前回のポスト<高みの見物、細身の体>でごく簡単に<気味。気み、ぎみ>について書いた。
”
気みが悪い (<疲れぎみ>の<ぎみ>は<きみ>か?)
という言い方がる。この<気み>は<気味>ではおかしい。<気>に味覚はない。
”
さらに例をあげて検討してみる。
<気味が悪い>と対称的なのは<いい気味>。
使う機会は限られていて
ざまーみろ! いい気味だ。
のように使う。大体子供の時期に使うことが多く、大人になるとほとんど使わない。
意味は<気味が悪い>の反対ではなく
好きでなない、嫌(きら)っているやつが何かに失敗したのを見たとき、といった特殊な状況で、かなりねじ曲がった心理から発話される。<いい気味>なのは<発話者>で発話者の心理、感情、思いをそのまま表現したもの、といえる。先に結論を述べることになるが、この発話心理は<いい>と表面上は肯定表現になっているが、実際は<あまり好ましくない感情>表現で否定的といえる。
さらに例をさがしてみる。
下(さ)がり気味 - <のぼり気味、上(あが)り気味>とはいわず<のぼり調子>
成績が下がり気味、落ち気味 - <成績が上がり気味>とは言わない。
手もとの辞書に<あがり気味>の例があるが、これは(舞台や人前では)<上がり気味>ということだろう。 さらに手もとの辞書には
疲れ気味あせり気味
あわて気味
があげられている。
疲れ気味 - <元気気味>とはまず言わない。遅れ気味 -<早まり気味>とは言いそうだが、中立またはこれまた否定的な状況で、中立または肯定的な状況では<早まりそう>と言いそう。
負け気味 - <勝ち気味>とは言わない。
上に書いたが、<気>に味覚はない、ので<気味>は<気み>だろう。ではこの<み>は何か?ということになるが、これは前回のポストでで少し調べたが、分析が難しい。
<気み>は<気持ち>に似ているが、<気持ち>が
気持ちがいい
気持ちが悪い
と中立であるのに対して<気み>は
<気みが悪い>も <気みがいい>も(上述のように)、さらには<下がり気み>、<疲れ気み>、<遅れ気み>、<負け気み>と否定内容の表現に使われる。
<下がり気み>などの否定内容の表現は別にして<きみ、ぎみ>は
その傾きを示す(手元の辞書)
と説明されている。
<その傾きを示す>は意味深長で、数学でいえば微分の変化率に相当する。微分の理解で肝心なのは<変化そのもの、変化の量>ではなく、微分は変化率の極限ということ。数学の細かいことは別として、言語は、口から出まかせやウソもふくめて心理(気持ち)の表現でもあること(上記の<いい気味>がいい例)をふまえて<気み>や<み>を考える必要がある。<み>は語尾だが一語で<気持ち>や物理現象(落ちる、遅れる)の変化の傾きを示す、のではないか?
sptt
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