<ご苦労さまです>はよく使うが、<苦労>に<ご><さま>がついた変な言い方だ。
これは、元は<あなたに苦労をかけた>。これが
あなたに苦労をかけさせて申し訳ない。
場合によっては
あなたに苦労をかけさせて申し訳ないが、これで助かった。ありがたい。
感謝を示す、または<ねぎらい>示すのであれば<苦労>に<ご>、<さま>がついてもおかしくはない。最近は純やまとことばの<お疲れさまです>が多く使われるようだ。これまた<ご>と<さま>がついている。
<ねぎらい>、<ねぎらう>は古いやまとことばだ。語源をチェックしてみると
”
https://wordorigin.seesaa.net/article/201607article_40.html
これらの 3 つのことばのもとになっている語は 「ねぐ」 という動詞です。
「ねぐ」 は, 「祈ぐ」 「請ぐ」 「労ぐ」 と書かれます。
このうち, 「祈ぐ」 「請ぐ」 と書く場合は, 〈自分の望むことがかなうように神仏に祈る〉 ことを意味します。その 「ねぐ」 が 「ねがふ」 になりました。
また,〈願いがかなえられるように努力してくれた神仏に対して,その心を安めて,神仏の加護を祈る〉 ことが 「ねぎらふ」 ということばになりました。
神社の神職としての 「禰宜 (ねぎ) 」 は,その 「ねぎらう」 ことを代行してくれる人ということになります。
”
というのがみつかった。だが、ここで気になるのは 意味の違いを漢字を使って説明していることだ。実際口に出して言う時はこの漢字での区別はない。つまり<ねぐ、negu>で、場合によっては
1) 〈自分の望むことがかなうように神仏に祈る〉 ことを意味します。その 「ねぐ」 が 「ねがふ」 になりました。
2) 〈願いがかなえられるように努力してくれた神仏に対して,その心を安めて,神仏の加護を祈る〉 ことが 「ねぎらふ」 ということばになりました。
さて、現在では<ねぎらう>は
Wiktionary
相手の苦労を慰める。苦労に謝意を示す。
の意で使う。
さて、これで終わりではない。問題は感謝の表現に<苦労>がつかわれていることだ。<苦労>は和製漢語で、本家の中国では、他にもあるが、<辛苦>が第一番の相当語。
一方<苦労>に相当する適当な英語はない。ざっとチェックしてみると
difficulty; hardship; trouble
がでてくる。hardship がやや近いが<実行が難しいこと、つらいこと>で、hardship を<乗り超える ( to overcome ) >過程が<苦労>、<苦労する>だ。
difficulty は 困難
troubleは 問題。障害
to do hard work、to work hard は過程なので<苦労>に近い。
一方中国語の<辛苦>は、Baike‐baidu (中国版Wiki) の解説では
辛苦 xīn kǔ,原指味道辛辣而苦,比喻艰难困苦,很疲倦的感觉。现多指工作和劳作的感受。辛劳苦累,付出艰辛,用于烦劳别人时表示客气、慰问。
で最後に、おもしろいことに
<用于烦劳别人时表示客气、慰问>とあり、<ご苦労さまです>に近い用法があることだ。
你辛苦了。または
辛苦你了。
有什么区别?那意思差不多了,你辛苦了,只是对你客气的说你很辛苦了,那辛苦你了,但又包含了一些愧疚和不好意思,还有很感谢你的意思,差别就在这点。
で後半の説明は