時間のやまとことばと問われれば<とき(時)>と答えるだろう。間違えではないが、掘り下げが足りない。時間を掘り下げて考えると哲学的になる。
漢字の二文字<時間>はやまとことばでは二つあるいは三つに分けられる。
時 - 1)とき
間 - 2)ま、3)あいだ1)とき
とき(時)の慣用句(文)
ときに
ときには
時々(ときどき)
ときおり
ときたま
このとき、そのとき、あのとき
とき(すでに)おそし
時は元禄
ときをおかず
時を経た
時がたてば
時がすぎれば
太郎が来る時、 太郎が来たとき
時は金なり。
時の流れ、時の流れに身をまかせ
お寺の鐘(鳩時計)が時を告(つ)げる。
時計が時を刻(きざ)む。
(追加予定)
これだけでは分析が難しいので、対比のため<ま>の慣用句(文)をチェックしてみる。
2)ま(間)の慣用句(文)
まあい(間合い)
まぢか(間近か)
まぬけ(間抜け)
間に合う、間に合わない
まもなく (間もなく)
まがさす <まがさす>はコンピュータワープロでは<魔がさす>と出て来る。
間が抜ける
間を置く
間を取る 英語で to take a break という慣用句がある。
あいま(合い間) 仕事のあい間を見て
いま (?)
すき間 普通は空間的な<ま>だが、<花子がいないすきに>という言い方があるが<すき間>とは言わない。
ひま(暇は当て字だ)
見るまに
まばたきするまに
待つまもなく
いつのまに
いつのまにか
鬼のいぬ間に
(追加予定)
ついでに<あいだ>もチェックしておく。
3)あいだ(間)の慣用句(文)
このあいだ
そのあいだに <そのまに>は少しちがうか?
待つあいだ、太郎が行っているあいだに、花子がいないあいだに
( 待つま、行っていまに、花子がいなまに、でもいい。)
鬼のいないあいだに (鬼のいぬ間に)
(追加予定)
さて以上の三つをくらべてみる。
< あいだ>は大体<ま>で置き換えられる。例が少ないが上の例では<このあいだ>は<このま>で置き換えられないが、その他か置き換えられる。話を簡単にするため、<とき>と<ま>を比べてみる。上の例のうち
ときに
ときには
時々(ときどき)
ときおり
ときたま
は副詞で慣用表現。<ときには>、<ときどき>、<ときおり>、<ときたま>は時間<とき>というよりは頻度。頻度というと、英語では
always
usually
often
sometimes
seldom
never
というのを中学生のときに頻度順で覚えさせられた記憶がある。 sometimes が<ときどき>相当。最期の s がない sometime は平叙文での<いつか>。<いつのときにか>は<か>がつくが、平叙文での<いつか>と同じ意味になる。逆に<か>のない<いつのときに>疑問文で使える。anytime は<いつでも>。なぜか sometime は疑問文でも意味がかわらず<Will you come back sometime ?>となる。これは some は平叙文、any は否定、疑問文
I have some apples.
I do no have any apples
Do you have any apples?
という文法ルールに反するといえる。なにか理由があるのか。また頻度そのものを問うときは how often、how frequently を使う。
How often (frequently) do you do exercise every week ?
この文で every week がないと
How often (frequently) do you do exercise ?
でもいいが、答えは
I do exercise. では答えにならず
I do exercise every day, once a week, two to three times a month.
などとなる。ここで times がでてくるが、これは時間ではなく頻度の度合をあらわす。
How often (frequently) do you do exercise every week ?
の代わりに
How many times do you do exercise every week ?
でもいい。日本語ではこうはいかない。直訳すれば
あなたは週に<いくつどき>運動しますか?
となり、ダメだ。英語の time は時間(とき)の意味の他にこの重要な頻度(の度合)も表わすのだ。多くは times と複数になる。<一度>は文法にしたがい one time だが once, twice というのもある。
もう少し頻度の例をあげてみると
two to three times an hour or every second
two to three times an hour or every minute
two to three times an hour or every hour
two to three times a day or every day
two to three times a week or every week
two to three times a year or every year
two to three times every 10 years
two to three times every 100 years
頻度は相対的で two to three times a year は two to three times every 100 years に比べれば頻繁(ひんぱん)だが、 two to three times a day or every day に比べれば<まれ>だ。 <まれ>も頻度をあらわし、英語では seldom (めったにxxx しない、ごくまれにxxする)相当だが、rarely という語もある。頻度は数えられたり、おおよその見当がつくので時間より認識しやすい。ここは肝心。頻度は数学的にサイクル(周期)でもあらわせる。
2-3 cycles / second, minute, etc.
ここは時間、時(とき)に関して肝心なところなのだが、話が際限なく長くなりそうなので、次へ進む。
ときをおかず
も慣用表現であとから出て来る<まもなく>に近い。
このとき、そのとき、あのとき
とき(すでに)おそし
時は元禄
太郎が来る時、 太郎が来たとき
以上はある特定の<とき>をあらわしている。 これは基本的に<ま>で置き換えられない。
時を経た、時を経て
時がたてば
時がすぎれば
時は金なり。
時の流れ、時の流れに身をまかせ
お寺の鐘(鳩時計)が時を告(つ)げる。
時計が時を刻(きざ)む。
以上はゴマカシになるが一般的な<時間>の<とき>と言える。 これも基本的に<ま>で置き換えられない。結論が先になってしまうが、<ま>にはこの一般的化された<時間>の<とき>の意味が薄い。次に<時は金なり>はいいとして、<時の流れ>あるいは<時は流れる>、<時が流れる>とはどういう意味か?<時が経(た)つ>、<時が過ぎる>、<時は過ぎる>とは違うようだ。川の流れは目で見えるが<時の流れ>は目では見えない。頭や心で<時というものの流れ>を考えたり、思ったり、感じたりすることは難しい。いったい<とき>はモノではないだろう。それならコトかというとコトでもない。これはこれまた肝心なところなのだが、話が長くなりそうなので、次へ進む。最後の二例
お寺の鐘(鳩時計)が時を告(つ)げる。
時計が時を刻(きざ)む。
は<とき>だが少し様相が違う。どこが違うかというと、発話者あるはこう考えた者がいたとして、この<とき>は人から切り離されて勝手に進んでいる、あるいは勝手に去っていく感じがある。<勝手なとき>、<無頓着(むとんちゃく)なとき>といえる。 これはこれまた肝心なところなのだが、話がこれまた長くなりそうなので、次へ進む。
さて、<とき>に対して<ま>はどうか?
また英語との比較になってしまうが<ま>、<あいだ>の時間がらみの英語では period、interval、duration (during) がある。これらは明らかに time とは違う。また上でサイクル(周期)
2-3 cycles / second, minute, etc.
をとりあげたが、これも<ま>に関連している。日本語のサイクル表現は
一秒、一分、一時間、一日、一週(間)、一か月、一年 (に)xx 回、xx 度、xx たび
<たび>は純やまとことばだが
(一日に)ひとたび、ふたたび、みたび、よたび、五(ご)たび、六(ろく)たび、ななたび、となるが、<ひとたび>は一回(度)目、<ふたたび>は二回(度)目に違いないが、別に慣用的な意味があり、こちらの方が主要な使われ方になっている。
一秒、一分、一時間、一日、一週(間)、一か月、一年 (のまに、のあいだに)xx 回、xx 度、xx たび
と<ま>、<あいだ>をつかっても表現でき<に>よりははっきりする。
xx(一秒、一分、etc)ごとに
<たび>、<ごと>は
xxするたび(に)、xxするごと(に)
という使い方があり、これも頻度関連の表現だ。
英語の interval は頻度関連の語だが<xx 間隔を置いて>の<間隔>相当の語だ。<間隔>はやまとことばに直訳すると<ま、あいだ-へだたり>。順序を入れ替えて<へだたりのま、あいだ>が相当するが長すぎる。<間(ま)を置く、入(い)れる>、<間(ま)が入(はい)る>の<ま>でいいだろう。気がつきずらいが interval そのものに相当するやまとことばがある。<おき>だ。<おき>は、手もとの辞書(三省堂新辞解)にると接尾語だ。つまりは<おき>単独ではつかわれない。<おき>はやまととこばらしい語で動詞<置(おく>由来。<おく>に連用形の接尾語用法と言える。さらにはこれから述べる<ま>、<あいだ>と同じ時間、空間の両刀使いだ。用例は<ま>、<あいだ>のあとで取り上げる。
一方 period の方はサイクル(周期)、頻度表現でも使えるが、一度だけの長短の出来事の時間もあらわす。
江戸時代 - Edo Period
This accident (murder) occurred in the period of last one week.
二番目は
This accident (murder) occurred during last week.
でもいい。 period と duration (during) は似たところがあるある。Edo Period はニュアンスはちがうが during Edo (time) でもいい。いっぽう interval では基本的に置き換えられない。
<ま>は空間表現にも使われる。
上記の例では
まあい(間合い) 主に空間
まぢか(間近か) 時間と空間
間を置く 時間と空間
間を取る 時間と空間
すき間 主に空間
で時間、空間の両刀使いだ。この<時空の両刀使い>は spacetime と関連はないか?
"
spacetime is any mathematical model which fuses the three dimensions of space and the one dimension of time into a single four-dimensional manifold. (wiki)
"
Language lover personal opinion
Spacetime is difficult to understand. Reality sometimes exists in language not in physics and mathematics.
もう少し<ま>を調べて見る。
あいま(合い間) 仕事のあい間を見て
見るまに
まばたきするまに
待つまもなく
いつのまに
いつのまにか鬼のいぬ間に
以上は英語のduration (during) が相当する。period では時間が長すぎる。
<あいだ>も時間、空間の両刀使いだ。
東京と大阪のあいだ
昨日(きのう)と今日(きょう)のあいだ
さらには
君と僕のあいだ
太郎と花子のあいだ
では時間、空間以外の何かをあらわしている。相性のいいのは<関係>で
君と僕のあいだの関係
太郎と花子のあいだの関係
<関係>はやまとことばではないが。社会生活では需要な現象で簡単は方程式では分析できない。この<あいだ>は<ま>では置き換えられないようだ。手もとの辞書に<あいだ>の解説があるが、三番目の<あいだ=関係>というのがある。((注)
AとBのあいだの関係
AとBのまの関係(ダメ)
<関係>のやまよことばはなにか?
話がとりとめなくなっているが、時間、<とき>のの正体をつかむのは容易ではない。
接尾語<おき>
上で書いたが、<おき>は<おき>単独では使われない接頭語だが、英語の interval のやまとことば訳といっていい。
1)時間
1時間おきに
3時間おきに
24時間おきに
1日おきに
二日(ふつか)おきに
10日(とおか)おきに
100日おきに
1年おきに
2年おきに
10年おきに
100年おきに
数が少ない場合は<おく>時間、日、年がすぐ頭に浮かぶが、数が多くなるとすぐには<おく>時間が思いうかばない。たとえば
1日おきに(来る) - 二日に一度(くる)
で飛び石のような感じがあるが
(大地震は)100年おきに(おこる) ー (大地震は)100年に一度(おこる)
<おき>の時間が長いため <おき>の感じ、飛び石のような感じがない。
2) 空間
1メートルおきに
100メートルおきに
1キロメートルおきに
3)時間、空間以外
1個おきに
10個おきに
100個おきに
1万個おきに (不良品がでる)
同じく数(量)が多くなるとすぐには<おく>数(量)が目に浮かばない。
三番目は<時間、空間以外>と簡単に書いたが、これはなにか?
3)はxx cycles だけで時間、空間は関与せずcycles (回数)だけに注目しているといえる。言い換えると
1 cycle / xx cycles
で cycle が消え <1 / xx >になり、これは<回数>の<回>が消えた<数>だ。
そのほかの<とき>関連表現
<あいだ>の例で取り上げた<このあいだ>はもとの意味が何なのかよくわからなくなっている<とき>慣用表現だ。
さっき、いまさっき - これは<先(さき)ほど>と関連がありそう
は過去のことだが<先(さき)>は未来をあらわす。
この先。先行ゆ)き
<ほど>では
ほどなくして - <まもなく(して)>よりは長い<とき>のようだ。
がある。
すぐ、いますぐ - これは<すぎる>あるいは<いそく>が関連しているようだ。
ただちに
いつ、いつか、いつも、いつでも、いつまでも、いつから
しばし(のま)、しばらく、しばしば
たまに、たまたま
(追加予定)
(注)三省堂新辞解の<あいだ>の解説
1)直接続かない二つの点(物)の非連続部分に存在する空間、時間など。
と短いが、数学、哲学的 な解説となっている。<など>が何かはすぐに思い浮かばない。
2)一続きの時間、空間。
これは1)の内容の反対のようだが、基本的には同じことだ。1)は<(注目している)何かが起きていない時>、2)<何かが起きている時>で、いづれも両端に変化がある。そして<あいだ>には(注目している)何かに変化はない。
鬼のいないあにあいだに洗濯する。
鬼のいるあいだは隠れている。
ここで(注目している)何かが起きているという何かは<鬼がいること>になる。
3)関係(人間関係)
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