ナイキの宣伝文句に Just do it ! というのがある。意味は<ただやるだけ !>でよさそうだが、もう少し考えてみる。Just do it ! の just は決して<だけ>ではない。カーペンターズの Only yesterday という歌のonlly も決して<だけ>ではない。英語の just、only は多頻度使用語で、かつそのためか多義語なのだ。
Just do it ! の前に Do not just thinking of it を加えて
Do not just thinking of it、just do it !
としてみる。Do not just thinking of it、は<ただ考えているだけではダメだ>とでもなり、この just は<だけ>あるいは掛かり結びで<ただ xx だけ>の意で、これは Do not only thinking of it、で言い換えられる。Just do it ! の方は<ただやるだけ !>以外に
とにかくやるだけだ。とにかくやってみろ(みよう)。つべこべ言わずにやってみる。やるっきゃない。
などが考えられるが、イマイチだ。
最近香港でナイキとはまったく関係のない広告で Just do it ! の中国語版をみつけた。 <勇於挑戦>というもの。文字どおりでは<挑戦に勇(気を持て)>、 <挑戦をおそれるな>。論語だったかに<義を見てせざるは勇なきなり>というのがあるが、この<勇>だ。また中国では二語の<勇敢>というのがよく使われが、これは、多分中国語の常として、名詞、動詞、形容詞になると思われる。<挑戦>は最近 positive thinking の影響からか<問題>や<困難>の代わりに使われている。やまとことばではどうなるか?
おじずにいくさに立ち向かえ。おそれず敵に立ち向かえ。
だと戦時下の標語みたいだ。
何ごともおそれずに挑め(いど)め。
もイマイチ。問題は<問題>、<困難>のやまとこばだ。<困難>は<むじかしいこと>、<むずかしさ>、さらには
やりにくい -> にくさ
言い難(がた)い - かたさ
となるが<にくさ>、<かたさ>は説明しないと困難にならない。<むずかしさ>もそうだがそもそも<形容詞+さ>は程度を表わし<むずかしいこと>、<(やり)にくいこと>、<(言い)かたいこと>にはならない。
<問題>もクエスチョンなら<問(と)い>でいいが、トラブルの方の問題のやまとことばなにか?中国では<有問題>、<没有問題>は超高頻度使用後で、<問題>なしでは会話がなりたたないほどだ。 ところで<問題>、<困難>は<障害>ともいえる。 <障害>であれば<かべ>というやまとことばがある。<壁(かべ)を打ち破る>は Break through でもある。以前に<Break through のやまとことば>というポストをかいたことがある。また<勇気、挑戦のやまとことば>というのも書いているが<問題>のやまとことば見つからなかった。もっとも<<壁(かべ)を打ち破る>は見つけているが、<問題=かべ>は見つけていない。<問題>のやまとことばがないとすれば、これは画期的なことだ。良くも悪くも問題意識がないのだ。
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