われる。
あたたかみ - あたたかい<ところ>、対応 -比喩的
厚み - <厚み>がある。実際に厚さが大きい。<人間に厚みがある> -比喩的
細み - 細みのからだ。<細身のからだ>では<身>と<からだ>が出てきてなにか変だ。
明るみ - 明かるみに出る。暗いところとの比較がある。暗いところと明るいところがあり、そのうち明るいところ。
強み - 上と同じく、弱い、または平均的なところとの比較がある。全体では弱いところ、平均的なところ、強いところがあるがあり、そのうち強いところ。
弱み - <強み>と対称的になる。
白み - 卵の<白み>は<白身>でよさそうだが、<黄み>は<黄色身>とは言わない。<白み>は<白いところ>、黄みは<黄色いところ>。上の二つと同じく、卵には白いところと黄色いところがある。
<白みがかる>という表現がある。<黒み>は聞かないは<黒みがかる>という表現はある。話がこままくなってきたので、この意味の検討はは別のところでする予定。
赤み - 細み、細身と同じく魚や肉の<赤み>は<赤身>でもよさそうだが、赤、白その他の部分は一体になっていて、その<赤いところ(部分)>とも理解できる。 これを応用すると<あぶらみ>もとらえ方が違ってくる。
青み - <青みの肉>は聞かないが、<青みがかった>は聞く。
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甘み、辛(から)み、しょっぱみ、苦(にが)み、渋み
はよく使う。
甘さ、辛(から)さ、しょっぱさ、苦(にが)さ、渋さ
とくらべると、<xxx さ>が上記のように程度を示し
甘さ (辛(から)さ、しょっぱさ、苦(にが)さ、渋さ) - がたりない、過ぎる。
とよく使う。一方<xxx み>はすぐには説明がでてこない。使い方としては
甘み (辛(から)み、しょっぱみ、苦(にが)み、渋み) - がある、ない。
とよく使う。しかし
<甘さ> - がある、ない。
<甘み> - がたりない、過ぎる。
でも間違いではない。ではどこが違う?
味の形容詞は混乱があるようだ。<味>はやまとことばでは<あじ>と読むが音読みは<味覚(みかく)の<み>。これをあてはめると<しょっぱ味>を除けば
甘味、辛味、苦味、渋味
で湯桶読みになる。湯桶読み、重箱読みは基本的には例外。だから<湯桶読み>、<重箱読み>とわざわざ名づけられているのだ。何だかよくわからないやまとことば<み>とすれば
甘み、辛み、苦み、渋み
で湯桶読みではなくなる。つまりは漢字を使うが純やまとことばだ。
気みが悪い (<疲れぎみ>の<ぎみ>は<きみ>か?)
という言い方がる。この<気み>は<気味>ではおかしい。<気>に味覚はない。
とりとめがなくなっているが、さらに<み>をしらべてみると、上にもいくつか例を示したが、’動詞<xx む>の連用形とその体言(名詞)用法が<xx み>となる。
悲しむ -> 悲しみ
こばむ -> こばみ
なごむ -> なごみ
<赤める>、<赤まる>が昔<あかむ>だったとすると
赤む -> 赤み
となる。 これを<細み>に適用すると
<細める>、<細まる>が昔<細む>だったとすると
細む -> 細み
となる。 これを<細む>の連用形の体言(名詞)用法とすると<細む>を体言(名詞)化したものになり、この場合は<細まること>、<細まった状態>と解釈できないか?
きりがないので、結論をいうと<細身の体>の<細身(み)>は<身(み)>でも、よくわからない<み>でもよさそうだ。結論が出ない、というのが結論。この<み>は文法的な観点からさらによく調べ、考えて sptt Notes on Grammar の方で気合を入れて書く予定。
追記
今は便利なので(インター)ネット辞書の利用が多いが、従来の辞書にも効用がる。手もとの辞書(三省堂)の辞書で念のため<細身>を調べていたら、<細身>は<身>と漢字が使われ<幅がせまい>というような意味の解説がある。<細身の刀(かたな)>。ところがそのとなりに<細み>の解説があり、<細み>はなんと芭蕉(門下)の俳句世界の境地の一つなのだ。<わび、さび>と<軽(かる)み>は聞いたり本で見たことがあるがさらに<細み>というのがあるのだ。この<細み>はネット辞書で簡単に調べられる。
たまたま香港の友人から<わび、さび>とはなにか?と突然問われたので
<わびしい、さびしい>という形容詞由来で solitary と答えておいたが、友人は名詞化して <solitude か>と言ってきたので、<そうだ>と答えておいた。
sptt
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